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2人の運命

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「ディオ、浄化かけてくれるか?」
「うん。ちゃんと形跡は消しておかないとね。」
「あぁ。本当はそんなことしたくないんだが、今は我慢だな。」
「うん。卒業して、他国に渡ったら飽きるくらい愛し合おうね。」
「飽きることなんかないけどな。」
「言葉の例えだよ。私だってジョルに飽きることなんかない。」
「愛してるよ、ディオ。大好きだよ。ずっと、永遠に大好きだよ。」
「私も愛してる。ジョル、大好き。永遠に私はジョルだけのものだ。」

名残惜しいと何度もキスを重ね、そして最後の一歩までずっと手を繋いでいる。
しかし2人は希望を持っていた。どちらも後継ではないからある程度の自由はある。何ができるかは分からないが、2人一緒なら平民の底辺の生活になったとしてもいい。2人で協力すれば生きていくくらいはできる。
その日が来ることを2人は信じていた。



その後も何度も抜け出し逢瀬を重ねていたが、それがとうとう国にバレた。
それは、監視役が優秀すぎたことで起きた。
すぐに両国に通達されると、彼らは気付かれたことを知らないまま個別に呼び出された。
初めは厳重注意と、数週間の謹慎だった。
それでも想い合う2人は、諦めるどころか恋心を燃え上がらせた。

軟禁や、少々の体罰に似た罰も与えられたが、彼らは諦めなかった。


「ディオ、頑張ろうな。卒業まであと3ヶ月だ。」
「うん。頑張ろうね。あと少しの辛抱だね。」
「ディオ、大好きだよ。」
「うん。私もジョルが大好き。」


何度引き離しても抜け出したりしてしまう彼らに、両国の王はとうとう禁忌を使うことにした。記憶操作だ。
敵対しているはずなのに、こんなところだけはお互いに気が合ってしまうのはなぜだろうか。もっと他の部分で協力できたなら、想い合う彼らが引き裂かれることもなかったのに。


ジョルジーノとクラウディオは、また個別に呼び出された。
しかし2人とも、いつもの説教のために呼び出される時とは雰囲気が違うことに気づいた。これは本気で国が自分たちを引き離そうとしているのだと悟り、2人は別々に呼び出されたはずなのに、同じ時間に同じように逃れようと暴れた。
しかし、それも想定のうちだったのか、抗う彼らは手足を拘束され視界を奪われ聴力も奪われ、問答無用で記憶操作の魔法をかけられた。

彼らの中から互いの記憶のみを消すというのはとても大変なことに思うが、特定の人物に繋がる回路のみを遮断という方法で対処した。
彼らが魔法をかけられている間に、彼らの部屋からは日記やお互いに送り合ったプレゼント、思い出につながるようなものは全て処分された。

彼らに隷属にも似たその魔法がかけられると、さすがに彼らも抜け出すことは無くなった。
そうして彼らは記憶を封印され何も知らぬまま、卒業を迎えそれぞれの国へ帰っていった。

彼らの変化といえば、ジョルジーノの性格が荒くなったこと。
以前はクラウディオを見つめる優しい目が素敵だと、頼れる兄貴分として密かに憧れるものもいたが、言動も性格も荒くなり、笑顔を見せることは無くなった。
クラウディオは感情を失ってしまったようだった。その目には何も映っていないかのようで、凍りついた目を向けられると、誰もが目を逸らした。
愛嬌があり、可愛いと人気だった彼もまた、笑顔を見せることが無くなった。
 
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