生き残りBAD END

とぅるすけ

文字の大きさ
129 / 159
終章

頼もしいのか? 君…

しおりを挟む
 あの日。
 雪が降った日。
 私の人生が変わった日。

────楓彩? 今日から宜しくな…王志 剣得だ…

────はや…と…? さん?

────剣得でいいよ…

 その時、剣得さんは優しく手を握ってくれた。

────あれ…どこだっけ…剣得さんと出会った場所は…



 思い出す。
 母の最後の言葉。

────あなたを守ってくれる人は絶対にいるから…だから…絶対に生きてね…



 ────あれ…私…のお母さん…名前…なんだっけ…





────そうあなたはそうやって失っていくの…全てを…

────私は見ていてあげる…“あなた達”が自壊していく姿を…






「───はっ!!」

 朝、楓彩は不気味な夢に目を覚ます。
 今までのトラウマ全てを詰め込んだような夢。

「…はぁ…はぁ…」

 楓彩の額からは汗がにじみ出て、顔色の良くなかった。

「あ、あれ…花麗さんは…」

 辺りを見回すと、隣に寝ていた花麗の姿はなく、部屋には時計の秒針が進む音だけが響いていた。

 楓彩はその部屋を出て今へ向かう。

「お、おはようございます…」

「おはよう、楓彩…」

 楓彩よりも先に、居間にはショウ、彩楓、そして瑛太の姿が。

「今、花麗が朝飯作ってるから、もう少し待って」

「はい…ショウさん」

 楓彩はショウの隣に腰を下ろす。

「ほーい、出来たぞー」

 居間の入口から花麗が朝食を持って現れる。

「みんな起こしてきて来るがよい!」

 楓彩は臨と小雨を起こしに、2人が寝ている部屋へ向かおうとしたその時。

「…え…」

 花麗の後ろにもう1人、人影があることに気がつく。

「真希菜…さん?」

 着物を来たサイボーグ──真希菜が朝食が乗ったお盆を持って花麗の後ろについてきていた。

「どうも…」

 


 その後、朝の食卓に皆が着き、話題は真希菜の事で持ちきりになった。

「へぇー…真希菜ちゃんってまだ成人してなかったんだー」

「はい…歳はまだ17です。機会の体を貰ってので歳はあまり関係ないと思いますが…」

 カワイイ子大好きな小雨に寄られ、真希菜は若干困っている様子だった。

「ねーねー…おっぱい触らせてー?」

「はぁ……は?」

「作り物? それとも本物?」

 小雨は回答を聞く前に真希菜の脇の下から腕を胸に回す。

「ふむふむ…柔らかい…」

「ちょ…まぁいいですけど…減るものじゃありませんし…」

 真希菜も、くすぐったがる様子を見せずに小雨の好きにさせた。
 その時、小雨の頭に臨の手刀。
 真希菜の頭にショウの手刀が下ろされる。

「「見てるこっちの神経がすり減るわ!! やめろ!!」」



「改めまして…里宮《りみや》 真希菜《まきな》といいます…体の90%は機械です…宜しくお願いします」

 真希菜は正座をして皆に挨拶をする。
 瑛太や花麗は以前、海に遊びに行った際に出会った事を覚えていた。

「さ、新しい味方が加わったことだし、今日も仕事するぞ!」

 ショウの号令で皆は食事を摂り始めた。

 
 食後、彩楓、真希菜は庭に出て楓彩の特訓に付き合った。

「速さで勝負をかけると逆に、よまれやすい…お前は上手さで勝負しろ」

「はい!」

 楓彩は片腕で木刀を持つ彩楓に向かって木刀を一心不乱に振り回していた。

「敵が上から切り伏せてきた時は──」

 彩楓は楓彩より高い身長を活かして楓彩の頭上から木刀を振り下ろす。

「柄を上に向けて相手の刀身を受け流す!」

 楓彩は柄を上にあげ、木刀の鎬で彩楓の攻撃を下に受け流す。

「そうだ! いいぞ!」

「そして下に来た刀を踏みつけて──チェックメイト…です」

 楓彩は彩楓の首元に木刀を近づけ、「決まった…」と、満足気な表情をする。

「なーに、格好つけてんだ…相手が刀を放棄して攻撃してきらどうするつもりだよ…」

「え、あぁ…そうですね…」

「それにしてもだ…なかなか筋がいい…近接戦闘を模した運動はこれくらいでいいだろう…どうだ? 体の調子は…少しは軽くなったか?」
 
「はい! 割と動けるようになりました!」

 楓彩は右肩をぐるぐる回して明るい表情を見せる。
 どうやら彩楓に褒められたことがなかなか嬉しいらしい。

「次だ…近接戦闘は実際の戦闘ではほとんど役に立たない…。そこでお前が覚えなければならないのは銃弾への対策」
  
「え…そ、それは…」

「まぁ、いい…。いきなりやれって言われても無理だろう…里宮!」

 そこで彩楓は近くで2人を見ていた真希菜を呼ぶ。
 
「例のやつを頼む!」

「了解です」

 真希菜はそう言われると右腕を前に突き出す。
 次の瞬間、真希菜の前腕が展開し、無数の銃口が露《あらわ》になる。

「えぇぇぇーーーー!!」

 楓彩はそのショッキングな光景に声を上げてしまう。
 確かに、楓彩が以前戦った時は銀腕からの展開だったのでこれと言ってどうとも思わなかったが、今回は作り込まれた人の肌が機械的に展開したのだ。
 花麗が見たらトラウマ物だろう。

 そんな事を他所に、彩楓は木刀を真剣に構える。

「少しは離れてろ…楓彩…」
 
 次の瞬間、連続する破裂音と共に無数のゴム弾が撃ち込まれる。
 彩楓は見事な身のこなしでそのゴム弾を弾いていく。
 
 数秒にわたる射撃が終わり、彩楓は一息ついて楓彩の方を見る。

「とまぁ、こんな感じだ…っ!!」

 楓彩はうつ伏せに倒れていた。
 どうやら流れ弾が数発当たっていたようだ。
 彩楓はそんな楓彩に近づく。

「おい…大丈夫か?」

「えへへ…だ、大丈夫です…当たると痛いですね…」

 その後、楓彩はゴム弾の餌食となった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結

まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。 コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。 「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」 イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。 対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。 レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。 「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」 「あの、ちょっとよろしいですか?」 「なんだ!」 レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。 「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」 私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。 全31話、約43,000文字、完結済み。 他サイトにもアップしています。 小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位! pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。 アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。 2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。 「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

ネットワーカーな私は異世界でも不労所得で生きたい 悪役令嬢として婚約破棄を狙ったら、王家全員に謙虚な聖女と勘違いされて外堀を埋められました

来栖とむ
ファンタジー
「私の目標は、十七歳での完全リタイア。――それ以外はすべて『ノイズ』ですわ」 ブラックIT企業のネットワークエンジニア兼、ガチ投資家だった前世を持つ公爵令嬢リゼット。 彼女が転生したのは、十七歳の誕生日に「断罪」が待ち受ける乙女ゲームの世界だった。 「婚約破棄? 結構です。むしろ退職金(慰謝料)をいただけます?」 死を回避し、優雅な不労所得生活(FIRE)を手に入れるため、リゼットは前世の知識をフル稼働させる。 魔法を「論理回路」としてハックし、物理法則をデバッグ。 投資理論で王国の経済を掌握し、政治的リスクを徹底的にヘッジ。 ……はずだったのに。 面倒を避けるために効率化した魔法は「神業」と称えられ、 資産を守るために回避した戦争は「救国の奇跡」と呼ばれ、 気づけば「沈黙の賢者」として全国民から崇拝されるハメに!? さらには、攻略対象の王子からは「重すぎる信仰」を向けられ、 ライバルのはずのヒロインは「狂信的な弟子」へとジョブチェンジ。 世界という名のバックエンドをデバッグした結果、リゼットは「世界の管理者(創造主代行)」として、永遠のメンテナンス業務に強制就職(王妃確定)させられそうになっていて――!? 「勘弁して。私の有給休暇(隠居生活)はどこにあるのよ!!」 投資家令嬢リゼットによる、勘違いと爆速の隠居(できない)生活、ここに開幕!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

気弱令嬢の悪役令嬢化計画

みおな
ファンタジー
 事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?  しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?  いやいやいや。 そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!  せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。  屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?

【完結】瑠璃色の薬草師

シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。 絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。 持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。 しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。 これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

処理中です...