手足を鎖で縛られる

和泉奏

文字の大きさ
411 / 842
吐き気と、暴力と、

9

しおりを挟む




あそこまで絞められてたら、いっそ殺された方が楽だっただろう。


「…――っ、は…ッ、げほ…っ、は…ぁっ」

「君に簡単に死なれたら俺が困るんだよねぇ」

「…ぅ…」


ぐちょりと音をたてて性器が抜かれる。
そして、ズチュゥ……とゆっくりまた腰を押し付けられ、奥に押し込まれ、結合部をぴったりくっつけられながら腰を揺さぶられれば、下腹部がしびれる。

びくびく身体が跳ねた。


「真冬くん、おれはね。あの日、君と初めて会ったあの日からずっとレイプされてたんだ」


責めるような声。
首から手が離れていった。


「君に触れたからって理由で、声を聞いたから、言葉を交わしたから、その姿を見たからって理由で蒼くんに何十本も骨をおられたんだよ。ねぇ、これは誰のせいだと思う?」

「…っ、ひ…」


そしてその指は、その上にある目隠しに触れた。
目隠し越しに、瞼の上をゆっくりとなぞられる。


「…君なんか、最初からいなかったらよかったのに」

「っ、」


その低い声に、ビクンと身体が痙攣したように小さくはねた。
ドクドクと鼓動が速くなる。
身体を突き破ってきそうな程、心臓が大きくなってる気がする。

誰かの、顔が見える。
目の前にいる男の人じゃない。

その誰かが、俺の首元に手を伸ばしてくる。


”ああ、貴方さえ生まなければ――”


「ぁ゛――…ッ!!」


首が締まる。
確かに首に手の感触はないのに、見えない誰かに首を絞められているように苦しい。

…違う。

首に絡みついた何かが、俺の呼吸を止めようと全力で締め上げてきた。

喉の奥の気管が締まる。
圧迫感が首にまとわりついて、いくら身をよじっても、手を振り回しても離れてくれない。


”どうして、いつも私を困らせるの…?”


今度ははっきりと見えた。

顔のない女の人が俺の上に跨って、首を絞めてくる。

いつもと違う。
鮮明に、光景が見えてくる。


(――なんだこれ、なんだ、この光景、この痛み)


見るな。

見るな。

見るな。

違うのに。俺はごく普通の幸せな家庭に生まれたんだ。

こんな記憶、俺のモノじゃない。

熱い瞼をぎゅっと閉じて涙を零しながら、でも反射的に耳を手で塞いでひたすら叫んでいた。

ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。


「――ッ」


声が出ない。


(…ごめんな…さ…ッ、もう、やめ…っ)


許して。許して。もう、聞きたくない。知りたくない。見たくない。
俺はもう、あんな思いを味わいたくない。
やめろ。思い出すな。思い出すな。


”…ど、……て…”


「…ぁ、」


一瞬、目の前が真っ赤になった。
言葉を聞いた途端に、汗が噴き出る。


”まふゆ…どう…して、”


「…――ッ」


…何かが、思い出してはいけない何かが、フラッシュバック、した。

いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。


「…―――――ッ!!」


喉の奥から悲鳴のような絶叫が漏れる。
激しい頭の痛みが止まらない。


しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

処理中です...