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5歳の誕生日
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あれよあれよという間に5歳の誕生日を迎えた私は、家族内のみという小さめのパーティーでお祝いをしてもらった。
いきなり豪勢なパーティーとか開かれたらどうしよう…と少し心配していたのだが杞憂に終わって一安心だ。
まあ、貴族社会特有というか、公爵家とのパイプが欲しい方々からのお祝いの品やお手紙は沢山届いたが。
「うわぁ…これとかご丁寧に息子のお手紙付きじゃん。…22!?私今何歳だと思ってんのよ!」
このように手紙を開封していくと婚約目的で顔写真付きのものがちらほらと。しかも結構な年齢の人まで。この中の人と今のうちに婚約しちゃえばバットエンド回避できるのかな…なんて考えも脳裏に浮かんだが、万が一婚約者がアンナにちょっかい出して全員断罪エンドだったら笑えないので即刻却下だった。
何故大量に送られてきた手紙一通一通にわざわざ目を通しているかというと、ある程度名前を覚えるためと、社交界で話題にできそうなネタを把握するためだ。
どうやらこの世界では一般的に、身内や親しいものと開くパーティーなどを除き、社交界にデビューするのはどれだけ早くても9歳で、本格的に出席し始めるのは14歳頃らしい。
公爵家や王族の人間は色んな意味で引っ張りだこなので初等部入学と同時に招待状がわんさか届くのがお決まりらしく、実質私は後4年で社交界デビューな訳である。
あと4年猶予があるとはいえ、テスト勉強のように一夜漬けで覚えられる量では無いため今からコツコツ始めているのだ。
(とりあえず名前全部覚えて…パーティーに出るようになったら名前と顔を紐付けて覚えて…貴族って大変だわ…。)
これを当たり前のようにやってのける登場人物達は本当に凄いと思う、星の数程ある家名を5歳(中身は25)の頭に叩き込むのは中々に骨が折れそうだ。
ようやっとプレゼントと手紙の開封が終わったところで、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。どうやらお支度の時間らしい。
「どうぞ。」
部屋に入るように促すと、ゾロゾロとメイド達が部屋に入ってくる。
(1、2、3、4、5…えっまだ入ってくるんだけど多すぎない??普段ニーア1人なのになんだこの差は…!)
「お誕生日おめでとうございます、クレア様。本日のお着替えを担当致しますプリムでございます。また、本日は補佐として何名かつかせて頂きます。…それでは、お支度部屋の方へご移動をお願い致します。」
母曰くベテランであるプリムに促され支度部屋に入ると私の周りをメイド達はバタバタと忙しそうに準備を始めた。
「クレア様、肌着の方失礼致します。」
「あ、はい。」
「クレア様、コルセット着用しますのでなるべくお腹を引っ込めて頂けますか?」
「は、はい。」
「せーの、はい!締めて!!」
「ぐえっ!」
「もーちょっと!」
「うぐぇっ!?も、無理です…。」
「パニエ着用しますので腕はこの位置で…そう、次ドレス用意して!」
「今やってます!」
「ドレス終わったらヘアセットよ!ドレスの色に合うように髪飾り今のうちから選んで!化粧台の準備もね!」
「「はい!!」」
…正直、正装お着替え舐めてました。これは普段と違いすぎる。
仕事の出来るメイドさん達の連携プレーにより凄いスピードで支度は進められ、思いっきり締められたコルセットのおかげで私の内臓は飛び出しそうになった。
やっとのことでヘアセットまで終えるといよいよ家族が待つ会場へ移動する。
いつもよりボリュームのあるドレスに苦戦しながらも部屋にたどり着き扉が開くとパンッ!と破裂音が鳴り響いた。
「「「クレア(様)、5歳のお誕生日おめでとう(ございます)!!」」」
家族や使用人達が部屋でクラッカーを鳴らしてお祝いしてくれ、目の前のテーブルにはケーキとご馳走が並んでいた。
「皆様、お祝いありがとうございます!」
私がお礼を告げると、両親がカインを連れて近づいてきた。
「クレア、お誕生日おめでとう。これは私達からのプレゼントだよ。」
父がそう語ると、母は私に綺麗な装飾が施された小箱を差し出してきた。
私はそっと蓋を開け中身を確認する。
「…!これは…。」
「髪飾りよ。1つの節目である5歳の誕生日だから、何か特別なものを贈ろうと思って、お父さんとお母さんで相談して決めたの。…クレアに取って特別な時、大事な時、大変な時。この髪飾りがお守り替わりという訳ではないけれど、少しでもクレアを勇気づけてくれることを願っているわ。」
金に控えめな装飾が施されたその髪飾りは、ゲームの中でクレアが特別な時によくつけていた髪飾りだった。
「これからも、健やかに育ってね。私達の愛しい子」
母の慈愛に満ちた笑顔に見つめられながら優しく頭を撫でられる。
クレアは、どのエンディングでどのような結末を迎えても最期のスチルはいつもこの髪飾りをつけていた。
家族からの真っ直ぐな愛を受けて育った彼女は、この願いが込められた髪飾りをつけて一体どのような心境で断罪の場に立っていたのだろうか。
用意された食事を飲み込みながら、ふとゲームの中で悲惨な死を迎えた悪役令嬢達に思いを馳せた。
いきなり豪勢なパーティーとか開かれたらどうしよう…と少し心配していたのだが杞憂に終わって一安心だ。
まあ、貴族社会特有というか、公爵家とのパイプが欲しい方々からのお祝いの品やお手紙は沢山届いたが。
「うわぁ…これとかご丁寧に息子のお手紙付きじゃん。…22!?私今何歳だと思ってんのよ!」
このように手紙を開封していくと婚約目的で顔写真付きのものがちらほらと。しかも結構な年齢の人まで。この中の人と今のうちに婚約しちゃえばバットエンド回避できるのかな…なんて考えも脳裏に浮かんだが、万が一婚約者がアンナにちょっかい出して全員断罪エンドだったら笑えないので即刻却下だった。
何故大量に送られてきた手紙一通一通にわざわざ目を通しているかというと、ある程度名前を覚えるためと、社交界で話題にできそうなネタを把握するためだ。
どうやらこの世界では一般的に、身内や親しいものと開くパーティーなどを除き、社交界にデビューするのはどれだけ早くても9歳で、本格的に出席し始めるのは14歳頃らしい。
公爵家や王族の人間は色んな意味で引っ張りだこなので初等部入学と同時に招待状がわんさか届くのがお決まりらしく、実質私は後4年で社交界デビューな訳である。
あと4年猶予があるとはいえ、テスト勉強のように一夜漬けで覚えられる量では無いため今からコツコツ始めているのだ。
(とりあえず名前全部覚えて…パーティーに出るようになったら名前と顔を紐付けて覚えて…貴族って大変だわ…。)
これを当たり前のようにやってのける登場人物達は本当に凄いと思う、星の数程ある家名を5歳(中身は25)の頭に叩き込むのは中々に骨が折れそうだ。
ようやっとプレゼントと手紙の開封が終わったところで、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。どうやらお支度の時間らしい。
「どうぞ。」
部屋に入るように促すと、ゾロゾロとメイド達が部屋に入ってくる。
(1、2、3、4、5…えっまだ入ってくるんだけど多すぎない??普段ニーア1人なのになんだこの差は…!)
「お誕生日おめでとうございます、クレア様。本日のお着替えを担当致しますプリムでございます。また、本日は補佐として何名かつかせて頂きます。…それでは、お支度部屋の方へご移動をお願い致します。」
母曰くベテランであるプリムに促され支度部屋に入ると私の周りをメイド達はバタバタと忙しそうに準備を始めた。
「クレア様、肌着の方失礼致します。」
「あ、はい。」
「クレア様、コルセット着用しますのでなるべくお腹を引っ込めて頂けますか?」
「は、はい。」
「せーの、はい!締めて!!」
「ぐえっ!」
「もーちょっと!」
「うぐぇっ!?も、無理です…。」
「パニエ着用しますので腕はこの位置で…そう、次ドレス用意して!」
「今やってます!」
「ドレス終わったらヘアセットよ!ドレスの色に合うように髪飾り今のうちから選んで!化粧台の準備もね!」
「「はい!!」」
…正直、正装お着替え舐めてました。これは普段と違いすぎる。
仕事の出来るメイドさん達の連携プレーにより凄いスピードで支度は進められ、思いっきり締められたコルセットのおかげで私の内臓は飛び出しそうになった。
やっとのことでヘアセットまで終えるといよいよ家族が待つ会場へ移動する。
いつもよりボリュームのあるドレスに苦戦しながらも部屋にたどり着き扉が開くとパンッ!と破裂音が鳴り響いた。
「「「クレア(様)、5歳のお誕生日おめでとう(ございます)!!」」」
家族や使用人達が部屋でクラッカーを鳴らしてお祝いしてくれ、目の前のテーブルにはケーキとご馳走が並んでいた。
「皆様、お祝いありがとうございます!」
私がお礼を告げると、両親がカインを連れて近づいてきた。
「クレア、お誕生日おめでとう。これは私達からのプレゼントだよ。」
父がそう語ると、母は私に綺麗な装飾が施された小箱を差し出してきた。
私はそっと蓋を開け中身を確認する。
「…!これは…。」
「髪飾りよ。1つの節目である5歳の誕生日だから、何か特別なものを贈ろうと思って、お父さんとお母さんで相談して決めたの。…クレアに取って特別な時、大事な時、大変な時。この髪飾りがお守り替わりという訳ではないけれど、少しでもクレアを勇気づけてくれることを願っているわ。」
金に控えめな装飾が施されたその髪飾りは、ゲームの中でクレアが特別な時によくつけていた髪飾りだった。
「これからも、健やかに育ってね。私達の愛しい子」
母の慈愛に満ちた笑顔に見つめられながら優しく頭を撫でられる。
クレアは、どのエンディングでどのような結末を迎えても最期のスチルはいつもこの髪飾りをつけていた。
家族からの真っ直ぐな愛を受けて育った彼女は、この願いが込められた髪飾りをつけて一体どのような心境で断罪の場に立っていたのだろうか。
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