サクリファイス・オブ・ファンタズム 〜忘却の羊飼いと緋色の約束〜

たけのこ

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第一章.憤る山

4.山間の村

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「ここが依頼のあった村だ」

「……(コクッ」

 さて、どうするか……別に挨拶はしなくてもいいができるだけ情報は欲しい。でもそうなると見た目が完全にガナン人である俺は警戒されるだろうし、最悪通報されかねん……かと言ってリーシャに交渉事ができるかと言うと……難しいだろうな。

「さて、どうするか……」

「……(コテンッ」

「……あぁ、村に挨拶はしなくてもいいが情報は欲しくてな……交渉をどうしようかと悩んでいたところだ」

 こちらの呟きを聞いたリーシャが首を傾げて疑問を表現するので正直に……しかし気負わないように答える。

「……あ、あの!」

「どうした?」

「…………わた、しが……がん、ばってみ、ます……」

 どうやら距離が縮まった影響か彼女が自らの意思で、苦手な他人との交渉事という事を協力すると申し出て来た。すごく嬉しいし、ありがたいが……。

「……大丈夫か?」

「……(ビクッ」

「あ、いや、責めているわけじゃない」

「…………えっと、わた、し……もなに、か……しないとっ……て……」

 あー、なるほど……ここまで俺が主導して辿り着いた、その事を考え過ぎる彼女は自分はおんぶに抱っこではないかと危惧したのだろう……そんな事はないと言いたいが……せっかくだやらせてみよう。もし成功すれば自信がない彼女を少しでも勇気づけてくれるかも知れない……もし失敗した時は時間をかけて慰めよう。

「……わかった、頼めるか?」

「っ?! …………!! (ブンブンッ」

 思い切って頼んでみると、彼女はもの凄い勢いで首を振る……そんなに張り切ってたのか、まだまだ彼女の事は掴みきれないな。

「この紙に聞きたいことは全て書いてあるし、一応姿を消して傍にいるから」

「……(コクッ」

 本当に大丈夫だろうか? 一抹の不安を残しながら俺は魔法で自身の姿を隠し、彼女の後ろを着いて行くのだった。

▼▼▼▼▼▼▼

「……」

 元から人とコミュニケーションを取るのが得意ではなかったけど、初めての相棒であるのと同時に初めてここまで接した男性に対してどうすればいいのかまったく解らなかったけど……クレル君は邪険にせず、むしろこっちを気遣ってくれたんだから、私も頑張らないと!

「……(チラッ」

「……見えないだろうけど、ちゃんと後ろに居るよ」

「っ?! ……(コクッ」

 まさか声を掛けられるとは思わなくて少しビックリしちゃった……けど、ちゃんとクレル君は着いてきて、見てくれているんだから……し、知らない人とでも……頑張ってお話、しな、いと……!

「……リラックスして、無理せずにね?」

「……! (ビクッ」

「……本当に大丈夫?」

「……! (ブンブンッ」

 そんなに私は緊張していたのだろうか? あんまりな様子につい、といった様子でクレル君が心配の声を掛けてくる……それに対して大丈夫だとアピールするように大きく首を上下に振る。

「……そう、無理はしないでね?」

「……(コクッ」

 そんなやり取りをしていると村の入り口辿り着いた……うぅ、今から緊張してても仕方がないのに……。

「おや? こんな村にお客様とは珍しいね? ……今この村は物騒だから帰った方がいいよ」

「……(フルフルッ」

「? どうしたんだい?」

 あ、つい癖で……ち、ちゃんと……ちゃんとお話しなきゃ! 後ろでクレル君も見てるんだから!

「…………あ、わた……し、は魔、物……を退治し、に……来まし、た……」

「……本当かい?」

「……(コクッ」

「……まぁ、冗談で魔物退治なんて言うの子どもくらいか……一応村長の家まで案内してやるよ、着いてきな」

 よ、よかった……なんとか村長まで案内してくれた……この人が優しくて話の早い人で助かった。

「……ここには今朝着いたのかい?」

「……(コクッ」

 案内してくれる人の質問に頷きながら村を観察する……みんな一様に暗い表情をしており、なにかに怯えるように……具体的にはいくつかの家を恐れているようにも感じます。

「……着いたよ、おーい村長! 魔物退治に人が来てくれたぞー!」

 村の中を見回していると村長さんの家に着いたようです、案内してくれた人が呼び掛けると中から急ぐような、走るような音が聞こえてきます。

「レッグ本当か?! よく来てくれた、歓迎する!」

「っ?!」

 勢いよく扉を叩き開けて初老の男性が現れたと思ったらいきなり両手を掴まれて激しく上下に振られてしまう……すごく驚いたし、いきなり身体に触れられて涙が滲み出てしまう。

「……村長、このお嬢ちゃんシャイなんだ」

「お? ……おぉ、これはすまん」

「……(フルフルッ」

 案内してくれた人……レッグさんが取り成してくれたお陰で一先ず手を離されて安堵しました……村長さんに謝られましたが、元々こんなに他人とのコミュニケーションが苦手な私が悪いので申し訳なく思うだけです。

「ささ、詳しい話は中でしよう……ここはよく冷えるからな」

「んじゃ村長、俺は戻るわ」

「あぁ、案内ご苦労さん」

 そうして村長に連れられて家の中に入り、詳しく話を聞くために心の準備をします……クレル君に頼られたんだから、私だって役に立つところ見せないと……それに頑張らないと、紹介してくれたマーリン様にも申し訳が立たなくなってしまいます、精一杯の努力を致しましょう。

▼▼▼▼▼▼▼
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