俺の可愛いお嬢様を、悪役令嬢にはさせません!

曼珠沙華

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さて、自殺未遂まがいのことをしでかしてしまった俺だが、とにかく今は状況を整理しなければならない。

なぜなら俺の可愛くて、愛しくてたまらないお嬢様が……

ぐすっと泣きそうになる。

いや、もう泣いてる。

よりによってこの世界でヒロインではなく、悪役令嬢だなんて。

イザベラお嬢様はもうすぐこの国の王子であるアイザック王子と婚約される。

だが、アイザック王子は17歳の時、学園生活中に出会ったヒロインと恋に落ちる。

そしてそれを妬んだイザベラお嬢様はヒロインに嫌がらせ三昧。

それが王子に知られ、卒業パーティでお決まりの断罪イベント。

婚約は当然のように破棄され、国外追放。

テイラー家の評判もガタ落ち。

最悪だ。

俺が、俺がせめて王子に生まれ変わっていたらお嬢様だけを愛するのに。


いやいや。
そんなことを考えていてもしょうがない。


テイラー家にはいろいろお世話になっている。

その恩に報いるためにも、なによりお嬢様の幸せのためにも、何か手を打たなければ。


「オリオン」


鈴のような声。

下を見ればエメラルドの瞳がこちらを見ていた。

俺の腰にしがみついたままだったお嬢様が目を覚ました。

ジョシュア様とアンドリュー様はもうすでに退室されている。


「お目覚めになられましたか、お嬢様」


イザベラお嬢様はそろりと起き上がり、俺の両頬に手をあて、じっと俺の顔を見つめてきた。


「あの、お嬢様?」

「ないているの?オリオン」

「え……」


あぁ、そういえばさっきお嬢様の将来を憂いて……。


「あたまがいたい?それとも、からだ?」


お嬢様が俺の身を案じてくださっている。

感極まり、また泣きそうになった。

しかし、これ以上心配はかけられないとぐっとこらえる。


「もう大丈夫ですよ」

「ほんとうに?だれかにひどいこといわれた?」

「いいえ」


俺は安心させるために笑ってみせた。

するとお嬢様も「よかった」と花のような笑顔を見せてくれた。


「オリオン」

「はい」

「なにかあったらわたしにいってね。まもってあげる」


頬に添えられていた手を首へとまわし、俺に抱きついてきた。


やばい、マジか……。

泣きそう泣きそう。


お嬢様は俺を泣かせる天才か。


あぁ、本当に愛しい。


おこがましいと思いつつも、俺もお嬢様の小さな背に手をまわし、抱きしめ返した。

猫のようにすりすりと俺の肩に顔をうずめてくるお嬢様。

きっと俺が元気出るようにと。

優しいお嬢様。


俺は改めて心に誓った。

この方を絶対不幸にはしない。
必ず俺が守ってみせる。
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