僕の過保護な旦那様

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二章

117.有能な執事 ※

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 お腹いっぱいだ。みんなで夕食を食べて満足な気分で宿に向かう。
 ルーベンとグラートは寮に帰っていった。
 宿はリズとシルが同じ部屋でリーブは一人の部屋だ。僕はラルフ様と同じ部屋。

「ラルフ様、キスして?」
「キスはいいが、休まなくていいのか? 体が辛いんだろう?」
 全く辛くはない。たくさん歩いたから少し足が疲れているだけだ。

 ラルフ様は僕の体調が気になるのか、そっと触れるだけのキスを何度かして、僕のことを抱きしめて寝ようとした。
 しないの? それともしたくないの?
 久しぶりに会ったのに。

「ラルフ様、愛してください」
「マティアス、愛してる」
 そう言ってラルフ様は僕の額にキスしてくれた。だけどそれだけだった。
 そうじゃなくて……

「しないの?」
「マティアスの負担になる」
「そんなことない。ラルフ様に愛されたい。寂しかった」
「本当に大丈夫か?」
 病気みたいなものなんて言わなきゃよかった……

「大丈夫。病気じゃないから。でも、あんまり僕の体見ないでください」
「なぜだ?」
 ラルフ様は急に僕を最速で裸にして、めちゃくちゃ見てる。僕はシーツを手繰り寄せて隠そうとするんだけど、ラルフ様はそれを許してくれなかった。

「やめてよ。そんなに見ないで。だって……」
「マティアスは可愛い。綺麗だ。何がある? 何を隠してる?」
 隠してない。隠そうとしたけど隠せなかった。

「……丸くなった」
「そうか。それでもマティアスは最高だ」
「うん、そっか」
 いいか? とラルフ様の熱を帯びた目が僕を見つめてくる。その視線で見つめられたかった。ギュッと心臓を掴まれたみたいに苦しくて、そして僕の全身が期待してる。

「早く」
 それでもまだ不安なのか、ラルフ様は優しく僕に触れてくる。このたまにする、そっと触れるの何なの?
 焦らさないで。早く僕をラルフ様で満たしてほしい。

「ラルフ様が帰ってきてくれた時、熱出たから、ごめんなさい」
「気にすることはない。しかしマティアスは一人にできない。俺がそばにいないと無茶をする」
 そんなことないよ。でも庭で寒い格好で無茶をして風邪を引いた過去があるから、否定もできなかった。

「ねえ、優しいのやだ。ラルフ様……」
「煽るな。マティアスは俺のことを試しているのか?」
 試してるのはラルフ様じゃないの?
 僕の弱いところ全部知り尽くしてるくせに、力加減だって知ってるくせに。

「我慢できないかもしれない。今日のマティアスはいつもに増して肌が柔らかくて気持ちいい」
 それ、ミーナのマッサージのおかげですね。
 ラルフ様の目が一段と燃え上がって、僕は火傷しそうになる。その瞬間が好きだ。

「ああっ……」
 僕の胸にしゃぶりつくラルフ様の髪に触れる。髪、伸びたな。ラルフ様の髪は意外と柔らかい。この触り心地が好きだ。

「ああっ、待って、僕もしたい」
「マティアスは飲むからダメだ」
 僕も口でしたかったのに。ラルフ様だけずるい。

「じゃあ上に乗るのはいい?」
「いいぞ。ちゃんと解してからな」
「うん」

 僕はラルフ様に散々啼かされて、イかされて、ヘロヘロになりながらラルフ様の上に跨った。
 左手でラルフ様の硬いものを掴んで、位置を合わせてゆっくりと腰を落としていく。
「んん……あ、はあ……」
 先さえ入れば、あとはゆっくりラルフ様を僕の奥に迎えるだけだ。
 きっと早く動きたいのに、ラルフ様は待っていてくれる。ゆっくりと上下に動きながら、ラルフ様と一つになる。

「マティアス、キスしたい」
「いいですよ」
 ラルフ様は腹筋だけで軽々と上体を起こして、僕を抱きしめた。少し冷たい肌が気持ちいい。表面は少し冷たいのに、内側から熱が湧き上がってくるみたいで、触れているとだんだんと焦がされるように熱くなる。

 チュクチュクと唾液が混ざり合う水音が劣情を煽ってくる。
「マティアス、しっかり掴まってろ」
「ん……ああっ」
 これはラルフ様が我慢できなくなった時の合図だ。期待で胸が高鳴って、僕はラルフ様の首に腕を回した。

 激しい律動がくると覚悟したのに、意外にもゆっくり優しく奥をトントンしてくる。
「マティアス、奥までいっていいか?」
「ん。いいよ」
 ラルフ様はこじ開けるんじゃなく、ゆっくりとそっと奥まで侵入してきて、僕の全身が粟立つ。
 抱きしめる太い腕にも力がこもって、僕は必死でラルフ様の頭を抱えるんだ。

「ああっ……」
 奥まで入ってくる時は少し怖い。ふわふわして、意識がすぐに飛びそうになるから。思考は溶けてどこかにいってしまう。ラルフ様の声が遠くて、愛してるって言葉が頭の中に反響してる。
 ああ、幸せだ。ふわっと意識を手放して、そしてまた快楽で意識が浮上する。

「あっ……また出ちゃう」
「いいぞ。たくさん出せ」
「もう出ない。もう出ないよ……」

 もう無理って言ったのに、ラルフ様は明け方近くまで放してくれなかった。


 しまった……
 ここは迷宮の街ラビリントだ。この腰痛、どうすればいい?
 僕は朝になって、ラルフ様と求め合いすぎたことを反省した。しかし後悔先に立たずだ。
 こんなところまで来て、僕はラルフ様に抱えられて歩くとか恥ずかしいんだけど。

 ラルフ様は部下の人たちの報告を確認するために寮へ戻っていった。ゆっくりと歩いて部屋を出て洗面所に向かう。
「マティアス様、おはようございます。ゆっくりお休みになられましたか?」
 リーブはこんなに朝早いのに、一ミリも隙がないくらい完璧な執事の格好で声をかけてきた。僕はまだ寝癖すら直せていないっていうのに。
 ゆっくりお休みにはなっていないし、腰を痛めている……

「リーブ、ないと思うけど一応聞いていい?」
「ええ、なんでしょうか?」
「腰痛の湿布なんて持ってきてないよね?」
「ありますよ。すぐにお部屋にお届けします」
 リーブが優秀すぎる。リーブ、本当にありがとう。こんなところまで来てハメを外してしまった僕を許してください。


 
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