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私の人生
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学園に入学した私は、ルドルフ様と行き帰りやランチをご一緒させて頂こうと思っていたのだけど、ルドルフ様の「将来王妃になるなら、交友関係を広げていかなければいけないだろう」という言葉に、頷くことしか出来なかった。
ただ、仲の良い友人などおらず、王子の婚約者を狙う令嬢からは嫌われ、すでに婚約者がいる令嬢からは媚びを売られた。
「あんな子が王子の婚約者なの? 地位だけだわ」
「あの子よりずっと私の方が美しいに決まってる」
私は王子の横に並ぶと劣る容姿だということをこの学園に入って知った。
2年生になると、彼女が入学した。
それはすぐに噂になった。学園内の怪我した動物を助けた。いじめられていた子を助けるために、勇敢にも先輩に立ち向かった。
彼女は良い意味でも悪い意味でも常に噂になっていた。
そんな彼女と王子がよく一緒にいると聞くようになったのはいつだったか。
いつも、私から会いに行かないと会えないルドルフ様は自ら彼女に会いに行っていると聞いた。
「まあ、ミーア様が可愛そうだわ」
「婚約者には会いに来ないのに」
「私、殿下がミーア様に私の元に来るなと言っているのを聞いたことがありますの」
「あら、ミーア様と殿下には何かあるのかしら」
「本当は殿下、ミーア様と結婚したくないそうよ」
あることないこと沢山の噂が私の周りを駆け巡る。それは嘘だと言えるほど、私は殿下の心の内を知らなかった。
そんな頃に、突然王妃様は亡くなった。厳しかったが、あなたは立派な王妃になれますよ。そう言ってくれる唯一の存在は居なくなってしまった。
私は王妃様の葬儀で久しぶりにルドルフ様をお見かけした。その横には、あの男爵令嬢がおり、随分憔悴したルドルフ様を支える彼女がいた。その場所は私の場所のはずなのに。なぜかすぐ声に出せなかった。
近くに寄り、声を掛けようとしたけど、ルドルフ様は王妃様に視線を落とすと、突然走り出し何処かへ行ってしまった。
そんな彼を追いかける男爵令嬢を、私はただ見送ることしか出来なかった。
やっとの思いで着いた庭園はルドルフ様が寮に入った時から来ていない思い出の場所。もしかしたら、ルドルフ様がいるかもしれない。そんな藁にも縋るような思いでいた。
草を踏む音がして、木の間を覗くと、ルドルフ様の後ろ姿が見えた。思わず声を掛けようと息を吸うと、ルドルフ様と向かい合う彼女に気づき、目を見開く。
2人がいる場所は、以前まで私と彼がいつもお茶を飲んでお話しした思い出のところ。どうして。そんな大事なところに2人でいるの。
ゆっくりと彼の背中に彼女の細い腕が周り、抱き合う2人はとても絵になっている。少し離れた2人が見つめ合い、ルドルフ様が彼女に顔を近づけていくのをただ私は見守ることしか叶わなかった。
ただ、仲の良い友人などおらず、王子の婚約者を狙う令嬢からは嫌われ、すでに婚約者がいる令嬢からは媚びを売られた。
「あんな子が王子の婚約者なの? 地位だけだわ」
「あの子よりずっと私の方が美しいに決まってる」
私は王子の横に並ぶと劣る容姿だということをこの学園に入って知った。
2年生になると、彼女が入学した。
それはすぐに噂になった。学園内の怪我した動物を助けた。いじめられていた子を助けるために、勇敢にも先輩に立ち向かった。
彼女は良い意味でも悪い意味でも常に噂になっていた。
そんな彼女と王子がよく一緒にいると聞くようになったのはいつだったか。
いつも、私から会いに行かないと会えないルドルフ様は自ら彼女に会いに行っていると聞いた。
「まあ、ミーア様が可愛そうだわ」
「婚約者には会いに来ないのに」
「私、殿下がミーア様に私の元に来るなと言っているのを聞いたことがありますの」
「あら、ミーア様と殿下には何かあるのかしら」
「本当は殿下、ミーア様と結婚したくないそうよ」
あることないこと沢山の噂が私の周りを駆け巡る。それは嘘だと言えるほど、私は殿下の心の内を知らなかった。
そんな頃に、突然王妃様は亡くなった。厳しかったが、あなたは立派な王妃になれますよ。そう言ってくれる唯一の存在は居なくなってしまった。
私は王妃様の葬儀で久しぶりにルドルフ様をお見かけした。その横には、あの男爵令嬢がおり、随分憔悴したルドルフ様を支える彼女がいた。その場所は私の場所のはずなのに。なぜかすぐ声に出せなかった。
近くに寄り、声を掛けようとしたけど、ルドルフ様は王妃様に視線を落とすと、突然走り出し何処かへ行ってしまった。
そんな彼を追いかける男爵令嬢を、私はただ見送ることしか出来なかった。
やっとの思いで着いた庭園はルドルフ様が寮に入った時から来ていない思い出の場所。もしかしたら、ルドルフ様がいるかもしれない。そんな藁にも縋るような思いでいた。
草を踏む音がして、木の間を覗くと、ルドルフ様の後ろ姿が見えた。思わず声を掛けようと息を吸うと、ルドルフ様と向かい合う彼女に気づき、目を見開く。
2人がいる場所は、以前まで私と彼がいつもお茶を飲んでお話しした思い出のところ。どうして。そんな大事なところに2人でいるの。
ゆっくりと彼の背中に彼女の細い腕が周り、抱き合う2人はとても絵になっている。少し離れた2人が見つめ合い、ルドルフ様が彼女に顔を近づけていくのをただ私は見守ることしか叶わなかった。
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