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「・・・・・・」
空白だった。私の頭は空白だった。
何をしていたのだろう? 何があったのだろう?
全く分からない。
私は指の先に当たる、何かを拾い上げる。
羽のようだ、おそらく真っ黒な羽。
分かった。影縫の羽だ・・・・・・。
私は影縫の部屋に入れられたのか?
かげぬい・・・・・・。かげぬいって誰だっけ・・・・・・。
「ウワァァアアアアア!!!」
私は叫んでいた。大声で叫んでいた。
様々な物が私の頭の中に入り交じってきたのだ。
混沌とした脳内に、影縫の存在が浮かび上がる。
そして、影縫が殺された光景が眼に貼り付く。
私はまた涙を流す。大量の目から落ちる透明の滴は私の頬を辿って、この千年殺しの石畳に落ちていく。
「おい! しっかりしろ!!」
横の部屋の住人が話しかけてきた。
「そうだ。うるさくって寝れやしない!」
また別の部屋の住人。
千年殺しに入れられた、あやかしたちは、人間のくせに千年殺しに入れられている私を歓迎はしていないようだ。というより心配されている。
「おい! あんまり話すと、あやかし狩りが来るぞ!」
「いいって、もうこの嬢ちゃんがうるさいから、意味が無い」
がやがや話し合いを始めた。
いい、苦しい。もう一度頭を空っぽにして、全て忘・・・・・・。
「おい! もうその繰り返しなんだろう?! あんた全てを忘れようとして、思い出してるんだろうっ!? 分かっているぞ」
私はその声の主の発言に耳が反応した。
「な、なんで・・・・・・」
それは向かいの部屋のあやかしだった。
「見てりゃ分かる」
「見えるのか?」
「闇は俺たちの十八番だ。人間は見えないと思っているみたいだがな」
「・・・・・・」
「で、何があったんだ? 嬢ちゃん?」
意識が戻ったとはいえ、悲鳴をあげてしまった、あの惨劇を思い起こすことは拷問以上に痛みを伴う。
だが、私は言った。影縫はこの人達の王子だ。言わなければならない。
「影縫は死んだ。尚登に村雨で斬られて・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
どこか得心しきった声色だった。
「嬢ちゃんは王子の恋人、辛いな。でも、嬢ちゃんの中に王子がいる限り、王子は死なないさ」
私は下瞼にたまった涙を拭く、鼻水も出てきて、どうしようもない。
目の前のあやかしは見えているのだろう。
すると、別のあやかしが話しかけてきた。私ではない、目の前のあやかしにだ。
「しかし、王の跡取りは影縫王子しかいない。もうあやかしは終わりかもしれないな・・・・・・」
その後、長い嘆息を出した。
私のせいだ。
私が全部、悪い。
ぐちゃぐちゃになった顔を服の布で拭き取る。
「嬢ちゃん、あんまり自分を責めるな。嬢ちゃんはやれることはやったんだ」
「うん・・・・・・」
そう言った後、前のあやかしは優しく話しかける。
「とにかく、もう静かにしな。嬢ちゃんはいいかもしれないが、皆に迷惑をかける」
「ごめんなさい・・・・・・」
私は涙を拭いて、少し寝ることにした。
空白だった。私の頭は空白だった。
何をしていたのだろう? 何があったのだろう?
全く分からない。
私は指の先に当たる、何かを拾い上げる。
羽のようだ、おそらく真っ黒な羽。
分かった。影縫の羽だ・・・・・・。
私は影縫の部屋に入れられたのか?
かげぬい・・・・・・。かげぬいって誰だっけ・・・・・・。
「ウワァァアアアアア!!!」
私は叫んでいた。大声で叫んでいた。
様々な物が私の頭の中に入り交じってきたのだ。
混沌とした脳内に、影縫の存在が浮かび上がる。
そして、影縫が殺された光景が眼に貼り付く。
私はまた涙を流す。大量の目から落ちる透明の滴は私の頬を辿って、この千年殺しの石畳に落ちていく。
「おい! しっかりしろ!!」
横の部屋の住人が話しかけてきた。
「そうだ。うるさくって寝れやしない!」
また別の部屋の住人。
千年殺しに入れられた、あやかしたちは、人間のくせに千年殺しに入れられている私を歓迎はしていないようだ。というより心配されている。
「おい! あんまり話すと、あやかし狩りが来るぞ!」
「いいって、もうこの嬢ちゃんがうるさいから、意味が無い」
がやがや話し合いを始めた。
いい、苦しい。もう一度頭を空っぽにして、全て忘・・・・・・。
「おい! もうその繰り返しなんだろう?! あんた全てを忘れようとして、思い出してるんだろうっ!? 分かっているぞ」
私はその声の主の発言に耳が反応した。
「な、なんで・・・・・・」
それは向かいの部屋のあやかしだった。
「見てりゃ分かる」
「見えるのか?」
「闇は俺たちの十八番だ。人間は見えないと思っているみたいだがな」
「・・・・・・」
「で、何があったんだ? 嬢ちゃん?」
意識が戻ったとはいえ、悲鳴をあげてしまった、あの惨劇を思い起こすことは拷問以上に痛みを伴う。
だが、私は言った。影縫はこの人達の王子だ。言わなければならない。
「影縫は死んだ。尚登に村雨で斬られて・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
どこか得心しきった声色だった。
「嬢ちゃんは王子の恋人、辛いな。でも、嬢ちゃんの中に王子がいる限り、王子は死なないさ」
私は下瞼にたまった涙を拭く、鼻水も出てきて、どうしようもない。
目の前のあやかしは見えているのだろう。
すると、別のあやかしが話しかけてきた。私ではない、目の前のあやかしにだ。
「しかし、王の跡取りは影縫王子しかいない。もうあやかしは終わりかもしれないな・・・・・・」
その後、長い嘆息を出した。
私のせいだ。
私が全部、悪い。
ぐちゃぐちゃになった顔を服の布で拭き取る。
「嬢ちゃん、あんまり自分を責めるな。嬢ちゃんはやれることはやったんだ」
「うん・・・・・・」
そう言った後、前のあやかしは優しく話しかける。
「とにかく、もう静かにしな。嬢ちゃんはいいかもしれないが、皆に迷惑をかける」
「ごめんなさい・・・・・・」
私は涙を拭いて、少し寝ることにした。
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