26 / 46
㉕ セドリックside
しおりを挟む
医者を寮の前に止めている馬車へ送り、またアベルの部屋に戻る。
「アベル、君は今までずっと一人で頑張っていたんだね。気づかなくてごめんね。」
アベルの手をぎゅっと包み混んで言うとアベルはキョントンとした顔をする。
「なんでセドリック様が謝るんですか?僕セドリック様には何もされてないし・・・それに僕が避けてたから気づくとか気づかないとかないと思います」
「うん。それでも俺は君を守りたかったし、そばにいたかったから。」
そう言うとアベルは恥ずかしそうにしながら「僕と一緒にいても楽しいことはないですよ」と言う。
そんな事はないけど、それは追々伝えていこう。
「それでね、アベル。君には悪いけど俺のほうで君の家や学校で起きていたことを全部調べてもらったよ。」
「・・・え?」
「驚くよね。ごめんね。公爵家には情報収集が得意な組織があるんだ。彼らに証拠と一緒に全部調べてもらったよ。」
「あ、あの、」
驚き困惑するアベルに問う。
「・・・アベルはどうしたい?」
「え?」
「このまま残りの4年間。何も対抗せずひたすら耐えるだけの日々を過ごし侯爵家に帰ってまた閉じ込められながらいつ殴られるか分からない恐怖に耐えるか、俺の提案に乗るか。」
「セドリック様の提案?」
「そ。俺と結婚しない?」
「・・・え?」
余計混乱させてしまったようなので説明を続ける。
「アベルはまだ未成年だよね。だから基本的には家の保護を受けないといけないし、他所の家がその方針に口出しはできないよね。でも俺はアベルはあの家には帰したくないし、学園でこんな生活をさせ続けるのも嫌だ。そこで1つの方法がある。婚約関係を持つことだよ。」
そこまで言うとアベルは俺の言いたいことがわかった様だ。
そう。貴族社会では基本的に未成年は守られる傾向にあり、その方針は家庭によって様々である。そして他所の家庭方針にあれこれ口出すことははしたない行動だと見なされるが唯一許される場合がある。それが婚約だ。婚約関係になった貴族は相手の家庭方針に口を挟める。特に身分や力関係が上の家から言われたことは早急に直すべきだと言う風潮がある。
それを利用するのだ。・・・もちろん、アベルを他の誰にも渡したくないという俺の下心もあるけど。
「・・・でもセドリック様の迷惑になります。」
俯いたアベルがポツリという。
「どうして?」
「だって僕と婚約関係を結んでもセドリック様にはメリットがないです。」
「そんなことないよ。この提案は君を守るためだけど、他にも理由があるんだよ。」
「?」
「・・・俺はね、君のことが好きなんだよ。アベル。」
「え?」
「俺たち小さい時に一度会っているんだよ。その時からずっと君のことが好きだったんだ。入学式で見かけた時は驚いたよ。ベンチで合ったあの日から話せるようになったのはすごく嬉しかったんだ。だから余計アベルが追い詰められてることに気づかなかったのが苦しいし辛い。」
アベルは告白されたところから頭がパンクしているのか、何か言いたそうにして口を閉じる事を繰り返している。
「で、でも」
それでもまだ俺を案じて距離を置こうとする健気なアベルの手を握る。
「・・・あのね、俺はアベルを守りたいんだ。後欲を言えばずっとアベルと一緒にいたい。俺はそれくらい君を好きなんだよ。・・・ダメ?かな。」
「・・・ぅぅ」
迷っている様子のアベル。そりゃそうだ。いきなり付き合ってもない相手から結婚しようと言われるのだから。でも、後一押しかもしれない。
「もちろん、アベルに好きな人がいるなら俺は身を引くよ。でもね、もしいないなら。アベルと一緒にいたい。ううん。アベル。俺と一緒にいて。」
アベルと目が合う。その顔は少し赤くて安心したような顔をしている。
「ぼ、ぼく、セドリック様とはずっと一緒にいたかったけど、す、好きとかはまだわからなくて。」
「うん。」
「でも、セドリック様が一緒にいたいって、嬉しいって思いました。でも、それがセドリック様と同じ好きかと言われれば違うのかも。・・・」
「いいよ、それでも。アベルに好きな人ができたら婚約は解消するし、俺のことを好きじゃなくても隣にいてくれるなら嬉しい。」
「あ、の、ご家族は?」
「心配いらないよ。俺の家族にはね実は手紙を出して伝えているんだ。アベルの事は君が幼い頃から気にかけていたし、学園での生活を知ると酷く心を痛めていたからね。賛成だったよ。」
「そ、そうなんですね。・・・分かりました。セドリック様、よろしくお願いします。」
アベルは腹をくくったのか俺に頭を下げてくる。
「アベル、それは辞めて。俺たちは今日から婚約を結んだ者同士だよ。だからね対等でいてくれたらうれしいな。」
「対等?」
「そう。困ったことがあれば頼って。わがままも言ってほしい。・・・難しいかな?」
「あんまりわからないです。でも、頑張ってみます。」
「うん。ありがとう。俺は今世界で一番幸せかもね。君の婚約者になれたんだから。この事は俺の両親に伝えておくね。君の家には俺の両親を通して伝えるよ。」
「はい。あの、もし僕のお家が迷惑をかけたら・・・」
「大丈夫。侯爵家は公爵家に逆らえないからね。まして公爵家からの婚約の申し込みなんだから受け入れるしかないよ。他に不安な事はあるかな?」
「ん。僕と一緒にいるとセドリック様が悪く言われちゃいます。」
「僕の事を想ってくれてるの?大丈夫だよ。それも対応を考えているからね。あぁ、そう。アベル。時間は少しかかるけど、君への態度もどうにかするからね。君は安心してね。」
アベルの頭を撫でると少しだけ肩の力が抜けている。
「ふふ。アベル、今日はもう寝ようか。明日の朝はおいしい野菜のスープを飲もうね。」
「・・・すーぷ。」
「そう。・・・・おやすみ、アベル。」
眠りにつくアベルのおでこにキスを落として布団を被せ直す。
さて、今日から忙しくなるぞ。学園内のお掃除と貴族会のお掃除が待っているからね。
「アベル、君は今までずっと一人で頑張っていたんだね。気づかなくてごめんね。」
アベルの手をぎゅっと包み混んで言うとアベルはキョントンとした顔をする。
「なんでセドリック様が謝るんですか?僕セドリック様には何もされてないし・・・それに僕が避けてたから気づくとか気づかないとかないと思います」
「うん。それでも俺は君を守りたかったし、そばにいたかったから。」
そう言うとアベルは恥ずかしそうにしながら「僕と一緒にいても楽しいことはないですよ」と言う。
そんな事はないけど、それは追々伝えていこう。
「それでね、アベル。君には悪いけど俺のほうで君の家や学校で起きていたことを全部調べてもらったよ。」
「・・・え?」
「驚くよね。ごめんね。公爵家には情報収集が得意な組織があるんだ。彼らに証拠と一緒に全部調べてもらったよ。」
「あ、あの、」
驚き困惑するアベルに問う。
「・・・アベルはどうしたい?」
「え?」
「このまま残りの4年間。何も対抗せずひたすら耐えるだけの日々を過ごし侯爵家に帰ってまた閉じ込められながらいつ殴られるか分からない恐怖に耐えるか、俺の提案に乗るか。」
「セドリック様の提案?」
「そ。俺と結婚しない?」
「・・・え?」
余計混乱させてしまったようなので説明を続ける。
「アベルはまだ未成年だよね。だから基本的には家の保護を受けないといけないし、他所の家がその方針に口出しはできないよね。でも俺はアベルはあの家には帰したくないし、学園でこんな生活をさせ続けるのも嫌だ。そこで1つの方法がある。婚約関係を持つことだよ。」
そこまで言うとアベルは俺の言いたいことがわかった様だ。
そう。貴族社会では基本的に未成年は守られる傾向にあり、その方針は家庭によって様々である。そして他所の家庭方針にあれこれ口出すことははしたない行動だと見なされるが唯一許される場合がある。それが婚約だ。婚約関係になった貴族は相手の家庭方針に口を挟める。特に身分や力関係が上の家から言われたことは早急に直すべきだと言う風潮がある。
それを利用するのだ。・・・もちろん、アベルを他の誰にも渡したくないという俺の下心もあるけど。
「・・・でもセドリック様の迷惑になります。」
俯いたアベルがポツリという。
「どうして?」
「だって僕と婚約関係を結んでもセドリック様にはメリットがないです。」
「そんなことないよ。この提案は君を守るためだけど、他にも理由があるんだよ。」
「?」
「・・・俺はね、君のことが好きなんだよ。アベル。」
「え?」
「俺たち小さい時に一度会っているんだよ。その時からずっと君のことが好きだったんだ。入学式で見かけた時は驚いたよ。ベンチで合ったあの日から話せるようになったのはすごく嬉しかったんだ。だから余計アベルが追い詰められてることに気づかなかったのが苦しいし辛い。」
アベルは告白されたところから頭がパンクしているのか、何か言いたそうにして口を閉じる事を繰り返している。
「で、でも」
それでもまだ俺を案じて距離を置こうとする健気なアベルの手を握る。
「・・・あのね、俺はアベルを守りたいんだ。後欲を言えばずっとアベルと一緒にいたい。俺はそれくらい君を好きなんだよ。・・・ダメ?かな。」
「・・・ぅぅ」
迷っている様子のアベル。そりゃそうだ。いきなり付き合ってもない相手から結婚しようと言われるのだから。でも、後一押しかもしれない。
「もちろん、アベルに好きな人がいるなら俺は身を引くよ。でもね、もしいないなら。アベルと一緒にいたい。ううん。アベル。俺と一緒にいて。」
アベルと目が合う。その顔は少し赤くて安心したような顔をしている。
「ぼ、ぼく、セドリック様とはずっと一緒にいたかったけど、す、好きとかはまだわからなくて。」
「うん。」
「でも、セドリック様が一緒にいたいって、嬉しいって思いました。でも、それがセドリック様と同じ好きかと言われれば違うのかも。・・・」
「いいよ、それでも。アベルに好きな人ができたら婚約は解消するし、俺のことを好きじゃなくても隣にいてくれるなら嬉しい。」
「あ、の、ご家族は?」
「心配いらないよ。俺の家族にはね実は手紙を出して伝えているんだ。アベルの事は君が幼い頃から気にかけていたし、学園での生活を知ると酷く心を痛めていたからね。賛成だったよ。」
「そ、そうなんですね。・・・分かりました。セドリック様、よろしくお願いします。」
アベルは腹をくくったのか俺に頭を下げてくる。
「アベル、それは辞めて。俺たちは今日から婚約を結んだ者同士だよ。だからね対等でいてくれたらうれしいな。」
「対等?」
「そう。困ったことがあれば頼って。わがままも言ってほしい。・・・難しいかな?」
「あんまりわからないです。でも、頑張ってみます。」
「うん。ありがとう。俺は今世界で一番幸せかもね。君の婚約者になれたんだから。この事は俺の両親に伝えておくね。君の家には俺の両親を通して伝えるよ。」
「はい。あの、もし僕のお家が迷惑をかけたら・・・」
「大丈夫。侯爵家は公爵家に逆らえないからね。まして公爵家からの婚約の申し込みなんだから受け入れるしかないよ。他に不安な事はあるかな?」
「ん。僕と一緒にいるとセドリック様が悪く言われちゃいます。」
「僕の事を想ってくれてるの?大丈夫だよ。それも対応を考えているからね。あぁ、そう。アベル。時間は少しかかるけど、君への態度もどうにかするからね。君は安心してね。」
アベルの頭を撫でると少しだけ肩の力が抜けている。
「ふふ。アベル、今日はもう寝ようか。明日の朝はおいしい野菜のスープを飲もうね。」
「・・・すーぷ。」
「そう。・・・・おやすみ、アベル。」
眠りにつくアベルのおでこにキスを落として布団を被せ直す。
さて、今日から忙しくなるぞ。学園内のお掃除と貴族会のお掃除が待っているからね。
253
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ
MITARASI_
BL
I
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
Ⅱ
高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。
別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。
未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。
恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。
そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。
過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。
不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。
それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。
高校編のその先を描く大学生活編。
選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。
続編執筆中
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる