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出会いイベント ニコル編2 【ローズ】
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「こ、子犬?」
「あぁ、そうなんだ。どうやらどこからか迷い込んでしまったみたいで。義姉さん、近付いたら……」
「可愛いーー!!」
思わずニコルの腕から子犬を奪う。
なんて可愛い子なのかしら!
たまらず、すりすりと頬を寄せる。
「ね、義姉さん!汚れちゃうから!」
ニコルが焦った様子で言う。
ふと我に返り子犬をよく見ると藪やら泥の中やらを走って来たのか、確かにすごく汚れていた。
おそるおそる自分の服を見る。
あちゃー……。
ニコルがハンカチを取り出し、顔を拭いてくる。
もしかして……。
「顔も汚れてるよ」
ニコルが呆れたように言った。
「ほんと誰にでもそうなんだから……」
「え?なに?」
「なんでもないよ」
ニコルの言葉が聞こえなくて聞き返したのに、もう一度言ってはくれなかった。
「ローズ様、この子どうしましょうか?」
隣にいたメアリーが子犬の顔を覗き込みながら尋ねる。
この汚れた感じといい、きっとこの子には飼い主がいない。
もしくは飼われていたけど迷子になってしまったのか。
ニコルは言う。
「学園の離れに人があまり来ない倉庫があるから、とりあえずそこで面倒を見ようかなって思ってる。あとは新しい飼い主を探して……」
「あら、うちに迎えればいいじゃない」
ニコルの目が見開かれた。
どうしてそんな顔をするのかしら……。
「いや義姉さん、この子は野良で……」
「だから?」
「だからって……そりゃ僕だってうちで飼えれば一番いいって思ってたけど」
なんだ、ニコルもこの子飼いたいって思ってるんじゃない。
ならそう言えばいいのに……。
そこでふと思い至る。
あぁ、ニコルは遠慮しているのだ。
自分は孤児で、養子としてもらわれている身。
野良犬を飼いたいなんて言えるわけない。
「野良だって関係ないわ。私と家族になりましょ。それにほら、この子きっとすごく美人よ」
笑ってそう言うと、ニコルは困ったように眉を下げた。
「あなたって人は……」
でもその顔は嬉しそうだ。
…………。
この顔、見たことある。
…………。
…………。
スチルーーーー!!!!
イベントだ、これ!!
ニコルとメアリーの出会いイベントだ!!
中庭の噴水、迷子の子犬。
どうして思い出さなかったの!!
ゲームの中では、迷子の子犬と一緒にいるニコルにメアリーだけが遭遇する。
ニコルは自分を嫌っている悪役令嬢の義姉に野良犬を飼いたいなんて言えるわけがなく、学園の離れにある倉庫で子犬の面倒を見ようと決意する。
そこに、メアリーがやってくるのだ。
倉庫で飼うことになった子犬を一緒に面倒見て、二人は親密になっていく。
二人だけの秘密。
野良で独りぼっちだった子犬と自分を重ねていたニコルはメアリーの優しさ、愛情に触れ、惹かれていく。
そしてメアリーに魔法の言葉をもらう。
「あなたが必要なの」と。
両親から虐待を受け、義姉からも虐げられていたニコルは、自分が必要とされる喜びを知り、邪魔しようとする義姉にも屈せず二人はハッピーエンドを迎える。
邪魔しちゃった……。
二人の恋路を邪魔しちゃった……。
どうしよ……。
でも、今更飼わないなんて言えない。
なにより二人のキューピット役をこの子に担ってもらうのもいいけど、やっぱり倉庫なんかより暖かい部屋、美味しいご飯、ふかふかの寝床で過ごさせてあげたい。
「よかったですわね、ローズ様に拾って頂けて。とても運がいいですわ」
メアリーは手が汚れるのも構わず子犬の頭を優しく撫でた。
「本当に運がいいよ。君もランズベリー家の一員だね」
ニコルも優しく笑う。
二人とも嬉しそう……。
だ、大丈夫かな。
一応二人は出会ったわけだし……。
セーフかな……。
ちらりと腕の中にいる子犬を見る。
きらきらした目でこちらを見ていた子犬は「大丈夫」とでも言ってくれるかのように「わん」と鳴いた。
「あぁ、そうなんだ。どうやらどこからか迷い込んでしまったみたいで。義姉さん、近付いたら……」
「可愛いーー!!」
思わずニコルの腕から子犬を奪う。
なんて可愛い子なのかしら!
たまらず、すりすりと頬を寄せる。
「ね、義姉さん!汚れちゃうから!」
ニコルが焦った様子で言う。
ふと我に返り子犬をよく見ると藪やら泥の中やらを走って来たのか、確かにすごく汚れていた。
おそるおそる自分の服を見る。
あちゃー……。
ニコルがハンカチを取り出し、顔を拭いてくる。
もしかして……。
「顔も汚れてるよ」
ニコルが呆れたように言った。
「ほんと誰にでもそうなんだから……」
「え?なに?」
「なんでもないよ」
ニコルの言葉が聞こえなくて聞き返したのに、もう一度言ってはくれなかった。
「ローズ様、この子どうしましょうか?」
隣にいたメアリーが子犬の顔を覗き込みながら尋ねる。
この汚れた感じといい、きっとこの子には飼い主がいない。
もしくは飼われていたけど迷子になってしまったのか。
ニコルは言う。
「学園の離れに人があまり来ない倉庫があるから、とりあえずそこで面倒を見ようかなって思ってる。あとは新しい飼い主を探して……」
「あら、うちに迎えればいいじゃない」
ニコルの目が見開かれた。
どうしてそんな顔をするのかしら……。
「いや義姉さん、この子は野良で……」
「だから?」
「だからって……そりゃ僕だってうちで飼えれば一番いいって思ってたけど」
なんだ、ニコルもこの子飼いたいって思ってるんじゃない。
ならそう言えばいいのに……。
そこでふと思い至る。
あぁ、ニコルは遠慮しているのだ。
自分は孤児で、養子としてもらわれている身。
野良犬を飼いたいなんて言えるわけない。
「野良だって関係ないわ。私と家族になりましょ。それにほら、この子きっとすごく美人よ」
笑ってそう言うと、ニコルは困ったように眉を下げた。
「あなたって人は……」
でもその顔は嬉しそうだ。
…………。
この顔、見たことある。
…………。
…………。
スチルーーーー!!!!
イベントだ、これ!!
ニコルとメアリーの出会いイベントだ!!
中庭の噴水、迷子の子犬。
どうして思い出さなかったの!!
ゲームの中では、迷子の子犬と一緒にいるニコルにメアリーだけが遭遇する。
ニコルは自分を嫌っている悪役令嬢の義姉に野良犬を飼いたいなんて言えるわけがなく、学園の離れにある倉庫で子犬の面倒を見ようと決意する。
そこに、メアリーがやってくるのだ。
倉庫で飼うことになった子犬を一緒に面倒見て、二人は親密になっていく。
二人だけの秘密。
野良で独りぼっちだった子犬と自分を重ねていたニコルはメアリーの優しさ、愛情に触れ、惹かれていく。
そしてメアリーに魔法の言葉をもらう。
「あなたが必要なの」と。
両親から虐待を受け、義姉からも虐げられていたニコルは、自分が必要とされる喜びを知り、邪魔しようとする義姉にも屈せず二人はハッピーエンドを迎える。
邪魔しちゃった……。
二人の恋路を邪魔しちゃった……。
どうしよ……。
でも、今更飼わないなんて言えない。
なにより二人のキューピット役をこの子に担ってもらうのもいいけど、やっぱり倉庫なんかより暖かい部屋、美味しいご飯、ふかふかの寝床で過ごさせてあげたい。
「よかったですわね、ローズ様に拾って頂けて。とても運がいいですわ」
メアリーは手が汚れるのも構わず子犬の頭を優しく撫でた。
「本当に運がいいよ。君もランズベリー家の一員だね」
ニコルも優しく笑う。
二人とも嬉しそう……。
だ、大丈夫かな。
一応二人は出会ったわけだし……。
セーフかな……。
ちらりと腕の中にいる子犬を見る。
きらきらした目でこちらを見ていた子犬は「大丈夫」とでも言ってくれるかのように「わん」と鳴いた。
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