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吐き気と、暴力と、
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しおりを挟むあそこまで絞められてたら、いっそ殺された方が楽だっただろう。
「…――っ、は…ッ、げほ…っ、は…ぁっ」
「君に簡単に死なれたら俺が困るんだよねぇ」
「…ぅ…」
ぐちょりと音をたてて性器が抜かれる。
そして、ズチュゥ……とゆっくりまた腰を押し付けられ、奥に押し込まれ、結合部をぴったりくっつけられながら腰を揺さぶられれば、下腹部がしびれる。
びくびく身体が跳ねた。
「真冬くん、おれはね。あの日、君と初めて会ったあの日からずっとレイプされてたんだ」
責めるような声。
首から手が離れていった。
「君に触れたからって理由で、声を聞いたから、言葉を交わしたから、その姿を見たからって理由で蒼くんに何十本も骨をおられたんだよ。ねぇ、これは誰のせいだと思う?」
「…っ、ひ…」
そしてその指は、その上にある目隠しに触れた。
目隠し越しに、瞼の上をゆっくりとなぞられる。
「…君なんか、最初からいなかったらよかったのに」
「っ、」
その低い声に、ビクンと身体が痙攣したように小さくはねた。
ドクドクと鼓動が速くなる。
身体を突き破ってきそうな程、心臓が大きくなってる気がする。
誰かの、顔が見える。
目の前にいる男の人じゃない。
その誰かが、俺の首元に手を伸ばしてくる。
”ああ、貴方さえ生まなければ――”
「ぁ゛――…ッ!!」
首が締まる。
確かに首に手の感触はないのに、見えない誰かに首を絞められているように苦しい。
…違う。
首に絡みついた何かが、俺の呼吸を止めようと全力で締め上げてきた。
喉の奥の気管が締まる。
圧迫感が首にまとわりついて、いくら身をよじっても、手を振り回しても離れてくれない。
”どうして、いつも私を困らせるの…?”
今度ははっきりと見えた。
顔のない女の人が俺の上に跨って、首を絞めてくる。
いつもと違う。
鮮明に、光景が見えてくる。
(――なんだこれ、なんだ、この光景、この痛み)
見るな。
見るな。
見るな。
違うのに。俺はごく普通の幸せな家庭に生まれたんだ。
こんな記憶、俺のモノじゃない。
熱い瞼をぎゅっと閉じて涙を零しながら、でも反射的に耳を手で塞いでひたすら叫んでいた。
ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
「――ッ」
声が出ない。
(…ごめんな…さ…ッ、もう、やめ…っ)
許して。許して。もう、聞きたくない。知りたくない。見たくない。
俺はもう、あんな思いを味わいたくない。
やめろ。思い出すな。思い出すな。
”…ど、……て…”
「…ぁ、」
一瞬、目の前が真っ赤になった。
言葉を聞いた途端に、汗が噴き出る。
”まふゆ…どう…して、”
「…――ッ」
…何かが、思い出してはいけない何かが、フラッシュバック、した。
いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。
「…―――――ッ!!」
喉の奥から悲鳴のような絶叫が漏れる。
激しい頭の痛みが止まらない。
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