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20 オリバーvsルーベンス?
しおりを挟む花は今回の功労者ルーベンスにお礼を言いにパソコン部屋へと向かう。すると急に右腕を誰かに引っ張られた。
「どういうこと!! 花、説明して!!」
怒気を含む声で主語のない説明を求めるのは、1ヶ月護衛に出ていたオスカーだった。
「えっと、お帰りなさい……」
「ただいま! それでどういうこと?」
「どういうこととは?」
「なんで俺がいない間に新しい男連れ込んでんの!!」
「連れ込む?!! なんと人聞きの悪い!!」
あまりの言い方に花は驚いた。アルベルトに続きオスカーまで酷い言いようである。
しかしルーベンスは確かに人外な美しさなので誤解されてもしかたない。(まぁ、ルーベンスには失礼な話になるけど)
だが花はあくまでも彼を講師として頼んだにすぎないし、そこに恋愛感情なんて初めからない。
「……はぁ。あのね、彼はマリーたちの家庭教師です! 嘘だと思うならアルベルト様に確認を取って貰えば分かることよ」
「……口ではなんとでも言える……それに家庭教師だろうと男にかわりない……」
何故だか今日のオリバーは花に冷たい。それが何だか悲しかった。
「!! 酷い!! なんでオリバーさんにそんなこと言われないといけないんですか! それにルーベンスさんだけじゃなくてカメリアも一緒です! そちらのことは何で追及しないんですか!」
「……彼女は女性だから……」
「? そりゃ妹だから女性ですよ! 服装だって見た目だって女性に見えますよ?」
「いや、だから! あー! もう!!」
オリバーのイライラが理解出来ず、廊下の隅で騒いでると渦中のルーベンスが喧嘩に気付いたのか声をかけてきた。
「花様! どうしましたか?」
「あっ、ルーベンスさん!」
「チッ」
「どなたか知りませんが、花様を解放しなさい!」
「しない!! 彼女は俺の恋人だ!!」
「「えっ?」」
突然のカミングアウト。しかも花は身に覚えがない。どうしてそうなったのか訳が分からない……。
「ちょっ、何で花まで驚いてるんだよ!」
「だって知らない……」
「はぁ?! あんなに俺のこと好きだって告白して、イチャイチャしてたじゃないか!!」
「えっ? 告白したっけ?」
「!! したさ! 俺のこと好きなのかって聞いたら好きだって言ったじゃないか!!」
あまりの唐突な内容に考えを巡らすが全く思い出せない。
「それにケーキをあーんしてくれたじゃないか!!」
「あっ、あぁ!! しました! した! それがイチャイチャ?」
「その時も俺が聞いたでしょ!!」
あーんをした記憶はある。早くお礼がしたいから食えって口に突っ込んだ。でもオリバーを好きだと言った記憶は曖昧で覚えてない。それにオリバーはエミリーが好きだったのではないのか?
「……ごめんなさい。覚えがない。教えてもらえる?」
「えぇ?!! 俺のこと好きなの? って聞いたら、あーんする位好きだっていったじゃん!!」
「そ、それは確かに言いました。それが愛の告白?」
「そうでしょ!」
「……でもオリバーさんからの告白、私受けてないよ?」
何やら壮大なすれ違いがあるようだ。だが花はオリバーから正式に愛の告白も恋人としてつき合うような話しも聞いてない。
「えっ! 俺、花に告白してないっけ?」
「聞いてないですけど?」
「あれ?」
焦るオリバーに花は呆れた。確かに恋人だったらルーベンスの存在は恐怖だろう。なにせ人外な美しさを持っているから不安に思うのも分かる。だが、それはあくまでも付き合ってる恋人同士の話だ。
「どうやら誤解があったようですね」
「はい。お騒がせしてすみません」
「花様が無事でしたら私はそれで良いのです」
「ご心配いただき、ありがとございます」
世の女性たちが卒倒してしまうような眩しい笑顔で心配され、さすがの花もドキドキした。
「? どうしましたか?」
「いえ、ルーベンスさんの笑顔は安心からのものと分かっていてもドキドキしますね。破壊力が凄くて直視出来ません」
「おや、そうですか。それは嬉しいですね」
「えっ?」
「こちらの話ですよ」
「?」
美しいルーベンスは命を助けたからか分からないが花には特段優しい。だがマリーからは「腹黒悪魔爺だから、誘惑してるんだよ! 騙されちゃだめだよ花! 悪魔は優しいふりをして近づくんだからね!」なんて真剣に言われて笑ってしまった記憶がある。
「とにかくオリバーさん、感覚や習慣の違いで勘違いさせてしまったようで申し訳ありません」
「えっ」
「それよりエミリー様のことはいいんですか?」
「えっ? エミリー様? 急に何の話し?」
「? オリバーさんはエミリー様の事が好きなんじゃないんですか? 高嶺の花だとは分かりますが私で妥協するのはいかがなものかと思いますけど?」
「はぁ?!!」
花が妥協で恋人とか失礼じゃないかと憤慨しているが、エミリーのことを好きだと勘違いしている花もオリバーに失礼である。
「花、俺別にエミリー様のことそんな目で見たことないよ? ってかあの人俺の母親より年上だし、今年孫が生まれたお婆ちゃんだよ?」
「えっ? ……えぇ?!!!」
「あの人魔法で若作りしてるからねぇ。まぁ、騙されてもしょうがないけどさ、花酷いよ! 俺だって同い年位の女の子がいいよ!」
(まさかまさかのお婆さん。どう見ても20代の綺麗なお姉さんにしか見えなかったよ。魔法すげぇ。そしてこえー!)
「……それは失礼しました」
「じゃ、改めて。俺は花が好きです! 結婚してください!!」
「…………いや、それは流石に早くないですか?」
「…………間違えた……付き合って下さいでした……」
何ともしまりの悪いオリバーらしい愛の告白だった。
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