寝取られVRMMO~ヤリサーにチン負けした彼女たち~

第三世界(うたかたとわ)

文字の大きさ
4 / 11

少しずつ開く距離

しおりを挟む
 

「ふー。今日も遅くなっちゃったなぁ」


 今日も週一回の図書委員の仕事を終え、ボクは家に帰る。


 図書委員の仕事がある度にプレイ時間の減るボクは、少しずつチナツとリオンにレベル差をつけられていた。


 それにガッツリとDCOにハマる彼女たちと違って、読書好きなボクはたまにプレイを断って本を読む時間を作ったりしている。そのことが、お互いのやりこみ具合に影響を及ぼしていた。


 今日もお気に入りの小説の新刊を手に入れたボクは、DCOにログインせずにこのまま本を読もうと考えている。いつもDCOで遊んでいる二人には悪いけど、たまには一人の時間も大切だ。


 そして家に帰り晩ご飯を食べると、ボクは本を読むために自室へと戻る。そこでボクは昨日チナツに借りた本を、まだ返していないことに気がついた。


 ボクはその本を返すために、DCOで遊んでいる彼女の部屋にこっそりと入ることにする。


 VRMMOにフルダイブしている妹の部屋に勝手に入るなんて悪い気もするが、少しくらいなら大丈夫だろう。ゲームを楽しく遊んでいるチナツに、本を返すためにわざわざログアウトしてもらうほうが迷惑な気がする。


 ボクが物音を立てないようにゆっくりとドアを開けて妹の部屋に入ると、頭にVRMMMOをプレイするヘッドギアを装着したチナツがベッドの上に仰向けになって寝ていた。


「……っ♡……くぅっ♡……んっ♡……あっ♡……やめっ♡……っ♡」


 戦闘中なのか、チナツは息を荒げて懸命にゲームをプレイしている。ボクはどっぷりとDCOにハマっている妹の姿を微笑ましく思いながら、借りた本を返すと部屋から出ていった。


 でもそれから、少しずつボクたち三人にすれ違いが増える。


 ゲームの進行状況に差が開いたために、一緒にクエストを受けるのが難しくなってきたのだ。


 ボクは彼女たちに気を遣わせないように、一人でDCOをプレイする時間が増えた。


 そしてボクとパーティーを組む代わりにチナツとリオンは、過去に野良でパーティを組んでいた大学生の男の人たちとゲームを一緒にプレイすることになる。


 大学生たちとパーティーを組めないときに、ボクのレベル上げに付き合ってくれるというように彼女たちのプレイ状況が変化していた。


「あれー、遅いなぁ……」


 今日はひさしぶりに二人とパーティーを組む約束をしているのに、待ち合わせの時間になってもチナツとリオンがこない。


 たしか妹は、ゲームにログインをしているはずだ。部屋でヘッドギアを装着している、彼女の姿を見た。リオンは約束の時間になったら、ログインするとスマホに連絡をもらっている。


 ボクは漠然とした不安を感じながら、二人を待った。


「ごめんねー。お風呂に入ってたら、遅くなっちゃった!」


 約束の時間に少し遅れて、幼なじみのリオンがやってくる。ボクはいつもと同じ様子の彼女の姿を見て、ホッとすることになった。それにしても、チナツは何をやってるんだろう。


 性格がしっかりしていて腹黒いあいつは、いつも遅刻するボクやリオンを注意する側だった。それなのに、今日は彼女が一番の遅刻だ。何かトラブルがあったのだろうか。


 チナツのことが心配になり始めたボクに、彼女からフレンドチャットが届く。


「ごめんね。たまたま参加したクエストが忙しくなっちゃったから、今日はそっちをプレイする」


 どうやらチナツは、ボクとした待ち合わせの時間までに暇つぶしで受けたクエストが思ったよりも長引いてしまったようだ。


 まあ、そういうときもある。簡単だと思っていたクエストが特殊クエストに変化して、レアなアイテムが手に入るイベントに変わるという要素がDCOにはたくさんあった。


 チナツもボクと待ち合わせした時間の前に受けていたクエストが、特殊クエストに変化してしまったのだろう。それならばボクたちとの予定よりも、二度と手に入らないかもしれないレアなアイテムを優先してもらったほうがいい。


「ボクたちよりも、クエストを優先して!」


「ごめんね。絶対に今日だけにするから……」


 ボクとリオンはチナツに了承の返事を返すと、二人でレベル上げに出発するのであった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

処理中です...