無双将軍の参謀をやりながら異世界ローマも作ってます

うみ

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141.敵情視察へ

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 カエサル達との会談が終わり、カエサルと辺境伯らはそれぞれの国へ帰って行った。

 これから半年以内で傭兵を集めきり、残り半年でベリサリウスに兵の訓練をしてもらわないと。一年かけて食料、武器もろもろの備蓄もしないといけないぞ。それらを輸送する手段も必要だ。
 他にも重要なことはいくつもある。敵将の情報、兵の質、兵科、戦法などなど。情報は戦うために必須だからなあ。ローマの人材だと、情報収集が俺の役目になりそうだ。
 これからベリサリウスや小鬼村長達と相談してそれぞれの役割をハッキリさせとかないとな。

 ローマは今までキチンと陣形を組んだ敵兵と戦闘したことがない。聖王国の双璧とやらは個人武勇に優れると聞いているが、将軍というなら戦術能力もあるんだろうな。

 俺が思うに聖王国の兵士を率いて最も手強いのはナルセスだと思う。彼女が出てくることは無いと思うがナルセス率いる倍以上いる聖王国兵士……む、無理じゃないか。

 よしシミュレートしてみよう。こんなことやっても意味はないんだけど、俺だって男の子だもの。戦術と戦争を妄想するのは好きだ。妄想だけならね。

 野戦で戦う時、ギリシャのファランクスの様に敵の攻撃を受け止めながらすり潰していく戦法が聖王国には向いてるように思う。
 炎弾は火縄銃より優れる。何より必ず当たるってのが反則過ぎるんだよなあ。
 結論から言うと、聖王国に最も向いていて技術的に可能な戦法はテルシオだろう。テルシオは一言で言うと人が作る要塞だ。機動力は無くなるが、盾と槍で外側を守り、内側から火縄銃で敵兵を掃討する。
 テルシオは近世初期にスペイン初期に生まれた戦法で、テルシオが破られるまで長い時が必要だった。

 ナルセスがテルシオを率いたとしたら、どんな攻撃にも怯まず、仲間が倒れ傷つこうがナルセスの為に喜んで死兵になるだろう。崩すことが出来ない要塞……怖すぎる……

 聖王国の双璧はどんな戦い方をするのだろうか。ナルセスのようだったら嫌だなあ……まずそんなことは無いと思うけど。あんなのが他にもいたら困るよ。ベリサリウスやジャムカは天才的な能力を持つけど、ナルセスは違う。
 あれは別の生き物だからな……人を心酔させ喜んで死地に向かわせる悪魔のようなカリスマ。もう人の領域を超えてるね。あれは。
 
 つまらないことを考えていると、ベリサリウス邸に到着する。
 
 扉を叩くとすぐエリスが出てきて、中に通される。ベリサリウスはいつもの執務室で俺を待っていて、俺が来ると立ち上がり手をあげて挨拶をしてくる。
 俺はベリサリウスへ一礼し、彼が着席した後に椅子へ腰かけた。
 
「ベリサリウス様。お待たせいたしました」

「うむ。お前も分かっているとは思うが、食料や武器などの物資集積、兵の訓練、敵情視察のそれぞれの代表者を決めようと思ってな」

「了解しました。私は物資集積か敵情視察でしょうか?」

「お前には敵情視察を任せようと思う。他の者に任せてはどのように敵が優れているのか分からぬからな」

 そんな買いかぶらなくてもいいんだが……それなりに経験のある者でないと、情報の取捨選択ができないのだ。ベリサリウスが知りたいことは双璧の能力であったり、敵兵の戦法などで間違いない。
 単に敵の情報と聞いたもの全てを持ち帰っては意味がない作業と言える。こちらで情報を分析し、結果をベリサリウスに伝えることが主な仕事になる。情報はいろんなところから集めないとだけどね。
 
「了解しました。物資集積は?」

「それは、ラヴェンナの行商人と小鬼の村長殿にお任せする。兵の訓練は私が行おう。猫耳の者も育ってきたから、彼らにも訓練を指導してもらおう」

「了解しました! ではさっそく任務に当たります。十日ごとに定期連絡をエリスさんに入れますので」

「うむ。頼んだぞ。プロコピウス」

 俺は立ち上がり、一礼するとベリサリウス邸を後にする。
 

◇◇◇◇◇


 自宅に戻る頃にはもう日が落ちる時刻になっていた。家に戻ると珍しくマッスルブがカチュアと談笑している。何かあったのかな?
 
「あ、ピウスさん。マッスルブさんが来てるよー」

 カチュアがいつもの朗らかな声で椅子に腰かけるマッスルブに目をやる。
 
「お邪魔してるブー。ピウスさん。牛乳持ってきたブー」

「おお。マッスルブ。ありがとう。牛乳は取りに行くって。ここまで来るのは手間だろうし……俺が貰ってるからさ」

「今日はついでだったんだブヒ。ブー達、牛の鳴き真似を皆で練習したんだブー。ピウスさんにぜひ聞いて欲しいんだブヒ」

 マッスルブ……まさか、あの時……俺が「上手だ」と言ってしまったために練習していたのか……あの時はああ言うしかなかったんだよ! だって、豚だけにブモオって言われたらもう俺の腹筋は耐えれなかった。
 そのまま正直に言うわけにはいかないから、「上手」と言ってしまったんだよ。察してくれよ! まさか、オーク全体で牛の鳴き真似の練習をする展開になるとは……や、やばいなこれは。
 俺の腹筋が……
 
「そ、そうか……近く皆がいる時に牧場へ行かせてもらうよ……」

「用事はそれだけブー。カチュアさん、キャッサバパンありがとうブー。おいしかったブヒ」

 マッスルブはそう言い残して、キャッサバパンをかじりながら、外へと出て行った……
 これは弱ったぞ。しばらくは敵情視察があるから時間は取れないにしてもずっと視察をするわけでもないし、牛乳をもらいに牧場へも行く。覚悟を決めねばならないな……

「ピウスさん。さっきから何度かブモオってマッスルブさんが言ってたんだけど、なんだろう?」

 カチュアが無邪気に俺に聞いて来る。
 ブモオ! やべえ。壺に入る。ブモオって言ってたのか。そうか言ってたのか……
 
「言ってたのか……それは牛の鳴き真似だよ」

「ふうん。似てるか似てないか微妙だね!」

「そ、そうかな……」

 俺はカチュアが作ってくれた夕飯を食べた後、風呂に入り、今後の方針を考えることにした。
 
 敵情視察と言っても、実際に王都まで行って双璧にインタビューなどできるわけがない。双璧を知っている人や、聖王国の軍団に詳しい人から得れる情報を集めて行くって感じだろうな。
 となると、聖王国の兵として活躍していた辺境伯の騎士団に聞いてみるのが一番良さそうだな。
 よし、明日は朝から辺境伯領のザテトラークへ向かうとしよう。ミネルバを呼ぶか、飛龍で行くかはその時考えるか。エルラインがたまたま家に来ていたら彼にお願いしても良いな。
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