七分で読める官能小説 2

若葉おのえ

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優しい女たち 1

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 ミツルは四か月ほどかけて、これまでの艶やかな体験に多少の脚色を加えて、連作形式の官能小説を書き上げた。
 実話をベースにしているだけに、それ以前に書いてきたミステリーやホラーの原稿と違って、構成やストーリー展開などに凝る必要がなく、またエロ楽しかった出来事を思い出しながらの執筆だったため、肩の力を抜いて、楽しみながら書き進めることができた。これほどすらすらと小説を書いたのは初めてのことだった。
 もちろん、登場人物はすべて仮名にし、店や会社の名前なども新たに考るなど、個人が特定されることがないよう、注意を払った。
 作品の舞台も、関東のある地方都市ということにして、具体的な地名は出さないようにした。
 その上で、ナベさんとノリコさん夫婦が営む町中華は、居酒屋に変更した。
 リエコさんが所長を務める興信所も、レディース探偵事務所という名称に変えた。
 従妹のノアちゃんは旅行代理店勤務なのをホテルのフロント係に変え、従妹ではなく義妹(継父の連れ子)という設定にした。
 エステサロンを経営するマイコさんも、女性専用のオイルマッサージ店とした。
 コーポの隣に住んでいた短大生のサキちゃんは、保育士になるために勉強をしているが、小説の中ではパティシエを目指す洋菓子の専門学校生に変えた。

 官能小説は、一話が完結するごとにミツルは、その原稿を官能小説専門のサイトに投稿していった。
 これまで新人賞に何度応募しても予選通過という結果しか得られなかったが、こちらではアクセス数を随時知ることができ、投稿してゆくたびにその数値が上がってゆくのが大きな励みになった。
 ときには「読みやすくて面白い」「実体験じゃないかと思うほどリアルなエロさがありますね」といった感想を書き込んでくれる人もいた。
 すべての原稿を投稿したときには、サイト内で常に人気ランキング上位をキープすることができていた。
 そんなときに、サイトの運営会社が、アダルトノベル大賞なるものへの応募を投稿者たちに呼びかけていたので、ちょうどいいと思ってエントリーしようとした矢先、ある出版社から〔文庫書き下ろしという形でうちから出版しませんか?〕というDMが届いた。
 官能小説と時代小説を主に手がけている出版社で、文庫出版とセットで電子出版もするという。その出版社ではお色気系のマンガも多数出版しており、官能小説の売れ行きを見て作品のコミック化も検討したい、とあった。
 ミステリーやホラーでは、プロ作家になる道は険しく、延々と出口の見えないトンネルを掘っているような気分だったのだが、官能小説を書いてみたら一発でプロへの切符が手に入ってしまった。
 ミツルはもこれは運だけではないと思った。心から楽しみながら書いた作品だったので、それが読む側にも伝わり、出版の話がきたのである。それ以前の、ミステリーやホラーを書いていたときは、いい作品を書かなければならない、何としても入選しなければ、といった考えに支配されていたため、結果として書き手の気持ちが空回りしてしまったのではないか。
 やはり小説は、書かなければ、ではなく、書きたい、という気持ちが大切なのだ。
 ミツルは声をかけてくれた出版社に〔拙稿をお読みいただき、また出版のお話をいただき誠にありがとうございます。是非お願い致します。〕と返信した。
 その後は順調に話が進み、出版予定日なども決まり、それに向けて原稿の手直しなどをすることが決まった。

 ついにプロ作家になれる。しかし実家の両親にはこの事実を伝えないことにした。
 父親はお堅い銀行マンで、母親は公務員である。二人からエロ話など聞いたことがなく、AV業界や風俗業界に対して偏見を持っているであろうことは、過去の言動から明らかだった。
 そこでミツルは、フリーライターとしてWeb雑誌の仕事をするようになったこと、引っ越し会社で働いていたときよりも何倍も楽しくやっているということをメールで送っておいた。
 すると母親から、今度いつ帰省するのか、と返ってきた。次に帰省するときまでに、具体的にどんなWeb雑誌でどんなコラムや記事を書いているかを考えておいた方かよさそうである。

 出版が決まった頃になってミツルは、登場人物のモデルになってくれた人たちへの報告と、了解してもらうことが必要だと遅ればせながら気づいた。
 すべて仮名にし、本人が特定されないようさまざまな配慮をして、あくまでもフィクションとして書いたので実際には報告や許可取りの義務はないのかもしれないが、本人が読めば自分をモデルにしたということは判る。筋は通すべきだった。
 そこで、モデルになった人たちにLINEで連絡を入れてみた。
 結果、幸い誰も嫌がったりせずにみんなが快諾してくれただけでなく、祝福の言葉と共に、〔お祝いをしなきゃね。〕といったコメントまでもらった。

 ミツルはまず、バイトで世話になった町中華にあいさつをしに行った。
 バイトをしていたときには、まかない料理も食べさせてもらうなど、ナベさんとノリコさんご夫妻には本当に世話になった。
 奥さんのノリコさんから誘惑されて関係を持ってしまった後しばらくは、店主のナベさんにバレたら殺されるのではとビビっていた。
 それだけに、その後ナベさんから、妊活をしているがマンネリでやる気が出ないから3Pに加わってくれと頼まれたときにはさずかにびっくりした。もちろん喜んで加えてもらったのだが。
 何はともあれ、ノリコさんは無事ナベさんのタネで妊娠し、男の子の赤ちゃんが生まれている。その報告をLINEでもらったとき、ナベさんからは〔お祝いとか、そういうのは受け取らないから。バイト生活してるコにそんなことさせらくないんで。プロ作家になるまでは、オレたちのことは気にしないで集中しろよ。〕と釘を刺された。それもあって、店を訪ねるのはもう半年以上ぶりである。
 訪ねたのは午後の〔準備中〕の時間で、ナベさんたちは二階の住居部分で休憩しているところだった。ノリコさんから「ミツルくーん、久しぶりー」とハグをされ、ナベさんからは「おう、ミツルくん、上がれ、上がれ」と手招きされ、瓶ビールを抜いて飲ませてもらった。
 赤ちゃんはさきほどおっぱいを飲んだ後、別室ですやすや寝ているという。リビングの壁には〔命名 太志〕と書かれた命名札が貼ってあった。
 ミツルがお祝いの品として「今頃になってすみません」と赤ちゃん用オムツとお尻拭きを渡すと、ナベさんは「いいって言ったのに」と顔をしかめたが、ノリコさんは中身確かめて「あらー、ありがとう。こういうのが実は一番もらってうれしいのよねー」と満面の笑みで受け取ってくれた。その際、ミツルの耳元に口を近づけて「赤ちゃんがおっぱい離れしたら、またいいことしようね」と言った。
 その後、しばらくご夫婦と歓談した。ナベさんは「官能小説、いいじゃないか。オレは普通の小説よりよっぽど読みたいね。ミツルくんも、とうとうプロ作家さんか。よかったな」と言ってくれた。ノリコさんは「私たちが小説の中に登場するなんて、人生のいい思い出になるわ。読むのが楽しみ」と笑った。
 ミツルは、出版されたら欲しい冊数だけ持って来ますから、と約束した。
 帰るとき、一階まで見送ってくれたナベさんから「近いうちに、また三人で、な。ノリコのやつが、もう一人産みたがってて」と言われた。
 ミツルは、ノリコさんとのセックスをナベさんに見せつけて、興奮したナベさんが途中交代して見事にタネつけに成功したときのことを思い出し、たちまち股間が膨張してしまった。

 その日の夕方、興信所所長のリエコさんからLINEで〔何か食べに行こうか。うちに溜まってる缶詰なんかの贈答品もあげたいし。〕と連絡がきた。ミツルが了解する旨の返事をすると、車で迎えに来てもらえることになった。
 ステークハウスに連れて行ってもらって一緒に食事をした後、リエコさん宅へ向かった。
 車中でリエコさんは「ミツルくん、とうとうやったわね。プロの作家になるなんてすごいよ」とほめてくれた。
「本当はミステリーやホラーの作家を目指してたんですけどね」
「そんなこと、気にしなくていいと思う。マラソン選手を目指してたけど上手くいかなくて、でも一万メートルや五千メートルのトラック競技で花開いた、みたいな選手がいるじゃないの。それと同じことよ。プロ作家になるっていう夢をかなえたことに変わりないよ」
 ほどなくしてリエコさん宅に到着し、サバやサーモンの缶詰め、佃煮の瓶詰め、和牛のレトルトカレーなどの詰め合わせを、トートバッグに詰めてもらった。いずれも贈答用の高級品である。
 リエコさんは興信所の依頼人からしょっちゅう、お礼の品をもらっていて、ミツルはこれまでに何度となく「余っちゃうからもらってよ」と声をかけてもらっている。
 その後、リエコさんに紅茶を入れてもらい、ダイニングテーブルで向かい合って飲んだ。
 コートを脱いだリエコさんは、薄茶色のブラウスと黒いパンツという格好だった。長めの髪を後ろでまとめている。
 リエコさんから「マイコさんから聞いたんだけど。エステサロンの社長をしてるマイコさん」と言われ、ミツルは「はい」とうなずいた。
「ミツルくん、マイコさんと母子相姦ごっこみたいなことをしたんだって?」
「ええ、マイコさんに頼まれて。彼女結構なドMで、息子から強引にやられちゃう設定でやりたいと言われて、最初は戸惑いました。最後は息子さんのソウタくんも加わっての3Pみたいなことまでやることになって」
「えっ、マイコさんの息子のソウタくんが?」
「ええ。ソウタくんもかなりのドMで、ボクが彼の飼い主という設定で、お母さんとセックスをしろって命じたら。マイコさんもソウタくんも、大興奮で喜んでました」
「うっそー」とリエコさんは目を丸くした。「マイコさん、本当に息子のソウタくんとセックスしたの?」
「したの、じゃなくて、前からやってたんですよ。でも、ソウタくんの方か飽きちゃったみたいで疎遠になってたんだそうです。二人ともドMだから、互いの要求に応えられなくて、上手くいかなかくなっちゃったそうで。そこでボクが二人の飼い主になって、いろいろ命じる形でプレイをしてみたらすごく喜んでもらえたっていう」
「はあーっ」リエコさんは盛大なため息をついた。「あの親子、結構すごいことやる人たちだったのねー。私、マイコさんとはときどき食事に行ったりしてる仲なんだけど、そういう話は聞いたことなかったわ」
「仲がいい相手でも、たやすく話せることではないでしょうから」
「まあ、そうなんだろうけど……でも今こうやって効くと、思い当たる節はあるのよね。マイコさんからご主人の浮気調査を頼まれたときには、既にセックスレス状態が続いてたようだし、息子のソウタくんの写真や動画をスマホにたくさん入れてて、自慢げに見せられたりしたから。それにしても、母と息子でセックスをしてたとは」
 リエコさんの言い方には、非難めいた要素は感じられず、むしろうらやましく思っているように思えた。
 紅茶を飲み終えたところで、リエコさんは白ワインを持ってきた。
 そしてリエコさんは、ミツルのグラスに注ぎながらおもむろに「私もお願いしていいかしら。母子相姦プレイ」と言った。
 やっぱりかー。ミツルは「ええ、いいですよ」とうなずいた。
「でも、寝ているところを息子に襲われるっていう設定は、マイコさんがもうやってるから、真似はしたくないわね。他に何か興奮できそうな設定ははいかしら」
 そこでミツルが、熟女系AVで見てきたいくつかの設定を紹介すると、リエコさんはそのうちの一つに食いついて「それ、やりたいわ」と言った。
 右手と左足を怪我して不自由している母親の世話をする息子、という設定だった。

 リエコさんはまず、光沢があるピンク色のパジャマに着替えた。そして後ろで束ねていた髪をほどいた。それだけで妖艶な雰囲気が格段と増した。
 続いて救急箱を出してきて、ミツルも手伝い、右手の手首と手のひらにかけて、そして左足の足首周りを包帯でぐるぐる巻きにした。リエコさんが「交通事故で骨に亀裂が入ったという設定ね」とうれしそうに言った。
 準備OK。リエコさん、いやお母さんが、リビングのソファに座って「ミツル、悪いけど白ワイン持って来てくれる?」と言った。
「お母さん、お酒なんか飲んだら怪我をしたところが炎症しやすくなるんじゃない?」
「いいから持ってきてよ。利き腕だけでなく歩くのもままならない生活がこんなに不便だとは思わなかったわ。トイレはウォシュレットだから杖をついて移動すれば何とかなるけど、お風呂に入れないのがつらいわ。飲まないではいられないわよ」
「しょうがないなあ。でも飲みすぎないでね」
 ミツルはグラスに注いだ白ワインを渡すとき、「お風呂は、ビニール袋で右手と左足を覆って口をしばれば何とか入れるんじゃない?」と聞いてみた。
「私、ちゃんと歩けないのよ。風呂場で転んだら大変じゃないの」
「あ、そうか……じゃあ、お風呂に入る代わりに身体を拭く? それぐらいならボクでもできると思うけど」
「あら、やさしいのね。じゃあお願いしようかしら。大きめのウェットティッシュがそのこ整理棚の上にあるから、それを使って」
 お母さんは白ワインのグラスをソファテーブルに置き、パジャマのボタンを外して脱いだ。さらに背中を向けて「ホックを外してくれる?」と言った。
「ブラジャーも脱ぐの?」
「当たり前でしょ。拭かない部分があったら気持ち悪いじゃない」
 ミツルは「……判ったよ」と応じて背中のホックを外した。リエコさん、しゃなくてお母さんのおっぱいは、年の割には形がよくて、なまめかしい。
 ミツルはあまりガン見しないよう気をつけながら、ウェットティッシュで上半身を拭いた。首、肩、腕、背中。そしておっぱいを吹き始めると、柔らかな弾力が伝わってきた。
 乳首周りを拭いたとき、お母さんは「あん……」と身をよじらせた。
 ミツルのものは既にカチンカチンに膨張していた。お母さんがそれに気づいて「あら、ミツル、お母さんの裸を見て、こんなになっちゃったの?」と左手で触れてきた。
 お母さんはさらに左手でミツルの手首を取って引き寄せ、おっぱいをつかませた。そのままキスを求めてきて、たちまち舌がミツルの口の中に侵入してきた。
 ミツルはパジャマのズボンとパンティ脱がせ、ウェットティッシュではなく舌を使って身体のあちこちをなめ回した。
 お母さんは左手で自身の陰部をなで回しながら、「ああ、ミツル、お母さんでよかったら、来て」と言った。
 ミツルはそれに応えてソファに座った姿勢のお母さんに挿入した。お母さんが「ああっ、ミツルが入ってきたわ。あなたは昔、私のここから出て来たのよ。帰って来てくれたのね」と左手でミツルの腕をつよくつかんできた。
 ミツルのピストン運動は徐々に激しさを増してゆき、最後は「お母さんっ」「ミツルっ」「お母さんっ」「ミツルっ」と叫び合い、リエコさんが絶頂に達したのとほぼ同時に、ミツルはどくんどくんと発射し、互いに強く抱き合ってベロチューをした。

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