朝焼けは雨

怜悧(サトシ)

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第61話→sideR

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意識が朦朧としていて呂律が回っていないハルカに、水上はこれから俺の奴隷として一生いきると誓わせてから、馬を引くように部下に命令して解放する。

「僕はね、服従しない奴隷もイヤだけど、人を裏切って死にたいなどとぬかす輩がなによりも嫌い」
水上はそういってグッタリとしているハルカの拘束を外して、下肢の酷い惨状を隠すようにバスタオルをかける。
「.....どういうつもりだ」
「簡単なことさ。壊れててもいいって言い切る君の必死さに、単純に感動したんだよ」
バスタオルに包まれたハルカを部下に抱えさせて、ストレッチャーに載せると、俺の方へと引渡す。
「ハルカ、ハルカ.....大丈夫か?!」
目を見開いたままブルブルと震え続けているハルカの目線に屈んで頬を撫でる。
恐怖にとりつかれたような表情で、視界に俺がいるのかは謎である。
昨日殴った痕が頬にまだ残っているのに、俺はいたたまれなくなる。
殴ったのはまずかったな。
「壊せと言ったのはハルカだからね。僕は、謝らないけど。君も彼をちゃんと支配してあげなさい。じゃないとまた逃げ出すよ」
水上が俺に部屋のカギを渡す。
「.....し、はい?」
「1度調教した奴隷は、支配されたいと思うようになっているんだよ。本人は気づいてないけどね。まだ、2、3日しか経ってないからわからないかもしれないけど、串崎からは言われなかったか」
「トリセツは貰ったが.....」
「素人に渡すなんて、串崎もヤキが回ってるよね」
ストレッチャーの上のハルカの上体を抱きしめて、俺は水上を見上げる。
「いいよ、じゃあ。返すかわりに2週間に1回2人でここにきなさい。ちゃんと君にも教えてあげるから」
「なにを?」
マイペースな水上の様子に、すっかり毒気を抜かれた俺は素直に首をひねってみせる。
「奴隷の飼い方」
「俺はハルカを、そんな風には…...」
「だから、足りないんだよ。だから、ハルカは逃げ出した。君が補わなくちゃならない」
水上の真摯な言葉に、俺はただ頷いた。
ハルカのためなら何でもできるっていうのは、変わらない。ハルカが望むなら、俺はなんにだってなる。

「教えてください」
「君は素直なイイコだね。名前は何ていうの?」
「峰頼人」
「ミネね.....ハルカのお兄さん?」
「ハルカは、偽名だから.....。とっさに俺の苗字名乗ってただけ」
「ふうん。案外両思いなんだね。じゃあ、部屋でハルカの体を洗ってあげて。医療班を部屋にやるから、治療もしてもらってから少し休むといいよ」
水上は、興味をなくしたかのように俺を一瞥すると、部屋の中にいる客たちに向き直り、ショーの続きの再開を告げた。
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