【短編集】

●やきいもほくほく●

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転生したら皇女様でした〜推しがピンチなので婚約破棄してから国に持って帰ります〜

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「なっ……!俺と結婚出来ないからとそのような嫌がらせを」

「リリアーナ様、酷いですぅ!」

「しっ、仕方ない!貴様との婚約を破棄する事だけはやめておいてやろう!分かってくれ、チェリー。これは国を守る為なんだ」

「ナシール殿下ぁ……でも私」

「勿論、本当に愛しているのは君だけだ」


目の前で突如として始まった寸劇に、ブチリと何かが切れる音がした。


「リリアーナ、仕方なッーー……ブハッ!!」


ナシールの体が僅かに宙に浮く。
拳が唸り、天高く伸びた。

ドサリという大きな音と共に、ナシールの体が地面に落ちた。
それと同時にチェリーもその場にへたり込む。

周囲が静まり返る中、後ろからパチパチと拍手が聞こえる。
勿論、国から連れて来た侍女と騎士達である。

侍女から受け取ったハンカチで手を拭った。


「随分と煩い口ですこと……不愉快だわ」

「………」

「さぁ、デクラン様……行きましょう?」


そう言って再び手を伸ばす。
推しへの下心が止まらない。


「は、はひぃっ!!」


自分も殴られると思ったのか、デクランは急いで手を握る。

(はっ……!!デクラン様の体温を感じるッ)

有り難みを噛み締めながら、学園を後にした。







あの後、すぐにベルベット帝国へと帰った。

レブーロン王国の国民は食糧支援を失ったきっかけを作ったナシールとチェリーを許せなかったのだろう。
二人がどうなったのか……容易に想像出来る。



ーー数年後



レブーロン王国はベルベット帝国の庇護下に置かれた。
実質的には全ての権限をベルベット帝国が握っている。

そしてリリアーナを溺愛する皇帝から土地が充てがわれた。
それが元レブーロン王国である。

もう娘を他所に出したくないとの気持ちからか、あっさりとデクランとの関係を認めてくれた。
デクランは最初こそ遠慮気味ではあったが、今では任された土地をきっちりと管理している。

デクランを蔑ろにしていた元家族達は擦り寄ってきたが、直ぐに排除した。
そして今日も推しを眺めながら幸せな日々を送っている。


「そんなに見ないでよ、リリアーナ」

「えへへ」

「また"僕の顔が好き"って言うんでしょう?」

「そうよ!!」

「リリアーナの方がずっとずっと綺麗なのに……」

「ふふっ、知ってるわ」 


身近に推しがいる幸せを噛み締めながら笑顔で過ごしている。
デクランと過ごす時間はかけがえのないものだ。

こうして夢が叶った事が未だに信じられない。

(……幸せ過ぎて怖い)

デクランは色々な一面を見せてくれるので退屈せずに済みそうだ。


「どうしてニヤニヤしているの?」

「幸せだなって」

「……リリアーナ、僕も幸せだよ」

「~~~っ、神!!」

「……?」






end
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