4 / 14
忘れえぬひと
side Hasegawa
しおりを挟む
ゆっくり焦らして何度も指だけで追い詰めて絶頂へと追いやった。
身体は限界を越していたのに、逃げることもせずに甘い声でオレの名を呼んでいた。
ようやく体液にまみれて床に倒れこんだ意識のない彼の体を眺めおろす。
汚してしまった。
相変わらず綺麗に艶やかな髪も、あの頃より筋肉質な体も本当に綺麗だったのに……。
こんなことがしたかったんだっけ……。
許せない気持ちばかり思いだしてしまう。
洗濯機の近くの棚からタオルを手にしてぬるま湯で濡らしてもってくる。
オレがかけた冷たい言葉に傷つきながらも、あの頃のような目を変わらずに向けてくる彼を、オレはついつい試してしまっていた。
そっと体液を拭って、体中を清める。
ただただ目の前にいるこの人が怖くて、意気地無しで抱くことさえできなかった。
ただ、彼を辱めるだけで精いっぱいになって、オレは体をつなげることができなかった。
すっかり、オレは臆病になっちまってる。
誰も信じることが、できなくなってしまった。
多分、あの時成春はオレのことを考えて、オレの前から消えることを選択したのはわかった。
迎えに行った時に、力がないことをまざまざと感じて成春の気持ちも理解できたはずだった。
理解できるのと……納得するのはわけがちがう。
あれから、どんなに忘れようと頑張っても、どんなに頑張ってもできなかった。
「………」
ぎゅうっと意識のないその体を抱きしめる。
愛している。
成春が言っているのと同じように、オレの心もその気持ちは今も変わらない。
ずっと変えられなかった。
それなのに、それを口にすることがどうしてもできない。
10年間誰のものでもなかったという、その言葉には嘘はないだろう。
まるで処女のように、初めて抱いた時よりずっと堅く拒んだアナルがその証拠だろう。
重たい成春の体をなんとか抱き上げて、寝室へと運ぶ。
オレが、留学していた間も待っていてくれたといっていた。多分嘘はないだろう。
高校の時も、会わないように避けていた時でさえ、オレのことをずっとつけていたと聞いたこともあった。
気質的に、そういうストーカーチックなノリもあるのは知っている。
あの高校に彼と仲がいい相手などはいなかったと思うが、何かツテを辿ったりする手段を思いつかないあたりが、ほんとうに不器用な人だなと思う。
寝室のドアを開いて部屋の中に入る。
綺麗に整頓されていて、生活感はあるが成春とどうよう飾らない感じがするシンプルな部屋だ。
少し大きめのベッドに成春を横たえると、ベッドの上に置いてあるものにオレは目を奪われた。
なくしたと思っていた。
あの時、最後に一緒にいた日にかけていたオレの伊達眼鏡が、大切そうに、ケースに入れてほこりも被らないようにして置いてあった。
ずっと、持っていたのか。
……本当に……バカな人だ……。
10年も経ったら、オレの心なんて変わってるかもしれないのに、ずっと持ち続けて待ってるなんて。
許して欲しいのだと、心から訴えている表情に……オレのキモチもほどけかけている。
だけど……。
あの時のように、この人が急に消えたらなんて思うと怖くて仕方が無い。
スキだと口に出すことが……。
本当に怖い。
あの時の気持ちを忘れることなんて、できやしねえのに……。
「………せいは……」
呼ばれて焦って振り返ると、成春は寝言を言ったらしくもにゃもにゃと口を動かしている。
愛らしいしぐさに思わず唇をその唇へと落とした。
いい匂いがする。
「……貴方は……大馬鹿……だ」
成春の匂い……。
こんなにも胸がきゅうと掴まれるように痛い。
何の夢を見ているのか、柔らかい笑みを刻んですやすやと眠っている。
胸の中に広がるのは、たまらなくなるほどの安らぎと愛しさ。
手に入れたいと……こころから……。
「バカは………………オレの方か……」
オレはその頬に伸ばしかけた掌をぐっと握り込んで、自分の胸元に抑え込んだ。
身体は限界を越していたのに、逃げることもせずに甘い声でオレの名を呼んでいた。
ようやく体液にまみれて床に倒れこんだ意識のない彼の体を眺めおろす。
汚してしまった。
相変わらず綺麗に艶やかな髪も、あの頃より筋肉質な体も本当に綺麗だったのに……。
こんなことがしたかったんだっけ……。
許せない気持ちばかり思いだしてしまう。
洗濯機の近くの棚からタオルを手にしてぬるま湯で濡らしてもってくる。
オレがかけた冷たい言葉に傷つきながらも、あの頃のような目を変わらずに向けてくる彼を、オレはついつい試してしまっていた。
そっと体液を拭って、体中を清める。
ただただ目の前にいるこの人が怖くて、意気地無しで抱くことさえできなかった。
ただ、彼を辱めるだけで精いっぱいになって、オレは体をつなげることができなかった。
すっかり、オレは臆病になっちまってる。
誰も信じることが、できなくなってしまった。
多分、あの時成春はオレのことを考えて、オレの前から消えることを選択したのはわかった。
迎えに行った時に、力がないことをまざまざと感じて成春の気持ちも理解できたはずだった。
理解できるのと……納得するのはわけがちがう。
あれから、どんなに忘れようと頑張っても、どんなに頑張ってもできなかった。
「………」
ぎゅうっと意識のないその体を抱きしめる。
愛している。
成春が言っているのと同じように、オレの心もその気持ちは今も変わらない。
ずっと変えられなかった。
それなのに、それを口にすることがどうしてもできない。
10年間誰のものでもなかったという、その言葉には嘘はないだろう。
まるで処女のように、初めて抱いた時よりずっと堅く拒んだアナルがその証拠だろう。
重たい成春の体をなんとか抱き上げて、寝室へと運ぶ。
オレが、留学していた間も待っていてくれたといっていた。多分嘘はないだろう。
高校の時も、会わないように避けていた時でさえ、オレのことをずっとつけていたと聞いたこともあった。
気質的に、そういうストーカーチックなノリもあるのは知っている。
あの高校に彼と仲がいい相手などはいなかったと思うが、何かツテを辿ったりする手段を思いつかないあたりが、ほんとうに不器用な人だなと思う。
寝室のドアを開いて部屋の中に入る。
綺麗に整頓されていて、生活感はあるが成春とどうよう飾らない感じがするシンプルな部屋だ。
少し大きめのベッドに成春を横たえると、ベッドの上に置いてあるものにオレは目を奪われた。
なくしたと思っていた。
あの時、最後に一緒にいた日にかけていたオレの伊達眼鏡が、大切そうに、ケースに入れてほこりも被らないようにして置いてあった。
ずっと、持っていたのか。
……本当に……バカな人だ……。
10年も経ったら、オレの心なんて変わってるかもしれないのに、ずっと持ち続けて待ってるなんて。
許して欲しいのだと、心から訴えている表情に……オレのキモチもほどけかけている。
だけど……。
あの時のように、この人が急に消えたらなんて思うと怖くて仕方が無い。
スキだと口に出すことが……。
本当に怖い。
あの時の気持ちを忘れることなんて、できやしねえのに……。
「………せいは……」
呼ばれて焦って振り返ると、成春は寝言を言ったらしくもにゃもにゃと口を動かしている。
愛らしいしぐさに思わず唇をその唇へと落とした。
いい匂いがする。
「……貴方は……大馬鹿……だ」
成春の匂い……。
こんなにも胸がきゅうと掴まれるように痛い。
何の夢を見ているのか、柔らかい笑みを刻んですやすやと眠っている。
胸の中に広がるのは、たまらなくなるほどの安らぎと愛しさ。
手に入れたいと……こころから……。
「バカは………………オレの方か……」
オレはその頬に伸ばしかけた掌をぐっと握り込んで、自分の胸元に抑え込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―
なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。
――はずだった。
目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。
時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。
愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。
これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。
「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、
年上αの騎士と本物の愛を掴みます。
全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
【8話完結】ざまぁされて廃嫡されたバカ王子とは俺のことです。
キノア9g
BL
廃嫡され全てを失った元王子。地道に生きたいのにハイスペ幼馴染が逃がしてくれません。
あらすじ
「第二王子カイル、お前を廃嫡する」
傲慢な振る舞いを理由に、王位継承権も婚約者も失い、国外追放されたカイル。
絶望の最中、彼に蘇ったのは「ブラック企業で使い潰された前世の記憶」だった。
「もう二度と、他人任せにはしない」
前世の反省を活かし、隣国の冒険者ギルドで雑用係(清掃員)として地道にやり直そうとするカイル。しかし、そんな彼を追いかけてきたのは、隣国の貴族であり幼馴染のレオナードだった。
「君がどんな立場になろうと、僕にとっては君は君だ」
落ちぶれたカイルに変わらぬ愛を注ぎ、元婚約者の悪意ある噂からも守り抜くレオナード。
すべてを失った元バカ王子が、社畜根性と幼馴染の溺愛によって幸せを掴むまでの、再起と愛の物語。
全8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる