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第5章 幼女、ギルド対抗戦地区大会に参戦する
幼女、シエルと再会する
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冒険者協会ラーオン支部の2階。
支部長室にて、私はダリエス、そして何とびっくりシエルと向かい合って座っていた。
孤児院での目的を終え、ラーオンに帰ってきて今日で3日になる。
私は休息を取ったり、イリナたちギルドメンバーの訓練に付き合ったりして過ごしていた。
そして今日、冒険者協会に呼び出されたのだ。
「支部長室に入ったら、急にシエルが座ってるんだもん。びっくりしたぁ」
「会えて嬉しいわ。今日はかなり大事な話をしにきたの」
「うん。聞かせて」
王都のなかでも、暗号文字を解読できる学者は一握りだ。
その一人であるシエルは、かなり優秀な部類に入る学者だということ。
そんな彼女が、わざわざこんな辺境へやってきたのだから大事な用がないわけがないよね。
「現在の王都では、ミリアちゃんの正体について、研究者の間でも意見が二分されているの。私が提出した資料や報告書を基に、ミリアちゃんがリスターニャ様の生まれ変わりだと信じる学者たち。そしてもう一方は、ミリアちゃんの才能は認めつつも本当に生まれ変わりかどうかは怪しいという人たち」
「なるほどなるほど」
「学者たちとしては、この状況はあんまりよろしくないという考えなの。つまりミリアちゃんが本物なのか、偽物なのか、はっきりさせたいっていうことね。あ、もちろん私はミリアちゃんこそリスターニャ様の生まれ変わりだって信じてるわよ」
「えへへ。ありがと」
「それでいろいろと会議が交わされた結果、改めてミリアちゃんに王都へ来てもらえないかってことになったの。主要な学者たちはみんな、リスターニャ様の生まれ変わりと信じていようといなかろうと、ミリアちゃんに会いたがっているわ」
「じゃあシエルは私を王都に連れて行く使者としてきたわけだ」
「そんなところね」
私としては、王都へ行くのは一向にかまわない。
というか、一度シエルと別れた時点で、また王都へ来ることになるのは分かっていたしね。
全開はあまりにもドタバタしすぎて、王都観光を楽しむ時間はなかった。
だからできれば今回はゆっくりしたいけど、用件が用件だけにそうもいかないだろう。
「非常に重要な事項だからな。冒険者協会としても、行ってもらって構わないぞ」
「うーん。じゃあ、行くかぁ」
前回の王都旅行、そして孤児院への里帰りに続き、たびたび冒険者協会に穴を開けて申し訳ない気持ちはある。
でもこればっかりは、私が行かないとどうしようもないもんね。
「ギルドメンバーにも断って行かなきゃいけないし、シエルもここまで来るので疲れてるだろうし……。そしたら、明日の朝に出発でどう? 今夜は私たちのギルドホームに招待するよ」
「いいわね。リリスちゃんもいるの?」
「もっちろん。イリナもいるし、前回は王都に来れなかったメンバーもいるよ」
「それは楽しみね」
シエルがにっこりと笑う。
決まりだね。今日はギルドホームでゆっくりしてもらって、明日の朝に出発だ。
「じゃあミリア、道中気を付けてな。って、ミリアに言うことでもない気はするが」
「ありがとう。それじゃ、またね」
私はシエルを連れて冒険者協会を後にする。
王都へ行くのも大事だけど、もう一つ大事な行事が迫ってるんだよね。
それは冒険者ギルド対抗戦の地区大会。
ここで2位までに入れば、王都での全土大会に出場することになる。
この全土大会出場に向けて、『新月の妖精』は猛特訓中なのだ。
基本的に私がコーチングしてるんだけど、不在の間はリリスにお願いしなきゃ。
「ギルドホームはこっちだよ」
私はシエルの手を引いて、仲間がいるギルドホームへと連れて行くのだった。
※この章より、設定を書籍版に合わせて進めて行こうと思います。
Web版にはなかったスキルや能力、設定が登場する場合がありますがご了承ください。
支部長室にて、私はダリエス、そして何とびっくりシエルと向かい合って座っていた。
孤児院での目的を終え、ラーオンに帰ってきて今日で3日になる。
私は休息を取ったり、イリナたちギルドメンバーの訓練に付き合ったりして過ごしていた。
そして今日、冒険者協会に呼び出されたのだ。
「支部長室に入ったら、急にシエルが座ってるんだもん。びっくりしたぁ」
「会えて嬉しいわ。今日はかなり大事な話をしにきたの」
「うん。聞かせて」
王都のなかでも、暗号文字を解読できる学者は一握りだ。
その一人であるシエルは、かなり優秀な部類に入る学者だということ。
そんな彼女が、わざわざこんな辺境へやってきたのだから大事な用がないわけがないよね。
「現在の王都では、ミリアちゃんの正体について、研究者の間でも意見が二分されているの。私が提出した資料や報告書を基に、ミリアちゃんがリスターニャ様の生まれ変わりだと信じる学者たち。そしてもう一方は、ミリアちゃんの才能は認めつつも本当に生まれ変わりかどうかは怪しいという人たち」
「なるほどなるほど」
「学者たちとしては、この状況はあんまりよろしくないという考えなの。つまりミリアちゃんが本物なのか、偽物なのか、はっきりさせたいっていうことね。あ、もちろん私はミリアちゃんこそリスターニャ様の生まれ変わりだって信じてるわよ」
「えへへ。ありがと」
「それでいろいろと会議が交わされた結果、改めてミリアちゃんに王都へ来てもらえないかってことになったの。主要な学者たちはみんな、リスターニャ様の生まれ変わりと信じていようといなかろうと、ミリアちゃんに会いたがっているわ」
「じゃあシエルは私を王都に連れて行く使者としてきたわけだ」
「そんなところね」
私としては、王都へ行くのは一向にかまわない。
というか、一度シエルと別れた時点で、また王都へ来ることになるのは分かっていたしね。
全開はあまりにもドタバタしすぎて、王都観光を楽しむ時間はなかった。
だからできれば今回はゆっくりしたいけど、用件が用件だけにそうもいかないだろう。
「非常に重要な事項だからな。冒険者協会としても、行ってもらって構わないぞ」
「うーん。じゃあ、行くかぁ」
前回の王都旅行、そして孤児院への里帰りに続き、たびたび冒険者協会に穴を開けて申し訳ない気持ちはある。
でもこればっかりは、私が行かないとどうしようもないもんね。
「ギルドメンバーにも断って行かなきゃいけないし、シエルもここまで来るので疲れてるだろうし……。そしたら、明日の朝に出発でどう? 今夜は私たちのギルドホームに招待するよ」
「いいわね。リリスちゃんもいるの?」
「もっちろん。イリナもいるし、前回は王都に来れなかったメンバーもいるよ」
「それは楽しみね」
シエルがにっこりと笑う。
決まりだね。今日はギルドホームでゆっくりしてもらって、明日の朝に出発だ。
「じゃあミリア、道中気を付けてな。って、ミリアに言うことでもない気はするが」
「ありがとう。それじゃ、またね」
私はシエルを連れて冒険者協会を後にする。
王都へ行くのも大事だけど、もう一つ大事な行事が迫ってるんだよね。
それは冒険者ギルド対抗戦の地区大会。
ここで2位までに入れば、王都での全土大会に出場することになる。
この全土大会出場に向けて、『新月の妖精』は猛特訓中なのだ。
基本的に私がコーチングしてるんだけど、不在の間はリリスにお願いしなきゃ。
「ギルドホームはこっちだよ」
私はシエルの手を引いて、仲間がいるギルドホームへと連れて行くのだった。
※この章より、設定を書籍版に合わせて進めて行こうと思います。
Web版にはなかったスキルや能力、設定が登場する場合がありますがご了承ください。
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