僕の過保護な旦那様

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二章

342.忙しいラルフ様(※)

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 ラルフ様は例の対策ってやつのためか、騎士団へも行くようになった。そして部下のみんなも忙しそうだ。
 フェリーチェ様が言っていた『面白そうな行事』ってのが僕が想像するより危険なものなのか、それともラルフ様が心配性なだけなのか、僕には分からない。

 いつもより少し遅い時間に帰宅したラルフ様と一緒に夕食いただき、その後はソファにゆったりと座ってキャンドルの火を眺めていた。今日はスパイシーなシナモンの香りで、優雅なひと時を過ごす。
「ラルフ様、忙しそうですね」
「そうだな。マティアス、寂しかったか? すまない」
 何も言ってないのに、僕はラルフ様にサッと攫われてベッドに運ばれた。
 少しは寂しかったけど、それよりも、そんなに忙しそうにしていると気になってしまうんです。また僕だけ知らないんだ。

「マティアス、寂しい思いをさせてすまない。今日はたくさん愛し合うぞ」
「うん」
 そんな風に宣言されるとすごく恥ずかしい。もう脱がされて裸なんだから今更だけどさ……

 啄むようなキスを何度も繰り返されると、僕もすぐに我慢できなくなってしまう。
「もっとキスしたい」
「マティアスは大胆だ」
 そうかな? よく分かんないと思っていると舌がぬるりと侵入してきて絡み合う。
 ラルフ様のキスが首筋から鎖骨を伝って胸まで下りて、僕の胸の先端を捉えた。

「あっ……」
「マティアス、気持ちいいか?」
「んっ……気持ちいい」

 ラルフ様の大きくて温かい手で中心を撫でられると、ビクリと反応してしまう。そのまま握り込んで優しく扱かれると、それだけで達しそうになる。
「あっ……だめ、出ちゃう」
「いいぞ。我慢しなくていい」

 急に柔らかい感触に包まれたかと思うと、もう我慢できなかった。
「んんっ……」
 ビュクッビュクッと欲望を吐き出すと、チュウッと吸われる感触があった。閉じていた目を開けて下を見ると、ラルフ様が僕のものを咥えていた。
「え? ラルフ様ずるい! 僕にもやらせてください」
「マティアスは飲むからダメだ」
 ラルフ様だって僕の飲んだくせにずるい。

 口でしたい、ダメだ、という押し問答を繰り返すと、だんだん性欲かただの意地か分からなくなってきた。中心ももう元気を失っている。
「もういいです。僕はもう寝ます!」
 そう言うと、ラルフ様は「悪かった、そんなこと言うな」と悲しそうな顔で折れてくれた。
 肩が内側に巻き込まれて、いつもよりラルフ様が小さく見える。そんなにショックなんて思わなかったからごめんなさい。
 でも譲れないものもあるんだ。

 ラルフ様を押し倒すと、ゆっくりとラルフ様は背中からベッドに沈み込んでいった。
「途中で止めるのは無しですからね」
「分かった」
 またラルフ様の怪しい『分かった』が出た。
 何がなんでもラルフ様のものを飲みたいわけじゃない。ラルフ様を僕の中に取り込みたい気持ちは少なからずあるけど、僕だってラルフ様に気持ち良くなってほしい。いつも守られて与えられるだけでは嫌なんです。

「んっ……」
 いつも思うけど、同じ男とは思えないほどに大きさが違う。顎が外れるくらいに口を開けないと入らないとかどうなっているのか。血管がドクドクして、舌を這わせるとビクッと小さく反応してくれるのが嬉しい。ラルフ様、大好きです。

「マティアス、もう……ダメだ。くっ……」
 我慢しなくていいのに。もちろん僕はたくさん喉の奥に出されたものは全部飲み干した。

「明日はずっと側にいよう。マティアスの体調が悪くなるかもしれん」
「大丈夫です。ラルフ様のものが僕の血となり肉となり、むしろ元気になります!」
 僕が飲んだから心配になったのか、その日の夜はちょっと加減された。

「ラルフ様、お仕事に行っていいんですよ」
「ダメだ。容態が急に悪化するかもしれん」
 僕は病気じゃないし少し腰は痛いけど、走り回れるくらい元気だ。だからもう降ろしてください。

「あれ? マティアス様、また迷子にでもなったの?」
 遊びに来たフェリーチェ様に言われたけど、今日はそっちの理由ではないんです。

「チェーみて、くんしょーなの」
 シルが、僕がミーナに頼んで作ってもらった勲章メダルを胸につけて嬉しそうに自慢している。
「おお! 格好いいね、シルくんはマティアス様を助けたんだもんね、偉いね!」
「うん、これかっこいい!」
 フェリーチェ様に自慢すると満足したのか、シルはパンのところに走って行ってしまった。
 シルも今日はラルフ様が休んでいるからパンと一緒に庭で遊んでいる。てんとう虫を見つけて指に乗せてパンと一緒に眺めたり、庭に咲いた花の匂いを嗅いだり、ゆったりと過ごしている。

 当たり前だけど僕は体調を崩すこともなくラルフ様の腕の中で一日を過ごし、翌日からラルフ様は仕事に戻った。
 それで『面白そうな行事』ってのはいつどこであるんだろう?
 フェリーチェ様なら詳細を教えてくれるかと思って聞いてみたんだけど、「面白いことが起きるから楽しみにしてて」と言って綺麗な顔で笑うだけだ。

 そういえば、みんなで出かけるって聞いたけど、みんなって誰だろう。タルクとルーベンも呼ぶみたいなことを言っていたけどまだ来ない。フェリーチェ様が楽しみにしてるってことはリヴェラーニ夫夫は決定だとして、僕とラルフ様とシルと、他には誰が一緒かな? ロランドとルキオも一緒がいいな。リーノとピグロはどうだろう? ピグロは馬の世話があるから難しいかな? 御者が必要ならリーブとグラートか、バルドとロッドを連れていくんだろう。

 先日やっとラルフ様の許可が下りて久しぶりに花屋の仕事に行った。ヴィートの紹介で働き始めたティミドくんが頑張って働いてくれているとマチルダさんが喜んでいる。気にはなっていたんだ。色々が色々重なって仕事を一緒にする機会がなかったけど、頑張っているみたいで安心した。

 例の『面白そうな行事』って話はなくなってしまったみたいに、あれから話を聞かない。
 ラルフ様が忙しそうにしていたのは、騎士団の仕事が本当に忙しかっただけかもしれない。
 なんだ、期待していただけに残念だ。

 最近ピグロとリーノが机に向かっているところを見るようになった。もしかしてリーノはピグロに丁寧な言葉やマナーを教え始めたんだろうか?
 リーノとしては、仲良くなってピグロのことを理解しても、マナーは必要だと考えているのかもしれない。
 ピグロに教えるのはすごく大変そうだけど頑張ってほしい。
 そして、例えもう無理だと諦めることがあっても、決して自分のせいだと思わないでほしい。

 
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