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第62話→sideR
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こんなにも話が上手くいくことなどあるのだろうか。とりあえずハルカの体が心配なのは確かなので、ストレッチャーに載せたまま部屋まで運び、半ば意識が朦朧としている体を抱えて風呂に入れて洗った。
ハルカはされるがままで、ぼんやりしたまま俺を見ていた。医療班がやってきて薬やなにやらを塗る間も何も言わずに、ぼんやりしたままで、俺は不安になりながら、ずっと傍らで腕を握っていた。
俺よりでかい掌が、ずっと小刻みに震えているのがわかった。
声をかけるべきかどうかためらってハルカを見つめていると、ハルカは俺の体にしなだれかかってきた。
「.....ハルカ?」
いつもしないような仕草に驚いて声をあげる。
「.............バカ.....だな.....、ライ」
掠れきった声はハルカのもので、水上が精神崩壊してる可能性があるといったが、ハルカは壊れちゃいないようだった。
「ああ.....もう逃がさねえよ。オマエは俺のだ」
宣言して強く手を握ると少しだけ安心したかのように、体重を移してくる。
「いいのかよ.....ケツはガバガバだし、何もねえ」
「そんなのは関係ねえよ。ハルカのためなら何でもする。.....三つ子の魂百までなんだよ.....」
腰に腕を回して抱き寄せると、ハルカは眉を軽くあげてグッタリとしたまま目を伏せて首を横に振る。
「.......オマエがそんなんだから、俺は逃げたくなる。オマエから逃げられるなら.....死んでもイイって思ったくせに、覚悟がなかった.....、最後の最後でオマエと生きたいと思った」
だから、誓いを口にしたのだと告げたハルカに胸がざわつく。
逃げさせたのは、俺のせいか。
「.....ハルカ」
「俺は、もう普通に生きられねえ。オマエに支配して欲しいと願っちまう。そんなことを言うくらいなら死にたいと思った。だけど、死ねなかった。もう、俺はオマエのボスじゃいられない。それでもいいか?」
低い声で迷いながら告げるハルカは、いままでのハルカとは変わっていない。
だけど、正直な気持ちなのだろう。
「.....ああ.....元々そんなの求めてない」
ハルカはキュッと俺の手を強く握る。
迷うような唇が、僅かに震えている。
「じゃあ、俺の御主人様になってくれ」
「ハルカ。分かった.....。ハルカをもうどこにも逃がさない。一生俺のモノだ.......」
言葉を強くすると、ハルカは気恥しいのか俺の胸に顔を押し付けて頷いた。
ハルカの背中を撫でていて、大分落ち着いてきたのがわかる。落ち着いたら、早くここを出なくてはならないと頭のどこかで考えている。
あまり長居をして取り返しがつかないことになるのは勘弁だ。
ハルカの首には、来た時につけられたのか黒い首輪がつけられている。カギがついているが、外せないことはないだろう。
その革が、俺が付けた痕を隠していて少しだけ罪悪感が減っている。
「なあ、ハルカ。車で来ているけど駐車場まで歩けるか」
車をもってこようかと考えたが、ハルカを1人にはしたくないので、ハルカが歩けないならば背負うしかない。
「.....ああ.....腰が抜けてるけど、ライにつかまっていけばなんとか.....」
小さいポニーとはいえ、人間じゃないものに力任せに貫かれたのだ。いま意識を保っているのが不思議なくらいだろう。
どうにか歩けないこともない、か。
体を起こそうとすると、ガチャリと扉が開いた。
思わず身構えると、水上がゆっくりと入ってくる。
「.....ハルカ、もう、動けるのかい?」
まるでモニタリングをしていたように、頃合いのいい登場である。いや、きっとモニタリングしてたのだろう。
「.....ああ.....まあ.....うご、ける」
ハルカが、水上を見て恐怖にか体を強ばらせているのが伝わる。
「まだゆっくりしていきなさい。ミネ君には、ちゃんと奴隷の飼い方を教えてあげないとならないしね」
水上が近寄ってくるのに、俺は警戒を解かずにハルカの体を引き寄せる。
「飼い方?.......なん、ですか」
「ミネ君には、まだレクチャーが必要だからね。ハルカ、君もちゃんと協力するんだよ」
「レクチャー、って....」
「.....人間を支配するための方法だよ」
水上の言葉がわからず、俺は眉をキュッと寄せて視線を向けて、ハルカを見返すと、ハルカは俺をちらと見やり少し俯く。
ハルカは支配、されたいんだったか。
「僕がハルカを返すのは、君が串崎からの譲渡書を持ってるというのが大きいけどね。この世界は契約がすべてだから」
言いながら、もってきたトランクをあけて机の上に札束を並べ出す。
「これは、君の所有物に傷をつけた損害金だよ」
ぱっと見で500万はありそうだった。
「ハルカが望んだこと、なんだろ」
「奴隷の望みなどは関係ない。我々の権利の問題だからね。これは君が受け取りなさい、そしてハルカの全ては君に帰属することを覚えておきなさい」
水上が言いたいことは難しく感じたが、ハルカの治療にかかる費用だと考え受け取ることにした。
「そして、ハルカは勝手なことをしたことを彼に詫びなさい。奴隷の詫び方は教えたよね」
水上がハルカに命じるのを、俺はいらついて睨みつけたが、水上は横に首を振った。
羽織っていたタオル生地のバスガウンを脱いで、裸になると、座っていたソファーから降りて膝まづいて俺の足の指先に唇を当てる。
「どうか.....ゆ、ゆるして、ください」
低い掠れた声が、床を反射して俺の耳に響いた。
ハルカはされるがままで、ぼんやりしたまま俺を見ていた。医療班がやってきて薬やなにやらを塗る間も何も言わずに、ぼんやりしたままで、俺は不安になりながら、ずっと傍らで腕を握っていた。
俺よりでかい掌が、ずっと小刻みに震えているのがわかった。
声をかけるべきかどうかためらってハルカを見つめていると、ハルカは俺の体にしなだれかかってきた。
「.....ハルカ?」
いつもしないような仕草に驚いて声をあげる。
「.............バカ.....だな.....、ライ」
掠れきった声はハルカのもので、水上が精神崩壊してる可能性があるといったが、ハルカは壊れちゃいないようだった。
「ああ.....もう逃がさねえよ。オマエは俺のだ」
宣言して強く手を握ると少しだけ安心したかのように、体重を移してくる。
「いいのかよ.....ケツはガバガバだし、何もねえ」
「そんなのは関係ねえよ。ハルカのためなら何でもする。.....三つ子の魂百までなんだよ.....」
腰に腕を回して抱き寄せると、ハルカは眉を軽くあげてグッタリとしたまま目を伏せて首を横に振る。
「.......オマエがそんなんだから、俺は逃げたくなる。オマエから逃げられるなら.....死んでもイイって思ったくせに、覚悟がなかった.....、最後の最後でオマエと生きたいと思った」
だから、誓いを口にしたのだと告げたハルカに胸がざわつく。
逃げさせたのは、俺のせいか。
「.....ハルカ」
「俺は、もう普通に生きられねえ。オマエに支配して欲しいと願っちまう。そんなことを言うくらいなら死にたいと思った。だけど、死ねなかった。もう、俺はオマエのボスじゃいられない。それでもいいか?」
低い声で迷いながら告げるハルカは、いままでのハルカとは変わっていない。
だけど、正直な気持ちなのだろう。
「.....ああ.....元々そんなの求めてない」
ハルカはキュッと俺の手を強く握る。
迷うような唇が、僅かに震えている。
「じゃあ、俺の御主人様になってくれ」
「ハルカ。分かった.....。ハルカをもうどこにも逃がさない。一生俺のモノだ.......」
言葉を強くすると、ハルカは気恥しいのか俺の胸に顔を押し付けて頷いた。
ハルカの背中を撫でていて、大分落ち着いてきたのがわかる。落ち着いたら、早くここを出なくてはならないと頭のどこかで考えている。
あまり長居をして取り返しがつかないことになるのは勘弁だ。
ハルカの首には、来た時につけられたのか黒い首輪がつけられている。カギがついているが、外せないことはないだろう。
その革が、俺が付けた痕を隠していて少しだけ罪悪感が減っている。
「なあ、ハルカ。車で来ているけど駐車場まで歩けるか」
車をもってこようかと考えたが、ハルカを1人にはしたくないので、ハルカが歩けないならば背負うしかない。
「.....ああ.....腰が抜けてるけど、ライにつかまっていけばなんとか.....」
小さいポニーとはいえ、人間じゃないものに力任せに貫かれたのだ。いま意識を保っているのが不思議なくらいだろう。
どうにか歩けないこともない、か。
体を起こそうとすると、ガチャリと扉が開いた。
思わず身構えると、水上がゆっくりと入ってくる。
「.....ハルカ、もう、動けるのかい?」
まるでモニタリングをしていたように、頃合いのいい登場である。いや、きっとモニタリングしてたのだろう。
「.....ああ.....まあ.....うご、ける」
ハルカが、水上を見て恐怖にか体を強ばらせているのが伝わる。
「まだゆっくりしていきなさい。ミネ君には、ちゃんと奴隷の飼い方を教えてあげないとならないしね」
水上が近寄ってくるのに、俺は警戒を解かずにハルカの体を引き寄せる。
「飼い方?.......なん、ですか」
「ミネ君には、まだレクチャーが必要だからね。ハルカ、君もちゃんと協力するんだよ」
「レクチャー、って....」
「.....人間を支配するための方法だよ」
水上の言葉がわからず、俺は眉をキュッと寄せて視線を向けて、ハルカを見返すと、ハルカは俺をちらと見やり少し俯く。
ハルカは支配、されたいんだったか。
「僕がハルカを返すのは、君が串崎からの譲渡書を持ってるというのが大きいけどね。この世界は契約がすべてだから」
言いながら、もってきたトランクをあけて机の上に札束を並べ出す。
「これは、君の所有物に傷をつけた損害金だよ」
ぱっと見で500万はありそうだった。
「ハルカが望んだこと、なんだろ」
「奴隷の望みなどは関係ない。我々の権利の問題だからね。これは君が受け取りなさい、そしてハルカの全ては君に帰属することを覚えておきなさい」
水上が言いたいことは難しく感じたが、ハルカの治療にかかる費用だと考え受け取ることにした。
「そして、ハルカは勝手なことをしたことを彼に詫びなさい。奴隷の詫び方は教えたよね」
水上がハルカに命じるのを、俺はいらついて睨みつけたが、水上は横に首を振った。
羽織っていたタオル生地のバスガウンを脱いで、裸になると、座っていたソファーから降りて膝まづいて俺の足の指先に唇を当てる。
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