【短編集】

●やきいもほくほく●

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やさぐれ聖女は国から出て幸せを謳歌する〜あんな国、潰れちまえばいいと思っていたら、超イケメン騎士と毒舌巨乳聖女に溺愛されていました〜

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「───俺はレーナとだけは絶対に婚約したくない!」


レーナはいつもの癇癪が始まったと耳を塞ぎたくなった。
金切り声が広間に反響していた。
キディルート王国の第二王子、ジェイデンはこの国の王太子である。
十八歳である彼は典型的な〝わがまま王子様〟だ。


「ですが、レーナ様はこのキディルート王国に必要不可欠なお方ですぞ!我慢してくだされ……!」

「何故、俺だけが我慢せねばならないのだっ!こいつがいなくとも昔から聖女として働いているエイブリーがいるではないか!エイブリーこそ本物の聖女だろう!?」

「そう思いたい気持ちもわかります……!しかし、レーナ様の力はエイブリーよりも……この国の誰よりもずっと強大で歴代で稀に見る力を持っています!こうして国が安定したのはレーナ様が力を尽くしてくれたからですぞ」

「俺はエイブリーがいいっ!」


営業スマイルで会話を聞いていたレーナだったが、そろそろ堪忍袋の緒が切れそうである。
ジェイデンによって繰り返される茶番劇は必ずレーナの前で行われる。
この国の宰相であるカーターは、髪を掻いてレーナとジェイデンを交互に見ながら額に玉のような汗を浮かべている。


「どうしてこんな聖女を大切にするんだ?他の令嬢達もレーナに虐げられたと苦情が上がっている!つけていたアクセサリーを取り上げられた、悪口を言われた……それからクロエが兄上との仲を引き裂かれたと泣きながら俺に訴えてきたんだぞ!?」

「チッ……」

「……!?」
 
「ゴホンッ、そんなくっだらないことを私はしておりません」

「クロエはエイブリーも悪女だと言っていたが、この性悪女がエイブリーを巻き込んで悪事を働いているに違いないっ!」


クロエとはジェイデンの幼馴染の公爵令嬢で、名ばかりの聖女である。
大して働きもしないのに、ちゃんと働いているレーナやエイブリーの手柄を横取りして、頭の弱いジェイデンを使って偉そうにしている傲慢な少女だ。

ジェイデンの兄で魔法騎士団、団長クリスフォードに想いを寄せていて熱烈にアタックしているものの振り向いてもらえていない。
レーナはクリスフォードと仲がいいため、嫉妬されているのだろう。


「──お前などこの国に来なければよかったんだ!」


ジェイデンの戯言は今まで無視していたが、この言葉に今まで我慢していた何かがプチリと切れた。

(お前たちが勝手に呼び出したんだろうが……っ!)

一年間、何かあっても我慢してきたがもう限界である。
宰相がジェイデンの口を思いきり塞いだ。


「なら、私はこの国から出て行かせていただきます」

「ああ!清々す……むごっ!?」

「お、お待ちくださいっ!レーナ様」

「離せっ!無礼だぞ!聖女などたくさんいるではないか……!」
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