9 / 61
9 幼子ミー君
しおりを挟むある日市場視察を兼ねてオリバーと質問しながら楽しく買い物をして帰宅すると、珍しくメリーが玄関で待っていた。
「ただいま、メリー。どうしたの?」
「……」
「……何かあったの?」
不安になってメリーに聞くと急に花の手を取り、1階のまだ掃除してない部屋に案内された。
薄暗い部屋にズカズカ入っていくメリーは花も知らない勝手口から、東屋らしき所へ向かって行く。するとマリーと全く知らない幼い男の子が横になっていた。
「あっ! お帰り花!」
「いやいや、その前にこの子はどなた?」
「ミー君だよ!!」
マリーが代わりに元気良く名前を教えてくれるけど、正式名でお願いしたい。
「…………えーっと、ミー君は何故ここにいるのかな?」
「なんかメリーとここら辺通ったら倒れてたの。だから寝るならマリーのお布団貸してあげるよって言ったんだよ」
「?!!!」
「花!! どう言うこと?!!」
「えぇっ?! オリバーさんがそれを私に聞くの?!」
まさか数時間屋敷を開けている間に新たな幼子が現れるとは思わなかった。いや、予期出来るはずないわ!!
「細かいことは後でいいわ。ミー君はお腹空いてない? 体調はどう?」
「空いてるよ! さっき、お腹がぐぅーって言ってたから」
「?!!!」
「なら、サンドイッチをもってくるわ! ミー君は動ける? 無理ならオリバーさんに運んでもらおうか?」
幼子ミー君はマリーの横で小さく首を横にふった。手にはミニペットボトルある。きっとマリーかメリーがミー君の為に持ってきたのだろう。少し感動してしまった。
「じゃ、ここでマリーたちと食べる?」
するとミー君は小さなく頷いたのでとりあえず部屋の準備をするまでここで双子たちとご飯を食べてもらおう。
「!! 花! それって卵の?!!」
「卵もハムもだよ」
「マリーも食べたい!!」
「……メリーも……」
「じゃ、俺も!!」
「はい、はい。オリバーさんは持ってくるの手伝ってね」
「喜んで!!」
嬉しそうに返事をするオリバーをお手伝いとして台所へ連れて行く。
「材料取りに一旦戻りますから、小皿と大皿用意してもらえます?」
「任せて!」
それから2人で玉子サンドとハムサンドとチキンサンドを作っていると、マリーが慌てて花を呼びに来た。
「花、大変!! ミー君吐いて動かない!! しかも多分お熱ある!!」
「えぇ?!!!」
サンドイッチを台所に置いたまま、急いで戻るとメリーがミー君の側にいてくれた。花はミー君の額に手を宛てて熱を確かめると確かにかなり熱い。
「俺が運ぶよ。花代わって」
朦朧としているミー君をこの前までメリーが寝ていた部屋に運ぶと、口を軽くゆすがせてマリーのパジャマを着せると、そのまま寝かした。
(メリーと出会った頃みたいね……)
ミー君の顔を軽く拭いてあげてから、常備してある熱冷ましシートをおでこに貼る。体温は38.6℃。かなり高い。メリーの時のように今日は徹夜で看病するしかないかな……なんて考えてると、隣にいたオリバーが難しい顔をしていた。
「どうしたの?」
「うーん。いや、この熱って毒からの物じゃないかなって思ってさ。昔、仲間が倒れた時と同じ症状と似てて……」
「えぇ?! 風邪じゃないの?」
その時ミー君が気持ち悪いと言ったので、近くにあったゴミ箱に急遽吐いてもらった。
背中を擦ってゲェゲェ胃液まで吐こうとするミー君を見て花は胸が苦しくなった。もし毒ならばこんな幼子に非道が出来る神経を持つ人間が許せない。
「ねぇ、こちらのお医者さんなら病か毒の判別出来ます?」
「出来るよ。いしゃ? は分かんないけど、もしかして治療師のこと言ってる?」
「判別出来ればいいです。勿論治療も出来ればいいですけど……呼べますか?」
「判別でいいなら俺の仲間を呼んでくるよ!」
「お願いします!!」
オリバーが部屋を出た後、口をゆすがせ水を無理やり飲ませては、また吐いた。
(強力な毒ではない? でも吐き続けてるってことは身体は拒絶反応してるってことだよね)
「ごめんね。苦しいのに……でも、頑張って! すぐにオリバーさんがお医者さん呼んで来るから!!」
ミー君が泣きながら吐き終わった後、口を拭いてそのままミー君を膝に抱いて背中を優しく撫で続けた。なんとなく横に寝かせないほうがいいように思えて……。
「今、胃が痙攣してて苦しいね。ごめんね。なんとかミー君を治してみせるから」
泣きじゃくるミー君をあやしてると、オリバーがその仲間を連れて戻って来てくれた。
「はぁ、はぁ、……ちょっと遅くなった!」
「この子です! 病か毒かを判別してください!」
聖職者のような姿をした女性は頷くとミー君の身体に手をかざした。するとまばゆい光がミー君を包み弾ける。
「……毒ですね。猛毒ではないですけど……何て悪質なの……」
「解毒はどうしたらいいか分かりますか?」
「大丈夫ですよ。もう解毒はしてあります。あとは少し回復をしましょうね」
女性がミー君の背中を撫でるとまた光が溢れ消えていく。不思議に見ているといつの間にかミー君が寝ていた。
「あとは自然に回復すれば大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
ミー君をひとまずベッドに寝かせて3人は部屋を出る。するとそこには心配そうにこちらを見るマリーとメリーがいた。
「オリバーさんのお仲間さんがミー君を治してくれたからもう大丈夫だよ」
「「よかった!!」」
2人は笑顔で嬉しそうにはしゃいだ。花はマリーとメリーにミー君を見ていて欲しいとお願いして、この前作った応接室もどきにオリバーとお仲間さんを招いた。
11
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中
白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。
思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。
愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ
向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。
アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。
そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___
異世界恋愛 《完結しました》
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる