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アルマ
告白
しおりを挟む屋敷に帰ると寝衣に着替え、いつものように触れるだけのキスをして手を繋いでベッドに横たわった。
「アルマ様、嬉しかったです。」
「ん?何がだ?」
「みんなに嫁だと紹介してくれたこと。」
「あぁ。」
「私はまだアルマ様に嫁だと認められていないと思っていたので。」
「そんなことは・・・。」
「いいんです。私は男ですし。」
確かにまだ迷いはある。
いや、迷いがあるのか?
毎日キスをして、手を繋いで一緒のベッドで寝て、抱きしめたりもしているのに。
ヴィーは繋いだ手に力を込めた。
そしてしばらくすると、小さな声で呟くように話し出した。
「アルマ様、好きです。
まだ私の片思いでいいです。嫌わないでいてもらえたらそれでいい。」
「・・・。」
俺は何と答えたらいいのか分からず、寝たフリをした。
そうか、そうだったのか。
そうだよな。そうでなければキスをしたり、手を繋ぎたいなどと言ったりはしないよな。
薄々気付いてはいた。
しかし、同時にそんなわけはないとも思っていた。
いや、知っているようで知らないなどと、誤魔化していただけだな。
嫌ってなどいないが、好ましいとは思うが、恋愛の好きかどうかは分からない。
ヴィーが望むならとキスを受け入れているし、手も繋いでいる。嫌だと思ったことはない。
ヴィーはいつから俺のことを好きになったんだろう?感情を少し見せるようになった頃か?
それとも結婚する時には既に?だとしたら俺たちは以前に会っているということか?
古い記憶を辿っても、彼のような綺麗で強い男に会った記憶は無かった。
分からないな。
俺はヴィーが希望するままキスも手を繋ぐことも一緒に寝ることも受け入れてきた。まだ心が無いというのに、思わせぶりな態度を取っていた。それはヴィーを苦しめていたのではないか?
そしてここにきて彼を周りに嫁だと紹介した。
俺は彼に酷いことをしているのかもしれない。
もっとよく考えて行動しなければ。
次の日の朝目覚めると、俺はヴィーを抱きしめてはいなかった。ヴィーに背を向けて寝ており、背中にはヴィーがピタリとくっ付いて寝ていた。
ヴィーを起こさないようにそっとベッドから抜け出して、寝顔を眺めた。
ヴィーは俺のことが好きなのか・・・。
まつ毛が長いんだな。薄っすらと開いた口と額にかかった前髪に少し幼さを感じた。
可愛いな。
俺は無意識にヴィーの髪を撫でており、ハッとそれに気付くと、慌てて手を離した。
俺はそれからヴィーと少し距離を置くことにした。気持ちが無いのに思わせぶりな態度も良くないと、キスも拒んだ。
手はヴィーの安全のために繋ぐこともあったが、家では繋がないようになった。
時折りヴィーを見ると、寂しそうな顔をしていたが、見ないふりをした。
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