【短編集】

●やきいもほくほく●

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転生したら皇女様でした〜推しがピンチなので婚約破棄してから国に持って帰ります〜

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残されたリリアーナに「大丈夫ですか?」と声を掛ける人々。
それでも先程の事が頭から離れなかった。

帝国に帰った後もリリアーナの頭の中はナシールのことで一杯だった。
寝ても覚めてもナシールが頭から離れなかったリリアーナは本を手に取った。
そしてそこにあった「恋」という文字に釘付けになった。

(わたくしは恋をしているの……?いや、違うわ……この気持ちはきっと)

この気持ちを確かめるためにもう一度ナシールに会いたかった。
しかしリリアーナにはどうする事も出来なかった。

自分は皇女である。
故に自由はない。

そんな時に起こった大旱魃。
幸い、ベルベット皇国は影響を受けなかった。

しかし周囲から送られるSOS……そこにレブーロン王国の国章を見つけて、父から内情を聞いて「レブーロン王国に行きたい」と人生で初めて願いを口にしたのだ。

そしてあっさりとリリアーナの願いは叶えられた。

リリアーナはナシールの婚約者となった。

別にその座を望んでは居なかったが、大国であるベルベット皇国の皇女故に致し方がない事だった。
そしてレブーロン城では、まるで腫れ物に触るように扱われていた。

(どこに行っても同じね……でも)

自分の目的が果たせるのなら何でもよかった。
そしてナシールと同じ王立学園に通う事になった。

馬車でナシールと何を話す訳でもなかったが、愛する人……チェリーについての話はよく聞いていた。

リリアーナはナシールから宣言された通り愛される事はなかった。
チェリーとナシール達のやり取りを見ている彼女を見て周囲は肝を冷やしていた。

ベルベット皇帝がリリアーナを特別溺愛しているのは有名な話だ。
学園でも特例として騎士二人と侍女二人が許可される超VIP待遇。

ベルベット皇帝はこの婚約について、ある条件を出していた。
それを守りさえすれば、国を建て直すまで食糧を調達してくれるという破格の条件だ。

その中にはリリアーナを絶対に傷付けてはならない。
リリアーナが婚約を破棄したいと言ったら国に返す……等の親バカ全開の願いも含まれている。

その際は支援も打ち止めである。

つまりレブーロン王国はリリアーナの機嫌一つ次第でどうにでもなってしまうのだ。

そんな爆弾を抱えた状態でもリリアーナの機嫌が良ければ国に行き渡る程の食糧を得ることが出来るのだ。
まさにハイリスク、ハイリターンのとてつもない交渉だ。

そんな事には全く興味を示さないナシールは今日もマイペースにチェリーを守っている。

周囲はリリアーナの行動や言動に振り回されている中、国の未来が掛かっているのにも関わらず動じないナシールはある意味、馬鹿なのである。

国王と王妃は交代でリリアーナとナシールの様子を見に度々顔を出している。
何故ならばナシールがリリアーナに何を言い出すか分からないからだ。

今は王妃が胃を壊している。
今朝も国王は胃が痛そうにお腹を押さえていた。

何故、こんなナシールを王太子に据えているのかは全くの謎であるが、ナシール以外の王族は皆女性な為、致し方ないそうだ。

とことん運がない国である。

そんなリリアーナが何故、こんなチグハグな扱いを受けながらもナシールの元にいるかといえば……。

その答えはリリアーナの心の中に答えがあった。

リリアーナは本気でナシールを愛している訳ではない。
ある目的の為にリリアーナはわざわざこの国にやって来たのだ。


それはーーー。


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