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王都の一角にある冒険者ギルド『金獅子の心臓』。
ここは昼夜を問わず、荒くれ者たちが集う場所だ。
紫煙が立ち込め、エールの匂いと男たちの熱気が渦巻くその空間。
バンッ!
勢いよく両開きの扉が開かれた。
一瞬の静寂。
酒を飲んでいた冒険者たちが、一斉に入り口を見る。
そこに立っていたのは、場違いなほど美しい少女だった。
動きやすそうな革の装備に身を包んではいるが、その顔立ちは高貴そのもの。
燃えるような赤髪。
白磁のような肌。
そして何より、瞳の輝きが違った。
ダンキアは店内を見渡し、頬を紅潮させた。
(ここが……冒険者ギルド!)
汗臭い?
いいえ、これは努力の香り。
怒号が飛び交う?
いいえ、これは魂のぶつかり合い。
彼女にとって、ここは舞踏会場の百倍も魅力的な場所だった。
「すみません、冒険者登録をしたいのですが!」
ダンキアはよく通る声で叫び、受付カウンターへと歩み寄った。
その足取りは軽い。
背負っているリュックの重量が五十キロを超えているとは、誰も思うまい。
カウンターの中にいたのは、眼鏡をかけた女性職員。
彼女は呆れたように溜息をついた。
「お嬢ちゃん。ここは貴族の遊び場じゃないのよ」
「遊びではありません。私は本気です」
「はいはい。家出少女が小遣い稼ぎに来たんでしょ? 怪我する前に家に帰りなさい」
職員は手元の書類から目を離さずに言った。
ダンキアはむっとした。
「帰りません。家(物理)も捨ててきました」
「はあ?」
「どうしても登録させていただけないなら、実力をお見せするしかありませんね」
ダンキアは近くにあった木製の椅子を指差した。
「あれを小指一本で持ち上げればよろしいですか?」
「そんな大道芸を見せられてもねえ……」
その時。
「おいおい、姉ちゃん。つれないこと言うなよ」
背後から下卑た声がかかった。
振り返ると、酒臭い息を吐く大男が立っていた。
胸には『Cランク』を示す銅のプレートが下がっている。
「俺たちが遊んでやるよ。冒険者の『イロハ』を教えてやるからさ」
男がニヤニヤしながら、ダンキアの肩に手を伸ばした。
「触らないでください」
ダンキアは条件反射で動いた。
彼女は男の手をパシリと払いのけた……つもりだった。
「あべしっ!?」
男の体が独楽(こま)のように高速回転した。
グルグルグルグルッ!
あまりの回転力に、男は目を回してその場に倒れ込む。
ドサッ。
「……え?」
職員の眼鏡がずり落ちた。
周囲の冒険者たちも、ジョッキを落として固まっている。
ダンキアは自分の手を見て首をかしげた。
「あら? ハエを追い払う程度の力加減だったのですが……こちらの殿方は三半規管が弱いのでしょうか」
「い、いや……今のは……」
職員はゴクリと唾を飲み込み、姿勢を正した。
「失礼しました。どうやらただの家出少女ではないようね」
「分かっていただけましたか!」
「とりあえず登録手続きをしましょう。こちらの用紙に記入して」
ダンキアは渡された羊皮紙に、サラサラと名前を書き込んだ。
『ダンキア』
家名は捨てたので書かない。
「はい、書けました」
「じゃあ次は能力測定よ。奥の部屋へ来て」
職員に連れられ、カウンターの奥にある小部屋へ通される。
そこには、台座の上に置かれた透明な水晶玉があった。
「これは魔力測定器よ。手を乗せて、体の中の『力』を流し込んでみて」
「力、ですか?」
「そう。魔力量や潜在能力を測るの。強く念じれば念じるほど正確な数値が出るわ」
「なるほど。強く、ですね」
ダンキアは頷いた。
彼女は魔術の素養がない。
だから『魔力を流す』という感覚がいまいち分からなかった。
しかし『力を込める』ことなら得意だ。
(全身のエネルギーを、この水晶に注ぎ込めばいいのですね!)
ダンキアは水晶玉の上に右手を置いた。
「いきます!」
彼女は丹田に力を入れた。
背中の筋肉が盛り上がり、ベストの上からでも分かるほど引き締まる。
足の指が床を掴む。
そして、握力。
彼女の握力は、リンゴはおろか、クルミも粉砕し、鉄パイプすら粘土のようにひねり潰す。
「ふんっ!!」
気合と共に、彼女は水晶玉を『掴んだ』。
職員が慌てて叫ぶ。
「ちょっ、待っ……握るんじゃなくて……!」
時すでに遅し。
ミシッ。
不穏な音が響いた。
「え?」
ダンキアが目を見開く。
次の瞬間。
パリーンッ!!
小気味よい音と共に、水晶玉が粉々に砕け散った。
キラキラと輝く破片が床に散らばる。
部屋の中に沈黙が落ちた。
ダンキアは空になった台座を見つめ、職員を振り返った。
「あの……光りませんでしたね」
「……」
「もしかして、不良品でしたか? 脆すぎたようですが」
職員は震える指で、粉々になった水晶(ダイヤモンド並みの硬度)を指差した。
「ふ、不良品なわけないでしょォォォ!!」
「きゃっ」
「これ! 国宝級の魔道具! ドラゴンの鱗より硬いのよ!?」
「ええっ? そんな馬鹿な。お豆腐くらいの感触でしたけれど」
「あなたの手がおかしいのよ! 何その握力! ゴリラなの!?」
「失礼な。淑女に対してゴリラとは」
ダンキアは頬を膨らませた。
職員は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「あぁ……始末書だわ……弁償なんてさせられないし……どうしよう……」
「あの、登録は……?」
「……合格よ。合格にするから、もう何もしないで」
職員は涙目で立ち上がり、引き出しから一枚のプレートを取り出した。
一番下のランクを示す『Fランク』の鉄プレートだ。
「はい、これがあなたの冒険者証。名前はダンキアね」
「ありがとうございます!」
ダンキアはプレートを胸に抱きしめた。
ついに。
ついに念願の冒険者になれたのだ。
「それで、依頼はどこで受けられるのですか? やはり最初はドラゴン退治あたりが妥当でしょうか」
「馬鹿言わないで! Fランクは薬草採取かドブ掃除よ!」
「薬草……なるほど、基礎体力作りですね。分かりました」
ダンキアは素直に頷いた。
どんな英雄も、最初は下積みから始まるのだ。
「では、早速行ってまいります!」
「ちょ、今は夜中よ! 明日の朝にしなさい!」
「善は急げです!」
ダンキアは職員の制止を聞かず、風のように部屋を飛び出した。
「行ってきまーす!」
ギルドの扉が再びバァンと開き、彼女は夜の闇へと消えていく。
残された職員と、酔いが醒めた冒険者たちは、嵐が去った後のような店内で呆然としていた。
「……とんでもない新人が来たな」
「ああ……あいつ、絶対に関わっちゃいけねえタイプだ」
「測定器、粉々だったぞ……」
誰もが予感していた。
この王都に、新たな(そして迷惑な)伝説が生まれたことを。
***
翌朝。
ギルドの掲示板の前で、頭を抱える職員の姿があった。
「水晶玉の請求書……どうやって上に説明しよう……」
報告書の『破損理由』の欄には、震える文字でこう書かれていた。
【理由:新人の握力により粉砕】
その横で、徹夜で薬草採取に向かったはずのダンキアが、何やら巨大な物体を引きずって戻ってくる姿が見えたのは、それから数時間後のことである。
ここは昼夜を問わず、荒くれ者たちが集う場所だ。
紫煙が立ち込め、エールの匂いと男たちの熱気が渦巻くその空間。
バンッ!
勢いよく両開きの扉が開かれた。
一瞬の静寂。
酒を飲んでいた冒険者たちが、一斉に入り口を見る。
そこに立っていたのは、場違いなほど美しい少女だった。
動きやすそうな革の装備に身を包んではいるが、その顔立ちは高貴そのもの。
燃えるような赤髪。
白磁のような肌。
そして何より、瞳の輝きが違った。
ダンキアは店内を見渡し、頬を紅潮させた。
(ここが……冒険者ギルド!)
汗臭い?
いいえ、これは努力の香り。
怒号が飛び交う?
いいえ、これは魂のぶつかり合い。
彼女にとって、ここは舞踏会場の百倍も魅力的な場所だった。
「すみません、冒険者登録をしたいのですが!」
ダンキアはよく通る声で叫び、受付カウンターへと歩み寄った。
その足取りは軽い。
背負っているリュックの重量が五十キロを超えているとは、誰も思うまい。
カウンターの中にいたのは、眼鏡をかけた女性職員。
彼女は呆れたように溜息をついた。
「お嬢ちゃん。ここは貴族の遊び場じゃないのよ」
「遊びではありません。私は本気です」
「はいはい。家出少女が小遣い稼ぎに来たんでしょ? 怪我する前に家に帰りなさい」
職員は手元の書類から目を離さずに言った。
ダンキアはむっとした。
「帰りません。家(物理)も捨ててきました」
「はあ?」
「どうしても登録させていただけないなら、実力をお見せするしかありませんね」
ダンキアは近くにあった木製の椅子を指差した。
「あれを小指一本で持ち上げればよろしいですか?」
「そんな大道芸を見せられてもねえ……」
その時。
「おいおい、姉ちゃん。つれないこと言うなよ」
背後から下卑た声がかかった。
振り返ると、酒臭い息を吐く大男が立っていた。
胸には『Cランク』を示す銅のプレートが下がっている。
「俺たちが遊んでやるよ。冒険者の『イロハ』を教えてやるからさ」
男がニヤニヤしながら、ダンキアの肩に手を伸ばした。
「触らないでください」
ダンキアは条件反射で動いた。
彼女は男の手をパシリと払いのけた……つもりだった。
「あべしっ!?」
男の体が独楽(こま)のように高速回転した。
グルグルグルグルッ!
あまりの回転力に、男は目を回してその場に倒れ込む。
ドサッ。
「……え?」
職員の眼鏡がずり落ちた。
周囲の冒険者たちも、ジョッキを落として固まっている。
ダンキアは自分の手を見て首をかしげた。
「あら? ハエを追い払う程度の力加減だったのですが……こちらの殿方は三半規管が弱いのでしょうか」
「い、いや……今のは……」
職員はゴクリと唾を飲み込み、姿勢を正した。
「失礼しました。どうやらただの家出少女ではないようね」
「分かっていただけましたか!」
「とりあえず登録手続きをしましょう。こちらの用紙に記入して」
ダンキアは渡された羊皮紙に、サラサラと名前を書き込んだ。
『ダンキア』
家名は捨てたので書かない。
「はい、書けました」
「じゃあ次は能力測定よ。奥の部屋へ来て」
職員に連れられ、カウンターの奥にある小部屋へ通される。
そこには、台座の上に置かれた透明な水晶玉があった。
「これは魔力測定器よ。手を乗せて、体の中の『力』を流し込んでみて」
「力、ですか?」
「そう。魔力量や潜在能力を測るの。強く念じれば念じるほど正確な数値が出るわ」
「なるほど。強く、ですね」
ダンキアは頷いた。
彼女は魔術の素養がない。
だから『魔力を流す』という感覚がいまいち分からなかった。
しかし『力を込める』ことなら得意だ。
(全身のエネルギーを、この水晶に注ぎ込めばいいのですね!)
ダンキアは水晶玉の上に右手を置いた。
「いきます!」
彼女は丹田に力を入れた。
背中の筋肉が盛り上がり、ベストの上からでも分かるほど引き締まる。
足の指が床を掴む。
そして、握力。
彼女の握力は、リンゴはおろか、クルミも粉砕し、鉄パイプすら粘土のようにひねり潰す。
「ふんっ!!」
気合と共に、彼女は水晶玉を『掴んだ』。
職員が慌てて叫ぶ。
「ちょっ、待っ……握るんじゃなくて……!」
時すでに遅し。
ミシッ。
不穏な音が響いた。
「え?」
ダンキアが目を見開く。
次の瞬間。
パリーンッ!!
小気味よい音と共に、水晶玉が粉々に砕け散った。
キラキラと輝く破片が床に散らばる。
部屋の中に沈黙が落ちた。
ダンキアは空になった台座を見つめ、職員を振り返った。
「あの……光りませんでしたね」
「……」
「もしかして、不良品でしたか? 脆すぎたようですが」
職員は震える指で、粉々になった水晶(ダイヤモンド並みの硬度)を指差した。
「ふ、不良品なわけないでしょォォォ!!」
「きゃっ」
「これ! 国宝級の魔道具! ドラゴンの鱗より硬いのよ!?」
「ええっ? そんな馬鹿な。お豆腐くらいの感触でしたけれど」
「あなたの手がおかしいのよ! 何その握力! ゴリラなの!?」
「失礼な。淑女に対してゴリラとは」
ダンキアは頬を膨らませた。
職員は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「あぁ……始末書だわ……弁償なんてさせられないし……どうしよう……」
「あの、登録は……?」
「……合格よ。合格にするから、もう何もしないで」
職員は涙目で立ち上がり、引き出しから一枚のプレートを取り出した。
一番下のランクを示す『Fランク』の鉄プレートだ。
「はい、これがあなたの冒険者証。名前はダンキアね」
「ありがとうございます!」
ダンキアはプレートを胸に抱きしめた。
ついに。
ついに念願の冒険者になれたのだ。
「それで、依頼はどこで受けられるのですか? やはり最初はドラゴン退治あたりが妥当でしょうか」
「馬鹿言わないで! Fランクは薬草採取かドブ掃除よ!」
「薬草……なるほど、基礎体力作りですね。分かりました」
ダンキアは素直に頷いた。
どんな英雄も、最初は下積みから始まるのだ。
「では、早速行ってまいります!」
「ちょ、今は夜中よ! 明日の朝にしなさい!」
「善は急げです!」
ダンキアは職員の制止を聞かず、風のように部屋を飛び出した。
「行ってきまーす!」
ギルドの扉が再びバァンと開き、彼女は夜の闇へと消えていく。
残された職員と、酔いが醒めた冒険者たちは、嵐が去った後のような店内で呆然としていた。
「……とんでもない新人が来たな」
「ああ……あいつ、絶対に関わっちゃいけねえタイプだ」
「測定器、粉々だったぞ……」
誰もが予感していた。
この王都に、新たな(そして迷惑な)伝説が生まれたことを。
***
翌朝。
ギルドの掲示板の前で、頭を抱える職員の姿があった。
「水晶玉の請求書……どうやって上に説明しよう……」
報告書の『破損理由』の欄には、震える文字でこう書かれていた。
【理由:新人の握力により粉砕】
その横で、徹夜で薬草採取に向かったはずのダンキアが、何やら巨大な物体を引きずって戻ってくる姿が見えたのは、それから数時間後のことである。
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