木漏れ日の中で

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㊵ セドリックside

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アベルが学園主催のパーティに参加するなら、準備は沢山ある。
まずは俺たちがアベルを大切にしていることを見せつける必要が有る。
貴族は変に頭が固いからな。口で弁明しても面白い方を信じる傾向があるのだ。
本当にめんどくさい。

アベルを挟んで母とどんな服にしようか、この際ペアの服も仕立てるかとかの話で盛り上がっていたのでアベルと父が遠い目をしていた事には気づかなかった。

さて、そんな話をして一週間後。学園はパーティのために休講で、公爵家には仕立て屋と装飾屋が出入りしている。
アベルは人に囲まれるのがそもそも好きじゃないらしい。ウエストなどのサイズや色合わせをしている間死んだ顔をしていた。
と言ってもストレスから来る死んだ顔ではなく、疲れと退屈さから来るものらしい。

少しの休憩時間にはソファに全身を投げ出してのびのびしていた。
父が合間合間に顔を出すたびにアベルト「わかるぞ」「わかりますよね?!」って目で語り合ってた。

そんなこんなで一日かけて学園主催のパーティに着ていく服と、他にもいくつか仕立ててもらうために生地や色、装飾品の打ち合わせを行い、仕立て屋達は引き上げていく。
アベルはすっかり疲れていて「もう暫くは嫌です」と言いながら料理長が持ってきたぶどうゼリー食べてご機嫌を取り戻していた。

それから普段より遅めの夕食とお風呂タイムだ。
お風呂ではアベルは最近自分で体洗うくらいできますとさせてくれなかったんだけど、今日は湯船に浸かり、バスタブにもたれかかりながら俺に頭を洗わせてくれる。
「アベル気持ちいい?」
「ぅ~、最高です」
アベルは目をつむりながらこちらにされるがまま。可愛いけど無防備で心配になる。
最後に泡を洗い流してあげるとアベルは目を開けて言った。
「僕もセドリック様にしたいです。いつも僕ばっかり。」
少しだけ遠慮がちに言うアベルを見たら断る選択肢はない。
「じゃあお願いしようかな」と言って自分も服を脱ぎ、アベルがバスタブの中に入るように言うので、アベルの前に背を向けるように座る。
うん。さすがは公爵家のバスタブだよね。男二人が入っても狭くないんだから。

アベルはウキウキでお湯をすくい頭にかけてくる。慣れないのと座高が合わないので、アベルは少し苦戦しつつ、いつも俺がアベルにしているように体を洗ってくれる。

「ふぅ」
背後でアベルが達成したと言わんばかりに息を吐くので振り返る。
「きれいにしてくれてありがとう」
そう言いながら立ち上がってこちらを見下ろすアベルをそのまま抱きしめて座らせる。
腕の中で「気持ちよかったですか?」「僕、上手でした?」と聞いてくるアベルが可愛くてなんだか離したくなくて。
そのまま抱きしめながらバスボムタイムを過ごす。
今日はアヒルのおもちゃがでたらしい。
広いバスタブに浮かべながら目を輝かせている。
暫くお風呂で遊んだ後は着替えて、髪を乾かす流れだ。
俺が魔法で乾かしてあげるとアベルが少しむぅとした顔をしながら「僕もしたい」と言う。
でもアベルは魔法使えないしな・・・
「あ、じゃあタオルで拭いてくれる?」その方が魔法で乾かすときに時間がかからないんだよねとかなんとかそれっぽいことをいうとアベルはそうなんだ!という顔をしてソファに座り、地面に座った俺の頭をタオルでワシャワシャする。
でも上についた水分を拭き取るには力が弱くて撫でられてるみたいだ。

なんだか今日のアベルはずっと可愛いことをする。

アベルの寝室でアベルの髪を撫でながらおやすみ前のお話をしていると、アベルが言った。
「・・・今日はセドリック様にいつも良くしてもらってるからお返しがしたかったんです。でも魔法は使えないし、お金だってないからちゃんと返せなくて。お風呂気持ちよかったですか?」
可愛すぎる告白と質問に激しく頷くとアベルはクスクス笑いながらよかった。と呟く。
それを見るとやっぱりまだ側にいたくなる。

「ねぇアベル。」
「はい」
「まだお返ししてくれる?」
「?」
「一つお願いがあるんだけど」
「何ですか?」
「今日は一緒に寝てもいいかな。なんだかアベルト離れたくないみたい」
そういうとアベルは少し驚いた顔をしてそれから笑う。
「今日はセドリック様は甘えたなんですね。いいですよ。」
そう言いながらベッドの端に寄り俺が入れるスペースを開けてくれる。
そんな事をしなくてもそもそもベッドは広いので問題はないのだが。

なんだかお泊り会みたい!
と笑うアベルを腕の中に収めて、今日は疲れたね。とか、アベルが好きだと言った色、すごく似合ってたよ。とか言っていると腕の中から聞こえてくる相槌が寝息に変わっていく。

この顔をずっと見ていたい。
手放したくないし、離れたくない。
そう思うと学園のパーティーまでの耐えだなと思う。確実にアベルを自分のものにする機会なのだから。
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