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騒動から数日後。
公爵邸には、信じられないほどの静寂と平和が訪れていた。
「……鳥の声が聞こえます」
「ああ、いい天気だ」
私たちは屋敷の裏手にあるプライベートガーデンの東屋で、午後のティータイムを楽しんでいた。
クラーク元王太子とミーナの流刑は即日執行され、彼らは今頃、北の果てへ向かう馬車の中で寒さに震えていることだろう。
ボルドー男爵も鉱山へ送られた。
私の実家の借金はアイザック様が全額肩代わりして完済済み。
王城の混乱も、優秀な文官たちが死に物狂いで立て直していると聞く。
全ての懸案事項が片付いた。
完璧なハッピーエンドだ。
私はカップを置き、向かいに座るアイザック様を見た。
彼は珍しく、私に絡んでくることもなく、静かに庭の薔薇を眺めていた。
「……アイザック様」
「ん?」
「どうされたのですか? 今日は随分と静かですが。……もしかして、どこか具合でも?」
「いや、体調は万全だ」
彼は苦笑し、私に向き直った。
「ただ……考えていたんだ。これからのことを」
「これからのこと?」
「ああ。ローゼン、君との契約についてだ」
アイザック様の表情が、いつになく真剣なものに変わった。
ふざけた雰囲気は一切ない。
「氷の公爵」としての、冷徹で誠実な顔だ。
「契約結婚の前提条件は、『君の実家の借金返済』と『元婚約者からの防衛』だった。……だが、それらは全て達成された」
「……そうですね」
「借金はもうない。クラーク殿下もいない。君を脅かすものは何もなくなった。……つまり、君がこの屋敷に留まる『契約上の義務』は、もう消滅したということだ」
ドキン。
胸の奥で、嫌な音がした。
先日感じた「嫉妬」の時の痛みとは違う、冷たい不安が広がる。
「……それは、契約解除の申し出ですか?」
私は努めて冷静に尋ねた。
「用済みだから出て行け、と?」
「逆だ」
アイザック様は即座に否定し、身を乗り出した。
「俺は君に出て行ってほしくない。一生ここにいてほしい。……だが、それを『契約』や『借金』で縛り付けるのは、もうやめたいんだ」
彼は私の手を、壊れ物を扱うようにそっと包み込んだ。
「俺は君が好きだ。ローゼン」
「……」
「君の合理的な思考も、冷たい眼差しも、仕事に没頭する姿も。……そして、本当は誰よりも責任感が強く、不器用な優しさを持っているところも」
真っ直ぐな瞳。
そこには、いつものような狂気じみた独占欲ではなく、穏やかで深い愛情が宿っていた。
「俺は、君を『愛している』から結婚したい。……契約ではなく、心で繋がりたいんだ」
「アイザック様……」
「だから、選んでくれ。……俺と本当の夫婦になるか。それとも、自由になってここを出て行くか」
彼は私の手を離した。
選択権を、私に委ねてくれたのだ。
「君が自由を望むなら、止めない。手切れ金として一生遊んで暮らせるだけの金も渡そう。……俺のことは忘れて、君の好きな場所で、好きなように生きればいい」
その言葉は、彼の最大の誠意だった。
私の幸せを一番に考えてくれているからこその提案。
私は視線を落とし、自分の膝の上で握りしめた手を見つめた。
自由。
私がずっと求めていたもの。
誰にも縛られず、借金もなく、しがらみもない生活。
今なら、それが手に入る。
この屋敷を出て、どこか静かな田舎で、本に囲まれて暮らすのも悪くない。
(……でも)
想像してみる。
静かな部屋。美味しい紅茶。積まれた本。
そこに、この男の声がない生活を。
『ローゼン、おはよう!』
『また本を読んでいるのか?』
『このケーキ、美味いぞ』
『愛しているよ』
あの騒がしい声が。
鬱陶しいほどのスキンシップが。
私の無表情を読み取ってくれる、優しい瞳が。
なくなる。
「……」
ズキリ。
胸が痛んだ。
非効率だ。実に非効率だ。
せっかく完璧な生活環境(衣食住+イケメン+図書室)が整っているのに、それを手放すなんて。
それに、何より。
私の心が、叫んでいる。
『一人に戻りたくない』と。
私は顔を上げた。
アイザック様は、不安そうな、それでいて覚悟を決めた顔で私を待っていた。
「……一つ、確認させてください」
「なんだ?」
「私がここに残った場合、私の生活水準は維持されますか? 図書室の本は読み放題ですか? おやつは出ますか?」
「ああ、もちろん。全て保証する。今の倍……いや、10倍の贅沢をさせよう」
「私の睡眠時間は守られますか? 朝の強制労働はありませんか?」
「約束する。君が起きたい時に起きればいい」
「……私が貴方を冷たくあしらったり、無視したりしても、怒りませんか?」
「怒るどころか、ご褒美だ。もっとやってくれ」
条件はクリアだ。
これ以上の好条件はない。
私は大きく息を吸い、扇をパチンと閉じた。
「……わかりました。契約内容の更新を受諾します」
「え……?」
アイザック様が目を見開く。
「つまり、残ってくれるのか?」
「はい。ここを出て行くのは、コストパフォーマンスが悪すぎます。……それに」
ここからが本番だ。
私は顔が熱くなるのを感じながら、必死に無表情を保とうとした。
「貴方がいないと……調子が狂うのです」
「調子が?」
「貴方の淹れる紅茶でないと美味しくないですし、貴方が選ぶドレス以外は着たくありません。貴方が隣にいないと、図書室が広すぎて落ち着きません」
私は視線を逸らし、早口でまくし立てた。
「つまり、貴方の存在は、私の精神衛生と生活維持において必要不可欠な要素になってしまったのです。……責任を取ってください」
これが精一杯だった。
「好き」とか「愛してる」なんて、恥ずかしくて口が裂けても言えない。
だから、私なりの言葉で伝えた。
アイザック様は、しばらくポカンとしていた。
そして、徐々にその顔が崩れ、涙ぐんでいった。
「……ローゼン」
「なんですか。泣かないでください」
「それって……要するに、『俺がいないと寂しい』ってことか?」
「……言葉のアヤです」
「『俺が好きだ』って解釈していいのか?」
「……拡大解釈はお任せします」
私がそっぽを向くと、アイザック様は立ち上がり、テーブルを回って私の元へ来た。
そして、私を強く、強く抱きしめた。
「ああ、もう……! 君ってやつは!」
「苦しいです、アイザック様」
「最高だ! 君らしい、最高の答えだ! 『愛してる』と言われるより、100倍嬉しい!」
彼は私の首筋に顔を埋め、震える声で言った。
「責任を取るよ。一生かけて、君を甘やかして、依存させて、二度と俺なしでは生きられない体にしてやる」
「……物騒なプロポーズですね」
「誓うよ。君を世界一幸せな『氷の公爵夫人』にする」
彼は顔を上げ、私の唇にキスをした。
今までのどのキスよりも優しく、甘く、長いキスだった。
庭の薔薇が風に揺れる。
鳥の声が祝福するように響く。
唇が離れた時、私は観念して、小さく微笑んだ。
作り笑いではない。
自然と溢れた、本物の笑みだ。
「……契約成立ですね。旦那様」
「ああ。永遠の契約だ。奥様」
アイザック様は、私の笑顔を見て、またしても「尊い……!」と胸を押さえて倒れそうになっていたが、私はそれを支えなかった。
代わりに、倒れかかる彼の腕に、ぎゅっとしがみついた。
「さあ、戻りましょう。……お腹が空きました」
「そうだな。祝いの宴だ! ケーキをホールで用意させよう!」
私たちは寄り添って屋敷へと戻った。
契約から始まった関係。
けれど今は、どんな契約書よりも強い絆で結ばれている。
……まあ、口に出して言うのは、あと50年くらい先でいいだろう。
効率的に愛を育むのも、悪くないものだ。
こうして、私たちの「婚約期間」は終わりを告げ、次なるステージ――「結婚式」へと向かうことになったのである。
公爵邸には、信じられないほどの静寂と平和が訪れていた。
「……鳥の声が聞こえます」
「ああ、いい天気だ」
私たちは屋敷の裏手にあるプライベートガーデンの東屋で、午後のティータイムを楽しんでいた。
クラーク元王太子とミーナの流刑は即日執行され、彼らは今頃、北の果てへ向かう馬車の中で寒さに震えていることだろう。
ボルドー男爵も鉱山へ送られた。
私の実家の借金はアイザック様が全額肩代わりして完済済み。
王城の混乱も、優秀な文官たちが死に物狂いで立て直していると聞く。
全ての懸案事項が片付いた。
完璧なハッピーエンドだ。
私はカップを置き、向かいに座るアイザック様を見た。
彼は珍しく、私に絡んでくることもなく、静かに庭の薔薇を眺めていた。
「……アイザック様」
「ん?」
「どうされたのですか? 今日は随分と静かですが。……もしかして、どこか具合でも?」
「いや、体調は万全だ」
彼は苦笑し、私に向き直った。
「ただ……考えていたんだ。これからのことを」
「これからのこと?」
「ああ。ローゼン、君との契約についてだ」
アイザック様の表情が、いつになく真剣なものに変わった。
ふざけた雰囲気は一切ない。
「氷の公爵」としての、冷徹で誠実な顔だ。
「契約結婚の前提条件は、『君の実家の借金返済』と『元婚約者からの防衛』だった。……だが、それらは全て達成された」
「……そうですね」
「借金はもうない。クラーク殿下もいない。君を脅かすものは何もなくなった。……つまり、君がこの屋敷に留まる『契約上の義務』は、もう消滅したということだ」
ドキン。
胸の奥で、嫌な音がした。
先日感じた「嫉妬」の時の痛みとは違う、冷たい不安が広がる。
「……それは、契約解除の申し出ですか?」
私は努めて冷静に尋ねた。
「用済みだから出て行け、と?」
「逆だ」
アイザック様は即座に否定し、身を乗り出した。
「俺は君に出て行ってほしくない。一生ここにいてほしい。……だが、それを『契約』や『借金』で縛り付けるのは、もうやめたいんだ」
彼は私の手を、壊れ物を扱うようにそっと包み込んだ。
「俺は君が好きだ。ローゼン」
「……」
「君の合理的な思考も、冷たい眼差しも、仕事に没頭する姿も。……そして、本当は誰よりも責任感が強く、不器用な優しさを持っているところも」
真っ直ぐな瞳。
そこには、いつものような狂気じみた独占欲ではなく、穏やかで深い愛情が宿っていた。
「俺は、君を『愛している』から結婚したい。……契約ではなく、心で繋がりたいんだ」
「アイザック様……」
「だから、選んでくれ。……俺と本当の夫婦になるか。それとも、自由になってここを出て行くか」
彼は私の手を離した。
選択権を、私に委ねてくれたのだ。
「君が自由を望むなら、止めない。手切れ金として一生遊んで暮らせるだけの金も渡そう。……俺のことは忘れて、君の好きな場所で、好きなように生きればいい」
その言葉は、彼の最大の誠意だった。
私の幸せを一番に考えてくれているからこその提案。
私は視線を落とし、自分の膝の上で握りしめた手を見つめた。
自由。
私がずっと求めていたもの。
誰にも縛られず、借金もなく、しがらみもない生活。
今なら、それが手に入る。
この屋敷を出て、どこか静かな田舎で、本に囲まれて暮らすのも悪くない。
(……でも)
想像してみる。
静かな部屋。美味しい紅茶。積まれた本。
そこに、この男の声がない生活を。
『ローゼン、おはよう!』
『また本を読んでいるのか?』
『このケーキ、美味いぞ』
『愛しているよ』
あの騒がしい声が。
鬱陶しいほどのスキンシップが。
私の無表情を読み取ってくれる、優しい瞳が。
なくなる。
「……」
ズキリ。
胸が痛んだ。
非効率だ。実に非効率だ。
せっかく完璧な生活環境(衣食住+イケメン+図書室)が整っているのに、それを手放すなんて。
それに、何より。
私の心が、叫んでいる。
『一人に戻りたくない』と。
私は顔を上げた。
アイザック様は、不安そうな、それでいて覚悟を決めた顔で私を待っていた。
「……一つ、確認させてください」
「なんだ?」
「私がここに残った場合、私の生活水準は維持されますか? 図書室の本は読み放題ですか? おやつは出ますか?」
「ああ、もちろん。全て保証する。今の倍……いや、10倍の贅沢をさせよう」
「私の睡眠時間は守られますか? 朝の強制労働はありませんか?」
「約束する。君が起きたい時に起きればいい」
「……私が貴方を冷たくあしらったり、無視したりしても、怒りませんか?」
「怒るどころか、ご褒美だ。もっとやってくれ」
条件はクリアだ。
これ以上の好条件はない。
私は大きく息を吸い、扇をパチンと閉じた。
「……わかりました。契約内容の更新を受諾します」
「え……?」
アイザック様が目を見開く。
「つまり、残ってくれるのか?」
「はい。ここを出て行くのは、コストパフォーマンスが悪すぎます。……それに」
ここからが本番だ。
私は顔が熱くなるのを感じながら、必死に無表情を保とうとした。
「貴方がいないと……調子が狂うのです」
「調子が?」
「貴方の淹れる紅茶でないと美味しくないですし、貴方が選ぶドレス以外は着たくありません。貴方が隣にいないと、図書室が広すぎて落ち着きません」
私は視線を逸らし、早口でまくし立てた。
「つまり、貴方の存在は、私の精神衛生と生活維持において必要不可欠な要素になってしまったのです。……責任を取ってください」
これが精一杯だった。
「好き」とか「愛してる」なんて、恥ずかしくて口が裂けても言えない。
だから、私なりの言葉で伝えた。
アイザック様は、しばらくポカンとしていた。
そして、徐々にその顔が崩れ、涙ぐんでいった。
「……ローゼン」
「なんですか。泣かないでください」
「それって……要するに、『俺がいないと寂しい』ってことか?」
「……言葉のアヤです」
「『俺が好きだ』って解釈していいのか?」
「……拡大解釈はお任せします」
私がそっぽを向くと、アイザック様は立ち上がり、テーブルを回って私の元へ来た。
そして、私を強く、強く抱きしめた。
「ああ、もう……! 君ってやつは!」
「苦しいです、アイザック様」
「最高だ! 君らしい、最高の答えだ! 『愛してる』と言われるより、100倍嬉しい!」
彼は私の首筋に顔を埋め、震える声で言った。
「責任を取るよ。一生かけて、君を甘やかして、依存させて、二度と俺なしでは生きられない体にしてやる」
「……物騒なプロポーズですね」
「誓うよ。君を世界一幸せな『氷の公爵夫人』にする」
彼は顔を上げ、私の唇にキスをした。
今までのどのキスよりも優しく、甘く、長いキスだった。
庭の薔薇が風に揺れる。
鳥の声が祝福するように響く。
唇が離れた時、私は観念して、小さく微笑んだ。
作り笑いではない。
自然と溢れた、本物の笑みだ。
「……契約成立ですね。旦那様」
「ああ。永遠の契約だ。奥様」
アイザック様は、私の笑顔を見て、またしても「尊い……!」と胸を押さえて倒れそうになっていたが、私はそれを支えなかった。
代わりに、倒れかかる彼の腕に、ぎゅっとしがみついた。
「さあ、戻りましょう。……お腹が空きました」
「そうだな。祝いの宴だ! ケーキをホールで用意させよう!」
私たちは寄り添って屋敷へと戻った。
契約から始まった関係。
けれど今は、どんな契約書よりも強い絆で結ばれている。
……まあ、口に出して言うのは、あと50年くらい先でいいだろう。
効率的に愛を育むのも、悪くないものだ。
こうして、私たちの「婚約期間」は終わりを告げ、次なるステージ――「結婚式」へと向かうことになったのである。
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