推しを味方に付けたら最強だって知ってましたか?

●やきいもほくほく●

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番外編(その後のお話)

新しい道を①(クーシャ)

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「クーシャ様、私と一緒に……!!」
「良い茶葉が入ったので、是非わたくしと!」
「ずるいわ……!私が先よ」
「私よッ」

(……帰りたい)

成長するにつれて、クーシャの骨ばった体も男性らしくなっていき、ルマンの厳しい指導のお陰で、周囲の見る目がどんどんと変わっていった。
学園の最高学年になり生徒会長も務め、尚且つ婚約者も居ない自分は優良物件に見えるのだろうか。

(はぁ……面倒くさい)

それでもダーカー公爵家の名を汚さぬように動くだけだ。
必死に媚を売る令嬢達に、表情筋を動かしてニコリと微笑んだ。


「ごめんね、今はとても忙しくて……」


それだけでザッと音と共に横に避けてくれる。
最近は自分の笑顔にこんな利用価値があったのかと感心していた。

誰もいない生徒会室に入ると、ルマンが姿を現した。
椅子に座り、一息ついた自分の膝に乗ったルマンは、話を聞けと言わんばかりにアピールする。
仕方なく目を閉じると声が聞こえてくる。


『おえぇ……っ!あの女共、香水がキッツイのよ!!!それにあたしの育てたクーシャに釣り合うと思ってんのッ!?!?鏡見なさいよ鏡をッ!』

ーー……ルマン

『彼の方の側に居られるのはいいんだけど、こんな女だらけの所は、もう耐えられないわッ』

ーー……。

『はぁ……どこかに良い男はいないかしら!!刺激が足りないのよ』

ーーここは学園だから……。

『彼の方も最近は毒気が抜けて幸せそうだし、もうあたしは必要とされていないのね!』

ーー元々ルマンは必…『……それ以上言ったら、その口を焼き潰すわよ?』


スフレの婚約者が決まった以上、もうダーカー家の令息としての需要はないとわかっていた。

「ダーカー公爵家の利になるように僕を使ってください」と言うとジョンテとアーリンは、直ぐさま首を横に振った。
これまでクーシャを育ててくれた恩を考えると、何かの役に立ちたかった。
自分の幸せを犠牲にしても構わないと思う程に感謝していたからだ。

けれどジョンテとアーリンは「クーシャは大切な息子だから」と、幸せになれるようにと必死で動いてくれた。
そんなジョンテとアーリンの気遣いも全てルマンが無にしてしまう。

『あの女は絶対にダメよ……あたしのクーシャを幸せにできないわ』

結局はルマンが酷く嫌がってしまうため、上手く話が進まないのだ。

アーリンから話を聞いたリオノーラが直ぐさまクーシャを連れて王城へと向かった。
ゾイに相談してみると、ルカートの元でリーベの講師や国中で発生している精霊の問題を解決しないかと提案された。

単体で行動する事も多いから女嫌いのルマンでも大丈夫だろう、と。
それに火の精霊が起こす問題に対応できるリーベは少ない為、自分とルマンが適役だと言われたのだ。

自由に色々な場所に行けるのは、狭い世界で生きてきた自分にとって、とても嬉しいことだった。

「クーシャの"好き"に、ぴったりだと思わない?」

笑顔を浮かべるリオノーラに、思わず涙が出そうになった。
リオノーラは固く閉めたドアを簡単に開けてくれる。

公爵家へと帰り、父と母に相談すると『クーシャの意志を尊重する』『良い道が見つかって良かった』と喜んでくれた。
自分の人生にとってジョンテとアーリンは誰よりも優しい大人で、素晴らしい母親と父親だった。





クーシャはルマンと共に国中を駆け回っていた。
色々な精霊や人を見るこどができるのは新鮮でクーシャにとっては幸せなことだった。
この仕事をしていると結婚相手に悩むこともないし、表情を取り繕う事も必要も、誰かの機嫌を取る必要もない。
それに王城に帰れば皆に会うこともできる。
自由気儘にルマンと仕事をこなす日々は、何よりも楽しかった。


「クーシャ、お前にしかできない仕事があるんだ!帰ってきたばかりで悪いが直ぐに向かってくれないか?」


ルカートに資料を手渡されて読み込んでいた。


「ルカートさん、これって……」

「かなり困っているみたいなんだ。急いで向かってくれ」

「はい」


急いで街へと向かった。
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