16 / 61
16 へルマンと美少女
しおりを挟む
不良へルマンとの複写がやっと終わり男爵へ贈呈すると大変喜ばれた。
「これからはこの本を参考にしながら悪魔の種を改良出来る!! ありがとう!!」
「喜んでもらえて光栄です。では、さつまいもやじゃが芋を使った料理を販売していきますね」
「?!! 何?! 料理だと?!!」
「えっ、はい。元々はそのつもりで来たのですけれど……」
(いやいや、本書いて終わりなはずないでしょ!!)
「場所は決まっているのかね?」
「? いえ、これから探す予定ですが?」
「なら、領地の市場でやりなさい!」
「へっ?」
「試作はここで作ればいい! 材料は好きなだけ使って良い!! だから出来たものをわしにも食べさせてくれ!」
「芋料理や菓子のレシピを盗まれるのはちょっと……」
「なら、契約を結ぼうではないか!!」
(採取される未来しか見えないんですけど?)
「はぁ。とりあえずそこら辺の話は後日にします」
「良い返答をまっているからな!」
こうして商店の話は保留となり、いつの間にかへルマンが花の専属護衛とされ、徐々に男爵から外堀を埋められているようで恐い。
「もうさ、男爵の専属芋専門家になればいいじゃねぇか! あの人はコンジャックとこと違ってちゃんと評価してくれるぞ!」
「コンジャック?」
「裏では有名な悪徳商会さ! あの人の良さそうな顔と話術に結構騙されてるやつが多いんだよ」
「? 何で? 合わなければ脱退すればいいじゃない」
「契約を書かされるのさ! それも結構酷い内容を巧く隠して書いてあるらしい」
「なるほど。有名詐欺師ほど頭が良いってことね」
そんな話をしていると裏路地から怒鳴り声が聞こえ、女性の悲鳴が後から響いた。
「……くだ……い! せめて……だ……返して……」
「うるせぇ!! 端金だが玄関を汚した代金だ!!」
傲慢な男が美少女を足蹴に金を巻き上げていた。この異世界はやはり治安が悪い。どうしようか考えていると隣にいたはずの護衛へルマンが消えている。
「うらぁ!! このヤブ医者がぁー!! 治療しねぇで金巻き上げるなら俺に殴られても文句いえねぇよなぁ!!」
それはあっという間の出来事だった。美少女を足蹴にしていた男はへルマンに殴られて即、気絶してしまった。まるで火事と喧嘩は江戸の華とでも言うように此処では日常茶飯事過ぎて笑えない。
「カメリア!! 大丈夫か!!」
「あっ、ヘルマン様……」
「なんでこんなヤブ医者のとこにいるんだ!」
「……兄が高熱で……全然下がらなくて……」
「そんなに酷いのか?」
「……はい」
どうやら知り合いのようだ。ここは治安が悪いので場所を移動してから話を聞く。するとどうやらお兄さんが高熱で意識朦朧と危なくなり、お金を持って医者を訪ねたら理不尽にお金を巻き上げられたそうだ。
いや、それもう医者じゃなくてただの破落戸。
「……あの、医者じゃないですけど、もしかしたら助かる薬があるかもしれません。ただ、絶対ではないですけど……」
「……………………」
「? あの、どうしますか?」
呆ける美少女に不思議がっていると花の視線に気付いたのか慌てて話に戻った。
「あっ、いえ、その助かるんですか?!」
「分かりません。私は医者じゃないので……。でも解熱剤はあります。とても強い薬なんです」
「構いません!! 助かる可能性があるなら!」
花は頷くと屋敷に急いだ。マリーの時と同じように風邪セットと解熱剤を準備して男爵から借りた鳥車でカメリアさん家に向かう。
「でもビックリした。へルマンの知り合いにこんな美少女がいるなんて!」
「? あぁ、まぁ、美人かな? 俺、嫁さんしか興味ねぇからなぁ……よくわかんねぇわ!!」
(相変わらず凄いな……嫁を溺愛してるのは幼稚園児でも理解出来る態度だが、他は美醜を含まず人柄だけで判断しているなんてある意味公平な人なのかな……)
「それは知ってるよ。だからちょっと驚いた」
「はは! 俺は基本子供には優しいからな! それとカメリアは家の近所に住んでるんだ。よく嫁さんと楽しそうに料理してるからもう半分親戚みたいなもんだな!」
「はい。リナ様はとても優しくて素敵な方ですから、へルマン様が溺愛するのも分かります」
「だよなー! リナは世界一可愛いくて優しい嫁さんだからな!! カメリアはよく分かってる!!」
それから車内は嫁自慢を永遠とするへルマンの独壇場となり、聞かされている花は当分甘いものは要らない気分になっていた。
そうして着いたその屋敷の外観を見て花は驚く。
「……既視感が凄い……」
「カメリアは一様男爵令嬢だからな!」
「ほぼ家名だけの貧乏人ですよ。このように屋敷はボロボロですからね。では兄の部屋へ案内します」
この前までのメークイン男爵家を彷彿とさせるボロ屋敷具合だ。この美少女もかなり苦労しているのが見てとれる。
そしてカメリアに連れられ、一室に通されるとそこには海外スターさえも裸足で逃げ出すほどの超絶イケメンがベッドの上で苦しんでいた。
えっ? 人間?! 嘘! 天使でしょ?!!
「これからはこの本を参考にしながら悪魔の種を改良出来る!! ありがとう!!」
「喜んでもらえて光栄です。では、さつまいもやじゃが芋を使った料理を販売していきますね」
「?!! 何?! 料理だと?!!」
「えっ、はい。元々はそのつもりで来たのですけれど……」
(いやいや、本書いて終わりなはずないでしょ!!)
「場所は決まっているのかね?」
「? いえ、これから探す予定ですが?」
「なら、領地の市場でやりなさい!」
「へっ?」
「試作はここで作ればいい! 材料は好きなだけ使って良い!! だから出来たものをわしにも食べさせてくれ!」
「芋料理や菓子のレシピを盗まれるのはちょっと……」
「なら、契約を結ぼうではないか!!」
(採取される未来しか見えないんですけど?)
「はぁ。とりあえずそこら辺の話は後日にします」
「良い返答をまっているからな!」
こうして商店の話は保留となり、いつの間にかへルマンが花の専属護衛とされ、徐々に男爵から外堀を埋められているようで恐い。
「もうさ、男爵の専属芋専門家になればいいじゃねぇか! あの人はコンジャックとこと違ってちゃんと評価してくれるぞ!」
「コンジャック?」
「裏では有名な悪徳商会さ! あの人の良さそうな顔と話術に結構騙されてるやつが多いんだよ」
「? 何で? 合わなければ脱退すればいいじゃない」
「契約を書かされるのさ! それも結構酷い内容を巧く隠して書いてあるらしい」
「なるほど。有名詐欺師ほど頭が良いってことね」
そんな話をしていると裏路地から怒鳴り声が聞こえ、女性の悲鳴が後から響いた。
「……くだ……い! せめて……だ……返して……」
「うるせぇ!! 端金だが玄関を汚した代金だ!!」
傲慢な男が美少女を足蹴に金を巻き上げていた。この異世界はやはり治安が悪い。どうしようか考えていると隣にいたはずの護衛へルマンが消えている。
「うらぁ!! このヤブ医者がぁー!! 治療しねぇで金巻き上げるなら俺に殴られても文句いえねぇよなぁ!!」
それはあっという間の出来事だった。美少女を足蹴にしていた男はへルマンに殴られて即、気絶してしまった。まるで火事と喧嘩は江戸の華とでも言うように此処では日常茶飯事過ぎて笑えない。
「カメリア!! 大丈夫か!!」
「あっ、ヘルマン様……」
「なんでこんなヤブ医者のとこにいるんだ!」
「……兄が高熱で……全然下がらなくて……」
「そんなに酷いのか?」
「……はい」
どうやら知り合いのようだ。ここは治安が悪いので場所を移動してから話を聞く。するとどうやらお兄さんが高熱で意識朦朧と危なくなり、お金を持って医者を訪ねたら理不尽にお金を巻き上げられたそうだ。
いや、それもう医者じゃなくてただの破落戸。
「……あの、医者じゃないですけど、もしかしたら助かる薬があるかもしれません。ただ、絶対ではないですけど……」
「……………………」
「? あの、どうしますか?」
呆ける美少女に不思議がっていると花の視線に気付いたのか慌てて話に戻った。
「あっ、いえ、その助かるんですか?!」
「分かりません。私は医者じゃないので……。でも解熱剤はあります。とても強い薬なんです」
「構いません!! 助かる可能性があるなら!」
花は頷くと屋敷に急いだ。マリーの時と同じように風邪セットと解熱剤を準備して男爵から借りた鳥車でカメリアさん家に向かう。
「でもビックリした。へルマンの知り合いにこんな美少女がいるなんて!」
「? あぁ、まぁ、美人かな? 俺、嫁さんしか興味ねぇからなぁ……よくわかんねぇわ!!」
(相変わらず凄いな……嫁を溺愛してるのは幼稚園児でも理解出来る態度だが、他は美醜を含まず人柄だけで判断しているなんてある意味公平な人なのかな……)
「それは知ってるよ。だからちょっと驚いた」
「はは! 俺は基本子供には優しいからな! それとカメリアは家の近所に住んでるんだ。よく嫁さんと楽しそうに料理してるからもう半分親戚みたいなもんだな!」
「はい。リナ様はとても優しくて素敵な方ですから、へルマン様が溺愛するのも分かります」
「だよなー! リナは世界一可愛いくて優しい嫁さんだからな!! カメリアはよく分かってる!!」
それから車内は嫁自慢を永遠とするへルマンの独壇場となり、聞かされている花は当分甘いものは要らない気分になっていた。
そうして着いたその屋敷の外観を見て花は驚く。
「……既視感が凄い……」
「カメリアは一様男爵令嬢だからな!」
「ほぼ家名だけの貧乏人ですよ。このように屋敷はボロボロですからね。では兄の部屋へ案内します」
この前までのメークイン男爵家を彷彿とさせるボロ屋敷具合だ。この美少女もかなり苦労しているのが見てとれる。
そしてカメリアに連れられ、一室に通されるとそこには海外スターさえも裸足で逃げ出すほどの超絶イケメンがベッドの上で苦しんでいた。
えっ? 人間?! 嘘! 天使でしょ?!!
10
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】灰かぶりの花嫁は、塔の中
白雨 音
恋愛
父親の再婚により、家族から小間使いとして扱われてきた、伯爵令嬢のコレット。
思いがけず結婚が決まるが、義姉クリスティナと偽る様に言われる。
愛を求めるコレットは、結婚に望みを託し、クリスティナとして夫となるアラード卿の館へ
向かうのだが、その先で、この結婚が偽りと知らされる。
アラード卿は、彼女を妻とは見ておらず、曰く付きの塔に閉じ込め、放置した。
そんな彼女を、唯一気遣ってくれたのは、自分よりも年上の義理の息子ランメルトだった___
異世界恋愛 《完結しました》
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる