VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第30話 "流星群"は話し合う。

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⚫︎レオ

「ふぅ……」

 ショウ……いや、今はマヨイか。
 あいつが走り去っていく姿を確認した俺にあったのは張り詰めた緊張感が弛緩したことによる安堵だった。

「レオ、弱いんだからでしゃばらないで」

「お前が交渉してたら時間掛かるだけだろうが」

 オリオンは俺たちの中で最もVRゲーム適正の高いプレイヤーだ。それは加入したてのメンバーを含めれば50人近いプロゲーマーが所属している"流星群うち"の中でも別格と言っていいほどでシブンギが直々にスカウトした数少ないメンバーだ。
 加入当時は小学6年生だったオリオンだが、その時点で"流星群"に所属する他のプロゲーマーと遜色ないほどゲームが上手く、4年が経った今では"流星群"の顔ともいえる存在になっている。

「別に、気にしない」

 だが手を抜くということが出来ない彼女は"流星群"にスカウトされる以前から同世代の中で孤立していた。その影響なのかコミュニケーション能力が拙く、特に思った事をすぐ口に出すので"流星群"の中にも彼女を苦手とする奴も少なくない。

「そりゃオリオンはな。けどマヨイは明らかに急いでたろ。それで万が一決闘とか吹っかけられたらどうすんたまよ」

「そうなればいい、今なら良い勝負になるはず」

 昨日のワールドアナウンスの後、夜中に1人で行動していたらしいオリオンはいつの間にか"カイシンの巫女"という覚醒を獲得していた。
 オリオンが覚醒と同時に手に入れたスキルの効果は"公式チートいい加減にしろ"と言いたくなる代物だった。それに加え覚醒したことで上昇したステータスは現在の平均的なプレイヤーとはかけ離れているのだからオリオンの自信も頷ける。

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて」

「マヨイが怖くて、考えるしてたチキンハートは黙って」

「ショウくん、いえ、今はマヨイくんですね。彼から得られた情報は非常に有意義なものでした。アルテラに戻ってメンバーと情報共有、オリオンの覚醒入手をモデルに私たちも覚醒を入手、そして可能な限り早急にエリアボスの討伐とドロップの一時的な独占を狙いましょう」

「……むぅ」

 リーダーはオリオンの毒舌をスルーして今後の暫定的な目標を並べる。確かにオリオンのおかげで覚醒は専用の特殊なアイテムさえあれば誰にでも獲得の機会があるのは分かっているし、専用のクエストの難易度もオリオンの話を聞く限りでは特に難しいものじゃない。

「オリオンを含めたメンバーで先にエリアボスに挑戦しとくのも悪くねぇだろ」

「そうですね、ここのエリアボスはヘビのモンスターでしたね。再出現の条件はフラグ管理されている可能性がありそうですので、ここにメンバーを招集して待ってる間に普通のヘビを倒しましょうか。100体くらい狩っても何もないようなら別のパターンを検証しましょう」

「分かった。ホーリーレイン」

「「!?」」


[Grass Snakeを17匹倒した]
[素材:草原蛇の魔石を17個獲得した]
[素材:草原蛇の抜け殻を15個獲得した]
[素材:草原蛇の血を4個獲得した]


 オリオンの頭上に現れた魔法陣のようなものから手の平サイズの光の塊が放たれた。狙いは20mくらい先の草むら、着弾と同時にメッセージから着弾地点にはヘビが17匹もいたらしい。

「このゲームってクレーター作るゲームだったか?」

「オリオン、そのスキルの情報は聞かされてませんよ」

「気分で名前付けただけ。ただのホーリーレイ、マヨイが模倣できるって」

 ホーリーレイは神聖魔法という補助メインの魔法スキルの中に含まれる貴重な聖属性の攻撃手段だ。ただホーリーレイはレーザービームのような形状だったはずだ。

「オリオン、どういうことか具体的に」

「スキル、私たちの意思でカスタムできる」

「習得した時点のスキルは加工前、デフォルトでしかないということですか。これは盲点でしたね」

「おっきな借り、できた……」

「そうだな。ゴブリンの情報なんかじゃ釣り合わねぇわ」

「たぶん、生産や加工も、カスタムできる」

「そうなれば大事ですね。これはチームで共有するに留めてマヨイくんから許可をもらうか、誰かが発見して掲示板に書き込むまで秘匿しましょう」

「それがいいな」

「アイに聞く?」

 そういえばオリオンはアイと仲が良かったな。
 オリオンは相手を見下したような毒舌もあって同世代の友達が少ない。ところでアイも名前を変えてたりしないだろうな?変に絡んでマヨイの逆鱗に触れたら洒落にならんぞ。

「そうですね。オリオン、アイくんを通じてマヨイくんにアポを取ってくれませんか。やはり直接尋ねるのが筋でしょう」

「事情、話していい?」

「もちろんです。どうせマヨイくんから聞いているでしょうから問題ないでしょう。それと生産や加工のスキルをカスタムできるようなら生産や加工に手を出すプレイヤーが増えるでしょう。需要過多になる前に素材を買っておいた方がいいかもしれませんね」

「腹黒チキンハートだ」

「転売か?さすがに非難されると思うぞ」

「なんとでも。素材は転売するのは角が立ちますから、デルタたちが作った習作を販売しましょう。そうすれば当面の資金繰りは楽になるでしょうし、非難するプレイヤーも減るでしょう」

 デルタは俺を含めて戦闘狂や脳筋と呼ばれる者が多い"流星群"の中では異質な直接的な戦闘行為を好まないストラテジー系のゲームが得意なゲーマーだ。このゲームではチームメンバーの装備などの加工を担当してくれている。

「加工持ちのプレイヤーを敵に回してもチーム内で加工できるから関係ねぇってか。それだとデルタの負担が大き過ぎるぞ」

「デルタは仲間、道具じゃない」

「それに関しては複案があるので大丈夫ですよ」

 オリオンも思うところがあったのか、いつものボンヤリとした表情が真剣なものに変わる。俺としてはオリオンがいつも見下しているデルタを仲間だと断言したことに驚きを隠せないが。
 そうしている間に続々と"流星群"に所属している仲間たちが集まってきた。

「お、皆さん来ましたね。今後の予定ですが──」

 その後、俺たちは森の方でレベリングをしていた"流星群"のメンバーと合流し、エリアボスの出現条件が約1時間の待ち時間と北の草原で倒されたヘビの累計の2つであるという事実を突き止めた。
 かなり苦戦したがオリオンのおかげでエリアボスに初見で勝つことができた。行動パターンはそこまで複雑なものではなかったので、俺たちは深夜の緊急メンテナンスまでにエリアボスを周回し素材とドロップ装備を集めた。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。

オリオンのように覚醒を獲得しているプレイヤーは極わずかながら存在しています。マヨイ以外にもの2種類の覚醒を獲得しているプレイヤーもいるので早めに登場させてあげたいですね。
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