13 / 28
13
しおりを挟む
「報告します、カルル様! 『朝露野菜』の初回出荷分、完売です!」
「『清流マスの薫製』も、予約だけで三ヶ月待ちです!」
「王都の商会から、取り扱いを希望するオファーが殺到しております!」
公爵邸の執務室は、嬉しい悲鳴に包まれていた。
先日のパーティーでお披露目した領地特産品ブランド『グラン・ネイチャー』が、予想を遥かに超える大ヒットを記録したのだ。
私は積まれた注文書を見ながら、電卓(魔道具)を叩く。
「……ふむ。利益率は驚異の85%。原価がほぼタダ(雑草と川魚)ですからね。これは錬金術並みの成果です」
「錬金術師も裸足で逃げ出すレベルだ」
向かいの席で、アイザック様が呆れつつも満足げに笑っている。
「おかげで領地の財政は潤い、領民たちの懐も温まった。農民たちが『カルル様万歳』と叫んで踊っているぞ」
「踊る暇があったら、次の作付けをしてほしいですね。増産体制の構築が急務です」
私は冷静に次の手を打つ。
「物流ルートの確保、およびパッケージデザインの改良。それから、類似品(パクリ商品)が出回る前に対策を……」
その時だった。
バァン!!
執務室の扉が、ノックもなく乱暴に開かれた。
「失礼する! グラン・ノワール公爵はおられるか!」
入ってきたのは、見慣れない制服を着た男たちだ。
胸には、私の祖国――アイゼン王国の紋章。
そして、その先頭に立っていたのは、見覚えのある神経質そうな顔の男。
ジェラール王太子の側近、法務官のバロンだ。
「……何の用だ?」
アイザック様が、一瞬にして「氷の公爵」の顔に戻る。
室内の気温が急激に下がる。
しかし、バロン法務官は鼻息も荒く、一枚の羊皮紙を突きつけた。
「我が国アイゼン王国より、重大な通告がある! そこにいるカルル・フォン・アイゼンを、直ちに引き渡していただきたい!」
「……は?」
私が顔を上げる。
「引き渡し? どういう法的根拠で?」
「決まっているだろう! 『国家機密漏洩罪』および『知的財産権の侵害』だ!」
「はい?」
私は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
機密漏洩? 私が?
あのザル警備の王城に、漏洩されて困るような機密などあっただろうか。
「ふざけるな」
アイザック様が低い声で唸る。
「彼女は我が国の公爵家の人間だ(予定)。貴国に指図される覚えはない」
「黙れ! これは国際問題だぞ!」
バロン法務官が叫ぶ。
「最近、貴殿の領地で売り出した『野菜』や『魚』! あれは我がアイゼン王国の技術を盗んだものだ!」
「……はあ?」
「カルル嬢は、王太子妃教育の一環として、我が国の農業技術や流通システムを学んでいた! その知識を使って商売をしているのだから、その利益は全て我が国に帰属する! そして、その技術を盗んで逃げた彼女は犯罪者だ!」
部屋中が、しんと静まり返った。
あまりの暴論に、怒りよりも呆れが先に立ったからだ。
「……ぷっ」
最初に吹き出したのは、私だった。
「くくっ……あははは! 傑作ですね、法務官殿」
「な、何がおかしい!」
「だって、そうでしょう? 『農業技術』? 我が国の農民が、雑草取りもろくにせずに肥料を撒くだけの農法を『技術』と呼ぶのですか?」
私は立ち上がり、バロン法務官の前に歩み出た。
「私がここで実践しているのは、土壌改良と品種改良、そして徹底した鮮度管理です。王国の古いやり方とは真逆の、私の『オリジナル・メソッド』ですよ」
「ぐっ……だ、だが! その発想の基礎は王国で培われたものだ! 国民の頭脳は国家の財産だ!」
「ほう。では聞きますが」
私は眼鏡を光らせた。
「私が王太子殿下の代わりに処理していた公務。あれも『王国の財産』である殿下の頭脳から生まれたものとして処理されていましたね?」
「う……そ、それは……」
「私の成果を『殿下の手柄』にするのは良くて、私が独自に開発した商品を『国のもの』にするのも良いと? 随分と都合の良い法律ですね」
「そ、そうだ! 貴様は王国の人間なのだから、王家に尽くすのが義務だ!」
バロン法務官が開き直って叫ぶ。
「とにかく! 王太子殿下のご命令だ! 『カルルを直ちに連れ戻し、賠償金として売上の全額を支払わせよ』とな!」
なるほど。
結局は、金か。
私が稼ぎ出した莫大な利益を見て、ジェラール殿下が「あれは本来、僕のものだ!」と騒ぎ出したのが目に浮かぶ。
「……金に困っているようだな、貴国は」
アイザック様が、凍てつくような冷笑を浮かべて立ち上がった。
「憐れなものだ。元婚約者の成功を妬み、難癖をつけて金を無心するとは。乞食の方がまだプライドがあるぞ」
「な、なんだと……!?」
「聞こえなかったか? 『帰れ』と言ったんだ」
アイザック様が指を鳴らす。
瞬間、控えていた近衛騎士たちが抜剣し、法務官たちを取り囲んだ。
ジャキッ!
「ひぃっ!?」
「カルルは渡さない。売上も一銭たりとも渡さない。……もしこれ以上、彼女を侮辱するなら」
アイザック様の瞳が、蒼い炎のように揺らめいた。
「宣戦布告と受け取るが、構わんな?」
その圧倒的な覇気に、バロン法務官は腰を抜かした。
「ま、待て! 乱暴な……! 我々は外交特権を持っているんだぞ!」
「特権? 詐欺師にそんなものはない」
アイザック様は冷たく言い放つ。
「騎士団長。この不法侵入者たちを国境まで『丁重に』送り届けろ。二度と我が領土の土を踏ませるな」
「はっ! 野郎ども、連れ出せ!」
「わ、わかった! 帰る! 帰るから押すな!」
バロン法務官たちは、騎士たちに抱えられ、情けない悲鳴を上げながら引きずり出されていった。
「……覚えてろぉぉ! ただで済むと思うなぁぁ!」
お決まりの捨て台詞が、遠ざかっていく。
執務室に静寂が戻った。
「……やれやれ。騒がしい客でしたね」
私が眼鏡を直すと、アイザック様が心配そうに私を見た。
「大丈夫か、カルル。嫌なことを思い出させたな」
「いいえ。むしろ、スッキリしました」
私は微笑んだ。
「彼らの焦り様を見て確信しました。王国の財政は、末期症状です」
「末期?」
「はい。なりふり構わず、こんな無茶苦茶な請求をしてくるということは、もう正規の手段では金を用意できない状態ということです」
私はホワイトボードに向かい、さらさらと図を描いた。
「おそらく、来月の国債の償還期限が迫っているのでしょう。私が以前、自転車操業で回していた部分です」
「……なるほど。それを返せなければ、国家破産(デフォルト)か」
「ええ。そして、その責任を私に押し付けて、私に尻拭いをさせようとしているのです」
図解を見ながら、アイザック様が呆れたようにため息をついた。
「どこまでも腐っているな。……で、どうする? カルル」
「どうする、とは?」
「助けてやるか? 君なら、あそこに戻って数ヶ月も働けば、立て直せるだろう?」
試すような問いかけ。
私はきっぱりと首を横に振った。
「お断りです。不採算事業への再投資は、経営判断としてあり得ません」
「そう言うと思った」
アイザック様は嬉しそうに笑った。
「だが、彼らは諦めないだろう。次はもっと強硬な手段に出るかもしれない」
「強硬手段……例えば、武力行使とか?」
「あるいは、人質を取るとかな」
その言葉に、私はハッとした。
人質。
私にはもう、王国に未練はない。実家とも縁を切った。
だが、もし「弱点」があるとしたら。
「……マリア」
私は一人の名前を呟いた。
「マリア?」
「私の専属侍女だったマリアです。彼女の実家は、王都の下町でパン屋を営んでいます。もし殿下が、彼女の家族を人質に取ったら……」
マリアは今、この屋敷で元気に働いている。
だが、彼女の家族はまだ王国にいるのだ。
「……あり得るな。あの馬鹿王子なら」
アイザック様の表情が険しくなる。
「先手を打とう。マリアの家族を、こちらの領地に呼び寄せるか?」
「……間に合うでしょうか」
「俺の諜報部隊『影(シャドウ)』を使えば、一日で接触できる。今夜中に動かそう」
「お願いします、ボス。費用は私の給与から……」
「いらん。これは俺の『婚約者』の『大事な部下』を守るための必要経費だ」
アイザック様は即座に執務机のベルを鳴らし、影の部隊長を呼び出した。
その迅速な判断と行動力。
(……本当に、頼りになる人です)
私は胸の奥が温かくなるのを感じた。
だが、私たちの予想は、少しだけ甘かった。
ジェラール殿下の暴走は、私たちの想像の斜め上を行っていたのだ。
その日の深夜。
王城から緊急の「魔法通信」が、全世界に向けて発信された。
『告ぐ! 我が国の裏切り者、カルル・フォン・アイゼンは、隣国の公爵に洗脳され、拉致監禁されている! 正義の名において、彼女を救出するための聖戦(という名の強盗)を開始する!』
それは、事実上の宣戦布告だった。
「……馬鹿ですか、あの男は」
寝室でその放送を聞いた私は、頭を抱えた。
個人の借金返済のために、戦争を始める王太子がどこにいる。
「面白い」
隣の部屋から出てきたアイザック様は、凶悪な笑みを浮かべて剣を佩いていた。
「売られた喧嘩だ。大安売りで買い取ってやろうじゃないか」
物語は、いよいよ国家間のドンパチへと発展しようとしていた。
もちろん、私が最前線で「請求書」を武器に戦うことになるのだが。
「『清流マスの薫製』も、予約だけで三ヶ月待ちです!」
「王都の商会から、取り扱いを希望するオファーが殺到しております!」
公爵邸の執務室は、嬉しい悲鳴に包まれていた。
先日のパーティーでお披露目した領地特産品ブランド『グラン・ネイチャー』が、予想を遥かに超える大ヒットを記録したのだ。
私は積まれた注文書を見ながら、電卓(魔道具)を叩く。
「……ふむ。利益率は驚異の85%。原価がほぼタダ(雑草と川魚)ですからね。これは錬金術並みの成果です」
「錬金術師も裸足で逃げ出すレベルだ」
向かいの席で、アイザック様が呆れつつも満足げに笑っている。
「おかげで領地の財政は潤い、領民たちの懐も温まった。農民たちが『カルル様万歳』と叫んで踊っているぞ」
「踊る暇があったら、次の作付けをしてほしいですね。増産体制の構築が急務です」
私は冷静に次の手を打つ。
「物流ルートの確保、およびパッケージデザインの改良。それから、類似品(パクリ商品)が出回る前に対策を……」
その時だった。
バァン!!
執務室の扉が、ノックもなく乱暴に開かれた。
「失礼する! グラン・ノワール公爵はおられるか!」
入ってきたのは、見慣れない制服を着た男たちだ。
胸には、私の祖国――アイゼン王国の紋章。
そして、その先頭に立っていたのは、見覚えのある神経質そうな顔の男。
ジェラール王太子の側近、法務官のバロンだ。
「……何の用だ?」
アイザック様が、一瞬にして「氷の公爵」の顔に戻る。
室内の気温が急激に下がる。
しかし、バロン法務官は鼻息も荒く、一枚の羊皮紙を突きつけた。
「我が国アイゼン王国より、重大な通告がある! そこにいるカルル・フォン・アイゼンを、直ちに引き渡していただきたい!」
「……は?」
私が顔を上げる。
「引き渡し? どういう法的根拠で?」
「決まっているだろう! 『国家機密漏洩罪』および『知的財産権の侵害』だ!」
「はい?」
私は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
機密漏洩? 私が?
あのザル警備の王城に、漏洩されて困るような機密などあっただろうか。
「ふざけるな」
アイザック様が低い声で唸る。
「彼女は我が国の公爵家の人間だ(予定)。貴国に指図される覚えはない」
「黙れ! これは国際問題だぞ!」
バロン法務官が叫ぶ。
「最近、貴殿の領地で売り出した『野菜』や『魚』! あれは我がアイゼン王国の技術を盗んだものだ!」
「……はあ?」
「カルル嬢は、王太子妃教育の一環として、我が国の農業技術や流通システムを学んでいた! その知識を使って商売をしているのだから、その利益は全て我が国に帰属する! そして、その技術を盗んで逃げた彼女は犯罪者だ!」
部屋中が、しんと静まり返った。
あまりの暴論に、怒りよりも呆れが先に立ったからだ。
「……ぷっ」
最初に吹き出したのは、私だった。
「くくっ……あははは! 傑作ですね、法務官殿」
「な、何がおかしい!」
「だって、そうでしょう? 『農業技術』? 我が国の農民が、雑草取りもろくにせずに肥料を撒くだけの農法を『技術』と呼ぶのですか?」
私は立ち上がり、バロン法務官の前に歩み出た。
「私がここで実践しているのは、土壌改良と品種改良、そして徹底した鮮度管理です。王国の古いやり方とは真逆の、私の『オリジナル・メソッド』ですよ」
「ぐっ……だ、だが! その発想の基礎は王国で培われたものだ! 国民の頭脳は国家の財産だ!」
「ほう。では聞きますが」
私は眼鏡を光らせた。
「私が王太子殿下の代わりに処理していた公務。あれも『王国の財産』である殿下の頭脳から生まれたものとして処理されていましたね?」
「う……そ、それは……」
「私の成果を『殿下の手柄』にするのは良くて、私が独自に開発した商品を『国のもの』にするのも良いと? 随分と都合の良い法律ですね」
「そ、そうだ! 貴様は王国の人間なのだから、王家に尽くすのが義務だ!」
バロン法務官が開き直って叫ぶ。
「とにかく! 王太子殿下のご命令だ! 『カルルを直ちに連れ戻し、賠償金として売上の全額を支払わせよ』とな!」
なるほど。
結局は、金か。
私が稼ぎ出した莫大な利益を見て、ジェラール殿下が「あれは本来、僕のものだ!」と騒ぎ出したのが目に浮かぶ。
「……金に困っているようだな、貴国は」
アイザック様が、凍てつくような冷笑を浮かべて立ち上がった。
「憐れなものだ。元婚約者の成功を妬み、難癖をつけて金を無心するとは。乞食の方がまだプライドがあるぞ」
「な、なんだと……!?」
「聞こえなかったか? 『帰れ』と言ったんだ」
アイザック様が指を鳴らす。
瞬間、控えていた近衛騎士たちが抜剣し、法務官たちを取り囲んだ。
ジャキッ!
「ひぃっ!?」
「カルルは渡さない。売上も一銭たりとも渡さない。……もしこれ以上、彼女を侮辱するなら」
アイザック様の瞳が、蒼い炎のように揺らめいた。
「宣戦布告と受け取るが、構わんな?」
その圧倒的な覇気に、バロン法務官は腰を抜かした。
「ま、待て! 乱暴な……! 我々は外交特権を持っているんだぞ!」
「特権? 詐欺師にそんなものはない」
アイザック様は冷たく言い放つ。
「騎士団長。この不法侵入者たちを国境まで『丁重に』送り届けろ。二度と我が領土の土を踏ませるな」
「はっ! 野郎ども、連れ出せ!」
「わ、わかった! 帰る! 帰るから押すな!」
バロン法務官たちは、騎士たちに抱えられ、情けない悲鳴を上げながら引きずり出されていった。
「……覚えてろぉぉ! ただで済むと思うなぁぁ!」
お決まりの捨て台詞が、遠ざかっていく。
執務室に静寂が戻った。
「……やれやれ。騒がしい客でしたね」
私が眼鏡を直すと、アイザック様が心配そうに私を見た。
「大丈夫か、カルル。嫌なことを思い出させたな」
「いいえ。むしろ、スッキリしました」
私は微笑んだ。
「彼らの焦り様を見て確信しました。王国の財政は、末期症状です」
「末期?」
「はい。なりふり構わず、こんな無茶苦茶な請求をしてくるということは、もう正規の手段では金を用意できない状態ということです」
私はホワイトボードに向かい、さらさらと図を描いた。
「おそらく、来月の国債の償還期限が迫っているのでしょう。私が以前、自転車操業で回していた部分です」
「……なるほど。それを返せなければ、国家破産(デフォルト)か」
「ええ。そして、その責任を私に押し付けて、私に尻拭いをさせようとしているのです」
図解を見ながら、アイザック様が呆れたようにため息をついた。
「どこまでも腐っているな。……で、どうする? カルル」
「どうする、とは?」
「助けてやるか? 君なら、あそこに戻って数ヶ月も働けば、立て直せるだろう?」
試すような問いかけ。
私はきっぱりと首を横に振った。
「お断りです。不採算事業への再投資は、経営判断としてあり得ません」
「そう言うと思った」
アイザック様は嬉しそうに笑った。
「だが、彼らは諦めないだろう。次はもっと強硬な手段に出るかもしれない」
「強硬手段……例えば、武力行使とか?」
「あるいは、人質を取るとかな」
その言葉に、私はハッとした。
人質。
私にはもう、王国に未練はない。実家とも縁を切った。
だが、もし「弱点」があるとしたら。
「……マリア」
私は一人の名前を呟いた。
「マリア?」
「私の専属侍女だったマリアです。彼女の実家は、王都の下町でパン屋を営んでいます。もし殿下が、彼女の家族を人質に取ったら……」
マリアは今、この屋敷で元気に働いている。
だが、彼女の家族はまだ王国にいるのだ。
「……あり得るな。あの馬鹿王子なら」
アイザック様の表情が険しくなる。
「先手を打とう。マリアの家族を、こちらの領地に呼び寄せるか?」
「……間に合うでしょうか」
「俺の諜報部隊『影(シャドウ)』を使えば、一日で接触できる。今夜中に動かそう」
「お願いします、ボス。費用は私の給与から……」
「いらん。これは俺の『婚約者』の『大事な部下』を守るための必要経費だ」
アイザック様は即座に執務机のベルを鳴らし、影の部隊長を呼び出した。
その迅速な判断と行動力。
(……本当に、頼りになる人です)
私は胸の奥が温かくなるのを感じた。
だが、私たちの予想は、少しだけ甘かった。
ジェラール殿下の暴走は、私たちの想像の斜め上を行っていたのだ。
その日の深夜。
王城から緊急の「魔法通信」が、全世界に向けて発信された。
『告ぐ! 我が国の裏切り者、カルル・フォン・アイゼンは、隣国の公爵に洗脳され、拉致監禁されている! 正義の名において、彼女を救出するための聖戦(という名の強盗)を開始する!』
それは、事実上の宣戦布告だった。
「……馬鹿ですか、あの男は」
寝室でその放送を聞いた私は、頭を抱えた。
個人の借金返済のために、戦争を始める王太子がどこにいる。
「面白い」
隣の部屋から出てきたアイザック様は、凶悪な笑みを浮かべて剣を佩いていた。
「売られた喧嘩だ。大安売りで買い取ってやろうじゃないか」
物語は、いよいよ国家間のドンパチへと発展しようとしていた。
もちろん、私が最前線で「請求書」を武器に戦うことになるのだが。
1,082
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
【完結】氷の令嬢は愛を請わない - 捨て子の『義妹』に愛も家族も奪われたマリーローズの逆襲
恋せよ恋
恋愛
銀髪紫眼の美貌の侯爵令嬢、マリーローズ。
完璧な淑女に育った彼女だったが、母は捨て子ジュリエットを寵愛。
婚約者の公爵家嫡男アレックスも、友人も、次々に奪われる――。
家族に裏切られ、すべてを失った彼女が下した決断は、
家族を見かぎり、国を捨て、自らの人生を取り戻すこと。
理不尽な悲恋を力に変え、運命をひっくり返す令嬢の逆転劇!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる