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㉗ セドリックside
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あの後公爵家から来た場所にアベルと荷物を乗せ、予想通り夕食を過ぎた時間に到着した。
両親はよほどアベルが心配だったのか外に出て待っていた。
アベルを馬車から降ろし、使用人が荷物を降ろしている間に両親に挨拶をする。
「ただいま。アベル、おいで」
後ろから遠慮がちについてくるアベルの手を優しく引っ張り腕の中に納めている。それから改めて両親にアベルを、アベルに両親を紹介した。
「アベル、こちらは公爵家当主で俺の父と母だよ。父と俺は前にも言ったように一度アベルの家に行ったことがあるんだよ。父も母もアベルのことはあの日からずっと気にかけていたんだよ。」
「あ、の、アベルです。突然お邪魔して申し訳ありません。その、僕、幼い頃に公爵様に会ったことを憶えていなくて・・・」
そう言いながらすっかり落ち込んでしまったアベルを父と母がフォローする。
「覚えていなくてもいいんだよ。だって君が幼い時の話だからね。私も昨日の事を覚えていないことがあるさ」と父が豪快に笑い、母は
「大丈夫よ、アベルちゃん。話は聞いていわ。さ、中に入って休みましょう。明日もう一度お医者様に診てもらいましょうね。美味しいスープを用意しているわよ。」と言いながらアベルを俺の腕の中から誘導して連れて行く。
公爵家のシェフが腕をふるって作ったスープは俺も好きな物だし、体調を崩していたアベルにはちょうどいいものだ。よほど美味しかったのかアベルは可愛い上目遣いでおかわりを2回した。
それから部屋に案内する。本当は俺の隣の部屋が良かったけど空いている部屋は客室用しかなかったので同じフロアでも離れた場所にアベルの部屋がある。
アベルは案内された部屋を物色している。使用人が運搬用の箱から出して服はクローゼットに入れてるし、本がたくさんあることを伝えていたから増設されている本棚にアベルが持っていた本やノートが綺麗に収まっている。ベッドもしっかりベッドメイキングされているのでもう後は風呂に入って寝るだけかもしれない。
「すごい、お部屋広くていいですね。」
「わ!カーペットふわふわで気持ち!」
「片付けられてる!お礼言わなきゃ!」
「うわぁ、ベッドふかふか」
アベルは部屋に入った瞬間からはしゃぎまわっている。
「アベル、おいでお風呂に入ろう」
「あ、はい!」
俺の存在を忘れていたのか我に返ったのかアベルは少し恥ずかしそうにしながら頷いた。
公爵家では各部屋の隣にもう一つ部屋がありそこでトイレとお風呂を済ます事ができるようになっている。ただしお湯をためるのもトイレを流すのも魔法が必要なので、暫くアベルはお風呂は俺が入れることになるし、トイレの度に一声かける負担を背負わせてしまうので、早急に魔法がなくても使用できるようにする必要がある。
寮室でも履いていたパジャマをクローゼットから取り出しアベルがついてくる。
一応お風呂に入る前に魔法がないとトイレもお風呂も不便してしまうことを伝えそれでも大丈夫か確認する。もちろん、すぐに魔法がなくても使えるようにしておくよ。と付け加えて。
アベルはどうやらお風呂中俺に見られることを恥ずかしがっているようだがなるべく見ないようにすると約束した。
魔法でお湯を張り、アベルを浸からす。
「・・・温かい」
ほっと息を漏らしながら呟く。
アベルがお湯に浸かり水遊びを楽しんだ所で声をかける。
「アベル、髪流してもいい?」
「え?ぼ、ぼく自分でやりますよ」
「でも今は魔法がないと流すとき不便だろう?」
「うぅ・・・でも、」
「俺の我儘でもあるんだ。ダメ?」
「・・・じゃあ、お願いします」
そんな押し問答をしてアベルの髪にお湯をかける。それからシャンプーで泡立てる。アベルは気持ちいいのかリラックスして目を閉じている。
それから使用人に渡された順にリンスやら何やらを髪につけては洗いを繰り返してようやく終わる。
「どうかな?気持ちよかった?」
「はい。寮では冷たい水しかでなくて。石鹸も皆みたいに良いものを頻繁に使えたわけではないので・・・」
「そっか。でも今日からはずっと温かいお風呂に入れるからね。」
そう言って母が持ってきた公爵領で流行っているというバスボムを渡す。
「なんですか?これ」
アベルは不思議そうに尋ねてくる。
「そのまま落としてごらん」
言われたとおりに落とすとお湯の中なのでジワッと溶け出しお湯の色は薄ピンクに染まっていく。
「え?!うわぁ!!」
アベルは驚きの声を漏らしながらもぶくぶくと泡立つバスボムを落とした所をじっと見つめる。
ぴょこっとカプセルが浮かび上がる。
「え?!」
アベルはそれを取ると俺の方に向かって来て「見てください!これ、出てきました!」と興奮気味に話す。
「そのカプセル開けてごらん」
俺が言うとアベルはわくわく全開でカプセルを開ける。中から出てきたのは、ふわふわの毛を持ったピンク色のひこよのフィギアだ。
「え?!わぁ!可愛い!」
俺に向かって見て見て!と手を出してくるアベルに目線を合わせるためにしゃがみ、よかったねと言いながら頭をなでる。
アベルはひよこよフィギアが濡れないように浴槽の隣にあるキャビネットにおいてまた水遊びを楽しんでいた。
暫くそれを見守り、タオルを広げながらアベルに上がろうか?と聞く。
アベルは満足したのかタオルを受け取り着替える。部屋に戻ったあとはアベルをベッドに座らし髪を乾かす。これも魔法だ。もちろん、平民の間には魔法を使わずに髪を乾かす道具があるようなのでそれも揃えるつもりだ。
アベルの手にはあのひよこが握られており、うつらうつらと船を漕いでいる。
髪を乾かし終わり顔を覗き込めばもうすっかり瞼が落ちている。ベットに寝かし直して布団をかぶせる。ひよこは枕の隣に置いておく。
「セド、、リク様、ありがとぉござい、、ます」
そんな事を呟くアベルのおでこにキスをして部屋を出た。
両親はよほどアベルが心配だったのか外に出て待っていた。
アベルを馬車から降ろし、使用人が荷物を降ろしている間に両親に挨拶をする。
「ただいま。アベル、おいで」
後ろから遠慮がちについてくるアベルの手を優しく引っ張り腕の中に納めている。それから改めて両親にアベルを、アベルに両親を紹介した。
「アベル、こちらは公爵家当主で俺の父と母だよ。父と俺は前にも言ったように一度アベルの家に行ったことがあるんだよ。父も母もアベルのことはあの日からずっと気にかけていたんだよ。」
「あ、の、アベルです。突然お邪魔して申し訳ありません。その、僕、幼い頃に公爵様に会ったことを憶えていなくて・・・」
そう言いながらすっかり落ち込んでしまったアベルを父と母がフォローする。
「覚えていなくてもいいんだよ。だって君が幼い時の話だからね。私も昨日の事を覚えていないことがあるさ」と父が豪快に笑い、母は
「大丈夫よ、アベルちゃん。話は聞いていわ。さ、中に入って休みましょう。明日もう一度お医者様に診てもらいましょうね。美味しいスープを用意しているわよ。」と言いながらアベルを俺の腕の中から誘導して連れて行く。
公爵家のシェフが腕をふるって作ったスープは俺も好きな物だし、体調を崩していたアベルにはちょうどいいものだ。よほど美味しかったのかアベルは可愛い上目遣いでおかわりを2回した。
それから部屋に案内する。本当は俺の隣の部屋が良かったけど空いている部屋は客室用しかなかったので同じフロアでも離れた場所にアベルの部屋がある。
アベルは案内された部屋を物色している。使用人が運搬用の箱から出して服はクローゼットに入れてるし、本がたくさんあることを伝えていたから増設されている本棚にアベルが持っていた本やノートが綺麗に収まっている。ベッドもしっかりベッドメイキングされているのでもう後は風呂に入って寝るだけかもしれない。
「すごい、お部屋広くていいですね。」
「わ!カーペットふわふわで気持ち!」
「片付けられてる!お礼言わなきゃ!」
「うわぁ、ベッドふかふか」
アベルは部屋に入った瞬間からはしゃぎまわっている。
「アベル、おいでお風呂に入ろう」
「あ、はい!」
俺の存在を忘れていたのか我に返ったのかアベルは少し恥ずかしそうにしながら頷いた。
公爵家では各部屋の隣にもう一つ部屋がありそこでトイレとお風呂を済ます事ができるようになっている。ただしお湯をためるのもトイレを流すのも魔法が必要なので、暫くアベルはお風呂は俺が入れることになるし、トイレの度に一声かける負担を背負わせてしまうので、早急に魔法がなくても使用できるようにする必要がある。
寮室でも履いていたパジャマをクローゼットから取り出しアベルがついてくる。
一応お風呂に入る前に魔法がないとトイレもお風呂も不便してしまうことを伝えそれでも大丈夫か確認する。もちろん、すぐに魔法がなくても使えるようにしておくよ。と付け加えて。
アベルはどうやらお風呂中俺に見られることを恥ずかしがっているようだがなるべく見ないようにすると約束した。
魔法でお湯を張り、アベルを浸からす。
「・・・温かい」
ほっと息を漏らしながら呟く。
アベルがお湯に浸かり水遊びを楽しんだ所で声をかける。
「アベル、髪流してもいい?」
「え?ぼ、ぼく自分でやりますよ」
「でも今は魔法がないと流すとき不便だろう?」
「うぅ・・・でも、」
「俺の我儘でもあるんだ。ダメ?」
「・・・じゃあ、お願いします」
そんな押し問答をしてアベルの髪にお湯をかける。それからシャンプーで泡立てる。アベルは気持ちいいのかリラックスして目を閉じている。
それから使用人に渡された順にリンスやら何やらを髪につけては洗いを繰り返してようやく終わる。
「どうかな?気持ちよかった?」
「はい。寮では冷たい水しかでなくて。石鹸も皆みたいに良いものを頻繁に使えたわけではないので・・・」
「そっか。でも今日からはずっと温かいお風呂に入れるからね。」
そう言って母が持ってきた公爵領で流行っているというバスボムを渡す。
「なんですか?これ」
アベルは不思議そうに尋ねてくる。
「そのまま落としてごらん」
言われたとおりに落とすとお湯の中なのでジワッと溶け出しお湯の色は薄ピンクに染まっていく。
「え?!うわぁ!!」
アベルは驚きの声を漏らしながらもぶくぶくと泡立つバスボムを落とした所をじっと見つめる。
ぴょこっとカプセルが浮かび上がる。
「え?!」
アベルはそれを取ると俺の方に向かって来て「見てください!これ、出てきました!」と興奮気味に話す。
「そのカプセル開けてごらん」
俺が言うとアベルはわくわく全開でカプセルを開ける。中から出てきたのは、ふわふわの毛を持ったピンク色のひこよのフィギアだ。
「え?!わぁ!可愛い!」
俺に向かって見て見て!と手を出してくるアベルに目線を合わせるためにしゃがみ、よかったねと言いながら頭をなでる。
アベルはひよこよフィギアが濡れないように浴槽の隣にあるキャビネットにおいてまた水遊びを楽しんでいた。
暫くそれを見守り、タオルを広げながらアベルに上がろうか?と聞く。
アベルは満足したのかタオルを受け取り着替える。部屋に戻ったあとはアベルをベッドに座らし髪を乾かす。これも魔法だ。もちろん、平民の間には魔法を使わずに髪を乾かす道具があるようなのでそれも揃えるつもりだ。
アベルの手にはあのひよこが握られており、うつらうつらと船を漕いでいる。
髪を乾かし終わり顔を覗き込めばもうすっかり瞼が落ちている。ベットに寝かし直して布団をかぶせる。ひよこは枕の隣に置いておく。
「セド、、リク様、ありがとぉござい、、ます」
そんな事を呟くアベルのおでこにキスをして部屋を出た。
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