異世界の裏口

千代子レイ子

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18 最強兄妹

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 イケメン先生は完璧だった。マリーやメリーだけでなく、ミー君の指導も抜かり無くパーフェクトで花は思わぬ優秀な人材を確保出来てウキウキだった。

「花ちゃん、お昼はカレーにしようかね?」
「うん!! 嬉しい!! 手伝うよ!」
「大丈夫よ。まだお仕事あるんでしょ?」
「でも任せてばっかりだと悪いし……」
「(向こうのお仕事もあるんでしょ? あんまり異世界こっちの仕事で無理しないで!)」

 小声でお婆ちゃんに心配されるのがこそばゆくて、なんだかにやけてしまう。花は特にお婆ちゃん子だったため、嬉しくてしょうがない。

「じゃ、皆にお昼ご飯知らせてくるよ!」
「そう? ではお願いするわね」

 笑顔でお昼を伝えに行くと丁度授業も終わってて、これから食堂に向かう所だったらしい。

「花、今日のお昼なーに?」
「おや? マリー嬢、なーに? ではないですよね?」
「はっ! えっと、今日の昼食は何かしら?」
「ふふ。 お昼はカレーでございます」
「「「カレー!!!」」」
「トッピングはいかがしましょうか?」
「マリーはハンバーグ!!」
「……メリーは唐揚げがいい」
「ミー君、ちゃまごがいい! めちゃまやき! めちゃまやきなの!」
「あー、目玉焼もいいね! マリーも迷う~!!」

 もうすっかり令嬢の言葉もぶっ飛び、カレーの前にはイケメン先生も形無しだ。

「ところで花様『カレー』とは何ですか?」
「おいちぃの! ミー君、ヤーメンよりしゅき!!」
「お野菜がいっぱい入っているのに美味しいの!」
「……シチューみたいな料理です」

 メリーの説明以外意味不明だが、そこは先生。笑顔でそれは楽しみですねと言えば子供たちは大喜びでカレーについて語った。




「……ちゃん、花ちゃん!」
「はっ!!」
「寝るならベッドで寝ましょう」
「……うん。……今何時?」
「3時だけど?」
「あちゃー! 寝すぎちゃった!!」
「寝過ぎたって、花ちゃんクマが酷いわよ?」

 可愛い孫が明らかに疲れている。カメリアはその疲れの中に自分も含まれていると思うと辛かった。

「ははは。何とか向こうとこっちで稼ぎたいんだけど、中々難しくてさ。一回宝石や金を換金したんだけど、税金とか色々面倒くさくて止めちゃった」
「…………」
「大丈夫! 無理はしてないから! それに今はおばあちゃんも一緒に居てくれるのが嬉しいんだ」

 笑顔をカメリアに向けると花は足どり危なく部屋を出た。その後ろ姿を心配そうに見つめる人の心も知らずに……。



 しばらくするとカメリアは花にインターネットを習った。調べものをするのにとても役立つからと、異世界側に回線を引っ張りパソコンを繋いだ。

「昔、花ちゃんにタブレットを買ってもらって凄く便利だったわ。辞書を引かずに漢字も分かるし、調べものもすぐに見れて本当に助かってたのよねぇ」
「そういえばタブレットは使いこなしてたよね。老眼鏡もいらないから便利だって」
「アルバイトのお金で買ってくれて……とても嬉しかったわ……」

 しみじみ過去の思い出を振り返っているとノックの音がする。花は慌ててパソコンを切るように言うが、焦ったカメリアは間違えて広告を押してしまった。すると大音量のメタル音楽が流れ、危険と感じたんだろう。兄のルーベンスが扉を開けてしまった。

「花様! どうされましたか?!!」
「えっと、あの、その……」
「花ちゃん、これどこに×があるの?」
「?!! な、何ですか? この魔法は?!」
「…………はぁ……」

 バレたなら仕方ない。開き直った花はパソコンの広告を消し、ルーベンスに私の国にある魔法の箱だと説明した。

 すると頭の良いルーベンスはパソコンに興味を持ち、カメリアより早くパソコンを理解してしまった。しかも日本語よりほぼ英語の方で。

「花様の国は色んな言語があるのですね。とても興味深いです! カメリアは酷いな。こんな面白いことを黙っているなんて!」

 よほどパソコンが楽しかったのだろう。その日からルーベンスは花に講義をしてもらい、ある程度理解すると物凄い早さで色々習得していった。今では花より詳しい。


「もうあれは病気ね。元々勉強が好きな人だったらか、パソコンなんて与えたら猫に鰹節状態。いえ、猫にチュールね」

 例えが的確過ぎて苦笑いするしかない。詐欺やウイルスに
引っ掛からなきゃ、別に好きに使ってもらって構わないが。




 そうして1ヶ月後、事件が起きた。


「はぁ? 2億?! なにこれ!!」
「お兄さんに頼んで花ちゃんの為にって株取引を少ししたの。そしたら、そのFXとか色々やりだしていて……」

 あれだけどうしようか悩んでいたお金儲け(副業)をルーベンスがあっさり解決してしまった。花は一躍、億トレーダーに仲間入りしたもよう……。

「はっ!! ぜ、税金!!」
「それなら私に任せて。長年税金関係はやってきたから花ちゃんに脱税なんてさせないわよ!」
「そうだった! お婆ちゃん会計事務所に勤めてたもんね」
「昔取った杵柄を生かす時よ」

 なるほど。カメリアの家が貧乏だけど借金が無かった理由は、頭脳明晰の兄と税金対策が完璧な妹がいたからだ。
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