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第10話 家の改装
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「ライラ、家をもう少し居心地のいいものにしたいと思っているんだ。何か希望とかあるかな?」
「そうですね……。良介さんはいくつでも立方体をクリエイトできるのですか?」
「うん、木があればいくつでも大丈夫だよ」
「それでしたら、床を一段あげた方が良いのではと思います」
「なるほど。確かに。俺も家の作成を急いだ理由はそこにあったんだ」
やっぱり、ライラに相談してよかった。ここは熱帯雨林で豊富な水量があることは、シダやコケなどの植物と小川を見れば一目瞭然なんだ。
ということは降雨量もさぞ多い事だろう。ライラが懸念していることは、家の中に増水した水が入ってくるということだ。
ブロックの高さは一メートル弱あるから、一段高くしておけば川が増水したとしても水が中に入ってこない。
「じゃあ、外のオープンデッキも一段高くしようか」
「その方が泥だらけにならなくて済むと思います」
「あと、もう一つ……君の家なんだけど……」
「良介さん、一緒の家ではダメですか?」
「あ、うん。君さえいいなら」
「もう一つ、扉のことなんですけど……」
ライラは言葉を続ける。窪地は危険な地上性のモンスターが入ってくることはまずないから、ブロックで入り口を密閉しなくても大丈夫だと彼女は言う。
まだここに来て数日だから何とも言えないけど、扉を設置するのが最善だけど今はそれができない。かといって密閉してしまうと、俺以外出入りができなくなってしまうし風通しも最悪だ。
出入口を開けるなら、何かで窓を作成して家の中に窓も欲しいな。
彼女が一緒の家でと言ってくれたから良かったよ。そうなんだ。彼女が一緒の家にいた方が安全上望ましいことは確かなんだよ……男と同じ家の中ってことを除けばな。あ、俺が危険って意味じゃなえぞ。
「ライラ、君の提案でいこう。それに、ポチがいるから万が一、危険を感じた時は彼が反応してくれるさ」
そう、ポチの存在が大きいってわけだ。
「それは心強いですね。近く扉も作りませんか? 良介さん」
「うん、そのつもりだよ。大工道具が一切ないからなあ……」
「枝と草を組み合わせて簡易的な扉を作るのはいかがですか?」
「おお、それは面白そうだ! 一旦、家とオープンデッキを組んでみるから見てみてくれないか?」
「はい! ぜひ! 楽しみです! その間に私は燻製の準備をしますね」
「うん、ありがとう!」
言われて初めて思い出したよ。そういえば昨日、鹿の皮を加工したんだった。一晩乾かしてから燻製して皮を伸ばして革にするんだったな。
伸ばす工程は後程ライラに聞くとしよう。
よおし! まずはブロックの準備だ。
俺はタブレットを出して家のそばにある木の前に立つ。木は豊富にあるけど、家を中心に円形に広場ができるように木をブロック化していく。
ブロック自体は言うまでもなく生活に必須のアイテムだが、木を取り除く副次効果も侮れない。この能力は木ばかりの土地を平地に変える能力と見ることもできるのだ。
ブロックの準備が整ったら、家の設計だ。土地はいくらでもあるし、ブロックも無限といっていいほど準備可能だから広めの家にしようと思っている。
壁を除き、床面積は横十五ブロックで縦が十ブロック。入り口は右から三ブロックのところに穴を開けて、横十ブロック分をリビングとする。リビングを壁で区切り、ここを俺の寝室とした。
ライラの住処はなんと二階だ。二階部分は横に十ブロックとり、外に出られるようにしてベランダを作る。
天井までの高さは一階は四ブロック分、二階は三ブロックとした。
うん、シンプルだけどなかなかいい感じに仕上がったんじゃないか?
外のオープンデッキは家から小川までを繋ぎ、高さを二ブロック取る。端には四ブロックの高さがある柱を立てて、柱同士を繋ぎ屋根とした。
別にみんなで食事をできるよう、一辺十六ブロックの正方形を作り、中央は一辺二ブロックの穴を開ける。ここを煮炊き場として使おう。もちろん、ここにも屋根を付けている。
他にかまどとか燻製用の場所をと思ったけど、元からあった場所にブロックを繋げることにするかあ。
残すは燻製の場所だけとなり、ブロックを置いているとちょうどライラが鹿の皮をスモークし始めたところだった。
「ライラ、どれくらい煙でいぶすんだろう?」
「夜まで置いておきます。明日の朝に伸ばせば大丈夫です。え、えええ!」
俺に声をかけられたことで振り向いたライラは驚きの声をあげた。
彼女は俺の能力を知っているとはいえ、三十分も立たないうちに家と屋根付きのオープンデッキができていたら……。それに音一つ立てないからな……ブロックの組み立てって。
「組み立てはライラの立っている場所にブロックを置いたら一旦完成だよ」
「す、すごいです! あの立派な家は二階建てですか?」
「うん、ライラには二階に住んでもらおうと思ってる。どこに窓を開けるか後で教えてくれるか?」
「は、はい!」
ライラと一緒に家の中に入ったが、やっぱり暗い……。外は太陽の日差しがキツイくらいなのに中に入ると入り口から差し込む光のみだからなあ。
それに昼間は蒸す……夜になったら涼しいのに。
「良介さん、入り口の向い側の高いところに窓を。良介さんのお部屋は二か所開けた方が良いのではと思います」
ライラはリビングと俺の部屋を確認して意見を述べた。
俺は彼女の言葉を聞きながら、すぐにリビングには横二ブロックの窓を作り、俺の部屋は一ブロックを二か所取り除いて窓にすることにした。
「じゃあ、二階に行こう」
ブロックで作った階段を登ると二階部分になる。
先に俺が二階に入り、ライラが後に続く。
「りょ、良介さん、私の部屋の方が広いなんて……ダメです」
「いいじゃないか、女の子の方が物がいるだろう?」
「い、いえ、それとこれとは……」
「まあ、いいじゃないか。ベランダも作ったんだよ。窓をどこに開ける?」
「奥と右手に開けて頂いてよろしいですか?」
「ほいよ」
戸惑うライラの肩をポンと叩いて、ダブレットを出すとちょいちょいと窓を作成する。
うん、タブレットの操作なら一瞬だ。
しっかし、立派な家とは裏腹に生活レベルは未だ原始的な生活さえままならない……。ブロックがもう少し融通がきけばなあ……。
いや、贅沢を言ってはいけないよな。ブロックがあるのとないのじゃあ天と地ほどの差がある。
とは言ってもなあ……家の側だけはあるがベッドも無ければテーブルもない。ましてや灯りなんて目途も付かねえ。
「ライラ、家はできたんだけど……それ以外のものはこれからだ」
「はい! 良介さん、蝋を作っているんですよ。鹿の脂質から」
「お、おおお。すごいな」
「種火にもなりますし、便利ですので」
「次は何を作ろうかなあ」
思案する俺の顔を見てライラがクスっと可愛らしい声を出す。
「ん?」
「す、すいません。偉大な賢者様だと思っていたんですけど、子供っぽい少年のような顔を見てつい」
「あ、ああ。ただの普通の人間だって言ったじゃないか」
「まるで秘密基地を作ろうと言っている少年みたいでしたよ」
「そ、そうか」
「いえ、私にとってはその方が好ましいです」
面と向かってそんなことを言われると照れるじゃないか。
恥ずかしさを誤魔化すようにベランダに出てみると、ポチのわんわんという元気のいい声が聞こえてきた。
「お、ポチ!」
大きくなったポチの姿を目にとめると、俺は力いっぱい彼に向かって両手を振る。
俺の姿に気が付いたポチは尻尾をぶんぶんと振り回し、家の前でジャンプ!
なんと彼はそのままベランダに降り立ってしまったじゃないか。
「おー、楽しかったか? 散歩は?」
ハッハという嬉しそうな声を出すポチの首をモフモフさせてねぎらうと、幸せな気分になってきた。
「良介、ポチは鹿を捕らえて来たのだよ。すぐそこに置いておる。皆で食そうではないか」
いつの間にかやってきたカラスのウォルターが嬉々として声をあげる。
「おお、ポチ! 散歩だと思ったら狩猟に行っていたのか! 偉いぞ!」
「わんわん」
ポチは元気よく吠えると元のサイズに戻る。
これから鹿を解体して、遅い昼食にするとしますかー。
「ライラ、鹿をこっちに運び込もう」
「はい!」
ライラは満面の笑みを浮かべて、コウモリの羽をはためかせた。
※五話の前半部分に抜けがありましたので修正いれました。
「そうですね……。良介さんはいくつでも立方体をクリエイトできるのですか?」
「うん、木があればいくつでも大丈夫だよ」
「それでしたら、床を一段あげた方が良いのではと思います」
「なるほど。確かに。俺も家の作成を急いだ理由はそこにあったんだ」
やっぱり、ライラに相談してよかった。ここは熱帯雨林で豊富な水量があることは、シダやコケなどの植物と小川を見れば一目瞭然なんだ。
ということは降雨量もさぞ多い事だろう。ライラが懸念していることは、家の中に増水した水が入ってくるということだ。
ブロックの高さは一メートル弱あるから、一段高くしておけば川が増水したとしても水が中に入ってこない。
「じゃあ、外のオープンデッキも一段高くしようか」
「その方が泥だらけにならなくて済むと思います」
「あと、もう一つ……君の家なんだけど……」
「良介さん、一緒の家ではダメですか?」
「あ、うん。君さえいいなら」
「もう一つ、扉のことなんですけど……」
ライラは言葉を続ける。窪地は危険な地上性のモンスターが入ってくることはまずないから、ブロックで入り口を密閉しなくても大丈夫だと彼女は言う。
まだここに来て数日だから何とも言えないけど、扉を設置するのが最善だけど今はそれができない。かといって密閉してしまうと、俺以外出入りができなくなってしまうし風通しも最悪だ。
出入口を開けるなら、何かで窓を作成して家の中に窓も欲しいな。
彼女が一緒の家でと言ってくれたから良かったよ。そうなんだ。彼女が一緒の家にいた方が安全上望ましいことは確かなんだよ……男と同じ家の中ってことを除けばな。あ、俺が危険って意味じゃなえぞ。
「ライラ、君の提案でいこう。それに、ポチがいるから万が一、危険を感じた時は彼が反応してくれるさ」
そう、ポチの存在が大きいってわけだ。
「それは心強いですね。近く扉も作りませんか? 良介さん」
「うん、そのつもりだよ。大工道具が一切ないからなあ……」
「枝と草を組み合わせて簡易的な扉を作るのはいかがですか?」
「おお、それは面白そうだ! 一旦、家とオープンデッキを組んでみるから見てみてくれないか?」
「はい! ぜひ! 楽しみです! その間に私は燻製の準備をしますね」
「うん、ありがとう!」
言われて初めて思い出したよ。そういえば昨日、鹿の皮を加工したんだった。一晩乾かしてから燻製して皮を伸ばして革にするんだったな。
伸ばす工程は後程ライラに聞くとしよう。
よおし! まずはブロックの準備だ。
俺はタブレットを出して家のそばにある木の前に立つ。木は豊富にあるけど、家を中心に円形に広場ができるように木をブロック化していく。
ブロック自体は言うまでもなく生活に必須のアイテムだが、木を取り除く副次効果も侮れない。この能力は木ばかりの土地を平地に変える能力と見ることもできるのだ。
ブロックの準備が整ったら、家の設計だ。土地はいくらでもあるし、ブロックも無限といっていいほど準備可能だから広めの家にしようと思っている。
壁を除き、床面積は横十五ブロックで縦が十ブロック。入り口は右から三ブロックのところに穴を開けて、横十ブロック分をリビングとする。リビングを壁で区切り、ここを俺の寝室とした。
ライラの住処はなんと二階だ。二階部分は横に十ブロックとり、外に出られるようにしてベランダを作る。
天井までの高さは一階は四ブロック分、二階は三ブロックとした。
うん、シンプルだけどなかなかいい感じに仕上がったんじゃないか?
外のオープンデッキは家から小川までを繋ぎ、高さを二ブロック取る。端には四ブロックの高さがある柱を立てて、柱同士を繋ぎ屋根とした。
別にみんなで食事をできるよう、一辺十六ブロックの正方形を作り、中央は一辺二ブロックの穴を開ける。ここを煮炊き場として使おう。もちろん、ここにも屋根を付けている。
他にかまどとか燻製用の場所をと思ったけど、元からあった場所にブロックを繋げることにするかあ。
残すは燻製の場所だけとなり、ブロックを置いているとちょうどライラが鹿の皮をスモークし始めたところだった。
「ライラ、どれくらい煙でいぶすんだろう?」
「夜まで置いておきます。明日の朝に伸ばせば大丈夫です。え、えええ!」
俺に声をかけられたことで振り向いたライラは驚きの声をあげた。
彼女は俺の能力を知っているとはいえ、三十分も立たないうちに家と屋根付きのオープンデッキができていたら……。それに音一つ立てないからな……ブロックの組み立てって。
「組み立てはライラの立っている場所にブロックを置いたら一旦完成だよ」
「す、すごいです! あの立派な家は二階建てですか?」
「うん、ライラには二階に住んでもらおうと思ってる。どこに窓を開けるか後で教えてくれるか?」
「は、はい!」
ライラと一緒に家の中に入ったが、やっぱり暗い……。外は太陽の日差しがキツイくらいなのに中に入ると入り口から差し込む光のみだからなあ。
それに昼間は蒸す……夜になったら涼しいのに。
「良介さん、入り口の向い側の高いところに窓を。良介さんのお部屋は二か所開けた方が良いのではと思います」
ライラはリビングと俺の部屋を確認して意見を述べた。
俺は彼女の言葉を聞きながら、すぐにリビングには横二ブロックの窓を作り、俺の部屋は一ブロックを二か所取り除いて窓にすることにした。
「じゃあ、二階に行こう」
ブロックで作った階段を登ると二階部分になる。
先に俺が二階に入り、ライラが後に続く。
「りょ、良介さん、私の部屋の方が広いなんて……ダメです」
「いいじゃないか、女の子の方が物がいるだろう?」
「い、いえ、それとこれとは……」
「まあ、いいじゃないか。ベランダも作ったんだよ。窓をどこに開ける?」
「奥と右手に開けて頂いてよろしいですか?」
「ほいよ」
戸惑うライラの肩をポンと叩いて、ダブレットを出すとちょいちょいと窓を作成する。
うん、タブレットの操作なら一瞬だ。
しっかし、立派な家とは裏腹に生活レベルは未だ原始的な生活さえままならない……。ブロックがもう少し融通がきけばなあ……。
いや、贅沢を言ってはいけないよな。ブロックがあるのとないのじゃあ天と地ほどの差がある。
とは言ってもなあ……家の側だけはあるがベッドも無ければテーブルもない。ましてや灯りなんて目途も付かねえ。
「ライラ、家はできたんだけど……それ以外のものはこれからだ」
「はい! 良介さん、蝋を作っているんですよ。鹿の脂質から」
「お、おおお。すごいな」
「種火にもなりますし、便利ですので」
「次は何を作ろうかなあ」
思案する俺の顔を見てライラがクスっと可愛らしい声を出す。
「ん?」
「す、すいません。偉大な賢者様だと思っていたんですけど、子供っぽい少年のような顔を見てつい」
「あ、ああ。ただの普通の人間だって言ったじゃないか」
「まるで秘密基地を作ろうと言っている少年みたいでしたよ」
「そ、そうか」
「いえ、私にとってはその方が好ましいです」
面と向かってそんなことを言われると照れるじゃないか。
恥ずかしさを誤魔化すようにベランダに出てみると、ポチのわんわんという元気のいい声が聞こえてきた。
「お、ポチ!」
大きくなったポチの姿を目にとめると、俺は力いっぱい彼に向かって両手を振る。
俺の姿に気が付いたポチは尻尾をぶんぶんと振り回し、家の前でジャンプ!
なんと彼はそのままベランダに降り立ってしまったじゃないか。
「おー、楽しかったか? 散歩は?」
ハッハという嬉しそうな声を出すポチの首をモフモフさせてねぎらうと、幸せな気分になってきた。
「良介、ポチは鹿を捕らえて来たのだよ。すぐそこに置いておる。皆で食そうではないか」
いつの間にかやってきたカラスのウォルターが嬉々として声をあげる。
「おお、ポチ! 散歩だと思ったら狩猟に行っていたのか! 偉いぞ!」
「わんわん」
ポチは元気よく吠えると元のサイズに戻る。
これから鹿を解体して、遅い昼食にするとしますかー。
「ライラ、鹿をこっちに運び込もう」
「はい!」
ライラは満面の笑みを浮かべて、コウモリの羽をはためかせた。
※五話の前半部分に抜けがありましたので修正いれました。
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