木漏れ日の中で

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僕がセドリック様を避け始めてから1ヶ月が経とうとしていた。
その間、セドリック様は何度も教室に来ては僕の名前を呼び話しかけようとする。そして僕はそれを無視して、諦めないセドリック様から逃げるように教室を出ていく。
セドリック様はいつも追いかけようとしてくれるが、僕のクラスメイト達や彼曰く取巻きとなっている人達に囲まれ阻まれている。
廊下ですれ違うとき、セドリック様は僕に近づこうとしてくれる。でも僕は後ずさって結局来た道を戻る。

そんな態度ややり取りは周囲の人にバッチリ見られているわけで。
「セドリック様かわいそう」
「セドリック様はお優しい」
というセドリック様に対しての同情的な声と、
「何様のつもりでセドリック様をもてあそんでいるのか。」
「どの分際で人を無視しているのか。」
「最低だ。」
「さすが、出来損ないと言われるだけあってのことだ」
と僕の評価はさらに下がっていく。

教科書はもう隠される、汚されるのは当たり前で、勉強をするにも落書きされた言葉が邪魔で支障がある。
最近は机もボロボロにされている。
直接的な暴力も増えた。
わざと丸めた紙を投げてきたり、廊下ですれ違い様にぶつけられる。
階段では突き落とされ、軽く左手首を痛めてしまった。またそのせいで手すりをつかまないと階段の上り下りが怖くなっている。
登校してすぐに水をかけられる時もあった。
教員はすべて見て見ぬふりで、びしょ濡れの僕にそのまま授業を受けろと言う。

座学の試験では相変わらずカンニング扱いをされ、どうしても首位を取りたい学生に一度、脅されたこともある。
彼は炎の魔法が得意なようで人の気のない教室に連れ込まれて炎を僕のすぐ近くに出しながら次は何も回答するなと言った。
僕が何の反応もしないので分かっているのかと言いながら炎を出している手で右手首を掴まれた。
「いっ!!」
とても熱くて生理的な涙と反射的に声が出た。
彼は笑って痛さに座り込んだ僕の背中を蹴ってから満足気に教室から出ていった。

寮の食堂では僕が席に着くまでの間に誰かにぶつかられたり、転ばされたりでプレートの中身を何度かこぼしてしまってからはなるべく一番初めか最後に行くようにしている。
でも、そのせいか食堂の職員さんからの嫌がらせもやりやすくなったようで僕だけ明らかに与えられる量が少なく、冷めたものが多い。
昼の学食では僕の前に横入りするのが当たり前のようになってしまい、並ぶのをあきらめ昼食は暫く取っていない。

今日もまた冷たい少量の朝食を食べ、教室に行くまでに冷たい視線や悪意のあるいたずらに晒され、ようやくついた教室を開けるなりゴミを投げられる。
「きったない服でくるなよ。」
「パパに頼めば?」
「無理だよ笑侯爵家に愛想つかされてるもん」
制服を汚してくるのはそっちなのに。
座学では相変わらず意地悪な質問や範囲外の質問はすべて僕に投げてくる教員。実技ではすることがないので立つしかなく、隣で教員にひたすら罵られる時間になる。
ボーっと聞き流していたら、顔に思いっきり何かが当たる。急な出来事でそのまま尻もちをつく。
顔を押さえながら何が当たったのか見るとゴムボールのようだ。
奥からはクラスメイトがニヤニヤしながら近寄ってきた。
「先生、すいません。力魔法のコントロール、ボールを使うと難しくて。」
僕ではなく教員に謝る彼。
僕に早くボールを拾って渡せと怒鳴る教員。
痛さと悔しさで目に涙がたまり俯く僕。

もう全部が嫌になる。
ふらりと立ち上がってボールを拾わずに運動場から出る。後ろでは教員の怒鳴り声が聞こえるがもういいかもしれない。

まだ顔に当たった衝撃でフラフラする。
でもなんとか耐え唯一休める校舎裏へ向かった。
セドリック様はいないようで安心する。
ほっとしながらベンチには近寄らず、木の陰に座ってボロボロになったハンカチで顔をぬぐう。
歩いている途中で鼻血が出ていたのだ。
1人になり、小鳥のさえずりと穏やかな風、暖かい木漏れ日に安心したのか我慢していた涙が溢れる。
「っ・・・ぅ、、ヒック」

散々泣いたところで鼻血も止まっていることに気づく。
顔を強くぶつけた衝撃はまだ残っているし、少し休みたい。
柔らかい風に包まれながら僕は目を瞑る。
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