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第五話:領主の来訪、そして忍び寄る森の影
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グリューネヴァルト辺境伯レオンハルトの視察の日が近づくにつれ、ミモザ村は普段の静けさとは打って変わって、どこか浮き足立ったような、それでいて緊張感に満ちた独特の空気に包まれていた。
村長や長老のマーサを中心に、村人たちは総出で辺境伯を迎える準備に奔走した。
村へと続く唯一の小道は丁寧に掃き清められ、道端にはささやかながらも村の子供たちが摘んできた野の花が飾られた。
広場には、村で一番大きな樫の木の下に粗末な木のテーブルと椅子が用意され、そこが辺境伯の休憩場所となる予定だ。
献上品としては、今年豊作だった蜂蜜と、村の女たちが腕によりをかけて織った素朴な麻布が選ばれた。
フィリアもまた、その準備に目立たないように、しかし精力的に手を貸していた。
彼女は、村の女性たちと共に歓迎の食事の準備を手伝い、限られた食材の中で栄養バランスを考えた、素朴だが心のこもった料理の献立を提案した。
また、村の子供たちには、辺境伯への歓迎の気持ちを込めた短い歌を教え、その澄んだ歌声は、準備に追われる大人たちの心を和ませた。
「フィリア、お前さんがいてくれて本当に助かるよ。まるで、何人も働き手が増えたようだ。」
マーサは、フィリアの手際の良さと細やかな気配りに、改めて感嘆の言葉を漏らした。
フィリアは、そんな村人たちの期待と緊張を肌で感じながらも、内心では複雑な思いを抱えていた。
辺境伯レオンハルト。
アストリア王国の高位貴族。
それは、彼女が捨ててきた過去の世界の住人だ。
もし、万が一にも自分の素性が知られてしまえば、このささやかな安息の日々も失われてしまうかもしれない。
そんな不安が、時折胸をよぎる。
しかし、それ以上に、このミモザ村の人々のために自分ができることをしたいという気持ちの方が強かった。
彼らは、絶望の淵にいた自分を受け入れ、温かく接してくれた大切な存在なのだから。
そして、ついに視察の日がやってきた。
朝から晴れ渡った空の下、村の入り口には村長をはじめとする村人たちが緊張した面持ちで整列し、辺境伯の一行の到着を今か今かと待ち構えていた。
やがて、遠くから蹄の音が響き始め、それが次第に大きくなると共に、一行の姿が見えてきた。
先頭に立つのは、黒馬に跨った一人の若き騎士。
陽光を反射して鈍く輝く黒い鎧に身を包み、腰には長剣を帯びている。
年の頃は二十代半ばだろうか、日に焼けた精悍な顔つきに、鷲のように鋭い金色の瞳。
背は高く、鍛え上げられたその体躯からは、歴戦の勇士だけが持つ圧倒的な威圧感と、それでいて人を惹きつける不思議なカリスマ性が放たれていた。
彼こそが、この広大なグリューネヴァルト辺境伯領を治める、レオンハルト・フォン・グリューネヴァルト辺境伯その人だった。
その両脇を固めるのは、同じく屈強な騎士たち数名。
彼らの装備もまた、辺境の地で常に魔物や盗賊といった脅威と対峙していることを物語るかのように、実戦的で質実剛健なものだった。
一行が村の入り口に到着すると、村長は震える声で歓迎の口上を述べ、深々と頭を下げた。
村人たちもそれに倣い、声もなくこうべを垂れる。
レオンハルト辺境伯は、馬上から静かに村人たちを見渡し、やがて馬から降り立つと、落ち着いた、しかし威厳のある声で言った。
「面を上げよ。グリューネヴァルト辺境伯、レオンハルトである。今日は、このミモザ村の現状を直接見聞するために参った。堅苦しい挨拶は不要だ。普段通りの村の様子を見せてほしい。」
その言葉には、領民を思いやる領主としての温かさと、無駄を嫌う実直な人柄が滲み出ていた。
村人たちは、その意外なほど気さくな態度に、少しだけ緊張を解いた。
辺境伯は、村長の案内で村の中をゆっくりと視察して回った。
畑の作物の出来具合、家畜の飼育状況、そして村人たちの暮らしぶり。
彼は、一つ一つ丁寧に見て回り、時には自ら農具を手に取って農夫に質問したり、家畜小屋に入って家畜の状態を確かめたりした。
その真摯な態度は、村人たちに深い感銘を与えた。
広場に用意された休憩場所で、辺境伯はマーサや村の主な者たちから、村の抱える問題や要望について熱心に耳を傾けた。
その中で、村人たちは口々に、フィリアが村に来てからの様々な貢献について語った。
鶏の病気を救ったこと、新たな水源を見つけたこと、子供たちに知識を教えていること……。
「フィリアという娘がいなければ、この村は今頃どうなっていたか分かりません。我々にとっては、まるで天からの授かりもののようでございます。」
マーサが、誇らしげにそう語ると、他の村人たちも力強く頷いた。
レオンハルト辺境伯は、その「フィリア」という名前に、静かな興味を覚えた。
これほどまでに村人たちから信頼され、感謝されている女性とは、一体どのような人物なのだろうか、と。
しかし、当のフィリアは、辺境伯の視察が始まってからというもの、できる限り目立たないように、広場の隅で子供たちの世話をしたり、食事の準備を手伝ったりしていた。
彼女の控えめな態度は、自らの手柄を誇るようなことは決してせず、ただ黙々と村のために尽くすという、彼女の誠実な人柄を表していた。
視察が和やかな雰囲気で進み、村人たちが用意したささやかな食事を辺境伯が口にしようとした、まさにその時だった。
遠く、西の森の方角から、それまで聞いたこともないような、不気味な地響きが連続して村に届いたのだ。
ドドーン……ドドーン……。
それは、まるで巨大な何かが地面を叩きつけているかのような、腹の底に響く重低音だった。
同時に、空の色が急速に暗転し始め、鳥たちがけたたましい鳴き声を上げて森から飛び出してくる。
「な、何だ……今の音は……?」
「空の色がおかしいぞ!」
村人たちの間に、一瞬にして不安と恐怖が広がった。
レオンハルト辺境伯も、食事の手を止め、鋭い眼光で西の森を見据えた。
その顔には、先程までの穏やかな表情はなく、一瞬にして辺境を治める武人としての厳しい緊張感がみなぎっている。
「……魔物の気配か……?それも、尋常ではない数の……。」
傍らに控えていた騎士の一人が、剣の柄に手をかけながら呟いた。
フィリアもまた、その不穏な空気の変化を敏感に感じ取っていた。
胸騒ぎがする。
まるで、何か恐ろしいものが、この静かなミモザ村に牙を剥こうとしているかのような、嫌な予感が。
平和だった辺境の小さな村に、未知なる脅威の影が、忍び寄ろうとしていた。
村長や長老のマーサを中心に、村人たちは総出で辺境伯を迎える準備に奔走した。
村へと続く唯一の小道は丁寧に掃き清められ、道端にはささやかながらも村の子供たちが摘んできた野の花が飾られた。
広場には、村で一番大きな樫の木の下に粗末な木のテーブルと椅子が用意され、そこが辺境伯の休憩場所となる予定だ。
献上品としては、今年豊作だった蜂蜜と、村の女たちが腕によりをかけて織った素朴な麻布が選ばれた。
フィリアもまた、その準備に目立たないように、しかし精力的に手を貸していた。
彼女は、村の女性たちと共に歓迎の食事の準備を手伝い、限られた食材の中で栄養バランスを考えた、素朴だが心のこもった料理の献立を提案した。
また、村の子供たちには、辺境伯への歓迎の気持ちを込めた短い歌を教え、その澄んだ歌声は、準備に追われる大人たちの心を和ませた。
「フィリア、お前さんがいてくれて本当に助かるよ。まるで、何人も働き手が増えたようだ。」
マーサは、フィリアの手際の良さと細やかな気配りに、改めて感嘆の言葉を漏らした。
フィリアは、そんな村人たちの期待と緊張を肌で感じながらも、内心では複雑な思いを抱えていた。
辺境伯レオンハルト。
アストリア王国の高位貴族。
それは、彼女が捨ててきた過去の世界の住人だ。
もし、万が一にも自分の素性が知られてしまえば、このささやかな安息の日々も失われてしまうかもしれない。
そんな不安が、時折胸をよぎる。
しかし、それ以上に、このミモザ村の人々のために自分ができることをしたいという気持ちの方が強かった。
彼らは、絶望の淵にいた自分を受け入れ、温かく接してくれた大切な存在なのだから。
そして、ついに視察の日がやってきた。
朝から晴れ渡った空の下、村の入り口には村長をはじめとする村人たちが緊張した面持ちで整列し、辺境伯の一行の到着を今か今かと待ち構えていた。
やがて、遠くから蹄の音が響き始め、それが次第に大きくなると共に、一行の姿が見えてきた。
先頭に立つのは、黒馬に跨った一人の若き騎士。
陽光を反射して鈍く輝く黒い鎧に身を包み、腰には長剣を帯びている。
年の頃は二十代半ばだろうか、日に焼けた精悍な顔つきに、鷲のように鋭い金色の瞳。
背は高く、鍛え上げられたその体躯からは、歴戦の勇士だけが持つ圧倒的な威圧感と、それでいて人を惹きつける不思議なカリスマ性が放たれていた。
彼こそが、この広大なグリューネヴァルト辺境伯領を治める、レオンハルト・フォン・グリューネヴァルト辺境伯その人だった。
その両脇を固めるのは、同じく屈強な騎士たち数名。
彼らの装備もまた、辺境の地で常に魔物や盗賊といった脅威と対峙していることを物語るかのように、実戦的で質実剛健なものだった。
一行が村の入り口に到着すると、村長は震える声で歓迎の口上を述べ、深々と頭を下げた。
村人たちもそれに倣い、声もなくこうべを垂れる。
レオンハルト辺境伯は、馬上から静かに村人たちを見渡し、やがて馬から降り立つと、落ち着いた、しかし威厳のある声で言った。
「面を上げよ。グリューネヴァルト辺境伯、レオンハルトである。今日は、このミモザ村の現状を直接見聞するために参った。堅苦しい挨拶は不要だ。普段通りの村の様子を見せてほしい。」
その言葉には、領民を思いやる領主としての温かさと、無駄を嫌う実直な人柄が滲み出ていた。
村人たちは、その意外なほど気さくな態度に、少しだけ緊張を解いた。
辺境伯は、村長の案内で村の中をゆっくりと視察して回った。
畑の作物の出来具合、家畜の飼育状況、そして村人たちの暮らしぶり。
彼は、一つ一つ丁寧に見て回り、時には自ら農具を手に取って農夫に質問したり、家畜小屋に入って家畜の状態を確かめたりした。
その真摯な態度は、村人たちに深い感銘を与えた。
広場に用意された休憩場所で、辺境伯はマーサや村の主な者たちから、村の抱える問題や要望について熱心に耳を傾けた。
その中で、村人たちは口々に、フィリアが村に来てからの様々な貢献について語った。
鶏の病気を救ったこと、新たな水源を見つけたこと、子供たちに知識を教えていること……。
「フィリアという娘がいなければ、この村は今頃どうなっていたか分かりません。我々にとっては、まるで天からの授かりもののようでございます。」
マーサが、誇らしげにそう語ると、他の村人たちも力強く頷いた。
レオンハルト辺境伯は、その「フィリア」という名前に、静かな興味を覚えた。
これほどまでに村人たちから信頼され、感謝されている女性とは、一体どのような人物なのだろうか、と。
しかし、当のフィリアは、辺境伯の視察が始まってからというもの、できる限り目立たないように、広場の隅で子供たちの世話をしたり、食事の準備を手伝ったりしていた。
彼女の控えめな態度は、自らの手柄を誇るようなことは決してせず、ただ黙々と村のために尽くすという、彼女の誠実な人柄を表していた。
視察が和やかな雰囲気で進み、村人たちが用意したささやかな食事を辺境伯が口にしようとした、まさにその時だった。
遠く、西の森の方角から、それまで聞いたこともないような、不気味な地響きが連続して村に届いたのだ。
ドドーン……ドドーン……。
それは、まるで巨大な何かが地面を叩きつけているかのような、腹の底に響く重低音だった。
同時に、空の色が急速に暗転し始め、鳥たちがけたたましい鳴き声を上げて森から飛び出してくる。
「な、何だ……今の音は……?」
「空の色がおかしいぞ!」
村人たちの間に、一瞬にして不安と恐怖が広がった。
レオンハルト辺境伯も、食事の手を止め、鋭い眼光で西の森を見据えた。
その顔には、先程までの穏やかな表情はなく、一瞬にして辺境を治める武人としての厳しい緊張感がみなぎっている。
「……魔物の気配か……?それも、尋常ではない数の……。」
傍らに控えていた騎士の一人が、剣の柄に手をかけながら呟いた。
フィリアもまた、その不穏な空気の変化を敏感に感じ取っていた。
胸騒ぎがする。
まるで、何か恐ろしいものが、この静かなミモザ村に牙を剥こうとしているかのような、嫌な予感が。
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