私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

文字の大きさ
上 下
126 / 143
新婚旅行編

ルイジェルド視点

しおりを挟む


最近、シンシアをよく見かける。
カトリーヌとの結婚休暇が終わり戻って見れば、それも父上やハンス、たまにサイモンと一緒だ。
何故、カトリーヌではなく父上?
また誰かの姿絵か?
好きだなぁ~俺もカトリーヌの描いてもらおうかな。

ん?でもハンスは何故だ?

「なあ、ロイ、最近よく代理が登城してるけど、誰の姿絵描いてるか知ってるか?」

「知りません。」

「即答だな。何か知ってるな…なんだ?」

「陛下が何を注文したのかなんて知りませんよ!」

「いや、父上ではなくてハンスがだ。」

「ハンス?・・・さあ、知りません。」 

「ロイ…俺は悲しい…隠し事なんてする奴じゃなかったのに、俺がいない事がそんなに寂しかったのか、ロイ。」

「ハア⁉︎そんな訳ないでしょ!」

「じゃあ、言え!何を隠してる?」

「何も隠してませんよ、仕事どんだけ溜まってると思ってるんですか、さっさとやって下さいよ!」


怪しい…。

何か隠してる…


サイモンを捕まえて、
「ロイは何を隠してる?サイモンは知ってるんだろう?」

「何の事だか。色ボケですか?」

「色ボケって、お前、なんて事言うんだ!
でも新婚だから仕方ないだろ!
って違う!お前ら、何を隠してる!」

「何回言うんですか。知りません。ちなみにハンスも知りません。」

「ハンスまでか⁉︎じゃあ、兄上は?兄上は知ってるのか?」

「ヘンリー様は知ってるようで知りません。」

「どっちだよ!やっぱりお前らは何か隠してるんだな!何だよ、気になるだろ、兄上には言わない!少しだけでも教えて!」

「楽しみにしていて下さいとしか言えません。」

「楽しみ?うわぁ…リリーちゃん絡んでる?なんだろう…怖い…。」

「まあ、そういう事で。そのうち分かりますよ。」

と言って行ってしまった。

俺と兄上だけ知らない…。

なんだろう…。


夜、カトリーヌに聞いても分からないと言うし…。

モヤモヤしながら過ごした数日後、ニヤニヤしたロイが何かを渡してきた。

「これ、どうぞ。出来上がったので。」

「出来上がった?何が?」

「開ければ分かります。」

なんだよ、一体…

「あ!これ…」

俺達の姿絵だった。
うわ、兄上もいるし、ハンスもトーマスもいる。サイモン、ロイ、俺、そして、クロ…。


ちょっと、凄くない?

「どうしたの、コレ?」

「ルイがいない間に陛下達がいつものメンバー全員の姿絵を代理に頼んでたので、俺達のも頼んでたんですよ。」

「クロもいるぞ!」

「ハンスが頼んで仲間に入れました。」


父上達の仲の良さは、やっぱり羨ましかった。
父上がアラン殿の姿絵を持っていた時、正直驚いた。
俺はロイのなんか持ってないし、兄上のですら持ってない。

アラン殿が怪我した時の父上の憔悴感は酷かった。
確かに俺もロイが怪我した時は父上と同じだったと思う。
でも、姿絵持つほどなのか?とも思った。

俺は父上の若い時の話しを細かくは聞いていない。
かなり危なかったとは聞いていて知っている。
だからなのかあの人達の結束力は俺達には作り出せないと思ってしまう。

だからこそ、羨ましかった。

あんな風に皆が、父上を守り、敬い、信頼し合う友人があんなにいる。

俺はロイしかいない、と思っていた。
でも、今はサイモンもいる。
ハンスもいる。
トーマスとも仲良くなった。
そして、兄上がいる。

そうか、やっとこれからなんだな、俺達は。
兄上を中心に、父上達のようになっていくんだろう、きっと。

だからこの姿絵は、新・愉快な仲間たちの発足記念の大事な一枚だ。


嬉しいなぁ…


「ルイ、そんなに嬉しかったの?ニヤニヤしてるぞ。」

「ああ、凄く嬉しい!父上達みたいだ!」

「あんまり素直に喜ぶから驚いてる…」

「やっぱり父上達の仲の良さは羨ましかったからな…。俺はロイしかいなかったから、改めてこの姿絵を見ると、兄上と俺には、こんなに優秀な奴らが側にいてくれたんだと実感出来た。ありがとう、ロイ。」

「いや、最初はトーマスとハンスが言い出したんだ。それでクロも入れようってなったらしい。」

「兄上も知らないんだろ?喜ぶだろうな。」

「サイモン殿が今、届けてるからあっちでも同じ事になってるな、きっと。」

「前から思ってたんだけど、そろそろサイモンと呼んでもいいんじゃないか?トーマスは呼び捨てだろ?」

「トーマスは良いんだよ!でも、今更って感じなんだよなぁ~“サイもん”って呼ぼうかな。」

「サイ↗︎モン↘︎、じゃなくて、サイ→もん↗︎って呼ぶの?めちゃめちゃ怒られそうだけど。」

「一回聞いてみる。意外と可愛い感じに呼ばれたら、許すかも。」

「許すか!俺だったら絶対ヤダ!」

「あ、ルイ帰ってきたら言おうと思ってたんだけど、今度、このメンバーで集まって酒盛りやろう!」



バカだな、ロイ。
絶対サイモン怒るから。でも、サイモンがどんな顔するのか見てみたい。
アハハハ、可笑しい、そして、楽しい!

これからこんな感じがずっと続いていくんだろうな、楽しみだ。













しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

雑多掌編集v2 ~沼米 さくらの徒然なる倉庫~

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:482pt お気に入り:6

オレはスキル【殺虫スプレー】で虫系モンスターを相手に無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,751pt お気に入り:619

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:10,815pt お気に入り:4,129

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:35,137pt お気に入り:2,798

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:15,649pt お気に入り:3,347

処理中です...