異世界の裏口

千代子レイ子

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9 幼子ミー君

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 ある日市場視察を兼ねてオリバーと質問しながら楽しく買い物をして帰宅すると、珍しくメリーが玄関で待っていた。

「ただいま、メリー。どうしたの?」
「……」
「……何かあったの?」

 不安になってメリーに聞くと急に花の手を取り、1階のまだ掃除してない部屋に案内された。

 薄暗い部屋にズカズカ入っていくメリーは花も知らない勝手口から、東屋らしき所へ向かって行く。するとマリーと全く知らない幼い男の子が横になっていた。

「あっ! お帰り花!」
「いやいや、その前にこの子はどなた?」
「ミー君だよ!!」

 マリーが代わりに元気良く名前を教えてくれるけど、正式名でお願いしたい。

「…………えーっと、ミー君は何故ここにいるのかな?」
「なんかメリーとここら辺通ったら倒れてたの。だから寝るならマリーのお布団貸してあげるよって言ったんだよ」
「?!!!」
「花!! どう言うこと?!!」
「えぇっ?! オリバーさんがそれを私に聞くの?!」

 まさか数時間屋敷を開けている間に新たな幼子が現れるとは思わなかった。いや、予期出来るはずないわ!!

「細かいことは後でいいわ。ミー君はお腹空いてない? 体調はどう?」
「空いてるよ! さっき、お腹がぐぅーって言ってたから」
「?!!!」
「なら、サンドイッチをもってくるわ! ミー君は動ける? 無理ならオリバーさんに運んでもらおうか?」

 幼子ミー君はマリーの横で小さく首を横にふった。手にはミニペットボトルある。きっとマリーかメリーがミー君の為に持ってきたのだろう。少し感動してしまった。

「じゃ、ここでマリーたちと食べる?」

 するとミー君は小さなく頷いたのでとりあえず部屋の準備をするまでここで双子たちとご飯を食べてもらおう。

「!! 花! それって卵の?!!」
「卵もハムもだよ」
「マリーも食べたい!!」
「……メリーも……」
「じゃ、俺も!!」
「はい、はい。オリバーさんは持ってくるの手伝ってね」
「喜んで!!」

 嬉しそうに返事をするオリバーをお手伝いとして台所へ連れて行く。

「材料取りに一旦戻りますから、小皿と大皿用意してもらえます?」
「任せて!」

 それから2人で玉子サンドとハムサンドとチキンサンドを作っていると、マリーが慌てて花を呼びに来た。

「花、大変!! ミー君吐いて動かない!! しかも多分お熱ある!!」
「えぇ?!!!」

 サンドイッチを台所に置いたまま、急いで戻るとメリーがミー君の側にいてくれた。花はミー君の額に手を宛てて熱を確かめると確かにかなり熱い。

「俺が運ぶよ。花代わって」

 朦朧としているミー君をこの前までメリーが寝ていた部屋に運ぶと、口を軽くゆすがせてマリーのパジャマを着せると、そのまま寝かした。

 (メリーと出会った頃みたいね……)

 ミー君の顔を軽く拭いてあげてから、常備してある熱冷ましシートをおでこに貼る。体温は38.6℃。かなり高い。メリーの時のように今日は徹夜で看病するしかないかな……なんて考えてると、隣にいたオリバーが難しい顔をしていた。

「どうしたの?」
「うーん。いや、この熱って毒からの物じゃないかなって思ってさ。昔、仲間が倒れた時と同じ症状と似てて……」
「えぇ?! 風邪じゃないの?」

 その時ミー君が気持ち悪いと言ったので、近くにあったゴミ箱に急遽吐いてもらった。

 背中を擦ってゲェゲェ胃液まで吐こうとするミー君を見て花は胸が苦しくなった。もし毒ならばこんな幼子に非道が出来る神経を持つ人間ばけものが許せない。

「ねぇ、こちらのお医者さんなら病か毒の判別出来ます?」
「出来るよ。いしゃ? は分かんないけど、もしかして治療師のこと言ってる?」
「判別出来ればいいです。勿論治療も出来ればいいですけど……呼べますか?」
「判別でいいなら俺の仲間を呼んでくるよ!」
「お願いします!!」

 オリバーが部屋を出た後、口をゆすがせ水を無理やり飲ませては、また吐いた。

 (強力な毒ではない? でも吐き続けてるってことは身体は拒絶反応してるってことだよね)

「ごめんね。苦しいのに……でも、頑張って! すぐにオリバーさんがお医者さん呼んで来るから!!」

 ミー君が泣きながら吐き終わった後、口を拭いてそのままミー君を膝に抱いて背中を優しく撫で続けた。なんとなく横に寝かせないほうがいいように思えて……。

「今、胃が痙攣してて苦しいね。ごめんね。なんとかミー君を治してみせるから」

 泣きじゃくるミー君をあやしてると、オリバーがその仲間を連れて戻って来てくれた。

「はぁ、はぁ、……ちょっと遅くなった!」
「この子です! 病か毒かを判別してください!」

 聖職者のような姿をした女性は頷くとミー君の身体に手をかざした。するとまばゆい光がミー君を包み弾ける。

「……毒ですね。猛毒ではないですけど……何て悪質なの……」
「解毒はどうしたらいいか分かりますか?」
「大丈夫ですよ。もう解毒はしてあります。あとは少し回復をしましょうね」

 女性がミー君の背中を撫でるとまた光が溢れ消えていく。不思議に見ているといつの間にかミー君が寝ていた。

「あとは自然に回復すれば大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」

 ミー君をひとまずベッドに寝かせて3人は部屋を出る。するとそこには心配そうにこちらを見るマリーとメリーがいた。

「オリバーさんのお仲間さんがミー君を治してくれたからもう大丈夫だよ」
「「よかった!!」」

 2人は笑顔で嬉しそうにはしゃいだ。花はマリーとメリーにミー君を見ていて欲しいとお願いして、この前作った応接室もどきにオリバーとお仲間さんを招いた。
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