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第八十四話:仲間との道、聖山への序曲
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フレイヤさんという、頼もしい仲間を得て、私の、孤独な旅は、終わりを告げた。
私たちは、共通の敵である『蒐集家(コレクター)』、そして、彼らが狙う『眠れる聖山』の『鍵』を追い、共に、西へと向かう。
一人ではない。
その事実は、私の心に、今まで感じたことのない、大きな力強さを与えてくれた。
フレイヤさんは、まさに、荒野の達人だった。
彼女は、わずかな痕跡から、獲物の通り道や、水のありかを見つけ出し、私が、一人では、決して気づかなかったであろう、食べられる植物や、薬草の知識も、豊富に持っていた。
夜、野営する時も、彼女が選ぶ場所は、常に、風を避け、そして、見通しの良い、戦略的に優れた場所だった。
私は、彼女から、この、厳しい自然の中で、生き抜くための、数多くの実践的な知恵を学んでいった。
一方、私も、ただ、彼女に守られているだけではなかった。
アレンさんの本で得た知識と、私の魔法。
例えば、彼女が仕留めた獲物を解体する時、私は、聖なる力で、短剣に、清浄な光を纏わせ、肉が傷むのを、わずかに遅らせることができた。
水が、少し、濁っている時も、私の力で浄化すれば、より、安全に飲むことができる。
そして、夜の見張りでは、私の『感覚強化』は、暗闇の中の、微かな物音や気配を、誰よりも早く、察知することができた。
「……あんた、なかなか、便利だな」
ある夜、焚火の前で、フレイヤさんは、そう言って、ぶっきらぼうに笑った。
それは、彼女なりの、最大の賛辞のように、私には聞こえた。
私たちの間には、奇妙な、しかし、確かな信頼関係が、芽生え始めていた。
彼女は、私の過去を、深くは聞かなかった。
私も、彼女の、故郷を滅ぼされたという、辛い過去を、無理に詮索しようとはしなかった。
ただ、私たちは、互いの背中を預け、共通の敵へと向かう、戦友(とも)だった。
フレイヤさんは、私に、戦闘の基礎も、教えてくれた。
「お前の戦い方は、まだ、デタラメすぎる。
力任せに、光を振り回しているだけだ。
もっと、効率よく、そして、冷静に、敵の動きを見ろ」
彼女は、私に、短剣の正しい構え方、相手の攻撃を受け流す方法、そして、急所を的確に狙うための、体の使い方を、徹底的に叩き込んでくれた。
私は、彼女との、厳しい訓練の中で、自分の戦い方が、少しずつ、洗練されていくのを感じていた。
聖なる力を、ただ、爆発させるのではなく、刃に、薄く、鋭く、纏わせる。
幻惑魔法を、ただの目くらましではなく、相手の意識を、特定の一点へと誘導するための、布石として使う。
フレイヤさんの、実践的な戦術と、私の、特別な力が、融合していくような感覚。
そうして、私たちが、眠れる聖山の、麓(ふもと)に、いよいよ、近づいてきた頃。
私たちは、ついに、奴らの、はっきりとした痕跡を、見つけるようになった。
それは、まるで、病巣のように、美しい自然を、蝕(むしば)んでいた。
不自然に、ねじ曲げられ、枯れた木々。
生命力を、完全に吸い取られたかのような、動物たちの亡骸。
そして、彼らが野営した跡地には、必ず、あの、サイラスが持っていた杖に似た、奇妙な、黒い石の欠片が、落ちていた。
「……間違いない。
奴らの、気配だ」
フレイヤさんの目が、鋭く光る。
「……ここから先は、本当の、敵地だ。
気を引き締めろ、ミキ」
そして、ある日の夕暮れ時。
私たちは、丘の上から、聖山を偵察しているらしい、三人の、黒い外套の男たちを、発見した。
「……やるかい?」
フレイヤさんが、低い声で、私に尋ねる。
私は、黙って、頷いた。
もはや、躊躇(ためら)いはない。
フレイヤさんが、音もなく、弓を構える。
風を読み、距離を測り……。
ヒュン!
放たれた矢は、一人の男の、喉を、正確に貫いた。
「なっ!?」
残りの二人が、驚き、こちらを向く。
その瞬間、私は、茂みから飛び出し、彼らの注意を、自分へと引きつけた!
「こっちだ!」
「小娘が!」
男の一人が、私に向かって、黒い呪文のようなものを、唱え始める。
でも、その前に!
フレイヤさんの、第二の矢が、その男の胸を、深々と射抜いた。
残るは、一人!
その男は、状況の不利を悟り、逃げ出そうとする。
「逃がすか!」
私は、地面を蹴り、一気に、その背後へと回り込む!
そして、訓練通り、冷静に、しかし、素早く、聖なる光を纏わせた短剣を、その、無防備な背中へと、突き立てた!
手応えは、浅かった。
でも、それで、十分だった。
男は、短い悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちる。
……あっけないほどの、勝利。
これが、フレイヤさんと、私との、連携。
私は、倒した男たちを、複雑な気持ちで見下ろした。
「……感傷に浸ってる暇はないよ」
フレイヤさんが、私の肩を叩いた。
「奴らの懐を探る。
何か、手がかりがあるはずだ」
私たちは、黒い外套の男たちの、持ち物を調べた。
そして、そのうちの一人が、一枚の、羊皮紙を、固く握りしめているのを見つけた。
そこには、簡単な、しかし、重要な情報が記されていた。
眠れる聖山の、いくつかの、特定の場所を示す、印。
そして、彼らの、本隊らしきものが、集結している場所。
さらに……。
『……「星の子」の反応あり。
確保を、最優先とす……』
という、短い、指令。
(……やはり、私のことを……)
「……どうやら、奴らも、あんたのことに、気づいているみたいだね」
フレイヤさんが、苦々しげに言った。
「急がなければ。
奴らより先に、山の『鍵』を見つけ出すんだ」
私たちは、手に入れた地図を頼りに、奴らの本隊を避けながら、聖山の奥深くへと、進むルートを、考え始めた。
戦いは、もう、始まっている。
眠れる聖山の、静寂を破るように。
私と、フレイヤは、互いに頷き合うと、夜の闇に紛れて、聖山への、本格的な潜入を、開始した。
私たちは、共通の敵である『蒐集家(コレクター)』、そして、彼らが狙う『眠れる聖山』の『鍵』を追い、共に、西へと向かう。
一人ではない。
その事実は、私の心に、今まで感じたことのない、大きな力強さを与えてくれた。
フレイヤさんは、まさに、荒野の達人だった。
彼女は、わずかな痕跡から、獲物の通り道や、水のありかを見つけ出し、私が、一人では、決して気づかなかったであろう、食べられる植物や、薬草の知識も、豊富に持っていた。
夜、野営する時も、彼女が選ぶ場所は、常に、風を避け、そして、見通しの良い、戦略的に優れた場所だった。
私は、彼女から、この、厳しい自然の中で、生き抜くための、数多くの実践的な知恵を学んでいった。
一方、私も、ただ、彼女に守られているだけではなかった。
アレンさんの本で得た知識と、私の魔法。
例えば、彼女が仕留めた獲物を解体する時、私は、聖なる力で、短剣に、清浄な光を纏わせ、肉が傷むのを、わずかに遅らせることができた。
水が、少し、濁っている時も、私の力で浄化すれば、より、安全に飲むことができる。
そして、夜の見張りでは、私の『感覚強化』は、暗闇の中の、微かな物音や気配を、誰よりも早く、察知することができた。
「……あんた、なかなか、便利だな」
ある夜、焚火の前で、フレイヤさんは、そう言って、ぶっきらぼうに笑った。
それは、彼女なりの、最大の賛辞のように、私には聞こえた。
私たちの間には、奇妙な、しかし、確かな信頼関係が、芽生え始めていた。
彼女は、私の過去を、深くは聞かなかった。
私も、彼女の、故郷を滅ぼされたという、辛い過去を、無理に詮索しようとはしなかった。
ただ、私たちは、互いの背中を預け、共通の敵へと向かう、戦友(とも)だった。
フレイヤさんは、私に、戦闘の基礎も、教えてくれた。
「お前の戦い方は、まだ、デタラメすぎる。
力任せに、光を振り回しているだけだ。
もっと、効率よく、そして、冷静に、敵の動きを見ろ」
彼女は、私に、短剣の正しい構え方、相手の攻撃を受け流す方法、そして、急所を的確に狙うための、体の使い方を、徹底的に叩き込んでくれた。
私は、彼女との、厳しい訓練の中で、自分の戦い方が、少しずつ、洗練されていくのを感じていた。
聖なる力を、ただ、爆発させるのではなく、刃に、薄く、鋭く、纏わせる。
幻惑魔法を、ただの目くらましではなく、相手の意識を、特定の一点へと誘導するための、布石として使う。
フレイヤさんの、実践的な戦術と、私の、特別な力が、融合していくような感覚。
そうして、私たちが、眠れる聖山の、麓(ふもと)に、いよいよ、近づいてきた頃。
私たちは、ついに、奴らの、はっきりとした痕跡を、見つけるようになった。
それは、まるで、病巣のように、美しい自然を、蝕(むしば)んでいた。
不自然に、ねじ曲げられ、枯れた木々。
生命力を、完全に吸い取られたかのような、動物たちの亡骸。
そして、彼らが野営した跡地には、必ず、あの、サイラスが持っていた杖に似た、奇妙な、黒い石の欠片が、落ちていた。
「……間違いない。
奴らの、気配だ」
フレイヤさんの目が、鋭く光る。
「……ここから先は、本当の、敵地だ。
気を引き締めろ、ミキ」
そして、ある日の夕暮れ時。
私たちは、丘の上から、聖山を偵察しているらしい、三人の、黒い外套の男たちを、発見した。
「……やるかい?」
フレイヤさんが、低い声で、私に尋ねる。
私は、黙って、頷いた。
もはや、躊躇(ためら)いはない。
フレイヤさんが、音もなく、弓を構える。
風を読み、距離を測り……。
ヒュン!
放たれた矢は、一人の男の、喉を、正確に貫いた。
「なっ!?」
残りの二人が、驚き、こちらを向く。
その瞬間、私は、茂みから飛び出し、彼らの注意を、自分へと引きつけた!
「こっちだ!」
「小娘が!」
男の一人が、私に向かって、黒い呪文のようなものを、唱え始める。
でも、その前に!
フレイヤさんの、第二の矢が、その男の胸を、深々と射抜いた。
残るは、一人!
その男は、状況の不利を悟り、逃げ出そうとする。
「逃がすか!」
私は、地面を蹴り、一気に、その背後へと回り込む!
そして、訓練通り、冷静に、しかし、素早く、聖なる光を纏わせた短剣を、その、無防備な背中へと、突き立てた!
手応えは、浅かった。
でも、それで、十分だった。
男は、短い悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちる。
……あっけないほどの、勝利。
これが、フレイヤさんと、私との、連携。
私は、倒した男たちを、複雑な気持ちで見下ろした。
「……感傷に浸ってる暇はないよ」
フレイヤさんが、私の肩を叩いた。
「奴らの懐を探る。
何か、手がかりがあるはずだ」
私たちは、黒い外套の男たちの、持ち物を調べた。
そして、そのうちの一人が、一枚の、羊皮紙を、固く握りしめているのを見つけた。
そこには、簡単な、しかし、重要な情報が記されていた。
眠れる聖山の、いくつかの、特定の場所を示す、印。
そして、彼らの、本隊らしきものが、集結している場所。
さらに……。
『……「星の子」の反応あり。
確保を、最優先とす……』
という、短い、指令。
(……やはり、私のことを……)
「……どうやら、奴らも、あんたのことに、気づいているみたいだね」
フレイヤさんが、苦々しげに言った。
「急がなければ。
奴らより先に、山の『鍵』を見つけ出すんだ」
私たちは、手に入れた地図を頼りに、奴らの本隊を避けながら、聖山の奥深くへと、進むルートを、考え始めた。
戦いは、もう、始まっている。
眠れる聖山の、静寂を破るように。
私と、フレイヤは、互いに頷き合うと、夜の闇に紛れて、聖山への、本格的な潜入を、開始した。
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