初雪は聖夜に溶ける

成瀬瑛理

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ジレンマ

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 12月が訪れると街中はクリスマスシーズンに一気に彩られていた。街中の街灯が、クリスマスの雰囲気を漂わせる。きらびやかなイルミネーションの明かりに人々の足取りも弾んでいた。車の中から頬杖をついて外の景色をジッと眺めた。行き交う人々はクリスマスが訪れたらどんな風に過ごすのか?

 愛する人と一緒に過ごすのか?
 それとも家族で一緒にクリスマスを過ごすのか?
 それとも一人でクリスマスを過ごすのか?

 忙しいスケジュールの中、次の撮影スタジオに車で移動中に外の風景を眺めてた。俺には、無縁の世界に見えた。司もこの時期は忙しい。ましてや今は海外で仕事中だ。

 今年はクリスマスを一緒に過ごすのは、本当に無理かもしれない。俺はそんな事を思いながら不意に溜め息をついた。移動の途中で運転しながらマネージャーが世間話をしていた。その話し耳を傾けると、黙って話を聞いた。どうやら今テレビや雑誌には司について根も葉もない噂がたっていた。マネージャーが買ってきた週刊誌を手に取り、ページを捲ると記事にはこう書かれていたらしい。

――人気絶頂のグラビアアイドルのY子との海外での写真撮影での最中、2人の熱愛発覚と大々的に大きく取り上げられていた。

 一瞬、胸の奥がドキッとした。そして、ふざけんなと言って窓を開けると、持っていた雑誌を外に放り投げた。俺はデタラメな記事に怒りを露にした。

 そんな事があるわけがない。俺は司を信じてる。 それにそんな噂に惑わされる程、もう子供じゃない。そんな噂で俺達の絆が簡単に断ち切れて堪るか――!

 苛立った表情で自分の拳をギュッと握った。アイツを信じている自分の気持ちとは逆に、このジレンマは一体何なんだ? ジレジレとした思いが胸の中で駆け巡った。

 司はこのことを知っているのだろうか?
 せめて連絡の一本くらい、俺にくれてもいいのに。

 急に不安な気持ちに陥ると、いまだに鳴らない携帯電話を握り締めながら司の事を切なく思った。

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