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翌朝、王都の北門前。
そこには、豪華絢爛な馬車が停まっていた。
白馬が四頭繋がれ、車体には隣国の王家の紋章が輝いている。
「さあ、乗ってくれ。最高級のクッションを用意させたから、長旅でもお尻が痛くならないよ」
ルーファスがエスコートしようと手を差し出す。
しかし、ダンキアは腕組みをして馬車を睨みつけていた。
「……ルーファス様」
「なんだい?」
「この馬車、遅そうですわ」
「えっ」
ルーファスは瞬きした。
「これは軍用馬を改良した最速の馬車だよ? 普通の馬車の二倍は速い」
「たったの二倍ですか。私の走る速度の五分の一も出ませんね」
「君、時速何キロで走るつもりだい?」
「本気を出せば音速を超えますが、長距離走なので時速百キロ程度に抑えるつもりです」
「馬が死ぬよ」
ルーファスは真顔でツッコミを入れた。
横で二日酔いのドワーフ、ガンドが頭を抱えている。
「うぇぇ……朝から元気な嬢ちゃんだ……。頼むから馬車にしてくれ。俺の足じゃついていけねえ」
「仕方ありませんね。ガンドさんのために我慢しましょう」
ダンキアは不服そうにリュックを背負い直した。
そのリュックからは、なぜか鉄アレイの柄が飛び出している。
「では、私は馬車の後ろを走ります」
「乗ってよ! お願いだから乗って!」
「いえ、座っている時間がもったいないのです。移動中も筋トレをしたいので、馬車の車輪にロープを繋いで、私が引っ張るというのはどうでしょう?」
「馬のプライドがズタズタになるからやめてあげて」
そんな漫才のようなやり取りをしていた、その時だった。
ドドドドド……。
王都の方角から、地響きのような音が聞こえてきた。
土煙が舞い上がり、こちらに向かってくる集団がある。
「ん? なんだあれは」
ガンドが目を細める。
現れたのは、銀色の鎧に身を包んだ騎士団だった。
その数、およそ五十。
先頭には、見覚えのある副団長が馬に跨り、剣を掲げている。
「止まれぇぇぇ!!」
副団長が大音声で叫んだ。
周囲の旅人たちが悲鳴を上げて逃げ出す中、騎士団はダンキアたちを取り囲むように展開した。
「見つけたぞ、ダンキア・フォン・バルト!」
副団長が勝ち誇ったように言った。
「クラーク殿下のご命令だ! 『不敬罪および器物損壊、ならびに精神的苦痛を与えた罪』により、貴様を拘束する!」
物々しい雰囲気。
抜かれた剣が朝日を浴びてギラギラと光る。
ルーファスが少し前に出ようとした。
「やれやれ、面倒なことになったね。僕が追い払おうか?」
「いいえ、結構です」
ダンキアが制した。
彼女はきょとんとした顔で騎士たちを見回している。
「あの、すみません」
「なんだ、命乞いか! 今さら遅いぞ!」
「いいえ。皆様、朝早くから『コスプレ行列』ですか? 何かのお祭りでしょうか?」
「ぶっ」
ルーファスが噴き出した。
騎士たちがズッコケそうになる。
「き、貴様……我々を知らぬとは言わせんぞ! 王立近衛騎士団だ!」
「存じております。ですが、本物の騎士団なら、このような場所で一般市民を囲んだりはしません。よって、あなた方は質の悪い大道芸人か、あるいはコスプレ愛好会の方々かと」
「ふざけるなぁぁぁ!」
副団長の額に青筋が浮かぶ。
彼は馬の腹を蹴り、ダンキアに向かって突進した。
「口の減らない女め! 手荒な真似はしたくなかったが、峰打ちで気絶させて連れ帰ってやる!」
ヒヒィィィン!
馬が嘶き、副団長の剣が振り上げられる。
一般人なら恐怖で動けなくなる場面だ。
だが、ダンキアはあくびを噛み殺していた。
(遅い……)
彼女の目には、副団長の動きがスローモーションのように映っていた。
剣の軌道、馬の筋肉の動き、そして副団長の鼻毛が出ていることまで、全てが手に取るように分かる。
「しつこい羽虫ですね」
ダンキアは右手を前に出した。
そして、中指を親指で弾く構えをとる。
いわゆる『デコピン』の形だ。
「え?」
副団長が、迫り来るダンキアの指に気づく。
だが、止まれない。
「そぉれ」
パチンッ。
可愛い音がした。
しかし、起きた現象は可愛くなかった。
ダンキアの指先から放たれた衝撃波(エア・バレット)が、副団長の構えた剣に直撃したのだ。
カァァァァァァァァン!!
鐘を突いたような音が響き渡る。
「うおっ!?」
鋼鉄製の長剣が、まるで紙屑のようにひん曲がった。
さらに衝撃は剣を伝って副団長の腕、肩、そして全身へと抜けていく。
ドォォォォォン!!
「あべしっ!!」
副団長の体が、馬から真後ろに射出された。
まるで大砲の弾のように空を飛び、後方に控えていた部下たちを巻き込んでボウリングのピンのように吹き飛ばす。
「ぎゃああああ!」
「ふ、副団長が飛んだ!?」
「何が起きたんだ!?」
一撃。
たった一度のデコピンで、五十人の騎士団の隊列が崩壊した。
砂煙の中、ダンキアは指先をフーフーと吹いた。
「あら、少し力が入りすぎましたか。爪が割れていないといいのですが」
「……」
ルーファスは口を開けたまま固まっていた。
ガンドに至っては、持っていた酒瓶を取り落として割ってしまった。
「お、おい……嬢ちゃん……今、何をした?」
「デコピンです。昔、お父様とよく遊んだので得意なんです」
「公爵家では、娘と親父が命懸けのデコピン合戦をするのか……?」
「いいえ、お父様はいつも避けるのに必死でしたけれど」
ダンキアはニコニコしている。
倒れた騎士たちは、白目を剥いてピクピクしていたり、あまりの衝撃に腰を抜かして動けなくなったりしている。
「ひ、ひぃぃぃ! バケモノだ!」
「退却! 退却だぁぁぁ!」
意識のある数名が、這うようにして逃げ出した。
「待ちなさい」
ダンキアが声をかけると、彼らはカエルが踏まれたような悲鳴を上げて固まった。
「クラーク殿下にこうお伝えください。『慰謝料の支払いがまだです。次に来る時は、現金を持ってきてください』と」
「は、はひぃぃぃ!」
騎士たちは残った馬に飛び乗り、我先にと逃げ去っていった。
副団長だけが置き去りにされ、地面に『大』の字で埋まっている。
「ふう、静かになりましたね」
ダンキアは満足げに頷いた。
「さあ、出発しましょう! 北の山脈へ!」
「……君、本当に人間かい?」
ルーファスが恐る恐る尋ねる。
「失礼ですね。か弱き乙女です」
「乙女の定義が今日、書き換わった気がするよ」
ルーファスは苦笑し、御者に合図を送った。
御者は顔面蒼白で震えていたが、なんとか馬を走らせる。
こうして、ようやく一行は旅立った。
北へ。
伝説の金属『アダマンタイト』が眠り、そして最強の『主』が待ち受ける極寒の地へ。
馬車の中で、ダンキアはガンドに尋ねた。
「ところでガンドさん、その『主』というのは、食べられますか?」
「……食う気か?」
「強そうな生き物は、だいたい美味しいと相場が決まっていますから」
「そいつはオリハルコン・ゴーレムだ。石の塊だぞ」
「石ですか。歯ごたえがありそうですね」
「歯が折れるわ!」
楽しげな会話(?)を乗せて、馬車は街道をひた走る。
王都からは、また一つ、「謎の衝撃波により騎士団が半壊した」という伝説が生まれたが、ダンキアがそれを知ることはなかった。
***
一方その頃、王宮。
全身包帯姿で戻ってきた副団長の報告を聞き、クラーク王子は玉座から転げ落ちていた。
「な、なんだと!? 全滅!?」
「は、はい……ダンキア様の指先から……波動砲のようなものが……」
「馬鹿な! あいつはただの令嬢だぞ!? 魔法など使えないはずだ!」
「し、しかし現実に……」
クラーク王子は爪を噛んだ。
隣にいたミーナが、青ざめた顔で震えている。
「殿下……私、怖い……。ダンキア様、やっぱり魔女だったのよ……」
「ええい、黙れ!」
クラークは立ち上がり、叫んだ。
「おのれダンキア! こうなれば、国の総力を挙げて貴様を捕らえてやる! Sランク冒険者でも、暗殺ギルドでも、何でも雇え! あいつの首をここに持ってきた者には、望むだけの褒美をやるとな!」
怒りに狂う王子。
だが、彼はまだ知らなかった。
ダンキアに向けられる敵意が、彼女にとっては「良い運動不足解消」にしかならないということを。
そこには、豪華絢爛な馬車が停まっていた。
白馬が四頭繋がれ、車体には隣国の王家の紋章が輝いている。
「さあ、乗ってくれ。最高級のクッションを用意させたから、長旅でもお尻が痛くならないよ」
ルーファスがエスコートしようと手を差し出す。
しかし、ダンキアは腕組みをして馬車を睨みつけていた。
「……ルーファス様」
「なんだい?」
「この馬車、遅そうですわ」
「えっ」
ルーファスは瞬きした。
「これは軍用馬を改良した最速の馬車だよ? 普通の馬車の二倍は速い」
「たったの二倍ですか。私の走る速度の五分の一も出ませんね」
「君、時速何キロで走るつもりだい?」
「本気を出せば音速を超えますが、長距離走なので時速百キロ程度に抑えるつもりです」
「馬が死ぬよ」
ルーファスは真顔でツッコミを入れた。
横で二日酔いのドワーフ、ガンドが頭を抱えている。
「うぇぇ……朝から元気な嬢ちゃんだ……。頼むから馬車にしてくれ。俺の足じゃついていけねえ」
「仕方ありませんね。ガンドさんのために我慢しましょう」
ダンキアは不服そうにリュックを背負い直した。
そのリュックからは、なぜか鉄アレイの柄が飛び出している。
「では、私は馬車の後ろを走ります」
「乗ってよ! お願いだから乗って!」
「いえ、座っている時間がもったいないのです。移動中も筋トレをしたいので、馬車の車輪にロープを繋いで、私が引っ張るというのはどうでしょう?」
「馬のプライドがズタズタになるからやめてあげて」
そんな漫才のようなやり取りをしていた、その時だった。
ドドドドド……。
王都の方角から、地響きのような音が聞こえてきた。
土煙が舞い上がり、こちらに向かってくる集団がある。
「ん? なんだあれは」
ガンドが目を細める。
現れたのは、銀色の鎧に身を包んだ騎士団だった。
その数、およそ五十。
先頭には、見覚えのある副団長が馬に跨り、剣を掲げている。
「止まれぇぇぇ!!」
副団長が大音声で叫んだ。
周囲の旅人たちが悲鳴を上げて逃げ出す中、騎士団はダンキアたちを取り囲むように展開した。
「見つけたぞ、ダンキア・フォン・バルト!」
副団長が勝ち誇ったように言った。
「クラーク殿下のご命令だ! 『不敬罪および器物損壊、ならびに精神的苦痛を与えた罪』により、貴様を拘束する!」
物々しい雰囲気。
抜かれた剣が朝日を浴びてギラギラと光る。
ルーファスが少し前に出ようとした。
「やれやれ、面倒なことになったね。僕が追い払おうか?」
「いいえ、結構です」
ダンキアが制した。
彼女はきょとんとした顔で騎士たちを見回している。
「あの、すみません」
「なんだ、命乞いか! 今さら遅いぞ!」
「いいえ。皆様、朝早くから『コスプレ行列』ですか? 何かのお祭りでしょうか?」
「ぶっ」
ルーファスが噴き出した。
騎士たちがズッコケそうになる。
「き、貴様……我々を知らぬとは言わせんぞ! 王立近衛騎士団だ!」
「存じております。ですが、本物の騎士団なら、このような場所で一般市民を囲んだりはしません。よって、あなた方は質の悪い大道芸人か、あるいはコスプレ愛好会の方々かと」
「ふざけるなぁぁぁ!」
副団長の額に青筋が浮かぶ。
彼は馬の腹を蹴り、ダンキアに向かって突進した。
「口の減らない女め! 手荒な真似はしたくなかったが、峰打ちで気絶させて連れ帰ってやる!」
ヒヒィィィン!
馬が嘶き、副団長の剣が振り上げられる。
一般人なら恐怖で動けなくなる場面だ。
だが、ダンキアはあくびを噛み殺していた。
(遅い……)
彼女の目には、副団長の動きがスローモーションのように映っていた。
剣の軌道、馬の筋肉の動き、そして副団長の鼻毛が出ていることまで、全てが手に取るように分かる。
「しつこい羽虫ですね」
ダンキアは右手を前に出した。
そして、中指を親指で弾く構えをとる。
いわゆる『デコピン』の形だ。
「え?」
副団長が、迫り来るダンキアの指に気づく。
だが、止まれない。
「そぉれ」
パチンッ。
可愛い音がした。
しかし、起きた現象は可愛くなかった。
ダンキアの指先から放たれた衝撃波(エア・バレット)が、副団長の構えた剣に直撃したのだ。
カァァァァァァァァン!!
鐘を突いたような音が響き渡る。
「うおっ!?」
鋼鉄製の長剣が、まるで紙屑のようにひん曲がった。
さらに衝撃は剣を伝って副団長の腕、肩、そして全身へと抜けていく。
ドォォォォォン!!
「あべしっ!!」
副団長の体が、馬から真後ろに射出された。
まるで大砲の弾のように空を飛び、後方に控えていた部下たちを巻き込んでボウリングのピンのように吹き飛ばす。
「ぎゃああああ!」
「ふ、副団長が飛んだ!?」
「何が起きたんだ!?」
一撃。
たった一度のデコピンで、五十人の騎士団の隊列が崩壊した。
砂煙の中、ダンキアは指先をフーフーと吹いた。
「あら、少し力が入りすぎましたか。爪が割れていないといいのですが」
「……」
ルーファスは口を開けたまま固まっていた。
ガンドに至っては、持っていた酒瓶を取り落として割ってしまった。
「お、おい……嬢ちゃん……今、何をした?」
「デコピンです。昔、お父様とよく遊んだので得意なんです」
「公爵家では、娘と親父が命懸けのデコピン合戦をするのか……?」
「いいえ、お父様はいつも避けるのに必死でしたけれど」
ダンキアはニコニコしている。
倒れた騎士たちは、白目を剥いてピクピクしていたり、あまりの衝撃に腰を抜かして動けなくなったりしている。
「ひ、ひぃぃぃ! バケモノだ!」
「退却! 退却だぁぁぁ!」
意識のある数名が、這うようにして逃げ出した。
「待ちなさい」
ダンキアが声をかけると、彼らはカエルが踏まれたような悲鳴を上げて固まった。
「クラーク殿下にこうお伝えください。『慰謝料の支払いがまだです。次に来る時は、現金を持ってきてください』と」
「は、はひぃぃぃ!」
騎士たちは残った馬に飛び乗り、我先にと逃げ去っていった。
副団長だけが置き去りにされ、地面に『大』の字で埋まっている。
「ふう、静かになりましたね」
ダンキアは満足げに頷いた。
「さあ、出発しましょう! 北の山脈へ!」
「……君、本当に人間かい?」
ルーファスが恐る恐る尋ねる。
「失礼ですね。か弱き乙女です」
「乙女の定義が今日、書き換わった気がするよ」
ルーファスは苦笑し、御者に合図を送った。
御者は顔面蒼白で震えていたが、なんとか馬を走らせる。
こうして、ようやく一行は旅立った。
北へ。
伝説の金属『アダマンタイト』が眠り、そして最強の『主』が待ち受ける極寒の地へ。
馬車の中で、ダンキアはガンドに尋ねた。
「ところでガンドさん、その『主』というのは、食べられますか?」
「……食う気か?」
「強そうな生き物は、だいたい美味しいと相場が決まっていますから」
「そいつはオリハルコン・ゴーレムだ。石の塊だぞ」
「石ですか。歯ごたえがありそうですね」
「歯が折れるわ!」
楽しげな会話(?)を乗せて、馬車は街道をひた走る。
王都からは、また一つ、「謎の衝撃波により騎士団が半壊した」という伝説が生まれたが、ダンキアがそれを知ることはなかった。
***
一方その頃、王宮。
全身包帯姿で戻ってきた副団長の報告を聞き、クラーク王子は玉座から転げ落ちていた。
「な、なんだと!? 全滅!?」
「は、はい……ダンキア様の指先から……波動砲のようなものが……」
「馬鹿な! あいつはただの令嬢だぞ!? 魔法など使えないはずだ!」
「し、しかし現実に……」
クラーク王子は爪を噛んだ。
隣にいたミーナが、青ざめた顔で震えている。
「殿下……私、怖い……。ダンキア様、やっぱり魔女だったのよ……」
「ええい、黙れ!」
クラークは立ち上がり、叫んだ。
「おのれダンキア! こうなれば、国の総力を挙げて貴様を捕らえてやる! Sランク冒険者でも、暗殺ギルドでも、何でも雇え! あいつの首をここに持ってきた者には、望むだけの褒美をやるとな!」
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