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「……あの、アイザック様」
「なんだい、私の愛しい女神よ」
「近いです。物理的に」
私は扇で、アイザック様の胸板をグイと押した。
王城の舞踏会場。
先ほどの「公開処刑」ならぬ「公開接吻」事件の直後である。
会場の空気は、熱狂と戸惑いと興奮が入り混じったカオスな状態にあった。
私たちに向けられる視線は、もはや好奇心などという生温かいものではない。
「あの氷の公爵を溶かした悪女」「まさかの純愛カップル」という、特大のフィルターがかかった熱視線だ。
私はその視線に耐えきれず、会場の隅――壁際の柱の陰へと戦略的撤退を完了していた。
「離れてください。私のパーソナルスペース(半径1メートル)を侵害しています」
「嫌だ」
アイザック様は即答し、むしろさらに距離を詰めてきた。
私の腰に回された腕は、まるで強力な接着剤で固定されているかのようだ。
「今の君は、興奮した狼たちの群れに放り込まれた仔羊だ。私がこうして守っていなければ、好奇の目に晒されて骨までしゃぶられるぞ」
「……貴方が一番の狼に見えるのですが」
「私は狼ではない。君の忠実な番犬だ」
「番犬なら、『お座り』と『待て』を覚えてください」
「君への愛に関しては、しつけの悪い犬でね」
彼はニヤニヤと笑いながら、私の耳元に顔を寄せた。
「それに、先ほどのキス……最高だった。追加料金500万ゴールドと言っていたな? 倍払おう。だからもう一度……」
「却下します。インフレを招くので」
私は彼の顔を手で押し返した。
会場の壁際。
ここで大人しくしていれば、そのうち皆の関心も薄れるだろう。
私は「壁の花」になりたいのだ。
誰にも気づかれず、ひっそりと咲き、ひっそりと枯れる苔のような存在に。
しかし、現実は非情だった。
「あら、見て……お二人のあの様子」
「なんて仲睦まじいのかしら」
「公爵様、ローゼン様にべったりだわ」
「ローゼン様が恥ずかしがって顔を背けているのが、また初々しい……!」
周囲の貴族たちの会話が聞こえてくる。
違う。
恥ずかしがっているのではない。
「酸素が薄いからあっちへ行け」と抗議しているのだ。
「……どうしてこう、私の意図は正しく伝わらないのでしょうか」
私が深いため息をつくと、アイザック様は楽しそうに言った。
「君の『無表情』という暗号が高度すぎるからだ。解読できるのは、世界で私一人だけというわけだ」
「解読できているなら、少し離れてください。暑いです」
「俺の情熱のせいかな?」
「いいえ、会場の人口密度と換気不足のせいです」
私がばっさりと切り捨てると、アイザック様は肩を震わせて笑った。
「くくっ……最高だ。この甘い雰囲気の中で、二酸化炭素濃度の話をする令嬢は君くらいだ」
「事実ですから」
その時、一人の勇気ある貴族男性が、意を決したようにこちらへ近づいてきた。
恰幅の良い、どこかの伯爵だろうか。
「あ、あの……グランディ公爵閣下。ならびにローゼン様」
伯爵はハンカチで額の汗を拭いながら、媚びへつらうような笑みを浮かべた。
「この度は、ご婚約おめでとうございます。いやはや、実にお似合いのカップルで……」
アイザック様の表情が、一瞬で「公爵モード」に切り替わった。
私に向けていたデレデレ顔が消え失せ、絶対零度の冷徹な仮面が装着される。
「……何の用だ?」
低い声。
それだけで、伯爵がビクリと震える。
「い、いえ! ただお祝いを申し上げたく……! あわよくば、我が家の娘も今度紹介させていただければと……」
「不要だ」
アイザック様は一刀両断した。
「私の視界にはローゼン以外を入れる容量がない。他の女を紹介されても、私の目には『背景』か『障害物』にしか映らん」
「ひっ……!」
「それに、貴重なローゼンとの時間を邪魔されたくない。……消えろ」
「は、はいぃぃっ!!」
伯爵は脱兎のごとく逃げ出した。
それを見ていた他の貴族たちも、「あ、今は近づいちゃダメだ」「殺される」と悟ったようで、遠巻きに眺めるだけに留めている。
「……アイザック様」
私は呆れて彼を見上げた。
「もう少し愛想良くできないのですか? 社交場ですよ」
「君以外の人間になぜ愛想を振り撒く必要がある? 非効率的だ」
「貴方がそれを言いますか」
「俺のエネルギーは全て君に注ぐ。……ほら、喉が渇いただろう?」
彼は通りがかりの給仕からグラスを二つ受け取り、一つを私に手渡した。
「ありがとうございます」
私はグラスを受け取ろうとしたが、アイザック様は渡してくれなかった。
グラスを私の口元に近づけ、傾ける。
「……自分で持てます」
「手を使わなくていい。飲ませてやる」
「ここは介護施設ですか?」
「愛の巣だ」
彼は引かない。
周囲の目もある。ここで揉めるのは得策ではない。
私は諦めて、彼の手から直接、少量の水を飲んだ。
「キャアアア!」
「見た!? 公爵様が飲ませてあげてる!」
「お姫様扱いだわ……!」
黄色い悲鳴が上がる。
私は頭を抱えたくなった。
ただの水分補給が、なぜこうもドラマチックに変換されるのか。
「……もう帰りたいです」
私がポツリと本音を漏らすと、アイザック様は優しく頷いた。
「そうだな。クラーク殿下も撃退したし、『見せつけ』のミッションは完了した。長居は無用だ」
「本当ですか? では今すぐ!」
「ああ。だが、その前に一曲だけ」
「は?」
「一曲も踊らずに帰っては、逆に不自然だ。『公爵夫人はダンスも踊れないのか』と陰口を叩かれるのは、俺が許さん」
アイザック様はグラスを置き、恭しく手を差し出した。
「一曲だけだ。ワルツを。……私と踊ってくれるか、ローゼン?」
拒否権はないようだ。
それに、ここで断れば「不仲説」が再燃するかもしれない。
それは面倒だ。
「……一曲だけですよ。足を踏んでも知りませんからね」
「踏んでくれ。君になら骨を折られても構わない」
「病院へ行ってください」
私はため息をつきながら、彼の手を取った。
***
フロアの中央へ。
私たちが進み出ると、他のペアたちが自然と道を空け、壁際へと下がっていく。
完全に注目の中でのソロダンス状態だ。
「壁の花」になりたいという私の願いは、もはや銀河の彼方へ消え去った。
音楽が始まる。
優雅なワルツの調べ。
アイザック様の手が、私の腰をしっかりと、しかし優しく支える。
そのリードは完璧だった。
(……悔しいけれど、上手い)
私の体は、まるで羽が生えたように軽く動かされる。
王太子のパートナーとして嫌々叩き込まれたダンススキルが、彼のリードによって最大限に引き出されていく。
ターン。ステップ。
紺碧のドレスがふわりと広がり、シャンデリアの光を受けて輝く。
「……君はダンスも完璧か」
アイザック様が、踊りながら囁く。
「王妃教育の賜物です。何千時間練習させられたか……時給換算すると泣きたくなります」
「その努力が、今俺のためだけに使われていると思うと……ゾクゾクするな」
「貴方のためではありません。私の面目のためです」
「照れなくていい。……美しいよ、ローゼン」
至近距離で見つめ合う。
彼の瞳には、私が映っている。
普段は冷徹な「氷の公爵」が、今は溶けそうなほど熱い瞳をしている。
(……調子が狂う)
周囲の景色が流れていく。
不思議と、視線やざわめきが気にならなくなっていた。
世界が、この男と私のステップだけになったような錯覚。
「……アイザック様」
「ん?」
「……悪くありません」
「何がだ?」
「貴方のリードです。……クラーク様よりは、100倍マシです」
私が精一杯の(上から目線の)デレを見せると、アイザック様は目を見開き、そして破顔した。
「……ははっ! 最高の褒め言葉だ!」
彼は昂った感情をぶつけるように、最後のリフトを行った。
私の体が宙に浮く。
会場中から、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
*
一曲が終わり、私たちは逃げるように(というかアイザック様が私を抱きかかえる勢いで)会場を後にした。
馬車に乗り込むと、私はどっと疲れが出て、シートに沈み込んだ。
「……任務完了」
「お疲れ様。最高のデビューだったぞ」
アイザック様は、上機嫌で私のコルセットの紐を少し緩めてくれた(セクハラではなく、介抱として)。
「これで社交界は、俺たちが『熱烈な愛し合う二人』だと認識した。もう誰も君を『捨てられた女』とは呼ばない」
「ええ。その代わりに『バカップル』と呼ばれるでしょうけれど」
「構わん。事実だ」
「否定してください」
私が睨むと、彼は嬉しそうに私の手を取った。
「さて、帰ろうか。……約束通り、500万ゴールドの支払いの準備もしないとな」
「……現金一括でお願いします」
「ああ。それと……」
「?」
「家に帰ったら、もう一度、今のダンスの続きをしようか。今度はドレスを脱いで……」
「追加料金、1億ゴールド!!」
「商談成立!」
「してません!!」
夜の王都を、公爵家の馬車が駆けていく。
私の平穏な生活は、まだまだ遠い。
けれど、隣に座るこの「変な男」のおかげで、少なくとも退屈することだけはなさそうだ。
(……まあ、悪くはない、か)
私は窓の外を見ながら、誰にも気づかれないように、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「なんだい、私の愛しい女神よ」
「近いです。物理的に」
私は扇で、アイザック様の胸板をグイと押した。
王城の舞踏会場。
先ほどの「公開処刑」ならぬ「公開接吻」事件の直後である。
会場の空気は、熱狂と戸惑いと興奮が入り混じったカオスな状態にあった。
私たちに向けられる視線は、もはや好奇心などという生温かいものではない。
「あの氷の公爵を溶かした悪女」「まさかの純愛カップル」という、特大のフィルターがかかった熱視線だ。
私はその視線に耐えきれず、会場の隅――壁際の柱の陰へと戦略的撤退を完了していた。
「離れてください。私のパーソナルスペース(半径1メートル)を侵害しています」
「嫌だ」
アイザック様は即答し、むしろさらに距離を詰めてきた。
私の腰に回された腕は、まるで強力な接着剤で固定されているかのようだ。
「今の君は、興奮した狼たちの群れに放り込まれた仔羊だ。私がこうして守っていなければ、好奇の目に晒されて骨までしゃぶられるぞ」
「……貴方が一番の狼に見えるのですが」
「私は狼ではない。君の忠実な番犬だ」
「番犬なら、『お座り』と『待て』を覚えてください」
「君への愛に関しては、しつけの悪い犬でね」
彼はニヤニヤと笑いながら、私の耳元に顔を寄せた。
「それに、先ほどのキス……最高だった。追加料金500万ゴールドと言っていたな? 倍払おう。だからもう一度……」
「却下します。インフレを招くので」
私は彼の顔を手で押し返した。
会場の壁際。
ここで大人しくしていれば、そのうち皆の関心も薄れるだろう。
私は「壁の花」になりたいのだ。
誰にも気づかれず、ひっそりと咲き、ひっそりと枯れる苔のような存在に。
しかし、現実は非情だった。
「あら、見て……お二人のあの様子」
「なんて仲睦まじいのかしら」
「公爵様、ローゼン様にべったりだわ」
「ローゼン様が恥ずかしがって顔を背けているのが、また初々しい……!」
周囲の貴族たちの会話が聞こえてくる。
違う。
恥ずかしがっているのではない。
「酸素が薄いからあっちへ行け」と抗議しているのだ。
「……どうしてこう、私の意図は正しく伝わらないのでしょうか」
私が深いため息をつくと、アイザック様は楽しそうに言った。
「君の『無表情』という暗号が高度すぎるからだ。解読できるのは、世界で私一人だけというわけだ」
「解読できているなら、少し離れてください。暑いです」
「俺の情熱のせいかな?」
「いいえ、会場の人口密度と換気不足のせいです」
私がばっさりと切り捨てると、アイザック様は肩を震わせて笑った。
「くくっ……最高だ。この甘い雰囲気の中で、二酸化炭素濃度の話をする令嬢は君くらいだ」
「事実ですから」
その時、一人の勇気ある貴族男性が、意を決したようにこちらへ近づいてきた。
恰幅の良い、どこかの伯爵だろうか。
「あ、あの……グランディ公爵閣下。ならびにローゼン様」
伯爵はハンカチで額の汗を拭いながら、媚びへつらうような笑みを浮かべた。
「この度は、ご婚約おめでとうございます。いやはや、実にお似合いのカップルで……」
アイザック様の表情が、一瞬で「公爵モード」に切り替わった。
私に向けていたデレデレ顔が消え失せ、絶対零度の冷徹な仮面が装着される。
「……何の用だ?」
低い声。
それだけで、伯爵がビクリと震える。
「い、いえ! ただお祝いを申し上げたく……! あわよくば、我が家の娘も今度紹介させていただければと……」
「不要だ」
アイザック様は一刀両断した。
「私の視界にはローゼン以外を入れる容量がない。他の女を紹介されても、私の目には『背景』か『障害物』にしか映らん」
「ひっ……!」
「それに、貴重なローゼンとの時間を邪魔されたくない。……消えろ」
「は、はいぃぃっ!!」
伯爵は脱兎のごとく逃げ出した。
それを見ていた他の貴族たちも、「あ、今は近づいちゃダメだ」「殺される」と悟ったようで、遠巻きに眺めるだけに留めている。
「……アイザック様」
私は呆れて彼を見上げた。
「もう少し愛想良くできないのですか? 社交場ですよ」
「君以外の人間になぜ愛想を振り撒く必要がある? 非効率的だ」
「貴方がそれを言いますか」
「俺のエネルギーは全て君に注ぐ。……ほら、喉が渇いただろう?」
彼は通りがかりの給仕からグラスを二つ受け取り、一つを私に手渡した。
「ありがとうございます」
私はグラスを受け取ろうとしたが、アイザック様は渡してくれなかった。
グラスを私の口元に近づけ、傾ける。
「……自分で持てます」
「手を使わなくていい。飲ませてやる」
「ここは介護施設ですか?」
「愛の巣だ」
彼は引かない。
周囲の目もある。ここで揉めるのは得策ではない。
私は諦めて、彼の手から直接、少量の水を飲んだ。
「キャアアア!」
「見た!? 公爵様が飲ませてあげてる!」
「お姫様扱いだわ……!」
黄色い悲鳴が上がる。
私は頭を抱えたくなった。
ただの水分補給が、なぜこうもドラマチックに変換されるのか。
「……もう帰りたいです」
私がポツリと本音を漏らすと、アイザック様は優しく頷いた。
「そうだな。クラーク殿下も撃退したし、『見せつけ』のミッションは完了した。長居は無用だ」
「本当ですか? では今すぐ!」
「ああ。だが、その前に一曲だけ」
「は?」
「一曲も踊らずに帰っては、逆に不自然だ。『公爵夫人はダンスも踊れないのか』と陰口を叩かれるのは、俺が許さん」
アイザック様はグラスを置き、恭しく手を差し出した。
「一曲だけだ。ワルツを。……私と踊ってくれるか、ローゼン?」
拒否権はないようだ。
それに、ここで断れば「不仲説」が再燃するかもしれない。
それは面倒だ。
「……一曲だけですよ。足を踏んでも知りませんからね」
「踏んでくれ。君になら骨を折られても構わない」
「病院へ行ってください」
私はため息をつきながら、彼の手を取った。
***
フロアの中央へ。
私たちが進み出ると、他のペアたちが自然と道を空け、壁際へと下がっていく。
完全に注目の中でのソロダンス状態だ。
「壁の花」になりたいという私の願いは、もはや銀河の彼方へ消え去った。
音楽が始まる。
優雅なワルツの調べ。
アイザック様の手が、私の腰をしっかりと、しかし優しく支える。
そのリードは完璧だった。
(……悔しいけれど、上手い)
私の体は、まるで羽が生えたように軽く動かされる。
王太子のパートナーとして嫌々叩き込まれたダンススキルが、彼のリードによって最大限に引き出されていく。
ターン。ステップ。
紺碧のドレスがふわりと広がり、シャンデリアの光を受けて輝く。
「……君はダンスも完璧か」
アイザック様が、踊りながら囁く。
「王妃教育の賜物です。何千時間練習させられたか……時給換算すると泣きたくなります」
「その努力が、今俺のためだけに使われていると思うと……ゾクゾクするな」
「貴方のためではありません。私の面目のためです」
「照れなくていい。……美しいよ、ローゼン」
至近距離で見つめ合う。
彼の瞳には、私が映っている。
普段は冷徹な「氷の公爵」が、今は溶けそうなほど熱い瞳をしている。
(……調子が狂う)
周囲の景色が流れていく。
不思議と、視線やざわめきが気にならなくなっていた。
世界が、この男と私のステップだけになったような錯覚。
「……アイザック様」
「ん?」
「……悪くありません」
「何がだ?」
「貴方のリードです。……クラーク様よりは、100倍マシです」
私が精一杯の(上から目線の)デレを見せると、アイザック様は目を見開き、そして破顔した。
「……ははっ! 最高の褒め言葉だ!」
彼は昂った感情をぶつけるように、最後のリフトを行った。
私の体が宙に浮く。
会場中から、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
*
一曲が終わり、私たちは逃げるように(というかアイザック様が私を抱きかかえる勢いで)会場を後にした。
馬車に乗り込むと、私はどっと疲れが出て、シートに沈み込んだ。
「……任務完了」
「お疲れ様。最高のデビューだったぞ」
アイザック様は、上機嫌で私のコルセットの紐を少し緩めてくれた(セクハラではなく、介抱として)。
「これで社交界は、俺たちが『熱烈な愛し合う二人』だと認識した。もう誰も君を『捨てられた女』とは呼ばない」
「ええ。その代わりに『バカップル』と呼ばれるでしょうけれど」
「構わん。事実だ」
「否定してください」
私が睨むと、彼は嬉しそうに私の手を取った。
「さて、帰ろうか。……約束通り、500万ゴールドの支払いの準備もしないとな」
「……現金一括でお願いします」
「ああ。それと……」
「?」
「家に帰ったら、もう一度、今のダンスの続きをしようか。今度はドレスを脱いで……」
「追加料金、1億ゴールド!!」
「商談成立!」
「してません!!」
夜の王都を、公爵家の馬車が駆けていく。
私の平穏な生活は、まだまだ遠い。
けれど、隣に座るこの「変な男」のおかげで、少なくとも退屈することだけはなさそうだ。
(……まあ、悪くはない、か)
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