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5章

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「はぁー…みんな、お疲れ様。」


 部屋に着くと大きな溜息をこぼす。
 疲れた、ほんと、いろんな意味で疲れた。
 いや、ほぼほぼオークスのせいだが精神疲労が半端ない。
 早くククスやライル、アリサに癒してもらおう。
 そんでもって寝る前にリドとティナの寝顔を覗こう。

 俺は心に決め、水の精霊スーに汚れを綺麗にしてもらい部屋着のラフな格好へと着替える。
 まだいるかな?
 俺ははやる気持ちを抑えながら食堂へ向かった。

 入り口から中を除き目当ての人影を探す。
 アリサがすぐに気付いてくれたらしく、こちらに向かって手を振ってくれる。
 軽く手を振り返しアリサの元へ向かうとお腹を摩るククスと呆れ顔のライルがいた。
 ククスの前に置かれたトレーは既に空だ。
 ライルとアリサの前にはまだ一口も手を付けられた形跡のない料理が並んでいる。
 ライルとアリサは俺を待っていてくれたようだ。


「ククス、食べちゃった…」

「ライルとアリサも先に食べてて良かったんですよ?」

「いえ、ククスはどうか知りませんがどうせなら一緒に食べたいじゃないですか。」


 ライルの言葉に棘を感じる。 


「腹減ったんだからしょうがないじゃん。
 それにギルが先に食べててくれって言ったんだ。
 待ってたって気を使わせるだけだろ?」

「どちらでも嬉しいですよ?」


 このメンバーでの食事を楽しみにしているから一緒に食べれるのは嬉しい。
 まぁ一緒に居られるだけで満足なんだけどな。


「オレはギルが食べてる時にデザートを食べる予定だったんだ。」


 ククスはそう言いながらどこに隠していたのか、いきなり紙袋を取り出す。
 紙袋の中には小さな箱が入っておりその箱からプリンやケーキが出てくる。


「全員分用意してあるぜっ」


 オレ、やるだろ?と言いたげな表情で俺たちを見るククス。
 アリサはコクコクと頷いている。


「美味しそうですね。
 ありがたくいただきます。」


 俺は自分の食事を用意して席に着きライルとアリサと食べ始める。
 話題は尽きず、ククスの昔話に花を咲かせた。
 もちろん食後のデザートは美味しくいただいた。
 最後にライルとククスでいちごの取り合いをしていたが、アリサが食べるということで手打ちになった。
 食堂が閉まるギリギリまで粘り食堂のおばちゃんから追い出しをくらって俺たちはやっと解散した。

 いやー疲れてたのも忘れるくらい楽しかった。
 やっぱりいいな。
 このメンバーが1番落ち着く。

 部屋に帰りシャワーをしたあとベットにダイブし、水の精霊スーに実家のリドの部屋とティナの部屋に水鏡を繋いでもらいこっそり寝顔を眺めながらその日は就寝した。

 あ、ツヴァイにも一応報告を兼ねて水鏡を繋いだよ?
 ま、疲れてるからって理由ですぐに切り上げたけど…
 不満げだったけど納得はしてくれたみたいで「早く寝ろ。」の一言でツヴァイとの通信は終わった。






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