8 / 12
7
しおりを挟む
「アゲハ……」
「へぇ、声だけで俺のこと分かるようになったんだ。嬉しいねぇ」
笑っている気配がする。
けれど「こんな状況じゃなければ」と付け加えるその声は今まで聞いたこともないほど冷たかった。
闇夜の中からアゲハが数人の男たちを引き連れて姿を現した。
なんで、どうして?
「ハーツ……」
ハーツもグルだった?
一瞬そう思ってしまったが、ハーツにとっても予想外のことだったようで、目を見開いていた。
「悪い子だなぁリンちゃん」
怒りを含んだ目でこちらを見るアゲハに恐怖で震える。
「俺、リンちゃんのこと大事に大事にしてきたよね?それなのに俺のこと裏切るんだぁ?これはもう、帰ったらお仕置きだよねぇ」
「ひっ……いやっ……」
殺される。
「いやいや、何勘違いしてんだよ。最初からお前の行き過ぎた片思いだろ」
ハーツが私とアゲハの間に入ってくれた。
いや、それよりも……
ハーツ、話せたの?
いやいや、それよりも……
男の声?
「ははっ、やぁっと正体を現したかよ。変態女装野郎」
女装?
「ハーツ、男だったの?」
ハーツはこちらを振り向き、笑った。
「この姿の方が安心できるだろ?リン」
そう言ってかつらを外すと、鮮やかな赤髪が現れた。
「本当はこんな再会を果たすつもりじゃなかったのに。あーぁ、そこのバカ王子のせいで全部台無しだ」
王子?
「バカ王子?言ってくれるねぇ、お前だってそうだろうが。サーシャル国のハーツ王子よぉ」
サーシャル国の王子?
訳が分からない。
頭の中で疑問だけが増えていく。
どういうこと。
サーシャル国は確か東側の隣国……。
ハーツがサーシャル国の王子?
でも、アゲハのことも王子って……。
「リン」
アゲハが呼ぶ。
「俺を選べ」
どくりと心臓が震える。
その言葉を私は以前聞いたことがある。
「へぇ、声だけで俺のこと分かるようになったんだ。嬉しいねぇ」
笑っている気配がする。
けれど「こんな状況じゃなければ」と付け加えるその声は今まで聞いたこともないほど冷たかった。
闇夜の中からアゲハが数人の男たちを引き連れて姿を現した。
なんで、どうして?
「ハーツ……」
ハーツもグルだった?
一瞬そう思ってしまったが、ハーツにとっても予想外のことだったようで、目を見開いていた。
「悪い子だなぁリンちゃん」
怒りを含んだ目でこちらを見るアゲハに恐怖で震える。
「俺、リンちゃんのこと大事に大事にしてきたよね?それなのに俺のこと裏切るんだぁ?これはもう、帰ったらお仕置きだよねぇ」
「ひっ……いやっ……」
殺される。
「いやいや、何勘違いしてんだよ。最初からお前の行き過ぎた片思いだろ」
ハーツが私とアゲハの間に入ってくれた。
いや、それよりも……
ハーツ、話せたの?
いやいや、それよりも……
男の声?
「ははっ、やぁっと正体を現したかよ。変態女装野郎」
女装?
「ハーツ、男だったの?」
ハーツはこちらを振り向き、笑った。
「この姿の方が安心できるだろ?リン」
そう言ってかつらを外すと、鮮やかな赤髪が現れた。
「本当はこんな再会を果たすつもりじゃなかったのに。あーぁ、そこのバカ王子のせいで全部台無しだ」
王子?
「バカ王子?言ってくれるねぇ、お前だってそうだろうが。サーシャル国のハーツ王子よぉ」
サーシャル国の王子?
訳が分からない。
頭の中で疑問だけが増えていく。
どういうこと。
サーシャル国は確か東側の隣国……。
ハーツがサーシャル国の王子?
でも、アゲハのことも王子って……。
「リン」
アゲハが呼ぶ。
「俺を選べ」
どくりと心臓が震える。
その言葉を私は以前聞いたことがある。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
106
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる