VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第70話 マヨイは街道を進む。

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⚫︎マヨイ

 テコの街を東門から出た僕とシキたちは、街道を進む前に厄の出現地点までの道筋と手順について確認することになった。これは僕がパーティメンバー内で唯一、テコ東部高原地帯での戦闘経験がないからだ。

「なら、スケルトンは魔石を狙えばいいんだね?」

「そうね。聖術以外の魔術より打撃攻撃の方が有効だから、マヨイくんにはスケルトンに混ざって出てくるゴーストの対処をお願いしたいの」

「ゴースト?」

「私たちも遭遇したのは1回だけだけど、物理攻撃が通用しないモンスターだよ。たぶん厄ってやつと同じで物理攻撃無効なんだろ。攻撃はソフトボールくらいの大きさの火の玉を飛ばしてくるだけだったけど、マリアがいなければ詰んでたな」

「ならゴーストは優先的に対処するよ」

 この手の気配りはシキやマリアが言い出すと思っていたが、意外なことに言い出したのはショウだった。彼女の雰囲気から察するに自分の不安を払拭する口実に使われた面もあっただろう。それでもスケルトンが魔術を使う者──特に聖術を使う者──を優先的に狙う傾向にあること、胸部の魔石を破壊しなければ顔や手足を砕いても早々に復活することやスケルトン以下のモンスターについて知れたのは大きい。

「あと街道沿に進んでしばらくすると声が聞こえるんだったかな」

「声?」

「ルイにしか聞こえなかったみたいだけど、なんか呼ばれてた?んだっけか」

「うん。殺してくれって何度も聞こえてきてウザかった」

「それでルイが声がするっていう方向に進んだら明らかに普通じゃないモンスターがいたから撤退したんだ」

「兵士に報告したら"そいつは厄だ。よく生きて帰ってこれたな"って言われた」

「なるほど」

「んじゃ行こうぜ!」

 こうして情報を共有した僕らが東へと続く街道へと足を踏み入れるとすぐにスケルトンを発見した。どうやら他のパーティが戦闘中のようだ。

「え、武器を持ってるの?」

「言ってなかったっけ。たまにスケルトンの上位種みたいなのも出てくるぞ」

 聞いてない。これはおそらく伝達ミスというより彼女たちにとって知っていて当然のことだから端折った、といったところだろう。僕がテコ東部高原地帯に足を踏み入れるのは今回が初めてだとは伝えたはずだけど、やはり情報の欠落はあったようだ。
 他にもあるかもしれないので注意しておこう。

「前から3体くるよ」

「タゲお願いします」

「おっけ、挑発!」

魔力弾、魔力弾、魔力弾攻撃威力調整1% 魔力弾×3

「全部一撃とか強っ」

「左からゴースト来てる」

「ホーリーピラー!ホーリーレイ!」

 ホーリーレイはオリオンさんも使っていたビーム攻撃、ホーリーピラーは対象の足元から光の柱が出現するどちらも聖術の攻撃魔術だ。ホーリーピラーには足止め効果もあるらしく、マリアさん曰く狙いがつけにくいホーリーレイを当てるのに一役買っている。
 ちなみにホーリー◯◯という名前の魔術の基本威力は使用者の精神の75%だ。魔力弾よりも低いのだけど、アンデット系や悪魔系のモンスターや重罪を犯した人種に対しては威力が2倍になるらしい。マリアさんのような聖術の攻撃を多様できるプレイヤーからすれば、スケルトンやゴーストといったアンデット系のモンスターばかりでるテコ東部高原地帯は恰好のレベリング場所だろう。

「前からスケルトン1、ゴースト1」

魔力弾、魔力弾攻撃威力調整1% 魔力弾×2

「ホーリーピラー、ホーリーレイ」

「マヨイは属性魔術使わないのか?めちゃくちゃ使いにくいって聞いたけど」

 襲いかかってきたスケルトンとの戦闘を繰り返しながら進んでいるとショウから質問が飛んできた。攻略サイトに書かれている魔力弾の評価をショウも知ってるんだろう。

「使い勝手は悪くないよ。僕以外で使ってるプレイヤーは見たことないけど」

「魔力弾みたいに弾を飛ばすスキルは使いにくいって言って座標指定するタイプの魔術を使う人がみたいだね」

「「へぇ……」」

 シキは魔術士ではないはずだけど妙に詳しいな。
 フレンドに僕以外の魔術士がいるか、それとも……

「よく戦闘中に会話できるわね……」

「慣れじゃないですかね?」

 ちなみに隊列というかパーティの並びはシキとショウが前衛で僕とマリアが中衛、ルイは後ろから襲ってくるモンスターに対処するため後衛だ。ルイとマリアは聖術スキルを持っているので体力の損耗が少なく安定している。
 それと僕は魔力弾の威力を1%に抑えている。覚醒しているという情報のないまま本来の威力を見せればチートを疑われてしまいかねないし、だからと言って僕から「覚醒しています」なんて言うのは自慢するようで恥ずかしい。それにスケルトンの魔石を砕くには1%でも十分だった。


──くれ


「ん?」

 街道を歩いて体感で30分くらいした頃、れた老人のような声が聞こえてきた。これがルイが聞こえたという声だろうか。


──る前に………くれ


「止まって。南から例の声が聞こえる」


 テコ周辺の地理を頭に思い浮かべる。たしか街道沿から南に進めばゲーム2日目に僕と暁でレベリングした森がある。そこを抜ければアルテラ北部草原地帯に行けたはずだ。おそらく厄は森の手前にいるんだろう。森の中ならリストにテコ東部高原地帯とは書かれないはずだ。

「よし、ここから南に進むよ。昨日と同じならスケルトンの数は増えるけど、ボス戦を控えてるからマリアとマヨイくんは魔力を温存して欲しい。代わりにルイ、小次郎を参加させて欲しい」

「分かった」

 魔力弾を放つペースを少しだけ落とす。
 とはいえ、これまで何もしていなかったルイのテイムモンスターである狼──名前は小次郎──が戦闘に参加し始めたのでスケルトンの討伐ペースはむしろ上がった。

「いた。あそこ」

 スケルトンとの戦闘中、ショウが前方を指さした。
 その先にあったのはローブを着た人型のモヤだ。先端部が紫色に光っている黒い杖を持っている。体力バーは蒼の使徒と同じ3本、おそらくあれが厄なんだろう。
 こちらの声に反応したのか厄がこちらを向いて杖を構えた。
 まだ僕らと50mは離れているけれど……まさか遠距離攻撃!?


──俺に殺される前に逃げてくれ


 次の瞬間、厄の杖から幾条もの紫色の光線が放たれた。


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
お気に入り登録者数が800人を超えました。
本当にありがとうございます。

次話は久しぶりの本格的(?)な戦闘回です。

追記(1/30)
登場人物紹介を編集するため非公開状態にしました。
混乱させてしまった読者の方、申し訳ありません。
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