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第三章.寂寥のお絵かき
7.空気の読めない奴
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「今日はお絵かきじゃなくて別の遊びをするわよ!」
レティシャちゃんが開口一番そう告げますが……まぁ確かにここ二日間ずっとお絵かきばかりでしたからね、今まで部屋に篭って絵ばかり描いてきたのですからそろそろ他の遊びを試してみても良いでしょう。
「……お絵かきは嫌い?」
「嫌いではないけれど、そろそろ他の遊びもしましょう! せっかく友達になれたんだから楽しみましょう!」
「そういう事なら構わないわ」
最初は乗り気では無さそうだったミーナちゃんもピエロメイクをすっかり落としたレティシャちゃんが元気良く誘えば頷いてくれました……彼女自身お絵かきがとても好きだったのでしょうか? それとピエロメイクを落としたレティシャちゃんは綺麗で美しいです。
「と言っても他に玩具なんて無いし、遊べる裏庭の範囲も狭いわよ?」
「うーん」
確かに酷い話ではありますがミーナちゃんの部屋には絵筆やパレットなどの画材以外になにもありませんし、この別邸からほど近い場所までしか例え敷地内だろうと離れる事は出来ません。これでは遊べるものも少ないでしょう。
「リーシャは何かないの? 聞いてあげるわ!」
「え」
ここでいきなり振られてしまいました……どうしましょう? 見ればレティシャちゃんも強気な言い方ですが、提案した自分が思い付かなくて少しばかり涙目ですしなんとかしてあげたいのですけれど……えっと、そうですね。
「だ、だる……まさ、ん……と、かどう、で……しょ、う……?」
「だるまさん?」
私の祖母が東方諸民族の出身で小さい頃に遊んで貰った思い出の中から引っ張ってきたものを説明します……鬼が振り返った時に動いていたら負けという遊びですね。少し時間がかかりましたけれど、理解はしてくれたようでなによりです。
「それならここでも出来そうね! 良くやったわ!」
「じゃあお手本にリーシャが最初に鬼ね」
「わか、り……ま、し……た……」
そうですね、唯一の経験者である私が最初に鬼をする方が色々と都合が良いでしょう。二人を連れて外に出てから裏庭の一本の木に腕を当ててそこに顔を置きます。
「だ、だる……まさ、ん……が転、んだ……?」
「「……」」
どうしたのでしょう? 二人してお互いの顔を見合わさる形で固まっています、何か問題が起きた訳ではないようですが……まぁ、まだ最初ですからね。
「だる、ま……さ、んが……転ん……だ……?」
「……リーシャ、鬼を交代しましょう」
「は、い? わ、かり……ま、し……た……?」
まだ一歩も動いていないと言うのにどうしたと……あぁ私のせいですね、私の吃った辿々しい喋り方では遅すぎて勝負になりませんからね、仕方ないです。
「ダールーまーさーんーがー……転んだ!」
「「……」」
「だーるーまーさーんーがー……転んだ!」
「「……」」
うん、レティシャちゃんが鬼になるとスムーズですね。ちゃんと記憶の祖母としただるまさんその物です、ミーナちゃんと一緒に気を付けて進みます。……改めて私の喋り方はダメだなぁと思いました。
「だーるーまーさーんーがー……転ん──」
「──お前ら何をしている?」
あともう少しでレティシャちゃんに触れられるというところでカルマン君に話し掛けられてしまいました……こ、今度は幾ら請求されてしまうのでしょうか?
「見てわからない? 遊んでいるのよ!」
「……絵は描かないのか?」
「たまにはこういう遊びだっていいじゃない!」
「……はぁ~」
なんでしょう、そんなに遊んでいるのが変だったのでしょうか? 確かにクレル君とカルマン君が狩人の警戒をしている時に少しばかり気が抜けていたかも知れませんね、反省です。
「あのな?」
「……なによ?」
「なんでミーナに絵を描かせてないんだよ?」
「絵ばっかりじゃ気が滅入るじゃない」
どうやらカルマン君はミーナちゃんに絵を描かせてないのが気に入らないようですね、確かに赤系統の色しかありませんが素晴らしい絵を描きますし、カルマン君はその……お金が大好きですからね。
「……なぁミーナ、お前も絵を描かなくていいのか?」
「……」
「ちょっと、やめなさいよ」
どうしてもカルマン君はミーナちゃんに絵を描いて欲しいみたいですね……ちゃんと子どもらしい遊びをして貰いたいレティシャちゃんと睨み合っています。
「いいかミーナ? お前の『価値』は絵を描く事だ、絵を描かないでどうする?」
「……」
「あなたなんて事を言うのよ! この……バーカ!」
ど、どうしましょう? カルマン君の発言にレティシャちゃんが怒ってしまいました……確かにキツイ物言いでしたけど、慣れない罵倒をするほど怒るなんて余程ミーナちゃんが好きなのでしょう。
「この……バーカ!」
「……それしか言えんのか」
「うっ……アホ!」
カルマン君はまだ特に言い返してもいないのに既にレティシャちゃんは涙目で旗色が悪いですね、私ではどちらにも加勢できませんし困りましたね……当の本人であるミーナちゃんは何も言っていませんし、黙ったままです。怒っている訳でも悲しんでいる訳でも無さそうなのが救いですけど、無言のままなので何を考えているのかさっぱり分かりません。
「わかったわかった、邪魔者は退散しますよっと」
「ふん! どっか行っちゃいなさい!」
「はぁ~……直情女と違ってミーナ自身は自分の『価値』を正しく理解している事を祈る」
その言ってからカルマン君はおそらくクレル君の所へと行ってしまいました……後に残ったのは無言のミーナちゃんと涙目のレティシャちゃん、それから私だけです……クレル君に今すぐ助けて欲しいくらいの空気の重さですね。
「……カルマンのアホ」
こんな時に普通の方はどうするのでしょう? とりあえず私にできる事は画材道具を取り出して来たミーナちゃんの横でレティシャちゃんの背中を優しく撫でる事だけでした。
▼▼▼▼▼▼▼
レティシャちゃんが開口一番そう告げますが……まぁ確かにここ二日間ずっとお絵かきばかりでしたからね、今まで部屋に篭って絵ばかり描いてきたのですからそろそろ他の遊びを試してみても良いでしょう。
「……お絵かきは嫌い?」
「嫌いではないけれど、そろそろ他の遊びもしましょう! せっかく友達になれたんだから楽しみましょう!」
「そういう事なら構わないわ」
最初は乗り気では無さそうだったミーナちゃんもピエロメイクをすっかり落としたレティシャちゃんが元気良く誘えば頷いてくれました……彼女自身お絵かきがとても好きだったのでしょうか? それとピエロメイクを落としたレティシャちゃんは綺麗で美しいです。
「と言っても他に玩具なんて無いし、遊べる裏庭の範囲も狭いわよ?」
「うーん」
確かに酷い話ではありますがミーナちゃんの部屋には絵筆やパレットなどの画材以外になにもありませんし、この別邸からほど近い場所までしか例え敷地内だろうと離れる事は出来ません。これでは遊べるものも少ないでしょう。
「リーシャは何かないの? 聞いてあげるわ!」
「え」
ここでいきなり振られてしまいました……どうしましょう? 見ればレティシャちゃんも強気な言い方ですが、提案した自分が思い付かなくて少しばかり涙目ですしなんとかしてあげたいのですけれど……えっと、そうですね。
「だ、だる……まさ、ん……と、かどう、で……しょ、う……?」
「だるまさん?」
私の祖母が東方諸民族の出身で小さい頃に遊んで貰った思い出の中から引っ張ってきたものを説明します……鬼が振り返った時に動いていたら負けという遊びですね。少し時間がかかりましたけれど、理解はしてくれたようでなによりです。
「それならここでも出来そうね! 良くやったわ!」
「じゃあお手本にリーシャが最初に鬼ね」
「わか、り……ま、し……た……」
そうですね、唯一の経験者である私が最初に鬼をする方が色々と都合が良いでしょう。二人を連れて外に出てから裏庭の一本の木に腕を当ててそこに顔を置きます。
「だ、だる……まさ、ん……が転、んだ……?」
「「……」」
どうしたのでしょう? 二人してお互いの顔を見合わさる形で固まっています、何か問題が起きた訳ではないようですが……まぁ、まだ最初ですからね。
「だる、ま……さ、んが……転ん……だ……?」
「……リーシャ、鬼を交代しましょう」
「は、い? わ、かり……ま、し……た……?」
まだ一歩も動いていないと言うのにどうしたと……あぁ私のせいですね、私の吃った辿々しい喋り方では遅すぎて勝負になりませんからね、仕方ないです。
「ダールーまーさーんーがー……転んだ!」
「「……」」
「だーるーまーさーんーがー……転んだ!」
「「……」」
うん、レティシャちゃんが鬼になるとスムーズですね。ちゃんと記憶の祖母としただるまさんその物です、ミーナちゃんと一緒に気を付けて進みます。……改めて私の喋り方はダメだなぁと思いました。
「だーるーまーさーんーがー……転ん──」
「──お前ら何をしている?」
あともう少しでレティシャちゃんに触れられるというところでカルマン君に話し掛けられてしまいました……こ、今度は幾ら請求されてしまうのでしょうか?
「見てわからない? 遊んでいるのよ!」
「……絵は描かないのか?」
「たまにはこういう遊びだっていいじゃない!」
「……はぁ~」
なんでしょう、そんなに遊んでいるのが変だったのでしょうか? 確かにクレル君とカルマン君が狩人の警戒をしている時に少しばかり気が抜けていたかも知れませんね、反省です。
「あのな?」
「……なによ?」
「なんでミーナに絵を描かせてないんだよ?」
「絵ばっかりじゃ気が滅入るじゃない」
どうやらカルマン君はミーナちゃんに絵を描かせてないのが気に入らないようですね、確かに赤系統の色しかありませんが素晴らしい絵を描きますし、カルマン君はその……お金が大好きですからね。
「……なぁミーナ、お前も絵を描かなくていいのか?」
「……」
「ちょっと、やめなさいよ」
どうしてもカルマン君はミーナちゃんに絵を描いて欲しいみたいですね……ちゃんと子どもらしい遊びをして貰いたいレティシャちゃんと睨み合っています。
「いいかミーナ? お前の『価値』は絵を描く事だ、絵を描かないでどうする?」
「……」
「あなたなんて事を言うのよ! この……バーカ!」
ど、どうしましょう? カルマン君の発言にレティシャちゃんが怒ってしまいました……確かにキツイ物言いでしたけど、慣れない罵倒をするほど怒るなんて余程ミーナちゃんが好きなのでしょう。
「この……バーカ!」
「……それしか言えんのか」
「うっ……アホ!」
カルマン君はまだ特に言い返してもいないのに既にレティシャちゃんは涙目で旗色が悪いですね、私ではどちらにも加勢できませんし困りましたね……当の本人であるミーナちゃんは何も言っていませんし、黙ったままです。怒っている訳でも悲しんでいる訳でも無さそうなのが救いですけど、無言のままなので何を考えているのかさっぱり分かりません。
「わかったわかった、邪魔者は退散しますよっと」
「ふん! どっか行っちゃいなさい!」
「はぁ~……直情女と違ってミーナ自身は自分の『価値』を正しく理解している事を祈る」
その言ってからカルマン君はおそらくクレル君の所へと行ってしまいました……後に残ったのは無言のミーナちゃんと涙目のレティシャちゃん、それから私だけです……クレル君に今すぐ助けて欲しいくらいの空気の重さですね。
「……カルマンのアホ」
こんな時に普通の方はどうするのでしょう? とりあえず私にできる事は画材道具を取り出して来たミーナちゃんの横でレティシャちゃんの背中を優しく撫でる事だけでした。
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