木漏れ日の中で

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㉕ セドリックside

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医者を寮の前に止めている馬車へ送り、またアベルの部屋に戻る。
「アベル、君は今までずっと一人で頑張っていたんだね。気づかなくてごめんね。」
アベルの手をぎゅっと包み混んで言うとアベルはキョントンとした顔をする。
「なんでセドリック様が謝るんですか?僕セドリック様には何もされてないし・・・それに僕が避けてたから気づくとか気づかないとかないと思います」
「うん。それでも俺は君を守りたかったし、そばにいたかったから。」
そう言うとアベルは恥ずかしそうにしながら「僕と一緒にいても楽しいことはないですよ」と言う。
そんな事はないけど、それは追々伝えていこう。
「それでね、アベル。君には悪いけど俺のほうで君の家や学校で起きていたことを全部調べてもらったよ。」
「・・・え?」
「驚くよね。ごめんね。公爵家には情報収集が得意な組織があるんだ。彼らに証拠と一緒に全部調べてもらったよ。」
「あ、あの、」
驚き困惑するアベルに問う。
「・・・アベルはどうしたい?」
「え?」
「このまま残りの4年間。何も対抗せずひたすら耐えるだけの日々を過ごし侯爵家に帰ってまた閉じ込められながらいつ殴られるか分からない恐怖に耐えるか、俺の提案に乗るか。」
「セドリック様の提案?」
「そ。俺と結婚しない?」
「・・・え?」
余計混乱させてしまったようなので説明を続ける。
「アベルはまだ未成年だよね。だから基本的には家の保護を受けないといけないし、他所の家がその方針に口出しはできないよね。でも俺はアベルはあの家には帰したくないし、学園でこんな生活をさせ続けるのも嫌だ。そこで1つの方法がある。婚約関係を持つことだよ。」
そこまで言うとアベルは俺の言いたいことがわかった様だ。

そう。貴族社会では基本的に未成年は守られる傾向にあり、その方針は家庭によって様々である。そして他所の家庭方針にあれこれ口出すことははしたない行動だと見なされるが唯一許される場合がある。それが婚約だ。婚約関係になった貴族は相手の家庭方針に口を挟める。特に身分や力関係が上の家から言われたことは早急に直すべきだと言う風潮がある。
それを利用するのだ。・・・もちろん、アベルを他の誰にも渡したくないという俺の下心もあるけど。

「・・・でもセドリック様の迷惑になります。」
俯いたアベルがポツリという。
「どうして?」
「だって僕と婚約関係を結んでもセドリック様にはメリットがないです。」
「そんなことないよ。この提案は君を守るためだけど、他にも理由があるんだよ。」
「?」
「・・・俺はね、君のことが好きなんだよ。アベル。」
「え?」
「俺たち小さい時に一度会っているんだよ。その時からずっと君のことが好きだったんだ。入学式で見かけた時は驚いたよ。ベンチで合ったあの日から話せるようになったのはすごく嬉しかったんだ。だから余計アベルが追い詰められてることに気づかなかったのが苦しいし辛い。」
アベルは告白されたところから頭がパンクしているのか、何か言いたそうにして口を閉じる事を繰り返している。
「で、でも」
それでもまだ俺を案じて距離を置こうとする健気なアベルの手を握る。
「・・・あのね、俺はアベルを守りたいんだ。後欲を言えばずっとアベルと一緒にいたい。俺はそれくらい君を好きなんだよ。・・・ダメ?かな。」
「・・・ぅぅ」
迷っている様子のアベル。そりゃそうだ。いきなり付き合ってもない相手から結婚しようと言われるのだから。でも、後一押しかもしれない。
「もちろん、アベルに好きな人がいるなら俺は身を引くよ。でもね、もしいないなら。アベルと一緒にいたい。ううん。アベル。俺と一緒にいて。」
アベルと目が合う。その顔は少し赤くて安心したような顔をしている。
「ぼ、ぼく、セドリック様とはずっと一緒にいたかったけど、す、好きとかはまだわからなくて。」
「うん。」
「でも、セドリック様が一緒にいたいって、嬉しいって思いました。でも、それがセドリック様と同じ好きかと言われれば違うのかも。・・・」
「いいよ、それでも。アベルに好きな人ができたら婚約は解消するし、俺のことを好きじゃなくても隣にいてくれるなら嬉しい。」
「あ、の、ご家族は?」
「心配いらないよ。俺の家族にはね実は手紙を出して伝えているんだ。アベルの事は君が幼い頃から気にかけていたし、学園での生活を知ると酷く心を痛めていたからね。賛成だったよ。」
「そ、そうなんですね。・・・分かりました。セドリック様、よろしくお願いします。」
アベルは腹をくくったのか俺に頭を下げてくる。
「アベル、それは辞めて。俺たちは今日から婚約を結んだ者同士だよ。だからね対等でいてくれたらうれしいな。」
「対等?」
「そう。困ったことがあれば頼って。わがままも言ってほしい。・・・難しいかな?」
「あんまりわからないです。でも、頑張ってみます。」
「うん。ありがとう。俺は今世界で一番幸せかもね。君の婚約者になれたんだから。この事は俺の両親に伝えておくね。君の家には俺の両親を通して伝えるよ。」
「はい。あの、もし僕のお家が迷惑をかけたら・・・」
「大丈夫。侯爵家は公爵家に逆らえないからね。まして公爵家からの婚約の申し込みなんだから受け入れるしかないよ。他に不安な事はあるかな?」
「ん。僕と一緒にいるとセドリック様が悪く言われちゃいます。」
「僕の事を想ってくれてるの?大丈夫だよ。それも対応を考えているからね。あぁ、そう。アベル。時間は少しかかるけど、君への態度もどうにかするからね。君は安心してね。」
アベルの頭を撫でると少しだけ肩の力が抜けている。
「ふふ。アベル、今日はもう寝ようか。明日の朝はおいしい野菜のスープを飲もうね。」
「・・・すーぷ。」
「そう。・・・・おやすみ、アベル。」
眠りにつくアベルのおでこにキスを落として布団を被せ直す。
さて、今日から忙しくなるぞ。学園内のお掃除と貴族会のお掃除が待っているからね。

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