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第二章:朱莉、かまぼこで餌付けされる
9. ブッ壊す
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「まぁまぁ鮫島さん、そう怖い顔せんでもよろしいやろ。海斗くんの話を聞くのは、腹ごしらえしてから……っちゅうことで。ほな、そこのお嬢さんも一緒にどうです?」
おぉ、なんてナイスな助け舟!
この重苦しい雰囲気を和らげてくれた「救世主は誰!?」と思って声の主を探したところ、どうやら和風美人の隣に座っている男性であるらしい。
年の頃は大将と同じくらいだろうか。
はんなりとした関西弁に、ほわんと柔らかそうな笑顔。そういえば七福神のなかに、こういう感じの神様がいた気がする。
お見合いの席に同席しているということは、この女性の父親なのだろう。色が白いところ以外はあんまり似てないみたいだけど。
「こちら、甘鷲さん。京都の老舗の蔵元さんで、うちの店にも卸してもらってるんだ」
お互いが醸し出す「おたく、誰やねん?」という空気を察知したらしい鮫島さんが取って付けたように説明してくれた。
へぇ、京都の酒屋さんか。
「どうも。魚貴族さんにはいつもお世話になってますー。さぁ、立ち話もなんやから、お二人さんも座って座って」
甘鷲さんのお父さんのほうは福々と恵比寿様みたいな笑顔を浮かべているが、娘のほうは私に向かって鋭い視線(つまり、ガン)を飛ばしつづけている。
……だから、コワいって。
それはそうと、ここはもともと四人がけのテーブル席。「座って座って」と言われても、残念ながら私の席はない。
「あ、椅子が足りまへんな。すいませーん」
甘鷲(父)さん、またしてもナイスな気配り。
声をかけられた店員さんがさっそく追加の椅子を持ってきてくれた……のはいいけれど、なぜに私がお誕生日席!?
私からみて右斜め前に鮫島さんが座り、反対側の左斜め前には甘鷲(娘)さんが陣取るという席次はどう考えても気まず過ぎる……!
「それにしても海斗くん、うちのこと『老舗』やなんて紹介してくれはったけど、そんなん滅相もないで。うちなんてまだ二百年ほどの歴史しかあらへんし、まだまだひよっこみたいなもんですわ」
甘鷲(父)はそんなことを宣いながら肉付きの良い顔にニコニコと笑みを浮かべている。
うん?
これって自虐? 謙遜?
それともそうと見せかけた自慢なのか?
こういう場合、どう返すのが正解なんだろう?
「に、二百年!? すごいですねー。そんなに長く続いてる企業、この辺りにはないですよー。さすが京都の老舗は違いますねー」
私がちょっと大げさなくらいの身ぶりで驚いてみせると、甘鷲(父)の頬がいっそう緩んだ。もともと細い目がさらに細くなって顔肉のなかに埋もれている。
娘さんの表情も少しだけ和らいだように見える。
はぁぁ~、よかった。
いまの反応で合ってたみたい。
京都人の言葉は額面どおりに受け取っちゃダメ、ってネットに書いてあるのを見たことがあったんだ。まとめサイトもたまには役に立つね!
「そんなことより……。あなた、本当に海斗さんとお付き合いされてはるんですか?」
少しばかり和んだかと思われたこの場に再び冷たい空気が吹きぬける。
窓の外にはあたたかそうな春の陽気が広がっているというのに、ここだけ季節が逆戻りしてしまったみたいだ。
あ、あれ?
さっき、ちょっと表情が和らいだように見えたけど……私の勘違いだった?
いまはまた狐みたいな顔に戻って、私につららのごとき冷たく尖った視線をグサグサと突き刺してくる。
「沙羅咲や、残念やけど、そりゃあ海斗くんみたいな男前やったら、お付き合いしとる女性の一人や二人、おらん方がおかしいで。お前もいい加減、あきらめたらどうや?」
おぉ! またしてもナイスアドバイス。
まさに神の所業。甘鷲(父)の背後に後光が差して見える。
それにしても、ものの見事に鮫島さんが意図したとおりの展開で進んでいるではないですか。ラッキー。私、まだ何もしてないのに。
――そう。
鮫島さんに頼まれた私の役割はズバリ、このお見合いをブッ壊すことである。
あ、違った。ブッ壊しちゃいけないんだった。
あくまで、さりげなく……お相手の女性に恥をかかせないように、そして傷つけないようにして、やんわりとお断りする(あるいは、向こうから断ってもらう)ことが私に課せられたミッションなのだ。
鮫島さんが気をつかうのには理由がある。
甘鷲さんちのお嬢さん(沙羅咲さん)は鮫島さんのことをいたくお気に入りなんだけど、まぁ、鮫島さんにその気はない……と。
で、沙羅咲さん(どうでもいいけど、さらささん、ってサが多くない?)も鮫島さん本人に直接アプローチしてきてくれればいいものを、お互いの父親やら周りの人間を巻き込んでくるもんだから、断りにくい。
甘鷲さんは魚貴族の大事な取引先でもあるし、大将の友人でもある。
その娘さんの好意を無碍に断ることもできず、ではどうすれば諦めてくれるかと思案した結果――
適当な女性を見繕い、「結婚を前提に付き合っている彼女」に仕立てて、紹介してしまうというのはどうだろう!
……と、鮫島先輩は思いつかれたわけですね。
そして見繕われたのが私というわけですね。
鮫島さんだったら、そういう役割を喜んで引き受けてくれる女の人とか、それこそ何人もいそうなもんだけど。
鮫島さん曰く、「ちょっとでも自分に気がある女」はダメなんだそうだ。理由は「本気にされたら面倒だから」。
わからなくもないけど、なんか自分勝手な言いぐさだよねぇ。まったく、これだからイケメンは……!
まぁそんなわけで、この役を引き受ける条件としては「鮫島さんにまったく気がないこと」が重要らしく。
「その点、堀ノ内さんなら安心でしょ? 俺にまったく興味なさそうだし。あ、でも蒼ちゃんが知ったら怒るかもな? 過保護だもんねー、あいつ」
そう言って、クックッと楽しそうに笑った鮫島さん。
うん、この人も蒼太くんと同じで、蒼士のことが大好きみたいだね。
モテるなー、蒼士。
しかし、そんなその場しのぎの古くさいやり方で上手くいくのか?
安易すぎじゃない?
――と、私は思ってたんだけど。
どうやら、この分だとうまくいきそう……。
え、ほんとに??
おぉ、なんてナイスな助け舟!
この重苦しい雰囲気を和らげてくれた「救世主は誰!?」と思って声の主を探したところ、どうやら和風美人の隣に座っている男性であるらしい。
年の頃は大将と同じくらいだろうか。
はんなりとした関西弁に、ほわんと柔らかそうな笑顔。そういえば七福神のなかに、こういう感じの神様がいた気がする。
お見合いの席に同席しているということは、この女性の父親なのだろう。色が白いところ以外はあんまり似てないみたいだけど。
「こちら、甘鷲さん。京都の老舗の蔵元さんで、うちの店にも卸してもらってるんだ」
お互いが醸し出す「おたく、誰やねん?」という空気を察知したらしい鮫島さんが取って付けたように説明してくれた。
へぇ、京都の酒屋さんか。
「どうも。魚貴族さんにはいつもお世話になってますー。さぁ、立ち話もなんやから、お二人さんも座って座って」
甘鷲さんのお父さんのほうは福々と恵比寿様みたいな笑顔を浮かべているが、娘のほうは私に向かって鋭い視線(つまり、ガン)を飛ばしつづけている。
……だから、コワいって。
それはそうと、ここはもともと四人がけのテーブル席。「座って座って」と言われても、残念ながら私の席はない。
「あ、椅子が足りまへんな。すいませーん」
甘鷲(父)さん、またしてもナイスな気配り。
声をかけられた店員さんがさっそく追加の椅子を持ってきてくれた……のはいいけれど、なぜに私がお誕生日席!?
私からみて右斜め前に鮫島さんが座り、反対側の左斜め前には甘鷲(娘)さんが陣取るという席次はどう考えても気まず過ぎる……!
「それにしても海斗くん、うちのこと『老舗』やなんて紹介してくれはったけど、そんなん滅相もないで。うちなんてまだ二百年ほどの歴史しかあらへんし、まだまだひよっこみたいなもんですわ」
甘鷲(父)はそんなことを宣いながら肉付きの良い顔にニコニコと笑みを浮かべている。
うん?
これって自虐? 謙遜?
それともそうと見せかけた自慢なのか?
こういう場合、どう返すのが正解なんだろう?
「に、二百年!? すごいですねー。そんなに長く続いてる企業、この辺りにはないですよー。さすが京都の老舗は違いますねー」
私がちょっと大げさなくらいの身ぶりで驚いてみせると、甘鷲(父)の頬がいっそう緩んだ。もともと細い目がさらに細くなって顔肉のなかに埋もれている。
娘さんの表情も少しだけ和らいだように見える。
はぁぁ~、よかった。
いまの反応で合ってたみたい。
京都人の言葉は額面どおりに受け取っちゃダメ、ってネットに書いてあるのを見たことがあったんだ。まとめサイトもたまには役に立つね!
「そんなことより……。あなた、本当に海斗さんとお付き合いされてはるんですか?」
少しばかり和んだかと思われたこの場に再び冷たい空気が吹きぬける。
窓の外にはあたたかそうな春の陽気が広がっているというのに、ここだけ季節が逆戻りしてしまったみたいだ。
あ、あれ?
さっき、ちょっと表情が和らいだように見えたけど……私の勘違いだった?
いまはまた狐みたいな顔に戻って、私につららのごとき冷たく尖った視線をグサグサと突き刺してくる。
「沙羅咲や、残念やけど、そりゃあ海斗くんみたいな男前やったら、お付き合いしとる女性の一人や二人、おらん方がおかしいで。お前もいい加減、あきらめたらどうや?」
おぉ! またしてもナイスアドバイス。
まさに神の所業。甘鷲(父)の背後に後光が差して見える。
それにしても、ものの見事に鮫島さんが意図したとおりの展開で進んでいるではないですか。ラッキー。私、まだ何もしてないのに。
――そう。
鮫島さんに頼まれた私の役割はズバリ、このお見合いをブッ壊すことである。
あ、違った。ブッ壊しちゃいけないんだった。
あくまで、さりげなく……お相手の女性に恥をかかせないように、そして傷つけないようにして、やんわりとお断りする(あるいは、向こうから断ってもらう)ことが私に課せられたミッションなのだ。
鮫島さんが気をつかうのには理由がある。
甘鷲さんちのお嬢さん(沙羅咲さん)は鮫島さんのことをいたくお気に入りなんだけど、まぁ、鮫島さんにその気はない……と。
で、沙羅咲さん(どうでもいいけど、さらささん、ってサが多くない?)も鮫島さん本人に直接アプローチしてきてくれればいいものを、お互いの父親やら周りの人間を巻き込んでくるもんだから、断りにくい。
甘鷲さんは魚貴族の大事な取引先でもあるし、大将の友人でもある。
その娘さんの好意を無碍に断ることもできず、ではどうすれば諦めてくれるかと思案した結果――
適当な女性を見繕い、「結婚を前提に付き合っている彼女」に仕立てて、紹介してしまうというのはどうだろう!
……と、鮫島先輩は思いつかれたわけですね。
そして見繕われたのが私というわけですね。
鮫島さんだったら、そういう役割を喜んで引き受けてくれる女の人とか、それこそ何人もいそうなもんだけど。
鮫島さん曰く、「ちょっとでも自分に気がある女」はダメなんだそうだ。理由は「本気にされたら面倒だから」。
わからなくもないけど、なんか自分勝手な言いぐさだよねぇ。まったく、これだからイケメンは……!
まぁそんなわけで、この役を引き受ける条件としては「鮫島さんにまったく気がないこと」が重要らしく。
「その点、堀ノ内さんなら安心でしょ? 俺にまったく興味なさそうだし。あ、でも蒼ちゃんが知ったら怒るかもな? 過保護だもんねー、あいつ」
そう言って、クックッと楽しそうに笑った鮫島さん。
うん、この人も蒼太くんと同じで、蒼士のことが大好きみたいだね。
モテるなー、蒼士。
しかし、そんなその場しのぎの古くさいやり方で上手くいくのか?
安易すぎじゃない?
――と、私は思ってたんだけど。
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