8 / 28
8
しおりを挟む
「……困った」
宰相執務室。
午後のティータイムの時間、クライヴ・アークライト公爵は、眉間に深い皺を寄せていた。
その手には、一枚のカタログがある。
「どうされました、閣下? またアレクセイ殿下が何かやらかしましたか?」
向かいのデスクで、ものすごい速度で決裁印を押していた私が尋ねると、閣下は首を横に振った。
「いや、殿下の件ではない。……私事だ」
「私事? 珍しいですね。閣下にプライベートな悩みがあるとは」
「リーフィ、君のせいだぞ」
「はい?」
私が手を止めると、閣下は少し顔を赤らめてカタログを差し出した。
それは、王都で一番有名な宝飾店のカタログだった。
「……君に、何か贈りたいと思ったんだ」
「贈り物、ですか?」
「ああ。君が来てから、私の生活は劇的に改善された。食生活は豊かになり、睡眠時間は確保され、業務効率は三倍になった。その……感謝の気持ちを形にしたいと思ってな」
閣下は視線を泳がせながら言った。
「だが、女性に何を贈ればいいのか皆目検討がつかん。補佐官たちに聞いたら、『薔薇の花束百本です!』とか『愛のポエム集です!』とか、ろくな意見が出てこなくてな」
「それは却下ですね。薔薇百本は花瓶に困りますし、ポエム集は資源の無駄です」
私は即答した。
「だろう? そこでだ。君の欲しいものを直接聞いたほうが早いという結論に達した。……何かあるか? 予算は気にするな」
閣下は期待に満ちた目で私を見ている。
「宝石でも、ドレスでも、あるいは別荘でもいいぞ」
普通の令嬢なら、ここで目を輝かせて「エメラルドのネックレスが欲しいわ!」などと言う場面だろう。
しかし、私はリーフィ・ベルンシュタイン。
実用性こそが正義である。
私はカタログをパラパラと捲った。
「宝石……綺麗ですが、機能性が皆無ですね。重いですし、肩が凝ります」
「……そうか」
「ドレスも、今の流行はコルセットがきつすぎて内臓を圧迫します。業務効率が低下するので着たくありません」
「……なるほど」
「別荘は維持管理費がかかります。たまにしか行かない場所に固定資産税を払うのはナンセンスです」
「……手厳しいな」
閣下は苦笑した。
「では、君は何なら喜ぶんだ?」
私はニヤリと笑った。
待っていました、その言葉。
私は引き出しから、あらかじめ用意しておいた(!)別のカタログを取り出した。
「実は、以前から目をつけていたものがありまして」
「ほう! なんだ?」
「こちらです」
私が指差したのは、魔導具専門店『マギ・テック』の最新製品チラシだった。
そこに掲載されているのは、無骨な金属の箱。
『最新型魔導計算機・改 ~従来の三倍の演算速度! 複式簿記対応! 徹夜のお供に!~』
「……計算機?」
閣下が目を点にした。
「はい。現在使っている計算機は型が古く、国家予算規模の桁数になると処理落ちするんです。ですが、この新型なら三十桁まで対応可能! しかも魔力消費量が半分で、自動保存機能もついています!」
私は熱弁を振るった。
「これがあれば、年末の決算処理が今の半分の時間で終わります! 空いた時間で閣下とゆっくりお茶ができますよ!」
宝石よりも熱っぽく、愛を語るように計算機のスペックを語る私。
閣下はしばらく呆然としていたが、やがて「ふっ」と吹き出した。
「くくく……はははは!」
「え、何がおかしいのですか?」
「いや、すまない。……君らしいなと思って」
閣下はお腹を抱えて笑った。
「普通の令嬢は、宝石をねだる。それを身につけて夜会で自慢するために。だが君は、『私との時間を作るため』に計算機をねだるのか」
「……結果としてそうなりますね」
「愛おしいな」
「へ?」
閣下は立ち上がり、私の席まで来ると、背後からふわりと抱きしめた。
「え、ちょ、閣下!? ここは執務室……!」
「構わん。今は休憩時間だ」
閣下の体温と、微かな紅茶の香りが私を包む。
耳元で囁かれる声が甘い。
「君のそういう、飾らないところが好きだ。実利を求めつつ、その目的が『二人の時間』だなんて……殺し文句にも程があるぞ」
「あ、あの……私はただ、効率化を……」
「わかった。買おう。その計算機だけじゃない。店ごと買い占めてもいい」
「店はいりません! 在庫管理が面倒です!」
「じゃあ、このシリーズのオプションパーツも全部だ。専用ケースも、予備の魔石も、最高級品を揃えよう」
「……! そ、それは魅力的ですね……」
私はゴクリと唾を飲んだ。
オプションパーツ……それは、魅惑の響き。
「ありがとう、リーフィ。君のおかげで、贈り物の正解がわかった」
閣下は私の髪に口づけを落とした。
「君には『自由な時間』と、それを生み出す『道具』を贈ればいいんだな」
「正解です。さすが閣下、学習能力が高いですね」
こうして、数日後。
宰相執務室には、鈍く輝く最新鋭の魔導計算機が鎮座していた。
「素晴らしい……! このキータッチの感触、吸い付くようです!」
私は頬を紅潮させ、パチパチとキーを叩いた。
「おお! 前年度比の算出が一瞬で! 見てください閣下、この処理速度!」
「ああ、すごいな(君の笑顔が)」
閣下は計算機ではなく、はしゃぐ私を見て満足げに頷いている。
その日、私たちは予定より二時間も早く仕事を終えた。
「さて、リーフィ。浮いた時間で何をしようか?」
夕暮れの執務室。
閣下が妖艶な笑みを浮かべて近づいてくる。
「えーっと……おいしいレストランの予約を……」
「それもいいが、もっと有効な時間の使い方があるだろう?」
ドン、と壁に追い詰められる(壁ドン)。
「か、閣下?」
「計算機のお礼は? 言葉だけじゃ足りないな」
「い、一割増しで働きます……」
「却下だ。労働以外の奉仕を要求する」
閣下の顔が近づいてくる。
唇が触れそうになった、その時。
バンッ!
勢いよく扉が開いた。
「た、大変です閣下! 緊急事態です!」
飛び込んできたのは、青ざめた補佐官だった。
私たちはサッと離れた。
「……なんだ、騒々しい。今、非常に重要な『会議』中だったのだが」
閣下が不機嫌オーラ全開で睨む。
「も、申し訳ありません! ですが、アレクセイ殿下が……!」
「またか」
私たちは同時に溜息をついた。
「殿下が、隣国の使節団を歓迎するパーティーで、『余興』としてとんでもないことをやらかそうとしています!」
「とんでもないこと?」
「はい……。なんでも、『ドラゴン召喚の儀式』を行うと……」
「はあああああ!?」
私の叫び声が執務室に響いた。
「ドラゴン!? 室内で!? 火事になりますよ!?」
「いや、問題はそこじゃないだろうリーフィ……」
閣下が額を押さえた。
「召喚魔法など、王族でも扱える者は少ない。素人が手を出せば暴走するぞ」
「……つまり、今すぐ止めに行かないと、王城が火の海になり、私の計算機も灰になるということですね?」
「そういうことだ」
私はガバッと計算機を抱きしめた。
「許せません。私の宝物を守るため、出撃します!」
「動機が不純だが、頼もしいな」
閣下は苦笑しつつ、私の手を取った。
「行こう、リーフィ。我々の平穏な定時退社のために」
「はい、閣下(ボス)!」
私たちは戦場(パーティー会場)へと向かった。
せっかくの甘い雰囲気は霧散したが、私の手には最高の相棒(計算機)がある。
これさえあれば、どんなトラブルも計算ずくで解決してみせる。
そう意気込む私だったが、まさか会場で待ち受けていたのが、本物のドラゴンではなく「トカゲの着ぐるみを着たアレクセイ殿下」だとは、この時の私は知る由もなかったのである。
宰相執務室。
午後のティータイムの時間、クライヴ・アークライト公爵は、眉間に深い皺を寄せていた。
その手には、一枚のカタログがある。
「どうされました、閣下? またアレクセイ殿下が何かやらかしましたか?」
向かいのデスクで、ものすごい速度で決裁印を押していた私が尋ねると、閣下は首を横に振った。
「いや、殿下の件ではない。……私事だ」
「私事? 珍しいですね。閣下にプライベートな悩みがあるとは」
「リーフィ、君のせいだぞ」
「はい?」
私が手を止めると、閣下は少し顔を赤らめてカタログを差し出した。
それは、王都で一番有名な宝飾店のカタログだった。
「……君に、何か贈りたいと思ったんだ」
「贈り物、ですか?」
「ああ。君が来てから、私の生活は劇的に改善された。食生活は豊かになり、睡眠時間は確保され、業務効率は三倍になった。その……感謝の気持ちを形にしたいと思ってな」
閣下は視線を泳がせながら言った。
「だが、女性に何を贈ればいいのか皆目検討がつかん。補佐官たちに聞いたら、『薔薇の花束百本です!』とか『愛のポエム集です!』とか、ろくな意見が出てこなくてな」
「それは却下ですね。薔薇百本は花瓶に困りますし、ポエム集は資源の無駄です」
私は即答した。
「だろう? そこでだ。君の欲しいものを直接聞いたほうが早いという結論に達した。……何かあるか? 予算は気にするな」
閣下は期待に満ちた目で私を見ている。
「宝石でも、ドレスでも、あるいは別荘でもいいぞ」
普通の令嬢なら、ここで目を輝かせて「エメラルドのネックレスが欲しいわ!」などと言う場面だろう。
しかし、私はリーフィ・ベルンシュタイン。
実用性こそが正義である。
私はカタログをパラパラと捲った。
「宝石……綺麗ですが、機能性が皆無ですね。重いですし、肩が凝ります」
「……そうか」
「ドレスも、今の流行はコルセットがきつすぎて内臓を圧迫します。業務効率が低下するので着たくありません」
「……なるほど」
「別荘は維持管理費がかかります。たまにしか行かない場所に固定資産税を払うのはナンセンスです」
「……手厳しいな」
閣下は苦笑した。
「では、君は何なら喜ぶんだ?」
私はニヤリと笑った。
待っていました、その言葉。
私は引き出しから、あらかじめ用意しておいた(!)別のカタログを取り出した。
「実は、以前から目をつけていたものがありまして」
「ほう! なんだ?」
「こちらです」
私が指差したのは、魔導具専門店『マギ・テック』の最新製品チラシだった。
そこに掲載されているのは、無骨な金属の箱。
『最新型魔導計算機・改 ~従来の三倍の演算速度! 複式簿記対応! 徹夜のお供に!~』
「……計算機?」
閣下が目を点にした。
「はい。現在使っている計算機は型が古く、国家予算規模の桁数になると処理落ちするんです。ですが、この新型なら三十桁まで対応可能! しかも魔力消費量が半分で、自動保存機能もついています!」
私は熱弁を振るった。
「これがあれば、年末の決算処理が今の半分の時間で終わります! 空いた時間で閣下とゆっくりお茶ができますよ!」
宝石よりも熱っぽく、愛を語るように計算機のスペックを語る私。
閣下はしばらく呆然としていたが、やがて「ふっ」と吹き出した。
「くくく……はははは!」
「え、何がおかしいのですか?」
「いや、すまない。……君らしいなと思って」
閣下はお腹を抱えて笑った。
「普通の令嬢は、宝石をねだる。それを身につけて夜会で自慢するために。だが君は、『私との時間を作るため』に計算機をねだるのか」
「……結果としてそうなりますね」
「愛おしいな」
「へ?」
閣下は立ち上がり、私の席まで来ると、背後からふわりと抱きしめた。
「え、ちょ、閣下!? ここは執務室……!」
「構わん。今は休憩時間だ」
閣下の体温と、微かな紅茶の香りが私を包む。
耳元で囁かれる声が甘い。
「君のそういう、飾らないところが好きだ。実利を求めつつ、その目的が『二人の時間』だなんて……殺し文句にも程があるぞ」
「あ、あの……私はただ、効率化を……」
「わかった。買おう。その計算機だけじゃない。店ごと買い占めてもいい」
「店はいりません! 在庫管理が面倒です!」
「じゃあ、このシリーズのオプションパーツも全部だ。専用ケースも、予備の魔石も、最高級品を揃えよう」
「……! そ、それは魅力的ですね……」
私はゴクリと唾を飲んだ。
オプションパーツ……それは、魅惑の響き。
「ありがとう、リーフィ。君のおかげで、贈り物の正解がわかった」
閣下は私の髪に口づけを落とした。
「君には『自由な時間』と、それを生み出す『道具』を贈ればいいんだな」
「正解です。さすが閣下、学習能力が高いですね」
こうして、数日後。
宰相執務室には、鈍く輝く最新鋭の魔導計算機が鎮座していた。
「素晴らしい……! このキータッチの感触、吸い付くようです!」
私は頬を紅潮させ、パチパチとキーを叩いた。
「おお! 前年度比の算出が一瞬で! 見てください閣下、この処理速度!」
「ああ、すごいな(君の笑顔が)」
閣下は計算機ではなく、はしゃぐ私を見て満足げに頷いている。
その日、私たちは予定より二時間も早く仕事を終えた。
「さて、リーフィ。浮いた時間で何をしようか?」
夕暮れの執務室。
閣下が妖艶な笑みを浮かべて近づいてくる。
「えーっと……おいしいレストランの予約を……」
「それもいいが、もっと有効な時間の使い方があるだろう?」
ドン、と壁に追い詰められる(壁ドン)。
「か、閣下?」
「計算機のお礼は? 言葉だけじゃ足りないな」
「い、一割増しで働きます……」
「却下だ。労働以外の奉仕を要求する」
閣下の顔が近づいてくる。
唇が触れそうになった、その時。
バンッ!
勢いよく扉が開いた。
「た、大変です閣下! 緊急事態です!」
飛び込んできたのは、青ざめた補佐官だった。
私たちはサッと離れた。
「……なんだ、騒々しい。今、非常に重要な『会議』中だったのだが」
閣下が不機嫌オーラ全開で睨む。
「も、申し訳ありません! ですが、アレクセイ殿下が……!」
「またか」
私たちは同時に溜息をついた。
「殿下が、隣国の使節団を歓迎するパーティーで、『余興』としてとんでもないことをやらかそうとしています!」
「とんでもないこと?」
「はい……。なんでも、『ドラゴン召喚の儀式』を行うと……」
「はあああああ!?」
私の叫び声が執務室に響いた。
「ドラゴン!? 室内で!? 火事になりますよ!?」
「いや、問題はそこじゃないだろうリーフィ……」
閣下が額を押さえた。
「召喚魔法など、王族でも扱える者は少ない。素人が手を出せば暴走するぞ」
「……つまり、今すぐ止めに行かないと、王城が火の海になり、私の計算機も灰になるということですね?」
「そういうことだ」
私はガバッと計算機を抱きしめた。
「許せません。私の宝物を守るため、出撃します!」
「動機が不純だが、頼もしいな」
閣下は苦笑しつつ、私の手を取った。
「行こう、リーフィ。我々の平穏な定時退社のために」
「はい、閣下(ボス)!」
私たちは戦場(パーティー会場)へと向かった。
せっかくの甘い雰囲気は霧散したが、私の手には最高の相棒(計算機)がある。
これさえあれば、どんなトラブルも計算ずくで解決してみせる。
そう意気込む私だったが、まさか会場で待ち受けていたのが、本物のドラゴンではなく「トカゲの着ぐるみを着たアレクセイ殿下」だとは、この時の私は知る由もなかったのである。
20
あなたにおすすめの小説
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
私ってわがまま傲慢令嬢なんですか?
山科ひさき
恋愛
政略的に結ばれた婚約とはいえ、婚約者のアランとはそれなりにうまくやれていると思っていた。けれどある日、メアリはアランが自分のことを「わがままで傲慢」だと友人に話している場面に居合わせてしまう。話を聞いていると、なぜかアランはこの婚約がメアリのわがままで結ばれたものだと誤解しているようで……。
お子ちゃま王子様と婚約破棄をしたらその後出会いに恵まれました
さこの
恋愛
私の婚約者は一つ歳下の王子様。私は伯爵家の娘で資産家の娘です。
学園卒業後は私の家に婿入りすると決まっている。第三王子殿下と言うこともあり甘やかされて育って来て、子供の様に我儘。
婚約者というより歳の離れた弟(出来の悪い)みたい……
この国は実力主義社会なので、我儘王子様は婿入りが一番楽なはずなんだけど……
私は口うるさい?
好きな人ができた?
……婚約破棄承りました。
全二十四話の、五万字ちょっとの執筆済みになります。完結まで毎日更新します( .ˬ.)"
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる