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二章 サバイバル生活
②⑦
しおりを挟む──次の日。
眩しい太陽の光に眉を寄せた。
けれど体が何度も揺られる感覚に手を叩く。
腕を持ち上げながら触れる手をブンブンと不満げに振り払う。
「……んぅ」
『おい、起きろ』
「むっ……!」
『チッ……』
舌打ちが聞こえたが気のせいだろう。
反対側に寝返ったメイジーが肌寒さに腕を擦ろうとすると、葉が被せられていることに気がついた。
(なに…………もう朝?)
そう思って、目を擦りながら体を起こす。
ミミと食事の準備をしなければと、のそのそと起きあがろうとするが、怠さからなかなか動けない。
四つ這いになりながら移動すると、温もりを感じて何かに覆い被さる。
きっとミミの子どもたちだろうとメイジーはゆっくりと目を開ける。
『寝起きが悪い女だな』
「──ッ!?」
なんとメイジーが覆い被さっていたのはガブリエーレだった。
驚き過ぎて暫く動けずに固まっているとガブリエーレは不機嫌そうに『どけ』と言った。
メイジーが慌てて体を上げようとした時だった。
ズキリと体が痛む。そのまま腰を丸めるようにしてガブリエーレにしがみついた時だった。
『メイジー、神様、仲良し』
『仲良し、仲良し』
『「……!」』
そこにはドー、デーの姿があった。
朝食と木の実の器を持っている。
メイジーはゆっくりと体を退かしていく。
元々、体力がないメイジーは全身の筋肉が悲鳴をあげていた。
どこかを動かすたびに強烈な痛みが襲って、なかなか思い通りにならない。
(痛い……どこもかしこも痛すぎるんですけど!)
下唇を噛みながらなんとか体を起こす。
するとデーとドーは朝食を近くに置くと木の実の器に入ったあるものをメイジーに差し出した。
『これ、あげる』
「……これは?」
『メイジー、ムー、助けようとしてくれた』
『神様、メイジーとムー、助けてくれた』
「…………」
若干、心が抉られる言い方ではあるが二人はメイジーに感謝してくれているようだ。
あの後、ムーは水を吐き出してすぐに意識を取り戻したそうだ。
大した怪我もなかったようで、メイジーが彼女を抱きしめていたことが功を奏したようだ。
今は大事を取って家で休んでいるそう。
『ムー、メイジーに感謝してた』
『守ってくれた、そう言っていた』
「ムー……」
メイジーにプレゼントを渡したいと言い出したのはムーなのだそう。
子どもたちの間ではよく遊ぶもので、あの日もムーたちはミミへのプレゼントに獲っていたのだという。
『貝、これ作る』
『女の子、これ好き』
『女の子たち、おもちゃ、遊ぶ』
カラカラと軽い音、貝が作る、綺麗というワードを聞いてメイジーはあの宝石ではないが宝石として扱われるある物質が思い浮かぶ。
(まさか……そんなわけないわよね)
恐る恐る木の実の器を覗き込むと自然と声が漏れた。
「…………綺麗!」
『みんな、これ好き』
『喜ぶ。ツヤツヤ、ピカピカ』
『かたまり、いろいろな形。楽しい』
そこにあったのは〝真珠〟だった。
メイジーの記憶にある真珠とは違う。
色とりどりの真珠は歪な形をしていたり鮮やかな色が付いている。
(これが真珠……? この世界の真珠は発色がいいのね)
メイジーは器の中に手を伸ばして、長細い真っ赤な真珠を一粒掴んで空に掲げた。
光の加減で色が少しだけ変化する。
(とても質がいいし、何より大きさも申し分ないわ。こんないいものが子どものおもちゃだなんて信じられない……!)
ずっと宝石に関わってきた杏珠の血が騒ぐ。
ドーから木の実の容器を受け取って、真珠を見つめていたがあることに気がつく。
「ねぇ、ドー。真っ白な塊ってないの?」
『白、ほとんどない』
『見たことない』
「……そうなの。残念だわ」
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