5 / 6
5
しおりを挟む
「毒が入ったリンゴをシンデレラは食べてしまい、目を覚まさなくなってしまいます」
俺は頭に「?」が浮かびながら、なんとか話を進めた。
これって本当にシンデレラ?
まぁ、この世界に本物の物語はないようだし、多少アレンジを加えても……。
「シンデレラはどうなってしまうの?」
幸いお嬢様の関心も得られている。
「王子様が助けてくださいます。シンデレラは愛する者のキスで目覚めるのです」
「きす……」
「そうです!ピンチの時、王子様はいつでも助けてくださいます!」
「おうじさま……」
お嬢様はかぶっていた帽子を脱ぎ、それをじっと見つめた。
あ、俺が自殺未遂してしまった時の帽子だ。
恥ずかしさと申し訳なさが蘇る。
だめだ、思い出すな。
俺は無理やり頭からその記憶を追い出す。
そんな俺に気付かず、何かを考えられておられる様子のお嬢様。
きっとこの国の王子のことを思い浮かべておられるのだろう。
この時点でお嬢様と王子はまだ面識はない。
それでもお嬢様はもうすでに王子のことをお慕いしているのかもしれない。
「いじわるなおねえさまたちは、どうなったの?」
お嬢様は俺に視線を移し、問われた。
えっと、どうなったんだっけ?
俺の頭にシンデレラの物語ではなく、ゲームの中のお嬢様の姿がよぎる。
「きっとシンデレラをいじめたり、殺そうとしたので国外追放されます」
「こくがいついほう?」
「国の外へ追い出されてしまうんです」
「そう……」
これで少しはお嬢様に伝わっただろうか。
嫉妬の感情に任せて悪いことをしてはいけないのだと。
「オリオン」
「なんでしょう」
「もしわたしがこくがいついほうされたら、いっしょにきてくれる?」
思いがけない言葉だった。
俺が、お嬢様と一緒に?
お嬢様がそれを望まれるのであれば、その答えは俺にとって考えるまでもないことだ。
一瞬呆けてしまったが、俺はすぐに微笑んだ。
「もちろんです。お嬢様が望む限り俺はいつでもお傍におります」
「のぞむかぎり……」
お嬢様は先ほど脱いだ帽子をぎゅっと抱き締め、満面の笑みを見せてくださった。
「おはなし、たのしかったわ。ありがとう、オリオン」
「お気に召していただけたのであれば、幸いです」
さて、数少ない俺にできること……。
もしお嬢様がゲームのシナリオに逆らえない最悪の事態に備えなくては。
俺は頭に「?」が浮かびながら、なんとか話を進めた。
これって本当にシンデレラ?
まぁ、この世界に本物の物語はないようだし、多少アレンジを加えても……。
「シンデレラはどうなってしまうの?」
幸いお嬢様の関心も得られている。
「王子様が助けてくださいます。シンデレラは愛する者のキスで目覚めるのです」
「きす……」
「そうです!ピンチの時、王子様はいつでも助けてくださいます!」
「おうじさま……」
お嬢様はかぶっていた帽子を脱ぎ、それをじっと見つめた。
あ、俺が自殺未遂してしまった時の帽子だ。
恥ずかしさと申し訳なさが蘇る。
だめだ、思い出すな。
俺は無理やり頭からその記憶を追い出す。
そんな俺に気付かず、何かを考えられておられる様子のお嬢様。
きっとこの国の王子のことを思い浮かべておられるのだろう。
この時点でお嬢様と王子はまだ面識はない。
それでもお嬢様はもうすでに王子のことをお慕いしているのかもしれない。
「いじわるなおねえさまたちは、どうなったの?」
お嬢様は俺に視線を移し、問われた。
えっと、どうなったんだっけ?
俺の頭にシンデレラの物語ではなく、ゲームの中のお嬢様の姿がよぎる。
「きっとシンデレラをいじめたり、殺そうとしたので国外追放されます」
「こくがいついほう?」
「国の外へ追い出されてしまうんです」
「そう……」
これで少しはお嬢様に伝わっただろうか。
嫉妬の感情に任せて悪いことをしてはいけないのだと。
「オリオン」
「なんでしょう」
「もしわたしがこくがいついほうされたら、いっしょにきてくれる?」
思いがけない言葉だった。
俺が、お嬢様と一緒に?
お嬢様がそれを望まれるのであれば、その答えは俺にとって考えるまでもないことだ。
一瞬呆けてしまったが、俺はすぐに微笑んだ。
「もちろんです。お嬢様が望む限り俺はいつでもお傍におります」
「のぞむかぎり……」
お嬢様は先ほど脱いだ帽子をぎゅっと抱き締め、満面の笑みを見せてくださった。
「おはなし、たのしかったわ。ありがとう、オリオン」
「お気に召していただけたのであれば、幸いです」
さて、数少ない俺にできること……。
もしお嬢様がゲームのシナリオに逆らえない最悪の事態に備えなくては。
16
あなたにおすすめの小説
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。
しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。
断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。
なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。
超ご都合主義のハッピーエンド。
誰も不幸にならない大団円です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
小説家になろう様でも投稿しています。
「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。
ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。
しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。
こんな謎運命、回避するしかない!
「そうだ、結婚しよう」
断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる